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＊＊＊ うそばっかりのうささぎのはなし ＊＊＊
(第5話）
さて、番犬を突破した「うささぎ」はクロクロが捕らえられているという部屋
の前まできましたが、、、、
うささぎ「クロクロはこの中かあ。よし、窓を突き破って突入するぞ。
体当たりぃぃ。
ダメだあ、うささぎは柔らかすぎて、ガラスは割れないや。」
そうこうしているうちに、うささぎはマリエちゃんに見つかってしまいました。
マリエ 「あら？」
うささぎ（しまった。誘拐犯に見つかった。
正体がバレないようにしなくては）
マリエ 「あなた、クロクロのお友達？」
うささぎ「クロクロ？ そのような者の名前は聞いたことがありません。
手前は越後のちりめん問屋の隠居のお供のぬいぐるみ、
諸国漫遊の旅の途中でここに寄った次第です。」
マリエ 「水戸黄門の見過ぎよ。
いま入れてあげるわね。」
うささぎ「では遠慮なく上がらせていただきます。」
マリエ 「クロクロ、お友達が来たわよ。
じゃあ、あたしは塾へ行ってくるからね。」
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うささぎ「よし、うまい具合に犯人がいなくなったぞ。いまのうちに、、、
おーいクロクロ、どこにいるんだ？」
クロクロ「だれかクロクロを呼んだ？」
うささぎ「クロクロ、うささぎだよ。助けに来たよ。」
クロクロ「よお、うささぎ。どうしてここにいるんだ？」
うささぎ「ずいぶんと捜したんだよ。でも、もう大丈夫。
さあ、逃げよう。」
クロクロ「逃げる？ なんで？ 津波でも来るの？」
うささぎ「津波なんかじゃないよ。
クロクロは誘拐されたショックで頭がおかしくなっちゃたんだね。
昔からちょっとはおかしかったけど。」
クロクロ「誘拐？ 大変だ。だれが誘拐されたんだ？」
うささぎ「クロクロだよ。
クロクロったら、自分のことがわからないの？」
クロクロ「うささぎ、何か早とちりしているよ。クロクロは誘拐なんかされ
ていないよ。」
うささぎ「えっ？ じゃあ、なんでここにいるの？」
クロクロ「きのう、ミミズク博士の実験室に行く途中、マリエちゃんに会った
んだ。マリエちゃんが”うちで遊んでいきなさい”っていうから、
ちょっとおじゃましているんだよ。」
うささぎ「マリエちゃんとは昔からの知り合い？」
クロクロ「違うよ。昨日初めて会ったんだ。でもクロクロのことを”ステキ”
って言ってくれて、すごく気に入ってくれているんだ。
いいだろう。」
うささぎ「まったく、クロクロは人にチヤホヤされると、すぐに舞い上がっ
ちゃうんだから。”ステキ”って言われただけで知らない人に
ノコノコとついて行っちゃうなんて。」
くろくろ「へへっ」
うささぎ「でも、昨日はなんでクロクロはお姉さんのところへ帰らなかったの？
お姉さん心配しているよ。」
クロクロ「大丈夫だよ。ちょっとの間、帰らなくても平気さ。」
うささぎ「だまっていなくなるから、みんな心配していたんだよ。」
クロクロ「うるさいなあ、どこへ行こうとクロクロの勝手じゃないか。
みんな余計なお節介だよ。」
うささぎ「ふーん」
クロクロ「それより、うささぎ見て見て。」
うささぎ「何？」
クロクロ「マリエちゃんが、作ってくれたんだ。クロクロの寝床。」
うささぎ「クロクロ専用のベッドだね。クロクロも寝ることあるの？」
クロクロ「寝なくても平気だけど。寝ることできるよ。」
うささぎ「でも、なんでまたベッドなんかあるの？」
クロクロ「きのうからここがクロクロの家になったんだ。」
うささぎ「えっ、クロクロの家は黒木さんのお姉さんのところじゃないの？」
クロクロ「変更になったんだ。」
うささぎ「ひょえ。」
クロクロ「ほんとうは、マリエちゃんが”あたしのところで暮らしなさい”っ
ていうから、そうすることにしたんだ。」
うささぎ「ずいぶんと急だね。」
クロクロ「マリエちゃんはクロクロによくしてくれるし。ぬいぐるみは
よくしてくれる人の家に住むのが一番さ。」
うささぎ「ふーん」
クロクロ「じゃあ、お姉さんに伝えといてね。”クロクロは引っ越しました”
って。」
うささぎ「あらー」
やっと捜し出したクロクロなのに、何か様子がヘン。
クロクロはどうしちゃったのでしょう？
つづく
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