*** うそばっかりのうささぎのはなし ***
(第1話)
ぬいぐるみの「うささぎ」と「くまった」は、しゃべったり踊ったりすることが
できます。ある日、友達のぬいぐるみ「クロクロ」が外へ出ていったきり行方不明に
なってしまいました。
心配になった「うささぎ」と「くまった」はクロクロをさがしはじめました。
うささぎ「博士の家に行く途中にはいなかったよね。」
くまった「うん。いなかったね。
四次元空間にでも吸い込まれたのかな?」
うささぎ「くまったはオカルトっぽいのが好きだね。」
くまった「うん。うささぎは何が好きなの?」
うささぎ「金もうけ。」
くまった「ふーん。お金もうけて何するの?」
うささぎ「何もしないよ。
お金を殖やすこと自体が楽しいんだ。」
くまった「変なの。」
うささぎ「そうかなあ。たとえば切手を集めるのが好きな人が
いるとするでしょ。
その人には切手を集めること自体が楽しいんだ。」
くまった「切手集めと同じかあ?
あっ、うささぎは外国のコインとか集めているんだね。
うささぎはコイン収集家なんだね。」
うささぎ「ちがう。うささぎは守銭奴さ。」
くまった「ふーん。」
うささぎ「でも、ほんとうは集めたお金の使い道はきまっているのさ。」
くまった「へえー、何に使うの?」
うささぎ「世界の平和の役に立つ事さ。」
くまった「うわー。」
うささぎ「各国の首脳にワイロを送り世界を平和にしてもらう。
”ワイロをあげますから世界を平和にしてください”って。
ワイロさえ渡せば、政治家はきっとやってくれるさ。
なかなか良い考えでしょ。」
くまった「すごく良い考えだね。」
うささぎ「でしょ」
くまった「でも、別にうささぎが人間のこと心配することないよ。
人間たちが自分たちで何とかすることさ。」
うささぎ「言われてみるとそうだね。」
くまった「そうさ。」
うささぎ「おっと、しゃべってないで、クロクロを探そう。」
くまった「裏通りも調べてみよう。」
うささぎ「うん。」
つづく
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