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9/12/98 23:35 キャンプ場すぐ近くの石白川海岸に出てみた。 うろこ雲が夜空に散りばめられていた。その影の向こうから月の明かりが、一点から限りない天空に向けて発されていた。光をあおったうろこ雲は異様たる光景を醸し出していた。 僕は一瞬そのうろこ雲の空に「怒り」を感じた。空が怒っていると見て取ったのだ。何故だかはわからない。そしてどうしてそれが悲しんでいたり、笑っているように見えないのだろうかと考えた。おそらくその人そのときによって違う風に見えるのではないだろうかと感じた。それを今夜、僕は怒りに感じたのだろうと。 うろこ雲は流れ、やがて月を前に押し出す。半月だった。パーッと広がるようにあたりが少し明るくなった。さっきまで見えなかった砂浜に座っている2人や波の盛り上がりまでが今は見えている。後ろの方にある外灯では照らせなかった景色が目の前に浮かび上がってくる。外灯が何千本立っていても、それがどんなに明るい照明でも、この夜の月の明かりには勝てない。どこまでも、どんなところにも、誰にでも、同じように照らしてくれる。不思議なパワーを持っている。 僕はそのときuaの「雲がちぎれる時」を心の中で口ずさんでいた。 | ||||||