式根島探訪
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9/9/98 15:15 式根島

 木の葉の匂いがする。花が甘い香りを漂わせる。車でもなく。自転車にも乗らず。ただ自分の足で道を進んでいく。さっと通り過ぎてしまえば、目にも付かないことが、テクテクと歩いているとポッ、ポッと、つぼみが花開くように一つ一つが目に入ってくる。

 きれいに多角形で描かれた編み目模様にすらっとした足を引っかけ、獲物を待ちかまえている蜘蛛。キャンプ場近くの飼い猫が寄ってきた。この島のペースにあわせた足どりで彼女は、トコリ、トコリ、と歩んできては木陰にくつろいだ。暑苦しい毛皮を脱げない変わりに、時より吹き込むそよ風を目当てに涼んで一日を過ごしている。

 僕もそれに便乗しよう。忘れかけていたゆとりを心によみがえらせながら、砂浜へ出た。水の中は石がゴロゴロとした岩場なのに、浜自体は周りに散らばっている白い石がくだけてできた白い砂浜だった。白砂の浜はもうしばらく見ていない。緑の砂も見つけることができる小笠原で見た白い砂が最後じゃなかったろうか。奄美もハワイもこんなに白い砂ではなかったし、三宅島は黒い石がゴロゴロ。アカプルコも普通の砂だったし。。。

 島の南東にある4つの温泉に行ってみた。最初の2つ(松が下雅湯と足付温泉)は海を見渡せる池みたいな露天の温泉だった。もう一つは村でやっている整備されたところ。ここは明日でも入ってみよう。一番気に入ったのは、地鉈(ぢなた)温泉。まさに鉈で岩をぱっかり割って開いたような岩場の間に海水が入ってきて、自然の泉源が水を沸かしている。岩壁2つに挟まれた閉ざされた地形の中にも向こうに果てしなく広がる海と、それから送り込まれる波と潮の音が同じ島なんだなと思わせてくれる。数数え切れないほど岩場にはいつくばっている海虫の間を分け入って、岩から岩へピョンと飛んではちょうどいい温泉だまりを見つけて入る。サンサンと照らすお日様のもとで熱いお湯に入るのもまた格別。さて、今晩はパスタでも作って明日は西の方の山にでも繰り出すか。

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