〜平等院〜宇治上神社
京都駅で大きな荷物をコインロッカーに預け、奈良線に乗り宇治へ向かった。電車で30分ほど。まずは平等院へ向かう。南側に出てお茶屋中村藤吉本店が見えたらそこの街道を曲がって東へ向かう。ちなみにこの向かいにPatissier山川というケーキ屋さんがある。ここで帰り道の買い食いにロールケーキを2種類買って食べたがうまかった。本当は和栗モンブランを行きたかったのだけど、こちらは残念ながら売り切れていた。ぜひ立ち寄られることオススメ。
宇治橋の交差点を曲がり表参道を進む。両側に宇治茶のお店がいくつも立ち並ぶ。あまりこういうどんぴしゃなところでご当地のものを買う気にならないのだが、やはりここでもやりすごした。あたかもどれかの店で買わないと通せんぼしますよと言わんばかりの参道に、銀閣寺手前の参道と同じ臭いを感じた。
それと、これはなんなんだろう。お店の前にずでーんと立ったまま客引きもしない店主。100%男なのだが、客引きしないで店の前に立たれたら、まず誰も入ろうとは思わないだろう。その通りほとんどお客は入っていないところばかり。ただでさえお客を取るのも競争なのに、店に入るにはオレを倒してから入りな、とでも言いたげに無造作に突っ立ってる。センスが無いとしか言いようが無い。
そんな店をすべてやり過ごしたら、それは現れた。平等院へは入場料を払って入るが、鳳凰堂はまた別料金だという。これがタクシーの運ちゃんが言っていた「坊主丸儲け」論だ。よそ者がほいほいと京都に来ては毎日あちこち回って高い拝観料を落としていく。貴重な建物などは入場料の他に別途さらに徴収する。中に入って、メインイベントが別料金だとされたら、やはり入らないわけにはいかない気持ちになる。うまい儲け方だ。
表門をくぐり少し歩くとそこに現れたのが10円玉の裏面。鳳凰堂は思ったよりも地味で、手前の池はちょうど宇治茶色をしていた。とはいえ、本殿の両脇にやぐらを持ったようなその姿は他の京都のどの建物ともちょっと違う。ここでもワイドコンバージョンレンズが力を発揮して、一応左右全部が入る写真が撮れた。後、当たり前のことなのだが、鳳凰堂は英語ではPhoenix Hall。なんだかすごくカッコいい建物に聞こえる。Phoenix Hall、カッコいい。
鳳凰堂の周りを一周すると博物館 鳳翔館にたどり着く。ここでは鳳凰堂の歴史や秘密などが説明されている。昔はもっと赤くきらびやかな建物であったことがビデオで再現してくれている。また、今屋根に乗っているレプリカの鳳凰の本物の方が展示されていたり、鳳凰堂内の阿弥陀如来の左右の壁にかけられている雲中供養菩薩像52体のうち半分がここに展示されている。皆、雲に乗っているのが特徴的で、名前も「北25号」みたいに南北プラス通し番号で名前がついているのが面白い。さらに一本の木から彫って作られたという観音菩薩立像なども圧巻だ。
博物館を出たところで、妻はご朱印をもらう。彼女の最初の1冊もいっぱいになったようだ。ご朱印とご集印とがあるようだが、何か意味が違うのかもしれない。が、白紙の紙が十数枚つながっている冊子に、訪れたお寺ごとに書で訪問した記念に書いてもらう。ちょうど子供のスタンプラリーのようなもの。これを妻が始めたきっかけは、何とBirdのコンサート。そのコンサートは、東京都大田区にある池上本門寺で行われた野外ライブで、そんなこともありBirdがトークの中でご朱印を集めていると聞いたのを覚えていて始めたのだった。それ以来、どこのお寺に行くにも集めている。どんなところで趣味が広がるかわからないものだ。
さて、ご朱印ももらったので、そろそろ最後に鳳凰堂にでも入るかと思い見てみるとあまり人がいない。これはチャンスだと思い拝観受付所に寄ってみると、何と整理券を渡された。1時間後の拝観と言われ諦めた。確かに制限されて団体で案内されていたのだが、空いていたのはその時間じゃなかったからのようだった。結局メインイベントに参加できずちょっと残念。そんな自分を、なんやらかんやら言いながらも京都にお金を落としていくよそ者の一人なんだなと実感した。
2・3分歩いたところに現れた宇治上神社もそれほど大きなものではなかった。下社が朱色の雅な感じがしたのに対して、こちらは漆喰と年季の入った木で作られた平安後期の本殿が中央に立ち、裏手に鎌倉時代に作られた拝殿といくつかの社が置かれていた程度の結構質素な感じのものだった。訪れる人も平等院ほどではなく、何となく落ち着く感じの"cozy"という言葉が良さそうな雰囲気で、上賀茂神社や下鴨神社ともまたちょっと違った落ち着きを感じた。
今回の京都旅行で高山寺、東寺、銀閣寺、平等院、宇治上神社と、また世界遺産巡り「達成」リストに連ねる名前が増えた。そろそろ京都駅周辺のスタンダードな世界遺産もまわりに行かないといけないかな。