〜東寺〜吉田山荘〜青蓮院〜真如堂〜金戒光明寺〜銀閣寺〜四条〜圓光寺〜実相院〜
東寺の中は大きく五重塔と講堂、金堂の3つの建物があり五重塔の前には池がある。建物の形的にはどうしても五重塔に目が行きがちだが、自分のお気に入りは如来・菩薩・天と勢ぞろいして幻想的に並べられている講堂がお気に入り。
建物の概観としては3つの中で一番おんぼろと言ってもおかしくないが、何度訪れて、そこに置かれている一体一体の仏像をじっくり見るのが好き。それぞれ似たような仏像ではあるが、その細部はまったく違い表情も違う。また、それぞれに彫られた部位には(私は詳しくは知らないけれども)意味が込められている。
前回は夕方の明かりに浮かび上がる21体だったが、今回は午後の日差しが格子戸から差し込みくっきりとその表情を浮かび上がらせていた。格子戸の縁にちょっとした腰掛けできるスペースがあり、飽きのこないその表情に、皆そこに腰を添えて見入っていた。ここの雄大さは実際に見た人でないとわからないだろう。そのどれもが国宝であったり重要文化財に指定されている貴重なもの。中でもべっぴんさんはやっぱり帝釈天、ちょっとユニーク顔つきなのは不動明王。中は撮影禁止なのがすごく残念だが、仕方ない。
お隣の金堂にも薬師三尊が置かれさらに大きな仏像を拝むことができる。東寺は他のお寺から遠いせいかそれほど多くのツアー客が来ないのがいい。せかされることなく、じっくりと回れる。
泊まられる客層のせいか、この宿のホスピタリティーの現われなのか、キーがない。宿の人が食事にしても出かけるときにしてもお出迎えしてくれる。ふすま一枚でそれぞれの部屋へ入られるオープンさにはちょっと戸惑ったが、それがまた気持ちいい。
京都らしさと高貴さをうまくバランスさせてくれている。びっくりしたのはどこまでも畳とふすまなところ。洗面所はもちろんのこと、お手洗いは便器のあるところでさえも畳敷きでした。さらにこちらはもうひとつのお風呂ですと開けようとした場所はふすまの向こう。え?ふすまの奥にお風呂ですか?と思わず言いそうになった。
いい宿とはこういうものだなと感じた。華々しいインテリアでもなく、仰々しい食事でもない。泊まっているお客の動きを感じながらお出迎え、案内をしてくれる。用事のあるとき以外は女将さんのご挨拶以外は邪魔をしない。言葉は最小限に気がすごく聞いている。干渉されない心地よさがある。宿に戻ればお茶と和菓子が出てくる。夕食中に布団は敷かれるのは当たり前としても、夜のお水として_______Harioのウォーターサーバー_________に冷たく冷えた水が置かれている。お風呂には基本的に着替え以外は手ぶらでいける。ここに高い宿といい宿との違いがあると思っているが、いい宿は手ぶらでお風呂にいける。タオルもバスタオルももちろん部屋にあるのだが、風呂場にもちゃんと置かれている。洗面所にもタオルが置かれていて使ったタオルはそこに放っておける。お客様に負担をかけない。何も気にせず旅を楽しんで欲しい、そのサポートを全面的にバックアップします、というのが伝わってくる。サービスとはこうあるべきだなと感じさせられる宿である。
最高に良かったのは食事。懐石料理なのだが、最初の先付から最後の水物(デザート)に至るまで、端から端まで、肉に魚に野菜にどれをとってもどれをつまんでもおいしい。しっかりとした出汁に支えられたしつこくない味付けが素材を引き立てていた。その完成度は料理人の「これでもか」という気負いとも取れる自信が見え隠れする。でも、その料理人の自信をフリーハンドで受け入れて、繰り広げられる美味の祭典に酔いしれてしまう自分がいた。京都に行かれることがあったらぜひ一度お試しいただきたい。
食事とともに出された「京古」というお酒も飲みやすくてよかった。それと、オススメされた玄米で作ったというオリジナルの日本酒「愛」も気に入った。こちらは紹興酒にも似たカラメル色と香りを持った日本酒とのことで、紹興酒ほどムワッとくることがなく、軽い感じでいただける、後味の良いお酒でした。こちらはお土産としても買って帰ってきました。
中に入ると庭園を中心に一回りできるようになっていて、中庭のところでは真っ暗な中、時間とともにあちこちが順番にライトアップされるショーが展開されていた。一番きれいに見えたのは庭の中心に無数に設置された青いライトが蛍の光のようにゆっくりと灯される瞬間。庭を中心に一周できるので、みんないろんな位置で止まっては堪能していた。裏手の方では、竹林も白く幻想的な色彩にライトアップしていた。
ここの本堂は中がすごくきれいにされていて、ゆったりとした雰囲気で阿弥陀如来を拝むことができる。お賽銭を入れて、鐘を叩いてお隣にいる観音様をお参りすることもできる。この期間、山門に上ることができたので一人800円はちょっと高すぎと思いつつも、上ってみた。まあ、景色がいい程度でどうということではないが、一応経験として山門を上る急な階段と内装が見れたのはよかったのかな。
さて、丸太町通りまで出れば銀閣寺行きのバスに乗ることができる。白川通今出川交差点で降り、哲学の道を東に向かうと程なく銀閣寺に着く。最初は表参道にひしめく人の波に押されつつ、ちょっとトーンダウンしていた。
入場してすぐ右手に見える銀閣を見ると、やはりカメラを構えたくなった。相変わらず沢山の人が川の流れのように留まることなく入ってきたが、そんな群集に囲われるように真ん中にひっそりと鋤かれた砂利庭はポツリと建つ銀閣の控えめな佇まいとうまくマッチしていた。
銀閣の正面、お寺の裏側に位置する方に丘がある。順序としては銀閣をみてからこの丘を登るコースになっている。この丘にはご他聞にもれず木々が紅葉していて、この茜色の葉越しに撮る銀閣もまた格別だった。途中、ガイドブックにも書いてあった、「銀閣寺の大切な苔」「ちょっと邪魔な苔」「とても邪魔な苔」が置いてあり、松の葉のようなトゲトゲした苔が好まれているんだなと知る。やはりベタッとした苔はきれいじゃないからだろうか、「苔」に指定されていた。そんな展示のすぐそばに苔むしる庭師の方が何人か作業中だった。毎日毎日、苔を選定してむしってしているかと思うと、頭が上がらない。
八坂さんまでタクシーを拾い向かう。直前右側に(高い)かばんで有名な一澤帆布を見かけた。タクシーの運ちゃん曰く「あんなん、元々テント屋やったんや」と高い値段の普通の布かばんに関東からこぞって買いに来ているお客に皮肉を浴びせていた。遠目に見たお店はかなり混雑といえるほど人がひしめき合っていたようだった。ちょっと興味はあったが、待つのと混んでるのは嫌なのでやめておいた。ネットでも売ってるし。
八坂さんちょっと手前でおろしてもらい、四条通へ出た。お茶ということで甘味屋を探したが、有名らしい祇園小石はかなり並んでいた。仕方なく、栗鹿の子とわらび餅を買ってそそくさと出てきた。
わらび餅
八坂神社から四条を西に進むと和菓子屋と小物屋がたくさんある。そのうちのひとつ祇園小石という京菓子処で売っていた黒糖わらび餅。大き目のさいの目に切られた餅を黄な粉と甘すぎない黒糖といただくのだが、さっぱりしていてそれなりに量を食べても胸焼けしなさそう。
ちょっと行った先に同じようなメニューを出していた大原女家へ入る。どれをとってもあんこまみれになれるようなメニュー。が、スタンダードに栗ぜんざいを頼む。餅の入ったおしるこ。来るや否やさらっと2・3分で平らげてしまう。
その後、夕飯までもう少しあったので先斗町をやりすごし錦市場をざっと見て回った。生麩に味噌に、魚屋も多い。料亭なんかが素材を仕入れている市場らしいが、それを聞くとこんな一本の商店街にこれほどまでの魚屋がひしめき合って続けていける理由もわからなくない。
ここら辺の道をちょっと北に入るといくつかカフェを見つけたりする。クラシックな装いの京都らしいカフェには今回は伺えなかったがもっと時間があるときにまた寄りたい。
吉田山荘二日目の夜もおいしい懐石料理をいただき、また感動。刺身はぷりぷり、てんぷらもそばもカニも雑煮も煮物も一つ一つが感動。あまり好きでない牡蠣の素揚げでさえもおいしくいただけた。前日同様お酒を頂き、ほろ酔い気分。
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