******** うそばっかりのうささぎの話し ********

  

【第2部 第15話】

  

お寺での修行2日目も終わって

 

うささぎ「いやー、今日の修行も無事終わったね」

クロクロ「うん。じゃあ、そろそろ抜け出してミミズク博士の所へ行くかい?」

うささぎ「そうだね」

 

正覚和尚「ちょっと、うささぎさん達、どこへ行くんですか?」

うささぎ「はい、ミミズク博士の所へ」

正覚和尚「修行中ですから、むやみに出歩かないでください」

うささぎ「そうなんですが、夜は修行はなしですよね」

正覚和尚「あります」

うささぎ「えっ!? でも、丸山さん達は夜は寝るんでは?」

正覚和尚「ぬいぐるみ向けに特別の修行を用意しました」

うささぎ「ありゃ。

     どんな修行ですか?」

正覚和尚「お墓の番」

うささぎ「えっ。お墓って、人の骨を埋めてある、あのお墓のことですか?」

正覚和尚「そうです」

うささぎ「ひえっ」

正覚和尚「最近、夜に何やら怪しい人がお墓に出入りしているらしいのです。

     ですから、今晩はうささぎさんとクロクロさんにお墓で寝ずの番を

     してもらいます」

クロクロ「怪しい人って、それはひょっとしてお化けのことではないですか?」

正覚和尚「よくわかりません。だからクロクロさんに確かめてもらいます」

クロクロ「ひえー」

 

正覚和尚「準備はできましたか?」

うささぎ「はい。

     お化けが出たら、この携帯電話で和尚様に連絡すればいいのですね」

正覚和尚「私は寝ていますから、お化けの場合は連絡しなくていいです。

     適当にあしらっておいてください」

うささぎ「そんなあ。お化けが出ても助けに来てくれないんですか?」

正覚和尚「お化けくらい自分たちで何とかしなさい」

うささぎ「えっー」

正覚和尚「お化けではなく、泥棒とかだったら連絡をください」

うささぎ「はーい」

正覚和尚「はい、懐中電灯を忘れずに。

     では、いってらっしゃい」

うささぎ「はーい」

 

さてさて、懐中電灯を持ったうささぎと、電話を持ったクロクロはお寺の裏にある

お墓にやってきました。

 

クロクロ「お墓の番とは、ずいぶんと寒気のする修行もあるんだね」

うささぎ「そうだね。

     でも怪しい奴って誰かなあ?」

クロクロ「鬼婆(おにばば)じゃないかい?

     お墓の骨を食べに来るらしいよ」

うささぎ「ああ、日本人はカルシウム不足だからね」

クロクロ「だね」

うささぎ「ふう、このあたりで見張りをするとするかあ」

 

時は過ぎていき、やがて真夜中となりました。

 

うささぎ「怪しい奴ってなかなか現れないねえ」

クロクロ「そうだね。

     でも、物語では『怪しい奴ってなかなか現れないねえ』って言った

     そばから怪しい奴が現れることがよくあるから、あんまり言わない方が

     いいんじゃないかい?」

うささぎ「そうだね。

     でも、もう遅いみたいだよ。ほら」

クロクロ「ありゃ、その怪しい何とかっていうのが登場したみたいだね」

うささぎ「うん、向こうから来る来る」

クロクロ「さっそく、和尚様に電話しよう」

 

ピポパポ

「ルルル、ルルル、ルルル・・・・・」

 

うささぎ「和尚様、電話に出ないかい?」

クロクロ「うん。熟睡しているみたいだ」

うささぎ「しょうがない。とりあえずうささぎ達だけで何とかしよう」

くろくろ「だね」

 

つづく

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