******** うそばっかりのうささぎの話し ********

  

【第2部 第14話】

  

クロクロ「うささぎ、丸山さんの『極楽への旅立ち作戦』、どうする?」

うささぎ「そうだねえ、ぬいぐるみの力だけでは、できることが限られてくるし、

     今晩作戦を考えよう」

クロクロ「そうだね」

うささぎ「それまでは今日も修行だ」

 

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正覚和尚「さて、みなさん、次は写経の時間です」

うささぎ「写経?」

正覚和尚「見本のお経を元に、それを書き写します」

クロクロ「へえー」

うささぎ「お経を書いていくんですよね。

     そのことなら、うささぎは前に本で読んだことがあります。」

正覚和尚「そうですか。

     では、これが半紙と筆」

 

うささぎ「まずは、ちゃんと書けるように机の上に昇って、と。

     和尚様、こちらの方へ来ていただけますか?」

正覚和尚「はいはい、なんでしょう」

うささぎ「写経の手助けをお願いします。

     机の前に座ってください」

正覚和尚「はい」

うささぎ「うささぎの手が届くよう、もうちょっと顔を下げてもらえますか?」

正覚和尚「こうですか?」

うささぎ「はい、そこならばうささぎの手が届きます。

     クロクロも手伝っておくれ」

クロクロ「あいよ」

うささぎ「で、見本のお経と筆を用意して、っと。

     では、和尚様、目をつぶってください」

正覚和尚「はい」

うささぎ「じゃあ、書き始めます。

     クロクロは右側から頼むね。

 

     かんじざいぼさつ、、、、、、、、

 

正覚和尚「なんか、くすぐったい気がしますが」

うささぎ「今ちょうど、ほっぺたの上に書いているところですから」

正覚和尚「えっ!!!」

うささぎ「ああ、動くとお経が書けません」

正覚和尚「どこにお経を書いているんですか!」

うささぎ「和尚様の顔の上」

正覚和尚「顔の上じゃありません!

     なにやっているんですか!」

うささぎ「大丈夫です。耳にもちゃんとお経を書きますから」

正覚和尚「耳にも要りません」

うささぎ「えっ、耳に書かないと、平家の亡霊に取られちゃいますよ」

正覚和尚「耳なし芳一の話しと写経とは違います!」

うささぎ「ありゃ」

正覚和尚「写経は紙の上に書き写すものです!」

うささぎ「はーい」

正覚和尚「まったくー」

 

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うささぎ「なんかまた失敗しちゃったね」

クロクロ「うん。でも世の中失敗するのが当たり前なんじゃないかな。

     そんなに気にする事はないよ」

丸山  「そうさ。気にする事ないさ。

     顔への写経っていうのも、ひょっとしたら現代芸術として

     評価されるかもしれないぞ」

うささぎ「ありがとうございます」

クロクロ「ときに、耳なし芳一ってなんだい?」

うささぎ「怪談話しさ。顔や体の上にお経を書いていくんだ」

クロクロ「そんな話しを読んだ後じゃ、だれだって顔の上にお経を書きはじめるよね」

うささぎ「うーん」

丸山  「まあまあ、とりあえず写経を始めよう」

うささぎ「はい」

クロクロ「でも、筆とはまた使いにくそうなもので書きますね」

うささぎ「だね。インターネットの時代だから、ワープロとかを使えばいいのに」

丸山  「ワープロでは写経はできないんだよ」

うささぎ「どうしてですか?

     ワープロで書くと仏様の罰でもあたるんですか?」

丸山  「ちょっと違うな。お経にはむずかしい漢字がたくさん使われているんだ。

     それら難しい漢字の中にはコンピュータに登録されていないものもあって

     ワープロでは印刷できないんだよ」

うささぎ「そうなんですか。

     仏様の世界は奥が深くて、コンピュータなんかは寄せ付けないんですね」

クロクロ「でも、お経を全部ひらがなで書けばワープロでも印刷できるよ」

うささぎ「そうだね」

 

あのくたらさんみゃくさんぼだい

 

つづく

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