******** うそばっかりのうささぎの話し ********

 【第2部 第9話】

 

まだ体が重いというクロクロ、なんかフラフラしています。

 

ペチャ、ペチャ、ドテッ

うささぎ「クロクロ、大丈夫かい?」

クロクロ「頭がガンガンするよ」

うささぎ「火で乾かす前に、クロクロの頭と体をギューギュー絞ったからね」

クロクロ「ヒエー」

うささぎ「おとなしく座って、うささぎたちが護摩行(ごまぎょう)するのを

     見ていれば」

クロクロ「うん」

うささぎ「そらっ、燃えろー。

     おん あぼきゃ べいろしゃのう まか ぼだら まに はんどま 

     じんばら はらばりたや うん」

クロクロ「何、わけのわからないこと言っているんだ。

     うささぎも修行のせいで、うまくしゃべれなくなっちゃった

     のかい?」

うささぎ「ん? お経だよ。うささぎが唱えている言葉は」

クロクロ「お経? そうだよ、お経に決まっているじゃないか。

     ちょっと冗談を言ってみたかっただけさ」

うささぎ「そうだよね。

     クロクロ、火を燃やしていると気持ちよくならないかい?」

クロクロ「どうして?」

うささぎ「よくわからないけど、

    『燃えろ、燃えろ、すべてを焼き尽くしてしまえー』って」

クロクロ「あー、頭がガンガンする」

うささぎ「燃えろ、燃えろ、もっと燃えるんだ。ハーッハッハー」

丸山  「うささぎ、興奮しないように」

うささぎ「あっ、すみません」

クロクロ「ふだん冷静なうささぎが興奮するなんて珍しいね」

うささぎ「火は好きなんだ。今回お寺での修行が終わったら、

     次回はゾロアスター教の修行をしようとも思っているところさ」

クロクロ「ゾロアスター教?」

うささぎ「別名、拝火教(はいかきょう)ともいって、

     火を崇(あが)めるんだ」

クロクロ「ふーん」

うささぎ「火を燃やすんだったら、うさぎ小屋のゴミも持ってくるんだった」

クロクロ「なぜ?」

うささぎ「護摩行の火でゴミも燃やすのさ。木の護摩を燃やすよりゴミを

     燃やした方が『一石二鳥』だろ。どうせゴミは燃やすんだから」

クロクロ「むやみやたらにゴミを燃やすとダイオキシンが出るんじゃ

     ないかい?」

うささぎ「そうだね。やめておこう」

クロクロ「あっ、和尚様だ」

正覚和尚「クロクロさん、元に戻りましたか?」

クロクロ「だいぶ良くなりました。でもまだ体が重いです」

正覚和尚「そうですか。気をつけてくださいね。

     ではクロクロさんもだいぶ良くなったので、本来の予定に

     戻って声明(しょみょう)の時間にしましょう?」

うささぎ「声明(しょみょう)?」

丸山  「お経のことさ」

 

さてさて、場所を移してお経をあげることになったうささぎ達

 

正覚和尚「お経というものはただ単に唱(とな)えればいいというものでは

     ありません。

     音楽的に美しく唱えなくてはならないんですね。歌を美しく歌う

     感じで唱えなくてはなりません」

丸山  「はい」

正覚和尚「でも、初心者の人にはいきなり音楽的に美しく唱えろといっても

     むずかしいものがあります」

うささぎ「そうだー」

正覚和尚「そこで、当山では初心者の人でもお経を音楽的に唱えられるよう

    『お経のカラオケ』を使って練習することにしています」

クロクロ「お経のカラオケ!」

うささぎ「それはすごい!」

              つづく

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