1-2. そして千代島理論は崩壊する
 言うまでもないことですが、

「氷は (つまりエントロピーの低い初期状態は) どのようにしてできたか」

と聞かれれば答えはもちろん

「誰かが氷を入れた(つまり、外部から介入することによって初期状態が生まれた)」

です。つまり、千代島氏の挙げた1番目の可能性にほかなりません。

 千代島氏はこれが「孤立系という前提に反する」などと馬鹿なことをいっていますが、 熱力学第二法則でいう「孤立系」は別に「永遠の昔から孤立している」ことなど要求していないのです。 ある系 (例えばコップ) が「孤立している間はエントロピーは減少しない」と言っているだけです。

「外部の介入があって低エントロピー状態が作り出される(この時は孤立系ではない)」

「以後は外部から介入しない(以後は孤立系になる)」

「氷が溶ける (外部から介入しない限り、つまり孤立系である限りエントロピーが増大する)」

 ということです。

 コップに外部から介入しない限りはエントロピーは増大し続ける、ただそれだけのことです。 逆にいえば低エントロピー状態を作るためには外部から介入しなければならないことこそが、 熱力学第二法則の本質なのです。

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