はらぺこ あおむし

月曜日の朝
いちご組の神田先生が、目を輝かせて登園してきました。
「週末、連れて帰ったアオムシの一匹が、目の前でサナギになったんです!動画もバッチリ撮れました。アオムシを飼うようになって4年目で初めて観られました。感激です!!」

これはスクープ映像だ!!
清水先生が、DVDに落としてくれたので・・・

年中組の合同昼食の時に、さっそく上映会です
口から出した糸で、枝に体をしっかり固定したアオムシが、緑と黒の縞模様の全身を、激しく振りながら脱皮していく、4分間の迫力の映像です。
(ご覧になりたい方は、こちらからどうぞ)
子ども達には、4分間はちょっと長すぎて飽きちゃうかな?と思ったけれど・・・
少しずつ、少しずつ皮が剥けて、最後にはきれいな緑色のサナギに変身する、渾身のアオムシダンス。
みんな、釘付けでした。

子ども達も、お家の柑橘類の葉っぱで見つけた、小さな黒い“イモムシ”を持ってきてくれるので、この時期、たいていのクラスで『アオムシ団地』ができています。

わかくさの先生方は、春から夏にかけて大忙しです。
プールの傍らに大きな“キンカン”の木があるのですが・・・
5月になると、ここにアゲハチョウが、卵を産みに来るのです。
(葉っぱの裏の、黄色い、芥子粒くらいの大きさの玉が、卵です)
これから、何回も何回も脱皮を繰り返して、緑色の大きな“アオムシ”に成長して、やがてサナギになるのですが・・・

それまで、大量の柑橘類の葉っぱを食べるんです。

先生方は、このかわいい『はらぺこあおむし』さん達が、飢え死にしないよう、サナギになるまでの週末は、自宅につれて帰って餌をあげ、月曜日に、一緒に幼稚園にやって来るのです。

ここで、神田先生が撮りためた観察記録をみてみましょう。

これが、1齢から4齢までの期間の黒い幼虫。
4回の脱皮を繰り返して、少しずつ大きくなります。

この時期の幼虫の色は、鳥の糞に似せて、身を守る為なんだって。
これが、5齢幼虫。
ようやく緑色の、みんなが良く知っている、アオムシの姿になります。
頭のところの黒い目のような模様は、外敵から、本当の目を守る為のカムフラージュなんだって。
これは、“前蛹”といって、サナギになる準備の段階。糸で体を固定して、キュッと縮んだ状態で、動かなくなります。
しばらくすると、体の表面が乾いてきて、いよいよ神田先生が撮影に成功した、アオムシからサナギに変わるダンスが始まるのです。
「私、毎日観察してきて、どのアオムシが、いつサナギになるか、だいたいわかるようになっちゃいました。この子なんか、この“乾きっぷり”は、もうそろそろですよ!」
そう言った神田先生が、なんだか一皮剥けて立派な『アオムシ博士』に近づいた気がしました。

(実は神田先生、わかくさ幼稚園に来るまで
は、虫が苦手だったそうですよ)
わかくさ幼稚園には、虫の大好きなお友達が、いっぱいいます。
「先生、ぼく明日“むしたおる”買ってもらうんだ!」
んんっ?蒸しタオルって??・・・
いいえ「虫タオル」のことでした。
これが、動画に撮ったアオムシ君のサナギです。
いつ、チョウチョになるのかな?
おやおや、早い子は、もうアゲハチョウになりました。
羽化したら、みんなで外に放してあげます。
こちらは、年長の「たんぽぽ組」

みんな、集まって!
飼育箱の蓋を開けるよ。
わぁ、元気よく飛び出した!
フワフワ・・
上手に飛べるね。
毎年たくさんのアゲハチョウが、わかくさアオムシ団地から巣立っていきます。
こちらは、年少の「うさぎ組」

ここでも今朝、アゲハチョウが1匹、羽化しましたよ。
担任の大村先生は、今年初めて「アオムシ飼育」に挑戦しました。
もちろん、子ども達も初めてです。
立派なチョウになりました。
あっ、飛んだ!
大空に飛んでいけ!
バイバーイ。
元気でね!
右側の卵が、かえりました。
小さな、小さな、生まれたての“イモムシ”の赤ちゃんです。
よく見ると、うっすら毛が生えています。
左の卵も、色が変わって、中の“イモムシ”が透けて見えるよ。
先生、見せて見せて。
わぁー!かわいいね。
しばらくすると、左の卵からも、芋虫が出てきました。
ホラホラ、よく見て。
頭が出できたよ!
兄弟2匹そろいました。
先に生まれたお兄さんの方は、色が黒くなっています。
卵の抜け殻が、パールの粒みたいで、きれいだね。
でもやがて、これも全部イモムシが食べちゃうんだよ。