WH&EMリレーSS

伝説のルビーの壷を探せ!Vol.3



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パーティ構成:主人公―キャラット、若葉、カレン カイル―ウェンディ、アルザ、リラ レミット―楊雲、メイヤー、ティナ


#0051   ガテラー星人(ミスあったら指摘してください(^^;) (メール)    97/06/25 00:11:45
「うーん、なにやら悪寒がしますね」
 とか言いながらいつもと変わらない顔でリュートなどひいてるロクサーヌの現在位置は学園内の噴水の側である。
「それでは登場人物も多くなったことですし、このあたりで状況を整理してみましょうか」
「ロクサーヌさん、誰としゃべってるの?」
「いえいえ、お気になさらずに」(ポロロン)

カリオン地下遺跡―学園の裏山にある古代遺跡。召喚魔法を無効化するルビーの壷が封印されていると言われるが、その扉を開けるのは妖精だけ。Skill&Wisdomの地下迷宮とつながっているという。

 S&Wのある街に着いた来人たち一行。しかしいきなり若葉が迷子になる。マックスの案内で学園にたどりつき蒼紫と再会。一方ロクサーヌはデイルを締め上げて情報を得るが、そのためデイルは怒り心頭、部員をたきつけてロクサーヌ征伐をもくろむ。フィリーはメイヤーに捕らわれ、レミット達は遺跡入り口でレジー、ジョルジュと会い、カイルのパーティは地下で苦闘の最中。そして巻き起こるデイルの天災…。


ジョルジュ、アイリス、レミット、楊雲、ティナ―遺跡入り口にてアンデッドに追われ、フライの魔法でレジーの落ちた穴に降りる。(#0032)

メイヤー―フィリー片手に山道を歩きながらるんたったとステップ。(#0035)
フィリー―マッド考古学者の手に捕らわれ泣いてるトコ。(#0035)

シンシア、ラシェル、メリッサ―ルーファスに留守番を命じられたにも関わらず勝手に抜け出す。(#0036)
若葉、システィナ―部室にてお茶の用意をしたが、1st3人が行方不明で首をひねる。(#0036)

レジー―地下迷宮にて2体のゴーレムと追いかけっこ中。(#0038)

カイル、リラ、アルザ、ウェンディ―カリオン遺跡で迷子。奥から男の声(レジー)が聞こえる…。(#0039)

来人、キャラット、カレン、ロクサーヌ―フィリーを探してただ今カリオン遺跡に向けて学園を通過してるところ。(#0041)

ルーファス、ソーニャ、セシル、蒼紫―今は学園内。森へ向かおうとするもどこへ行ったものやら。(#0041)

マックス―デイルに乗せられ森へ爆走。(#0041)
チェスター―学園の廊下に一人取り残される。(#0041)

司書さん、ミュリエル―図書館にてデイルの暴挙により錯乱中。(#0049)

真琴―趣味を隠すあまり森へ向かうところ。(#0050)
デイル―真琴を無理矢理森へ向かわせることに成功。今は市場通りでうなずいている。(#0050)
アリシア―その横であきれている。(#0050)
生徒会長―デイルの攻撃により虫の息。(#0050)


「だいたいこのようなところでしょうか?まあリレーSSですから話の矛盾なんてものはあって当然、気軽に書きましょう」
「ロクサーヌクン、さっきからぶつぶつと気味悪いわよ」
「まあまあ、皆さんは早く遺跡へと向かってください。そういえばまだ出てきてない方もいらっしゃいますねぇ。登場が楽しみです」
「カレン、キャラット、早く行くぞー」
「うんっ、来人さん」
「はいはい、しょーがないわね」
「それでは物語を続けましょう」(ポロロン)




#0052   BE約一ヶ月ぶりです≠`R (bear@leo.fukushima-net.or.jp)    97/06/25 22:46:16
 とてとてとてとてとてとて――
 廊下を歩く、みっつの足音。
 朱色の髪、碧の髪、桃色の髪――
 その、それぞれ独自の色彩の髪が歩くのに連れて揺れている。
 とてとてとてとてとてとて――
と、朱色の髪の少女が、先を行く桃色の髪の少女へと声をかける。
「ねえ、メリッサ……ところでボクたち……何処に行くの?」
「シンシア歩き疲れたよ〜」
 碧の髪の少女――シンシアが愚痴を漏らす。
 桃色の髪の少女、メリッサと呼ばれた彼女は、シンシアを気にせずに声を出す。
「なに言ってンのよ。こーんな、滅多にないチャンスをみすみす見逃す手なんて、なーい
わよ」
「そうじゃなくて――」
 朱色の髪を持つ少女がぴたりと立ち停まる。つられてシンシアも。
 その背後からの足音が途絶えたために、メリッサが振り返る。
 朱色の髪の少女――ラシェルは続ける。
「そうじゃなくて、ボクたち何処に向かって歩いてるのかってことを訊いたんだよ? な
のになんで学園内をこうやって歩いてるの?」
「……ラシェル……マスターたちが何処に行ったかわかってるの?」
 メリッサにそう言われ、首を傾げるしかないラシェル。シンシアは、歩き疲れたためか、
手近の壁の袂に座り、寄りかかっていた。そんなシンシアに視線を向けながらラシェル。
「……わかんないよ……デイル先輩はただ先に行って待っているって言ってただけだけど、
外って言ったっていろいろあるし……何処の外のことかもわかんないよ」
 再び首を傾げるラシェル。そんな彼女を見て、ちっちっ、と舌を鳴らしながら、ぴっと
伸ばした人差し指を左右に振るメリッサ。
「甘いわねぇ……ずいぶん前の話を聴いてなかったの? 詳しく言うなら、#001のこ
とよ!」
「? なんのこと言ってるの? メリッサ」
「あーら、なんでもないわよ。それよりも、マスターたちが向かった場所は、カリオン遺
跡よ」
「カリオン遺跡? なんで?」
「ふっふっふっふっふ……」
 メリッサは一通り哄笑すると、びしりと天井を――意味なく――指さし、
「この天才――天災じゃあないわよ! この天才美少女魔導師、メリッサ・イスキアにか
かればちょろいモンよ! あははははははははははは――」
「……だから、なんでルーファス先輩達が、カリオン遺跡に行くなんてわかるの?」
 再び訊くラシェル。
 シンシアは、歩き疲れたためにか、壁によりかかったまま、すうすうと寝息を立て眠っ
ていた。
 こんなところで寝ないでほしいなぁ、と胸中独りごちながらラシェル。
 メリッサの哄笑がやむ。
「まあまあ、ようはそのカリオン遺跡に行きさえすればいいのよ」
「……でも……ルーファス先輩ボクたちのこと心配してたよ……それに一緒に行くって言
ったときに許可してくれてないし……やっぱり戻った方がいいよ」
 ラシェルの提案に、直ぐさま即答してくるメリッサ。
「ぬぅぅあに言ってンのよ! マスターたちだけ楽しそうなことしてて、その間にわたし
たちは大人しく、じっと指くわえて、部屋に閉じこもって、鼻歌混じりに傍観してろって
言うの!? 冗談じゃないわ、誰がンなことするもんですか!」
「誰もそこまで言ってないよ……」
「とにかく! わたしたちだってもう新米じゃないのよ。ダンジョン探索のひとつやふた
つ、みっつやよっつ、どうってことないじゃない。危険が伴う? 大いに結構じゃない!
三割引で買ってやるわよ! それにラシェル……アンタ、冒険者になりたいんでしょ?」
 指摘され、罰の悪そうに、うつむくラシェル。
「う、うん……」
「ならいいじゃない。大丈夫よ。別に死ぬまでなんとかしろって訳じゃないんだし、それ
に、危なくなったらさっさと逃げればいいだけじゃない」
「…………」
 ラシェルは腑に落ちないといった表情をしていたが――
「……わかった……」
 こくりとうなずく彼女。
 それを見て、メリッサが掌を打ち合わせる。
「はい。じゃ、決まりね。それじゃあ、そうと決まったら、さっさと行きましょ」
 スキップしながら鼻歌混じりのメリッサ。
 そんな彼女を見ながらラシェルは――
 静かにシンシアを揺り起こした。

「ねえ、カリオン遺跡とこの部屋と、どう関係あるの?」
 ひとつの部屋の前。
 その扉の眼前に立っている三人。
 含み笑いをしたままのメリッサ。
 床にぽとりと落ちているシンシア。
 そのシンシアの襟首を引きずるように掴んでいるラシェル。
 当のシンシアは、いまだ眠ったままだが。
 メリッサが口を開く。
「この部屋にはね、魔法陣があるの」
「魔法陣?」
「そ。その魔法陣はね、カリオン遺跡の一室と繋がってるのよ」
「そうなの?――なんでそんなこと知ってるの?」
 半眼になりながらメリッサに訊くラシェル。
 その本人は明後日の方向を向いたまま、拳を高々と掲げている。
「愛と勇気の天才――天災じゃあないのであしからずよ! 天才美少女魔導師、メリッサ
・イスキアの手ににかかれば軽いモンよ!」
「ならこっち向いて喋ってよね」
 嘆息混じりにドアのノブを掴むラシェル。が――
「? あれ? 開かない……鍵が掛かってる」
 くるりとメリッサが振り返り言う。
「そりゃそうよ。この部屋は生徒会長が管理してるんだもの」
「どうするの? 鍵を借りてくるわけにもいかないし……」
 小首を傾げる彼女。メリッサはため息を漏らし言う。
「ラシェル、あなたって、ほんっとにつくづく、お馬鹿さんね……」
「なにが?」
 多少ムッとしながらラシェル。メリッサは気にせず続ける。
「あのねぇ、なんのために魔法があると思ってるのよ」
そう言われ、きょとんとするラシェル。
「魔法?……!? あっそうか! 魔法で解除しちゃえばいいんだね!」
「そいうことよ」
「……でも……マジックプロテクトも掛けてあるみたいだよ?」
「ふふふ、本当に甘いわねぇ。この最強無比、無敵の覇王、百年に一度と言われる天才―
―なんども言うけど天災じゃあないわよ! 天災美少女紅蓮の魔導師、蒼の使者、天翔る
大空の女王とも呼ばれるこのメリッサ・イスキアにかかればなんぼのモンよ!」
 もうどうでもいいけどね、と感じながらラシェル。
「じゃあメリッサ、君このロックはずせるの?」
「あったりまえよ! この白銀の冥王と呼ばれ――」
「それはいいから! でもこのマジックプロテクト、特Aクラスみたいだよ」
「ふっ、このメリッサ・イスキアに任せてみなさい。いくわよ!」
 言って、眼をつむり、手に持つステッキをくるくると回転させるメリッサ。
 次いで、呪文の詠唱に入る彼女。
 それを静かに見守るラシェル。
 シンシアの寝息が聴こえてくる。それはまあどうでもいいことだが……
 刹那――
 メリッサが眼を開き――
「えい」
 手に持つステッキを、扉へと振り下ろす。
 どがごおっ!
 鈍い音が上がると同時に、扉が砕け散る。
「…………」
 黙ってそれを見ているラシェル。メリッサが声高々にこちらを見る。
「ほらどう? この魔界を統治するメリッサ・イスキア大魔導師さまの力は? あーっは
っはっはっはっはっは――」
「…………」
 砕けた扉、壊れ転がっているドアのノブを見つめ、次に視線をいまだ哄笑を続けている
自称天才魔導師へと移す。
「……魔法ってさ、なんのためにあるものなのかな?」
「ほら、なにぶつくさ言ってンのよ! せっかくこのわたしが魔法で扉を開けたっていう
のに。魔法でよ! ま・ほ・う・で!」
「……魔法っていうよりも、ただの力技で無理矢理こじ開けたとしか見えな――」
「いいからほら早く! 先行ってるわよ」
「叩き壊すンなら、魔法詠唱なんていらないんじゃないかな」
「なに言ってンの! こういうのはね、雰囲気が大事なのよ雰囲気が!」
 言って、壊れた扉を蹴飛ばしながら中へと入室していくメリッサ。
「……そう言うもんかなぁ」
 腰に下げている愛用の剣――万が一の護身用として、寮の自室から持ってきた――の柄
に触れながら、ラシェルは――なにか大きなものが崩れていくのを感じ取りながら――、
尚も眠り続けているシンシアをずるずる引きずりながら部屋へと入っていった。
 そして――

「ン? ジャネット、なにしてんだ?」
 栗色の髪を持つ少女が振り返る。
「――なんだ、チェスターかよ。なんか俺に用かい?」
「なんだはねぇだろが、なにしてんだよ」
 赤髪の男、チェスターがジャネットへと歩み寄る。
 ジャネットは軽く肩をすくめながら、
「別に、暇だからそろそろ帰ろうかと思ってな。そう言うお前は?」
「俺も帰るところだ。ホントはマックスの奴と帰る気してたんだがよ」
「? なんかあったのか?」
「まあな。ちょっとばかり――あン?」
 と、そこでチェスターは言葉を途切る。
 それを見て、訝しく思うジャネット。
「どうかしたか?」
「いや……アレ……なにやってやがんだ?」
 視線も顔も向けずに、ただ前方を指でさし示すチェスター。
 ジャネットもそちらに視線を向ける。
 ひとつの扉の前にあるメリッサ、ラシェル、シンシアの姿。
 と、そのメリッサが、手に持つステッキで扉を殴り壊したところだった。
「……ドアを壊したな」
 静かにぽつりと呟くジャネット。それを見て――
「そうじゃねぇだろ。確かあの部屋……生徒会長の奴が管理してたはずだぜ」
 ジャネットとチェスターのふたりにに気づかず、ラシェルたちはその部屋へと入ってい
った。
「……なんかあるんじゃねえか?」
「なんかってなんだ?」
 チェスターの問いに、ジャネットは肩をすくめながら言う。
「さあね、ただ――」
「ただ?」
「……ただ、なにか厄介なことをしてるとこに出くわしてんのは確かだな……」
「……違いねぇ」
 半ば諦めたかのように、チェスターは頭をかいていた。



#0053   SkyFox (skyfox@ymg.urban.or.jp/syam@fsinet.or.jp)    97/09/19 23:44:01
 その頃。
 デイルにそそのかされ、単身森へと突っ走っていたマックスであったが。
 森の中を歩く頃には落ち着いてきたらしく、デイルの言葉に対しさすがに疑問を感じえずにはいられなかった。
「デイル先輩は『強い奴が森にいる』って言ってたけど、一体どんな奴なんだ? そもそもこんな学園の中の森になぜだ?」
 少々無鉄砲なきらいがあるマックスでも、それくらいの事は考えるわけだが。
「…ま、ルーファスもいるって話だし、とりあえず森の奥に行ってみるか」

 そんなこんなで、遺跡へと続く石畳の通路を歩いていると。
「な、何だこりゃぁ!?」
 見ると、石畳は途中で途切れ、地面には巨大な穴がぽっかりと口を開けていた。レジー達がうっかり作動させた遺跡の罠によって生じた穴である。
「う〜ん、この穴の中に何かいるって事なのか…。確かに猛者のいる気配を穴の底から感じるんだが、飛び降りるにゃちょっと深すぎるぞ、こりゃ…」
 マックスの言う通り、穴はほぼ垂直に開いており、しかも底の方は闇にとけ込んでいて、中がどうなっているのか伺い知ることはできない。だが、このまま帰ったのでは森に来た意味がなくなってしまう。せっかく強い奴と闘えると聞いてやって来たのに、それではとんだ無駄足である。
 穴のそばでしばらく考えた挙げ句。
「えーい、ままよ!」
 石畳を蹴って、マックスは穴の底に向かってダイブした。魔法は苦手だが、いざとなったらフライの呪文を唱えればいい。そう思って飛び降りたのだが…。

「やっぱり先に呪文唱えとくんだったぁ〜〜!」
 情けない叫び声を残しながら、マックスは穴の奥深くへと消えていった。



#0054  流派、東方不敗    11/12 13:14:42
「おーい、大丈夫か?大丈夫なら返事しろよマックス」
レジーが穴に向かって叫んだらかすかな声で返事が返ってきた。
「あ・・・だい・・・だ」
しかし、この穴がよほど深いのかほとんど聞き取れない。
「どうすりゃいいんだ・・・」
レジーが考えていると、後ろから誰かが声をかけてきた。
「おい。何やってんだ、レジーよ?」
「あ・・・。ヴァレルさん・・・・」
 この、ヴァレルという人物はS&Wの卒業生であり、デイルの同期であり、親友でもある。かれは、この遺跡に興味をもち、たまたまここにきていたのだという。
 ちなみに、性格のほうは、デイルとは正反対の人格者である。とはいえ、こいつがいて
デイルの数々の暴走を止められなかったのだからやはりデイルという人間は恐ろしい。

「いや〜。マックスの奴がフライを唱える前に飛びこんだんでどうしようかと・・・」
「ふ〜ん。じゃあ、俺達も飛び込もうか」
 そう言うといなや、レジーの襟首をつかんで、
「さ〜て。行くぞ」
「ち、ちょっと待ってくださいよ。まだ心の準備が・・・」
「そんなもん必要ない。いざとなったらフライをかける」
「ヴァレルさ〜ん。しばらくあわないうちにデイルさんみだいなせいかくに・・・」
 それを聞いたヴァレルが怒ったのかはわからないが有無をいわさず穴の中へとびこんでいった。
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

#0055  ガテラー星人 (メール)   12/22 01:18:20
「きゃぁぁぁ!」
 地下迷宮にレミットの声が響く。魔宝を探す旅で洞窟にも行ったことはあるが、さすがに人が降ってくるのは初めてだ。
 とてつもない音を立てて床が揺れた後には、人間が2人と人狼が1匹目を回して倒れていた。
「何なのよ、いったい何なのよぉ〜!」
「ひ、姫さま。落ち着いてください」
「あっちゃぁ〜マックスにレジー…それにヴァレルさんやないけ」
 頭をかくジョルジュの前で、不意にヴァレルがむくりと起きあがる。ぱんぱんと服に付いた埃をはたいて一同を見渡した。
「やあジョルジュ君。こちらの皆さんは?」
「あ、そういや名前聞いてへんかったわ」
「そういえばそうですね」
 頷いたアイリスが大きな袖の中からひょいひょいと何かを取り出す。ティーカップ、ポット、コンロ…。石の床に薄べりを敷き、レミットが口をあんぐりと開けている間にお茶会の用意が整った。
「お茶でも飲みながらゆっくり自己紹介でもいたしましょう」
「何者や?この姉ちゃん」
「わたしの侍女…だと思うわ」

 気絶していたマックスとレジーを起こし、総勢8名は遺跡の中でそれぞれの事情を話す。
「なんてことだ、こんな美しい人たちがそんな危険な旅を!俺にはとても耐えられない。どうだろう、そんな非生産的なことは中断してこの街で俺とアバンチュールを」
「お前は黙ってろ」
 ヴァレルに睨まれてレジーは軽く肩をすくめる。
「それでヴァレルさん、ここはカリオン遺跡ではないのですね?」
「そうだ、ここはハザン遺跡。かつて戦場となり、多くのアンデッドが封印されたと言われる。もっともこのへんの地下遺跡は皆どこかで繋がっている可能性は高いがな」
「メイヤーさんにうまく出会えるといいのですけど…」
 と、こちらはティナ。
「くっそー強い奴と戦えると思ったのによ。こんなところに落ちるなんてついてないぜ」
 頭を抱えるマックス。楊雲が下を向いたまま答える。
「私のせいでしょう…。私がいると不幸を呼び寄せてしまうのです」
「や、楊雲さん!」
「はあ?」
 突然そんなことを言われてもマックスに訳の分かるはずもない。ティナが困ったようにフォローに入った。
「え、ええと…。楊雲さんは影の民なんです。でも決して不幸を呼び寄せるなんてことはなくて私たちの大事な」
「ハゲの旅?」
「いえ、影の民です」
「壁の染み?」
「いやですから影の…」
「柿のタネかぁ。そういや腹減ったよな」
 じっと無言の楊雲。不意にティナの目つきが変わった。

「だまれ、犬」




#0056  阿黒 (hh1314@po.synapse.or.jp)   01/16 23:43:18
急激に、というかほとんど一瞬でまるで別人のような雰囲気を漂わせているティナ
に対する驚きはあったが、それよりもその言葉の内容がレジーとジョルジュの顔から
血の気を奪った。
 犬。その言葉は彼等の間では”タブー”のギアスと同じ意味を持つ。暑苦しくて単
純だが、基本的には人の良いマックス。その彼が犬呼ばわりされた時、辺りは阿鼻叫
喚の地獄絵図といった有様となる。逆ギレした時のマックスの破壊力は一億パワー
(推定)、これは完璧超人と同等の威力を誇る。
「犬っていうよりその長い顔は馬面よね」
「ってレ、レミットはん、あんたなんつーことを!」
 関西弁じゃないよーな気もするが、驚愕しているためだと思ってくれ。そおっと、
ジョルジュとレジーは背後を振り返った。
 ぶち。ぶち。ぶち。ぶち。…………ぶち。ぶちちちちち。
 マックスの顔面のあちこちに浮かんだ青筋が、ゆっくりと繋がっていく。全身毛皮
なのに血管が浮いて見えるというのははっきりいって不気味な光景だった。そして、
毛細血管が破裂した真っ赤な目を見開いて。
「誰が犬だああああああああっっっ!!」
「とりあえずバリアーーーー!」
 どごぎゅ。
「…レ、レジー…」
「すまん、ジョルジュ。しかし、レディ達を守るためだから我慢してくれ」
 何しろ一瞬の攻防で魔術構成を編む暇もない。咄嗟にマックスの鉄拳をジョルジュ
の顔面で防いだレジーには、しかし、すまなそうな気配は微塵も無かった。
 が、これでマックスの暴走が止まるわけがない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 ドガ!バキ!ガズ!ゴキュ!ゴボッ!ゲハッ!ムキュッ!ドンドンドン!
「い、いかん、バリアーが保たない!」
 みるみる変形していくジョルジュ(というか元ジョルジュというか)の背後で、レ
ジーは焦燥を隠しもしていなかった。もうしばらく暴れればマックスも頭が冷えるだ
ろうが、その僅かな時間を稼ぐ手段が彼にあるのか?だが彼のポリシーとして、絶対
に後ろのレディー達には指一本触れさせるわけにはいかなかった。そう、そのためな
ら彼は、神にも悪魔にもなる!
「というわけで先輩バリアー!」
「なにいぃぃぃぃっ!?」(byヴァレル)
 と、あっさりと悪魔になる。この場合彼のポリシーとして、自己犠牲という選択肢
は、無い。
 そして。
「ホーリー・ファイア!」
 最大火力の魔術が3人をまとめて焼き払った。
 ………………………。
「ふう。どうやら片がついたか」
「…あんた、男には冷酷無情ね…」
 なんか消し炭の塊にしか見えない3人組を爪先でつつきながら、レミットがうめい
た。考えてみると、これで邪魔なヤローは全て排除したわけでもある。一石二鳥とは
まさにこのこと。
「………れ、れじ〜、おめえなぁ…」
 驚くべきことに、一番ダメージが深いはずのジョルジュがまだ口がきけた。
「…これで貸しはチャラにしてやるから」
「…おおきに…」
 って、お前の借金ってこんな目にあっても十分釣り合うぐらいのもんだったのか、
ジョルジュ?


#0057  阿黒 (hh1314@po.synapse.or.jp)   01/18 01:30:28
「…?…」
 ラミカ・トランペシスタは僅かに顔を上げた。今、ほんの一瞬だけ感じたこの気配。それは彼女にとってひどく身近で親近感のあるものだったような…。
 ちょっとだけ考えて、ラミカは結論を出した。
「ま、いっか☆」
「よくないつっっっ!!」
 彼女の下で〜正確に表現すれば彼女に組み敷かれている〜ルーファスは蛇に丸呑みにされる寸前の蛙といった面持ちで喚いた。
「あ、あ、あああああああなた一体何考えてるのよっ!マスターもふざけるのもいい加減にしてくださいっ!!」
「ルーファス殿、婦女子に対してそのような蛮行、許されるものではありませんぞ」
「せ、せ、先輩から離れてくださいっ!」
「そんな事言ったってお腹減っちゃったんだもん、仕方ないじゃない。ね、ルーファスくん?」
「ううっ、こんな事してる場合じゃないのに…」
 そう。とりあえずうろうろしていたルーファス一行は、運悪く(というか厄介事にまきこまれるのはいつものことなのだが)ハラベコ吸血族の毒牙に引っかかってしまっていた。
「大丈夫、全て私に任せて気を楽にしてね。痛いのは最初だけ、すぐに気持ちよくなるから」
「な、な、な、何破廉恥な事言ってるのよあなたは!!?」
 確かに額面だけみれば煩悩SSに間違えられそうだが、泣くこたぁないだろソーニャ。
「まあ貧血状態というのはある意味混沌とした精神状態で快楽を錯覚することも有り得るでしょうが…」
「蒼紫、そういうズレた解釈はいつもの事だとは思うけど、とりあえず助けてくれよ!」
 ルーファスだって無抵抗に血を吸われるつもりなどないが、見かけは細いのにとてつもない力で彼を押えつけるラミカは小揺るぎもしない。
「あら、そちらの彼もなかなか…。でも、でもね、ルーファスくん。私、やっぱりあなただけなの。あなたが一番…好き」
「ううっ、血の味が、ってオチさえつかなきゃ結構嬉しい台詞なんだけどなあ」
 うっすらと涙さえ浮かべたルーファスにそっと微笑むと、ラミカは赤い唇を寄せた。
「さ、ルーファスくん。…服を、脱いで」
 いやもちろんそれはちょっと襟をはだけて喉を出して、といった意味だったのだが。
「いい加減にしろこの痴女ーーーー!!!」
「みぎゃあああああああああああああああああああああっっ!!?」
 遠心力の加速のついたセシルの回し蹴りがものの見事に後頭部に炸裂し、ラミカはちょっと首を変な角度に曲げて吹っ飛んだ。

#0058  流派 東方不敗    02/20 12:39:19
一方、ぶっとばされた2人。なかでもヴァレルは意識を取り戻していなかった。
あれだけマックスに殴られたジョルジュでさえなんとか意識をたもっているのに。
「ヴァレルさん?大丈夫ですか?」と、アイリスが声をかけた。しかし返事はない。
「なあマックス。オマエ急所にでもヒットさせたのか?」とジョルジュ。
「う〜ん。それがなあ、よく覚えてないんだよ。オレってキレちまうと自分でもなにを 
 やったのかおぼえてなくてなあ。どうしよ?」とマックス。
「まあまあ、2人とも。小五月蝿い人もいないことだし、お茶会のつづきといこうじゃな   
 いの」と今までの出来事などなかったかのようにいうレジー。しかしそんなに世の中あまくはない。
「あなたのせいでヴァレルさんはこんなふうになってしまったのですよ。少しは反省をし 
 たらどうなのですか!」そういったのはアイリスだった。ふだん怒る事の無い彼女だけにみんな固まってしまった。
「あ・・あの・・・・アイリスさん?」
「だいたいあなただけがマックスさんの攻撃をうけてればこんなことにはならなかったん 
 です。それなのにジョルジュさんやヴァレルさんを・・・」
みんな何も言うことが出来なかった。そこまで言うとアイリスは何も言わずにヴァレルの所にいった。
「おい、レジー。どうするんだ?アイリスさん怒ったじゃないか」とマックス。
「ああ。ちょっといきすぎたかもしれないな・・・」
 
 一方ヴァレルは精神が別の空間へとんでいた。まるで何者かに誘われるかのように。



#0059  阿黒 (hh1314@po.synapse.or.jp)   03/14 01:11:08
 …それはかつては慣れ親しんでいた声…
(いらっしゃい、ヴァレル)(よく来たね、ヴァレル)
 それが誰なのか、自分は知っている。とても、とても懐かしい声。
(おいで)(おいで)(お前もこっちにおいで)
 まるでまるで靄に包まれているようにあやふやな視界の中、川の
向こう側の誰かが、彼を呼んでいた。

「…迷ってますね」
「迷ってますか?」
 昏睡状態から覚めないヴァレルの枕元に何故かきちんと正座した
楊雲の側に、ティナも屈み込んだ。関係ないがこういう動作をする
時、ミニスカというのは男に妙な期待をさせる悪魔のような効果が
あるのは、本当に関係ないので言及はしない。とりあえず、彼女に
先程見せた妙な気配は感じられなかった。
「こう、この辺から」
 ヴァレルの額を指し示した指を、楊雲はつつつっと緩やかな曲線
を描いて天井に向ける。
「こんな感じで魂の緒が伸びてます。幽体が出ちゃってますね」
 と、言われても霊視などできない他の人間には何も見えないが、
とりあえずヴァレルが臨死体験中なのは容易に理解できた。
「楊雲さん、楊雲さんはこういった事柄に関しては専門家でしょう?
何とかならないのでしょうか」
 アイリスの切羽詰まった嘆願に、少しだけ沈黙を挟んでから。
「…そうですね…まず穴を掘って」
「お?穴掘ればいいのか?んじゃ…ホール!」
 気軽にマックスが魔術で人一人が楽に入れそうな穴を掘った。
「そこにヴァレルさんを横たわらせます」
「ふんふん」
「その上から土などを被せて覆います」
「土…なんてないから、砂でもいいよな。チェンジ=サンド!」
 レジーとジョルジュも手を貸して、その辺の石材を魔法で砂に変え、
見えなくなる程度にヴァレルの上に被せる。
「そして、そうですね…そのくらいの石に、ヴァレルさんのお墓、と
でも彫っておけば完璧ではないかと」
「ってなによそれーーーっ!?」
 思わずレミットはスリッパでスパーンと楊雲にツッコんだ。
「ヴァレルさんここに眠る、と」
「彫ってんじゃないわよティナーーーッ!」
「ひ、姫様とりあえず落着いてください、ね、ね?」
 肩で息をしているレミットをしばらく見つめて、楊雲はいつもと変
わらず平静な口調で、言った。
「…何をそんなに怒っていらっしゃるのですか?」
「あんたバカァ!?本気で言ってるの!!」
「いやまあ、助かればそれでよし、助からなくてもまあ後腐れはない
かと」
「ああっなんか本気でひどいこと言ってるし!」
「助けようと努力してください…」
「なあ、ちっこい嬢ちゃん」
「なによっバリアー一号!」
 なにか言いたげな顔をして、しかしジョルジュは気をとりなおして
言葉を続けた。とりあえずマックスが掘り出しているヴァレルを指差
して、
「な。フツーに魔術で治療したら幽体離脱しとる先輩かて元に戻るん
とちゃうか?」 

#0060  REIM (reim@msg.biglobe.ne.jp)   04/22 01:08:42
 さて、地下でバカやってる連中はほっぽといたうえにムシしておいて・・・。
 森の中で女子生徒に暴行されそうになったルーファス(←ふつー、逆じゃないか?)は、
 「セシル、助かったよ・・・」と呟いた。
 「あ? いえ・・・。それよりもどうします? これ?」
 ソーニャが即座に「埋めましょ、この異物!!」
 「う、埋めましょって・・・」とルーファス。
 「仮にも女性ですから異物は言い過ぎですが・・・」これは蒼紫。
 「気持ちはわかりますけど・・・」とセシル。
 ソーニャは3人を睨み、目で「なにか文句があるの?」と言った。
 3人が返答に窮していると、
 「見つけたぞ、ルーファス!!!」
 ルーファスが元来た方を見やると、
 「げ!?、真琴!?」とあせった。
 「私がこんな目にあったのも、貴様らのせい・・・」
 と「貴様らのせいだ!!」と言いたかったのだろうが・・・、
 ソーニャの「うぅぅるぅぅさぁぁいぃぃ!!」の一言プラス<フレイム・アロー>の連射で
 あっさり、沈黙させられてしまった。

 その光景を見た3人は、
 「ついでに真琴先輩も埋めましょうか?」とセシルが言うと、
 「そうだな・・・」これはルーファス、蒼紫は「不本意ですが、やむえません・・・」
 哀れ、ラミカと真琴はソーニャの嫉妬(?)と証拠隠滅の前に土へと帰ることとなった。
 (ラミカ&真琴:勝手に殺すなぁー!!)
 それにしても、W.Aって女性に弱いよなぁ、まったく・・・

#0061  REIM    04/22 01:22:26
 さて、デイルの魔法攻撃を食らった図書館では・・・。

 「え〜と、とりあえず死傷者はありませんが・・・」となんとか立ち直ったミュリエルが
 いうと、
 「ありませんが?」こちらもなんとか復活したエリザ会長。
 「精神的大ダメージを受けた人が約1名」と言って錯乱状態の司書さんを指さした。
 「ほうぉ、学園建築物毀損、街中における破壊活動・・・。
  どう言い分けするつもりだね?」
 「そ、そんな・・・」困ってしまう、ミュリエル。
 「廃部だ!! 絶対、ずぇったい、廃部だ!!」
 「あ、あの、すみません、図書館ではお静かに・・・」
 全然、聞いていない生徒会長。

 ミュリエルはひとつ溜息をつくと、表表紙に「沈静剤」とかかれたウィズハモ図鑑を
 会長の後頭部に振り下ろした・・・。

#0062  流派 東方不敗    05/09 13:06:19
ヴァレルはまだ目覚めてはいなかった。
「どこだ・・・どこにいるんだ・・・・」
ヴァレルはその声のする方角へ歩いて言った。いや、引き込まれて言ったというほうが
いいのかもしれない。
そしてしばらく歩いていると広い広い草原に出た。周囲には何もなくただ、地平線が
見えているだけの場所に出た。
「ここは・・・・」
無論ヴァレルはその場所を知っていた。自分の生まれ育ったその場所だったからだ。
「だれなんだ・・・俺を呼んだのは一体・・・・。何故俺はここにいるんだ・・・」
その刹那、突風が吹いてきた。
『ヴオッ!!』
「うわっ!!」
その瞬間、5Mほど飛ばされてしまった。
「イチチチ・・・。今のは一体何だったんだ。」
起き上がって辺りを見回して見ると何か違和感を覚えた。
「なんだ?この感じは・・・。誰かいるのか?」
ヴァレルがこの草原に来たときには無かった<気配>を感じた。
『ウフフ・・・ウフフフフフフ』
そのとき後ろから声が聞こえてきた。
「後ろか!!!」
すぐにヴァレルは後ろを向いた。するとそこには居るはずの無い人間がいた。
「あ・・・・ああ・・・。き・・・みは・・・・」


#0063  流派 東方不敗    05/09 13:32:25
『ウフフ・・・アハハ・・・・』
女の子が立っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴァレルはあまりの驚きに声を出せなかった。
『ヴァレル・・・あ・・かった・・・』
その女の子は今にも消えそうな感じで語りかけてきた。
「メリア・・・メリアなんだろ・・・。会いたかった・・・・。」
『ヴァ・・ル。じ・・んがない・・。よくき・・て』
「メリア・・・、君は生きているのかい?生きているのなら君に会いたい・・・」
しかしヴァレルの呼びかけに答える事無くメリアはしゃべっている。
『このい・・きに・・・・・があるの。それをみ・・・けて』
「なんだって?何があるんだ?」
『こ・・カ・・オンいせ・・にダ・・・ブレ・・カがあ・・・の。そ・・
 わた・・をかい・・うして。お・・ねが・・い』
そこまで喋るとメリアは消えようとしていた。
「まってくれ!!メリアーーーーー!」
『あな・・・はここに・・ちゃいけ・・い。いま・・しのちか・・でもとの・・しょ
 に・・・・』
メリアが言葉を発すると同時に周りが真っ白になった。それと同時にヴァレルの意識も
うすれていった・・・・。
「まってく・・れ・・メ・・・リ・・・・ア・・・・・」




#0064  流派 東方不敗    05/09 13:53:45
一方レミットたちはヴァレルをもとにもどそうと準備をしていた。
「ね〜アイリス〜。これはここでいいの〜?」
「はい、姫様。」
「マックス、それそこにおいてくれよ」
「ここか?レジー」
「ちがうちがう。もう少し右だ」
「あの・・楊雲さん・・・。それをそこにおいてもらえませんか?」
「・・・わかりました・・・」
各々決まったところにアイテムを置く。
「よ〜し。できたっ!!」
ジョルジュが声をあげた。
「あとは回復の魔法を掛ければ完成だ。」
各々がもつ最大級の魔法をかけようとしたとき。
「メリ・・ア・・・。メ・・リア・・・」
とつぶやいた後にゆっくりと目を覚ました。
「あ・・・みんな・・。なにをやってるんだ?」
『ズルッ』
一同その場でコケてしまった。




#0065  阿黒 (hh1314@po.synapse.or.jp)   05/24 00:59:13
「混乱しないように手順を決めておこう」
 室内に入っていくラシェル・メリッサ・シンシアの後を追って、ジャネットは
素早く歩き出した。何となくそれにつき従う形になったチェスターは、少し不快
げな顔で口を開いた。
「手順って、何だよ?」
「とりあえずあんたはバックアップに専念してくれればいい。あいつらのことだ
から、まずロクでもない事態を起こしかねない事はハッキリしてる。早急に取り
押さえなきゃならない」
 同意見なので、特にチェスターは反論しなかった。
「だから、まず一人の背中に膝蹴りを撃ち込み、続いてもう一人のこめかみを肘
で抉る。奇襲が期待できるのは二人目だけだと思うから、3人目は手加減無しで
顎でも砕いてやるか…」
「ちょっとまて、完璧だとは思うがちょっとまて!」
 と、チェスターが思わず叫んだ時には、ジャネットは破壊されたドアを踏み越
えて中の3人に肉薄していた。
「1人目の背中に膝蹴りを撃ち込む!」
 撃ち込まれて、シンシアが吹き飛んだ。
「続けて二人目のこめかみを肘で抉り!」
 こめかみから血を流しつつ、ラシェルはきりもみして床に転がった
「そして!3人目は手加減なしで顎をーーー」
「ちょっとまったらんかいい!」
 半分悲鳴のようなチェスターの制止に、ガゼルパンチを放とうとしていたジャ
ネットは調子を狂わせてしまった。不満気に振り返る。
「なんだ?せっかく計画通りに進んでいたのに」
「な、な、な、なんなのよ一体!?」
 凍結してしまっていたメリッサが、当然の質問を上げた。そんな彼女を少しだ
けジャネットは見て。
「いや、まあ、とりあえず、ちょっと待てっていうことなんだが」
「だったら口でそう言いなさいよっつ!」
「まあいいじゃないか、結果的にはほぼ目的は達成してるから」
「達成しすぎだっつーの」
 ボソリと呟いたチェスターの言葉は聞こえなかったふりをしつつ、ジャネット
は腰に手をあてて笑ってみせた。
「ああっ!これだから何でも力任せの暴力で解決しようとする野蛮な人間は嫌な
のよっ!ったくどこまでも果てしなくガサツで狂暴で粗雑でどーしよーもなく傍
迷惑に自分勝手なんだからっつ!」
「お前が言えた義理かあああああっつ!」
「みぎゃああっつ!!?」
 思わずメリッサの顔面に蹴りを入れてしまってから、あ、という風にチェスタ
ーは口を開いた。その後ろで小さく拍手などしながら、ジャネットは呟いた。
「ま、結果オーライということにしとくか?」

#0066  阿黒 (hh1314@po.synapse.or.jp)   05/24 01:42:18
「ところで本当に今更なんだけど、この部屋ってなんなんだ?」
 さほど興味があるわけでもないが、ジャネットはぐるりと室内を見回した。辺りに
転がった人体はとりあえず放っておくことにする。
 妙なことに気付く。空気は少々埃っぽい。これはまあわかる。さほど広くもなく、
かといって狭い部屋でもない。室内に調度品と呼べるものは全くなく、白い壁には絵
の一つもかかっているわけでもない、殺風景な眺めである。
 窓もない。照明もない。破壊されたドアから差し込んでくる光だけが光源である。
 差し込んでくる?
「どういうこった?」
 チェスターは一度目をこすって、改めてドアからの光を見詰めた。宙に舞う埃で、
光の線が目に映っている。だがその線は、ドアの所からすっぱりと遮断されていた。
ドアの方向が明るいのは判る。だが、その周辺は部屋の中央と全く同じ光度を保って
いるのだった。そして、何ら照明のない部屋の中が、どうして明瞭にわかるのか?
 乳灰色の闇、というものがあるのなら、これがそうなのだろう。そこでジャネット
は考えるのをやめた。おおかた何らかの魔法のせいなのだろう、封印されていた部屋
なのだからそれくらいの芸当があってもおかしくない。どうせ自分の学識ではわかる
わけもない高等魔法のことをグダグダ考えてもしかたがない。
「とりあえず、この3人組を連れ出そう。生徒会にでも見つかったら厄介だ」
「うう、これで俺も共犯か…」
 苦渋に満ちた顔のチェスターを促して、とりあえず手近な所に倒れていたメリッサ
に歩み寄ろうとしたジャネットは、何かの気配を感じてハッとした。
 ぽっ。ぽぽっ。
 擬音にしたらそんな感じだろう。部屋の中央の空間に、小さな光が次々に発生して
いた。それは緩やかな螺旋を描いて、中心に収束している。
「魔術文字…?」
 その光の一つ一つは文字だった。ルーン魔術、と呼ばれる古代魔法。「力ある文字」
ルーンを組み合わせることによってより強大な魔術の構成を編成することが可能であ
るが、幾度かの戦乱と混乱の時代を経た現在、その奥義の大半を人間は逸失してしま
っていた。かつて「空中都市」と呼ばれたイルム・ザーンを浮遊せしめたのはこのル
ーン魔術だという…
「なんか、まずいな…」
 後ろを振り返って、破壊されたドアが修復されていく光景を見てしまったチェスタ
ーは苦く呟いた。今や魔術文字はそこかしこから無数に生み出されている。そしてそ
れらの文字はどんどん一つに組みあがっていく。
 それは、どことなく輪郭のぼやけた人の顔に見えた。大きさは人の上半身くらいだ
ったが。整った、しかしこれといった特徴のないひどく無個性なその光の顔はしばら
く二人をみていたが、やがてぽつりと呟いた。
「我に証をしめせ」


#0067  阿黒 (hh1314poi.synapse.or.jp)   05/24 02:20:18
「何だか、妙なところに出ちまったな」
 長い耳の先を指でかきながら、カイルは呟いた。とりあえず、妙な声が聞こえてきた
方を目指していたつもりだが、洞窟やら迷宮やらといった立地条件は声が反響しまくる
ようにできていて、まず「音を頼りに」という方法はあまりあてにならない。
 これに「根拠のない自信(カイル)」「ケンカと食いもん以外には役に立たない野生
の勘(アルザ)」、更に「方向感覚は確かだがそれがイマイチ情熱に結びつかない(リ
ラ)」「とにかく螺旋に捩じれた自信喪失傾向(ウェンディ)」といった才能が加わる
と、どういうことになるかというと。
「どーにもならんわけやね、これが」
「お気楽に言うなお気楽にっ!!」
 とりあえず自分のポーチからおやつのバナナなんぞ取り出して食べているアルザにつ
っこんで、それから改めてリラは辺りを見回した。
 最初は、なにがなにやらわからなかった。とにかく凄まじい爆音と閃光を頼りにここ
に辿り着いてみたのだが、本当に、最初はなにがなにやらわからなかった。
 あまりにも常識はずれだったからだ。
 金気くさい、大気がイオン化した匂い。滑らかな断面から微かに白煙をあげる石材。
そして、天井から床へ、一直線に貫かれた破壊の跡。何をどうやれば、この分厚い岩
盤をこうまで分解消滅させることができるのか。もし、これが魔法だとしたら、ヴァ
ニシング・レイすら問題にならない程の大規模魔術としか考えられない。
「…ウィザーズ・ケミストリ?第2229巻?なにこれ」
 ふと、そばに転がっていた本の残骸をすぐ興味を失って放り出してから、リラはカ
イルに話し掛けた。
「どーすんのよこれから?」
「決まってる。前進あるのみ」
「あ、やっぱり?」
「不満か?」
「別に。あたしも、ここまで苦労して何の収穫もないままっていうのは癪にさわるしね。
もーこうなったら半分意地よ」
「そやな。せっかくやから、やるだけやってみな」
 口をモゴモゴさせながらアルザも頷く。
「あ、でもそういえば、なんでうちらこないなトコに潜りこまなアカンかったかな?」
 ………。
「えーと、お宝のためだったか…な?」
「ううむ、何か違うような気もするが、当たらずとも遠からじという気はするぞ」
 あまり自身なげに乾いた笑いを上げる3人の後ろで、誰かが体育館座りの姿勢を頑な
なまでに保持しながら、呟いた。
「いいんです。どうせ私が悪いんです。道に迷ったのも、ここから出られないのも、今
まで私達がすうぅぅぅっと出番が無くて本気で忘れ去られていたのも、郵便ポストが赤
いのも、みんなみんな私が悪いんです」
「郵便ポストが赤いんは、目立つように、ちゅうこっちゃなかったかいなたしか?」
「そうなのか?」
「まあ、確かに目立つよねウン」

#0068  エリク(小説は初めてなので可笑しくてもゆるしてください    08/16 21:17:59

#0069  エリク(小説は初めてなので変でもゆるしてください)    08/16 21:39:37
図書室でウェンディがいじけている頃

半壊した市場通りで。
「いつまでもココで頷いてはいられないな。アリシア君きみもきなさい。」
今まで頷いていたデイルが急に思い出したて言った。
「は?」
何を言っているんだと言う顔でデイルを見返すアリシア。
「だから君も来るんだっといってるんだ。」
「えっえ?」
いまだに何を言ってるのか理解できていないらしい。
「では出発だ!!」
「えーーーーーーー!!!!」



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※CGIがエラーを出していたようです。書き込んだのに書き込めなかった方、申し訳ありません。
 もう賞味期限切れなので終了とします。オチは時間のあるときにつけておきます。(2003/04/06)


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管理者:ガテラー星人