楊雲


 何となく分けてますが、このキャラにはそう不満はないので嫌評価というほどではないです。
 表評価の続きになってますのでそちらからどうぞ。






・運命を受け入れる覚悟ができているだけです

 「運命」という言葉で片づけてしまうのがこの時の楊雲らしいといえばらしいが、「覚悟ができている」というのは何やら正当化ぽくて嫌だ。そんな大層なものではあるまい。
 運命という言葉は自分の選択や努力を放棄し、結果に対する責任から言い逃れする方便でしかない。


・差別
 現実に存在する差別はさらに複雑だろうが、許されないことは確かである。差別などというものはする側が馬鹿なだけであって、される側が平身低頭して理解を求める必要は無い。
 楊雲というキャラによって差別の愚かさを知った…という人はいるでしょうか。


・自分からは何もせず?

 楊雲もウェンディ同様話としては主人公の方から歩み寄るパターンなので、ウェンディ嫌評価を楊雲にも適用してみる。すなわち楊雲自身は自分を変えようとする努力をしていないのに主人公がひたすら優しくしたおかげで幸せになったのではと…
 しかしながら別に楊雲は自分を変えようと思っていたわけでもなければ主人公に何かを期待していたわけでもない。彼女のスタンスはローリスク・ローリターンであって、「こちらから何もしない。見返りも求めない」というのは筋は通っている。(「こちらから何もしない。見返りは求める」よりはよっぽど) また、上で書いたように主人公のやってることは考えようによっては辛い仕打ちだし、そもそもあれだけ不幸な目に遭っている楊雲で、しかも最後まで控え目で主人公には何も求めず。見ていてどうにかしてでも幸せになってほしいと思ってしまう。安心できる存在である主人公が現れてくれたことにむしろ安堵する思いだ。
 そして最後には自分で選択し、楊雲は自分から少し変わった。問題ないハッピーエンドと言えよう。変わりすぎなければ…


・帰還ED

 あんなん楊雲じゃねぇぇぇーーーーー!!

 もはや別人。過去の重みはどこへやら。あるいはキャラットの耳と同様楊雲の能力も消え、悩む必要もなくなったのだろうか。いつまでも影を引きずれとは言わないが、これはS&Wの某才女同様バカップルになってしまった気がする。
 さらにむかつくのはコミックファンブックの解説。
「やっぱ明るく幸せな本当の楊雲の方がいいよね!」
 幸せはともかく、「明るいのが本当の楊雲」とは何事か。誰がそんなこと決めた。もちろんそうでないという描写もないので可能性もあるといえばあるが、どうもこのあたり「明るく元気な人間はそうでない人間より優れている」という考えが存在しているように思える。暗くて大人しいのもひとつの個性である。「いいよね!」じゃねぇ、私は暗い女の子が好きだ。
(まあコミックファンブックにいちいち腹を立てても仕方ないのだが、私自身暗い性格なのでこの手のEDやコメントには差別を感じる)

 逆に未帰還EDは良い。主人公と力を合わせ、能力を役立てていこうという建設的な未来。エタメロの中で一番好きなEDのひとつである。


・キャラクターとして

 「ギャルゲーとしては特異なキャラクターであり、楊雲がいるからエタメロはギャルゲーではない」という意見も聞くのだが、「暗い過去を背負った女の子が笑顔を取り戻していく」というのは割とよくあるパターンでもある。楊雲が特別に見えるのは影の民という特殊な設定と、「別に気にしてはいません…」という無機的な性格だろう。ギャルゲーのお約束な「プレイヤーの同情を引くような行動」はあまり取らず、逆に突き放してしまうのが珍しいともいえる。
 エヴァの綾波、ナデシコのルリルリ、To Heartの来栖川先輩と最近は無表情で人気のあるキャラも多いが、楊雲とこの方たちとはかなり方向性が異なるようにも思える。やはりその無表情の下に傷つき切り刻まれている心があるからだろうか。
 ちなみに私は無機的な人や身も蓋もない人は好きなので、ナンパに冷たく応じる楊雲などはなかなか良い。しかしあの辛い設定では「楊雲の無表情さは素晴らしい」などとは人として言えぬことである。(この逆が悠久1のイヴ・ギャラガーで、イヴさんは本人も納得しているのでありあれで完璧なのであのキャラクターが好きなのである。2でどうなるか不安だが)
 正直「萌え〜」と叫ぶには重すぎて気が引けるキャラだ。年上っぽいからということもあり、好きではあるが萌えではない。
 SSでは冷たい面と暖かい面があって結構使いやすいのだが、主役にするのは難しそうでまだ書いてない。


・まとめ

 以上かなりまとまりなく書いてきたが、このキャラをまとめるのは難しい。そのうちまた追加するかもしれない。
 味のあるキャラであり、いい娘であることは確かだが、深く考えていくと息が詰まりそうなキャラでもある。





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