1996年7月14日



****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ *****



まだ渋谷にいるうささぎたち



うささぎ「あっ、ここが国道246号線だ。」

クロクロ「御殿場は国道246号沿いだから、この通りに沿って

     歩いていこう。」

うささぎ「御殿場まで歩いていくの?

     一ケ月位かからない?」

クロクロ「ずっと、歩いて行くわけじゃないさ。

     途中で、またヒッチハイクしよう。」

うささぎ「そうだね。」

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クロクロ「あそこに宅配便トラックがいる。

     乗せてくれないかな?」

うささぎ「宅配便のおばさん、御殿場方面行きますか?」

宅配便のおばさん「行かないねえ。

         私は渋谷近辺しか巡らないから。」

クロクロ「そうかあ。

     どうもお手数かけました。」

うささぎ「むこうにはバイク便のオートバイがいるよ。

     頼んでみよう。」

クロクロ「あっ、お兄さんがちょうど出てきた。」

うささぎ「バイク便のお兄さん、御殿場方面行きますか?」

バイク便「御殿場までは行かないな。

     でも、これから行くのは町田だ。方向は御殿場と同じだ。」

うささぎ「じゃあ、町田まで乗せていってもらえませんか?

     うささぎたちはヒッチハイクしているんだ。

     あっ、こっちはうささぎ、こっちはクロクロ。」

バイク便「ぬいぐるみのヒッチハイクかあ。

     君たちいいノリしているね。いいよ、オレが乗せていってやる。

     そのかわりとばすぞ。いいか?」

クロクロ&うささぎ「もちろん。わーい、ありがとう。」

バイク便「よーし、じゃあ荷台に乗って。

     ひもで君達を荷台に固定するから。ちょっと縛られてきついかも

     しれないけど。」

うささぎ「うわっ、”荷台に磔(はりつけ)の刑”になっちゃったね。クロクロ」

クロクロ「ひょえ、身動きできないや。」

バイク便「それでは落っこちる心配はないな。きみたちは。

     よし、流星号、バリバリにきめるぜ。出発!」

うさ&クロ「わーい」

つづく




****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ *****



首都高速を抜け、東名高速道路をとばすバイク1台。

荷台にはぬいぐるみ2体。



バイク便「よし、今日の東名はすいている。

     とばすぜ、流星号! パオーンパオーン。」

うささぎ「オートバイにくくりつけられて乗るのも面白いね、クロクロ。」

クロクロ「そうだね。

     でも、やっぱり身動きできないのはヤダ。

     ガオーガオーガオー」

うささぎ「落ち着いてクロクロ。」

クロクロ「落ち着かない!」

うささぎ「ねえ、バイク便のお兄さんはなんか歌を歌っているよ。」



バイク便「オレはかっとびライダー、風と油と車輪がオレの命!

     流星号、今日もお前はサイコーだぜ。

     真知子、オレの熱い走りを見てくれ。といってもここにいないか。」



クロクロ「バイク便のお兄さん、強烈なノリの人だね、うささぎ。」

うささぎ「そうだね。

     あっ、ブクブクがやってくる。」

クロクロ「うわっ、不運を運ぶ灰色のブクブクだ。」

うささぎ「こちらうささぎ、バイク便のお兄さん聞こえますかあ?

     後方から高速でブクブク接近中。十分注意されたし、どうぞう。」



バイク便「パオーンパオーン、マッハ15のすーぴいどーだあ。」



クロクロ「全然お兄さんに聞こえてないよ、うささぎ。」

うささぎ「やな予感がするなあ。」

クロクロ「あーあ、やっぱりブクブクに囲まれちゃった。」

うささぎ「不運がやってくるね。」

クロクロ「さっそく不運が現われたよ。白バイだ。」



     ウウーウ

白バイ「そこの二輪車、ぬいぐるみを運んでいる二輪車止まりなさい。」

バイク便「アッチャー。ヤバイ。」



白バイ「はい、スピード違反、30キロオーバー。免許証見せて。

    それに運転手とぬいぐるみ2体、計3人乗り、というのも罰金ものだな。」

バイク便「すみません。」

うささぎ「お巡りさん、バイク便屋さんを許してあげて。

     実はうささぎの友達が危篤で、その友達のところへ急いでいたんだ。

     だから、ちょっと速度だし過ぎちゃったんだ。」

クロクロ「そんなウソすぐバレるよ、うささぎ。」

白バイ「コラ! ぬいぐるみ! なにウソついているんだ。

    ぬいぐるみが危篤になるわけないだろ。

    ウソつきの現行犯で逮捕するぞ。」

うささぎ「ぬいぐるみに人間の法律は適用できないよう!」

白バイ「それもそうだ、じゃあ許してやる。

    でもスピード違反は許さない。」

バイク便「お巡りさん、実はオレもぬいぐるみだったんです。」

白バイ「なわけないだろ、バカ者!」

バイク便「すみません。」

うささぎ「あっ、ブクブクが去っていく。」

クロクロ「しばらくは安心だね。」

つづく


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