****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ *****
まだ渋谷にいるうささぎたち
うささぎ「あっ、ここが国道246号線だ。」
クロクロ「御殿場は国道246号沿いだから、この通りに沿って
歩いていこう。」
うささぎ「御殿場まで歩いていくの?
一ケ月位かからない?」
クロクロ「ずっと、歩いて行くわけじゃないさ。
途中で、またヒッチハイクしよう。」
うささぎ「そうだね。」
++++++++++++++++++++++++++++++++++
クロクロ「あそこに宅配便トラックがいる。
乗せてくれないかな?」
うささぎ「宅配便のおばさん、御殿場方面行きますか?」
宅配便のおばさん「行かないねえ。
私は渋谷近辺しか巡らないから。」
クロクロ「そうかあ。
どうもお手数かけました。」
うささぎ「むこうにはバイク便のオートバイがいるよ。
頼んでみよう。」
クロクロ「あっ、お兄さんがちょうど出てきた。」
うささぎ「バイク便のお兄さん、御殿場方面行きますか?」
バイク便「御殿場までは行かないな。
でも、これから行くのは町田だ。方向は御殿場と同じだ。」
うささぎ「じゃあ、町田まで乗せていってもらえませんか?
うささぎたちはヒッチハイクしているんだ。
あっ、こっちはうささぎ、こっちはクロクロ。」
バイク便「ぬいぐるみのヒッチハイクかあ。
君たちいいノリしているね。いいよ、オレが乗せていってやる。
そのかわりとばすぞ。いいか?」
クロクロ&うささぎ「もちろん。わーい、ありがとう。」
バイク便「よーし、じゃあ荷台に乗って。
ひもで君達を荷台に固定するから。ちょっと縛られてきついかも
しれないけど。」
うささぎ「うわっ、”荷台に磔(はりつけ)の刑”になっちゃったね。クロクロ」
クロクロ「ひょえ、身動きできないや。」
バイク便「それでは落っこちる心配はないな。きみたちは。
よし、流星号、バリバリにきめるぜ。出発!」
うさ&クロ「わーい」
つづく
****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ *****
首都高速を抜け、東名高速道路をとばすバイク1台。
荷台にはぬいぐるみ2体。
バイク便「よし、今日の東名はすいている。
とばすぜ、流星号! パオーンパオーン。」
うささぎ「オートバイにくくりつけられて乗るのも面白いね、クロクロ。」
クロクロ「そうだね。
でも、やっぱり身動きできないのはヤダ。
ガオーガオーガオー」
うささぎ「落ち着いてクロクロ。」
クロクロ「落ち着かない!」
うささぎ「ねえ、バイク便のお兄さんはなんか歌を歌っているよ。」
バイク便「オレはかっとびライダー、風と油と車輪がオレの命!
流星号、今日もお前はサイコーだぜ。
真知子、オレの熱い走りを見てくれ。といってもここにいないか。」
クロクロ「バイク便のお兄さん、強烈なノリの人だね、うささぎ。」
うささぎ「そうだね。
あっ、ブクブクがやってくる。」
クロクロ「うわっ、不運を運ぶ灰色のブクブクだ。」
うささぎ「こちらうささぎ、バイク便のお兄さん聞こえますかあ?
後方から高速でブクブク接近中。十分注意されたし、どうぞう。」
バイク便「パオーンパオーン、マッハ15のすーぴいどーだあ。」
クロクロ「全然お兄さんに聞こえてないよ、うささぎ。」
うささぎ「やな予感がするなあ。」
クロクロ「あーあ、やっぱりブクブクに囲まれちゃった。」
うささぎ「不運がやってくるね。」
クロクロ「さっそく不運が現われたよ。白バイだ。」
ウウーウ
白バイ「そこの二輪車、ぬいぐるみを運んでいる二輪車止まりなさい。」
バイク便「アッチャー。ヤバイ。」
白バイ「はい、スピード違反、30キロオーバー。免許証見せて。
それに運転手とぬいぐるみ2体、計3人乗り、というのも罰金ものだな。」
バイク便「すみません。」
うささぎ「お巡りさん、バイク便屋さんを許してあげて。
実はうささぎの友達が危篤で、その友達のところへ急いでいたんだ。
だから、ちょっと速度だし過ぎちゃったんだ。」
クロクロ「そんなウソすぐバレるよ、うささぎ。」
白バイ「コラ! ぬいぐるみ! なにウソついているんだ。
ぬいぐるみが危篤になるわけないだろ。
ウソつきの現行犯で逮捕するぞ。」
うささぎ「ぬいぐるみに人間の法律は適用できないよう!」
白バイ「それもそうだ、じゃあ許してやる。
でもスピード違反は許さない。」
バイク便「お巡りさん、実はオレもぬいぐるみだったんです。」
白バイ「なわけないだろ、バカ者!」
バイク便「すみません。」
うささぎ「あっ、ブクブクが去っていく。」
クロクロ「しばらくは安心だね。」
つづく