1996年9月29日

****** うそばっかりのうささぎの話_御殿場へ ******

うささぎ「わー、大変だ。警察に届けよう。」

クロクロ「忘れたのは、さっきのお兄さんだってわかっているから

     警察に届ける必要ないさ。

     本人に渡せばいいさ。」

うささぎ「でも、6ケ月の間にお兄さんが取りに来なければ、

     うささぎたちの物になるよ。」

クロクロ「やったあ! クロクロも大金持ち!」

うささぎ「クロクロ、お兄さんの財布、30円しかはいっていない。」

クロクロ「ありゃ。」

うささぎ「テレホンカードもあるよ。

     ちょっと拝借しちゃおう。」

クロクロ「どこへ電話するの?」

うささぎ「東京のうさぎ小屋。」

クロクロ「クロクロのお姉さんのところへも電話したいな。」

うささぎ「よし、クロクロ、受話器持って。」

         ピポパポ

うささぎ「うささぎだよ、まだ御殿場には着いていないんだ。」

カステラ「急ぐことないさ、いろいろ見物しながら行けばいいじゃん。」

うささぎ「うん」

カステラ「ところで、デズデモーナはうささぎたちと一緒じゃない?」

うささぎ「一緒じゃないよ。」

カステラ「あれ、朝からずっといないんだ。」

うささぎ「うささぎのマネをして、きっと旅に出たんだよ。」

カステラ「デズデモーナにヒッチハイクは無理だし、いまごろ道で車にひかれて

     スルメのようにペシャンコになっているのかなあ?

     かわいそうなぬいぐるみだったね、デズデモーナは。」

うささぎ「まだ死んだと決まったわけじゃないよ。」

カステラ「そうかあ。

     まあ、うささぎも気を付けて旅をつづけな。」

うささぎ「うん、じゃあね。」

              ガチャン

クロクロ「クロクロも電話かけるから、受話器持ってうささぎ。」

うささぎ「うん」

              ピポパポ

クロクロ「クロクロだよ、まだ御殿場につかないんだ。」

お姉さん「大丈夫?」

クロクロ「あんまり大丈夫じゃない。

     白バイにつかまったり、世の中は危険がいっぱいさ。」

お姉さん「危険だから面白いんじゃないの。

     雷にあたって電気というものを体験したり、

     マンホールに落ちて下水道を探検したりして、

     思いっきり楽しんできなさい。」

クロクロ「うん」

お姉さん「じゃあ気を付けて御殿場までいくのよ。」

クロクロ「うん、じゃあね。」

               ガチャン

クロクロ「お姉さんが”雷に当たって電気を体験しなさい”だって。」

うささぎ「うささぎは遠慮しとく。

     雷にあたりたくない。」

クロクロ「普通そうだよね。」

うささぎ「あっ、お兄さんが戻って来るよ。」

つづく


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