1996年8月14日



******** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ ******



うささぎ「いやー、なんかややこしいことになっちゃったね。」

クロクロ「そうだね」

うささぎ「もう追って来ないかな?」

クロクロ「大丈夫さ。テレビ局の人には”宇宙人は不意に消えてしまいました。”

     って言った方が現実味があるからね。もう追って来ないさ。」

うささぎ「よかった。」

クロクロ「あっ、雨が降ってきたね。」

うささぎ「大変だ。雨宿りしよう。」

クロクロ「そこの電話ボックスで雨宿りしよう。」

うささぎ「わーい。」

クロクロ「扉を開けてっと。」

うささぎ「電話器の上に乗ろうよ。」

クロクロ「そうしよう。」

うささぎ「一晩中雨かなあ?」

クロクロ「かもね。」

うささぎ「今晩は電話ボックスで野宿だ。」

クロクロ「電話ボックスでキャンプだ。なんか面白そう。」

うささぎ「クロクロ、向こうから人が来るよ。」

クロクロ「あの人もここで雨宿りするつもりかな?」

うささぎ「電話をかけに来たんだよ。」



     ピポパポ

青年「もしもし、オレだけど。」

電話の声「オレってだれだよ。」

青年「あっ、すみません。まちがえました。」



     ピポパポ

青年「もしもし、オレだけど。」

電話の向こうの女性「コウジ? アレ買っておいてくれた?」

青年「コウジじゃなく、タケシだ。」

電話「ああ、タケシね。」



青年タケシ「そのコウジってだれだよ!」

電話「弟に決まっているじゃないの。

   なに勘違いしてんの。」

タケシ「いや、わりーわりー。」

電話「物理のノート、中山さんから借りておいてくれた?」

タケシ「ああ、借りたよ。

    今日から”中山ノートレンタル”の会員になっんだ。

    会員証も発給してもらった。会員番号5番さ。」

電話「なに、そのノートレンタルって?」

タケシ「ノートを一泊二日で借りると350円、延滞超過料金1日300円。

    時間がない人には、すでにコピーしてあるノート1冊1000円。

    まあ、ビデオレンタルの講義ノート版っていったところかなあ。」

電話「中山君もちゃっかりしているわねえ。」

タケシ「会員になるといろいろと特典があって、代返(出欠をとるとき

    代わりに返事をしえもらうこと。ズル)は1回500円、

    それから留年したとき、親になんて言い訳するかのコンサルタントは

    1回5000円で受けられる。

    すごく便利だろ。」

電話「そうかしら?

   ともだちに儲けさせてばかりいないで、タケシも頭使って

   お金儲けしなさいよ。」




うささぎ「お兄さんの話しは商売の参考になるね。クロクロ。」

クロクロ「そうだね。東京に帰ったら、何か金儲けをしよう。」

うささぎ「うん、お金が手に入ればれば、次回旅にでるときヒッチハイク

     しなくてすむ。」

クロクロ「わーい。」



タケシ「ケイコ、オレなんか疲れているみたいだ。

    幻聴が聞こえる。さっきから、ぬいぐるみがしゃべっているような

    気がするんだ。」

電話のケイコ「ぬいぐるみ?」

タケシ「ああ、だれかが電話ボックスに忘れて行ったんだろうけど、

    ウサギのぬいぐるみが電話器の上に乗っかっている。

    そいつらがしゃべっているように感じてしまうんだ。」

うささぎ「お兄さん、うささぎたちは忘れ物じゃなくて、

     自分達で入ってきたんだよ。」

タケシ「わー、ぬいぐるみがしゃべった!?」

つづく


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