1996年7月



いよいよ御殿場に向けて出発したうささぎとクロクロ。

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クロクロ「さて、どうやって行こうか?」

うささぎ「大通りに出て、そこでヒッチハイク!」

クロクロ「そうだね。」

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うささぎ「さあ、大通りに着いたよ。」

クロクロ「さすがに車がたくさん走っている。」

うささぎ「オーイ、だれかあ、御殿場まで乗っけて行ってくれえ。」

クロクロ「いきなり御殿場までは乗せていってくれないよ、きっと。

     とりあえず渋谷まで連れていってくれる車をさがそう。」

うささぎ「オーイ、だれかあ、渋谷まで乗っけて行ってくれえ。」

クロクロ「だれにも聞こえていないね。」

うささぎ「やっぱり、車の中にいる人にまでには聞こえないね。

     すごい車の音だし、アッというまに通り過ぎて行くし。」

クロクロ「いい方法はないかな?」

うささぎ「実力行使で車を止める、っていうのは?」

クロクロ「実力行使? どうやって?」

うささぎ「車の前に出て、立ちはだかる。」

クロクロ「ひかれて、おしまいだよ。」

うささぎ「ダメかあ。」

クロクロ「車は速すぎるけど、自転車だったら声かけられるかも。」

うささぎ「そうだね。自転車の人に頼もう。」

クロクロ「さっそく、むこうから来る自転車の人に頼もう。」

うささぎ「オーイ、そこの自転車の人。

     自転車に乗っけてえ。」

クロクロ「あっ、気がついたみたい。こっちに来るよ。」

うささぎ「あれ、クロクロ。自転車の人、マンションの田中さんだよ。」

クロクロ「田中さんのおばさん?」

うささぎ「うん。

     何か、やな予感がするなあ。」

田中「あら、ぬいぐるみちゃんたち。何しているの?」

うささぎ「ヒッチハイク」

クロクロ「誰かクロクロたちを運んでくれる人探しているんだ。」

田中「そう! だったらおばさんが乗っけていってあげる。」

うささぎ「わーい。ありがとう。」

田中「さあ、乗りなさい。」

うささぎ&クロクロ「はーい。ありがとう。

          じゃあ、渋谷までお願いします。」

田中「何言っているの。おばさんはスーパーマーケットに用事があるのよ。

   これからスーパーへ行くからね。」

うささぎ「ありゃ。田中さん、スーパーは渋谷とは反対方向だよ。」

クロクロ「反対方向だ! せっかくだけど降ろしてください。」

田中「人が親切にしてあげているのに失礼ね。

   一度乗ったんだから。さあ、みんなでスーパーへ行くわよ。

   出発!」

うささぎ「うわー、スーパーは反対方向だって。

     ヤダよー。」

クロクロ「御殿場が遠くなっていくう。」



チリンチリン。自転車はうささぎたちを乗せてスーパーへひた走るのでした。

つづく


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