**** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ ******
結局、田中さんのおばさんに連れられてスーパーまで来てしまった
うささぎたち。
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うささぎ「何とか降ろしてもらったからよかったけど、あのままだと
うさぎ小屋まで連れていかれて”振り出しに戻る”
になるところだったね。」
クロクロ「いやあ危なかった。」
うささぎ「反対方向だ、って言ったのに、なんで田中さんは
いじわるするんだろう。」
クロ「この前うささぎが餃子に”ハナをかんだあとのチリ紙”なんかを
入れるからだよ。(うささぎと遊ぼ2 参照)
恨みに思っているんだ。きっと」
うさ「そうかなあ。
まあいいや。さてどうしようか?」
クロ「むこうにバス停があるから、バスに乗ってみよう。」
うさ「そうだね。
さっそく出発!」
++++++++++ バス停にやってきたうささぎたち ++++++++
クロ「だれもバスを待っていないね。」
うさ「すいていてイイや。
ちょうどいい具合にバスが来たよ。」
クロ「オーイ、バスに乗せてえ。」
パアーーン
うさ「あれ、バスは止まらずに通り過ぎて行っちゃった。」
クロ「やっぱりクロクロたちだけで、人間が待っていないと
止まってくれないのかな?」
うさ「そうかもね。」
クロ「だれか来るのを待とう。」
うさ「あっ、なんか、おじいさんが来たよ。」
クロ「こんにちは。おじいさん、バスに乗るの?」
じいさん「はっ? わしは耳が遠いんじゃ。
大きい声で話してくれ。」
クロ「じゃあ、思いっきり大きい声で言うね。
<おじいさん、バスに乗るの?>」
うさ「うわ、でかい声。」
じいさん「いきなりでかい声を出してびっくりするじゃないか。
わしが耳が遠いからといって、叫ぶことはないじゃろ。
まったく、年寄だと思ってバカにしよって。」
クロ「別にバカになんかしていないよ。」
じいさん「くちごたえまでしよって。
最近の若いもんは、年寄を敬うということを知らんのか?」
クロ「人間の世界では、年寄は大切かもしれないけど、
ぬいぐるみから見れば、人間は人間。
赤んぼうも年寄も関係ないやい。」
じいさん「なにを!」
クロ「おじいさんは、古いぬいぐるみだからって尊敬するかい?
郵便ポストが古いからって尊敬するかい?
おとといの刺身だからって尊敬するかい?」
じいさん「まったく口の減らない奴だ!
日本はなっとらん。」
うささぎ「あっ、バスが来たよ。」
つづく
***** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ ****
うささぎ「今度はおじいさんがいたからバス止まったね。」
クロクロ「おじいさん、お先にどうぞ。」
じいさん「ふん」
バスの運転手「あっ、お客さん、ウサギをバスにもちこむことはできませんよ。」
じいさん「はっ?
わしは耳が遠いもんで、大きな声で言ってもらえんかね?」
運転手「じゃあ、思いっきり大きい声で言いますね。
<お客さん、ウサギをバスにもちこむことはできませんよ!>」
じいさん「大きな声でびっくりするじゃないか。」
運転手「お客さんが大きい声で言え、って言ったんですよ。」
じいさん「まったく、どいつもこいつも人をバカにして。
だいたい、わしは戦争中、飛行機乗りだったんじゃ。
バスの運転手ごときになめられる筋合いはない。
わしは降りる。
家に帰るぞ。」
うささぎ「あっ、おじいさん怒って行っちゃった。
うささぎたちのせいかなあ?」
運転手「おじいさん、ウサギを忘れているよ。」
うささぎ「運転手さん、うささぎたちはおじいさんとは関係ないよ。」
運転手「なんだ君たちは?」
うささぎ「ぬいぐるみのうささぎとクロクロだよ。」
運転手「ほう」
クロ「クロクロたちはバスに乗りたいんだ。」
運転手「はい、じゃあひとり200円をここにいれて。」
うささぎ「えー、お金払うの?
タダじゃダメ?」
運転手「タダで乗れるのは6歳以下のこどもだけだよ。
ただし保護者同伴に限るけどね。
きみたち歳はいくつ?」
クロ「クロクロもうささぎも、もうおとなだよ。」
運転手「じゃあ、やっぱりひとり200円だ。」
うさ「お金持ってない。」
運転手「残念だけど、乗せてあげられないな。」
うさ「じゃあ、降ります。」
運転手「次はちゃんとお金もって来るんだよ。
さよなら。」
うさ&クロ「さよなら」
うさ「あーあ、ダメだったね。」
クロ「お金払わないで乗る方法を考えないと。」
うさ「だれかの持ち物、ということにしてもらって、
それでバスに乗せてもらおうよ。」
クロ「それはいい考え!」
うさ「むこうからおじさんが来たよ。」
クロ「どこ?」
うさ「ほら、背広を着たおじさんふたりだ。」
クロ「ほんとだ」
うさ「でも、おじさんだから、ぬいぐるみの相手はしてくれないかな?」
クロ「頼んでみなけりゃわからないさ。」
うさ「そうだね。
おじさんー!」
つづく