映画を見終わったうささぎたち
タケシ「じゃあオレは風呂入ってくるから、まあゆっくりしてな。」
うささぎ「うん」
さて、
ドンドンドンドン、
「タケシさん、いますか？
本町交番のものですけれど、タケシさーーん」
クロクロ「お客さんが来たみたいだよ。」
うささぎ「そうだね」
クロクロ「タケシさんはお風呂に入っているし。」
うささぎ「代わりに応対してあげよう。」
クロクロ「うん」
うささぎ「どちらさまですか？」
お客さん「本町交番のものです。」
うささぎ「交番からだって、クロクロ。」
クロクロ「お巡りさんだね。」
警官 「さっきから、お宅の電話から１１０番通報がかかりっぱなしなので、
様子を見に来ました。」
うささぎ「なんでお巡りさんが来たんだ？」
クロクロ「タケシさんが何か悪いことをしたのかもしれない。」
うささぎ「ありえるね。」
クロクロ「スーパーで”お一人様２個まで”しか買えない
安売りの洗剤を、ズルして４個位買っちゃったんじゃないの？」
うささぎ「そうだね、ズルして４個買ったことがバレたんだ。」
クロクロ「だからお巡りさんが調べに来たんだね。」
うささぎ「ここはひとつタケシさんの味方としてタケシさんを守らなければ。」
クロクロ「そうだ、タケシさんを逮捕させないぞ。」
警官 「もしもーし」
うささぎ「お巡りさんにつぐ。タケシさんは引き渡さないぞ。
我々はここに立てこもって出ていかないぞー。」
クロクロ「そうだそうだ。」
警官 「はあー？」
うささぎ「我々は断固出ていかないぞー。
お巡りさんは退散しなさい。」
警官 「何、わけのわからないこと言っているんだ。
扉を開けなさい。さもないと強行突入するぞ。」
うささぎ「クロクロ、お巡りさんは入ってくるって言っているよ。」
クロクロ「よし、別の手を考えよう。」
クロクロ「お巡りさんにつぐ。我々は人質もとっている。
ヘタな行動を起こそうと思わないほうがイイぞ。
あっ、うささぎは人質の役ね。」
うささぎ「ひえー、お巡りさん助けてー。
人質にとられているうささぎだよー。」
警官 「？？？？？？」
クロクロ「お巡りさんにつぐ。
人質の命が惜しければ、身代金２千７百円と脱出用のヘリコプター
を用意しろ。」
うささぎ「クロクロ、話がややこしくなりすぎだよ。」
クロクロ「つい、勢いでそうなっちゃった。」
警官 「２７００円しか要求しない犯人なんかいないぞ。
いいかげんにイタズラはやめなさい。」
うささぎ「うにゃ。
あっ、タケシさんがお風呂から出てきた。」
つづく
＊＊＊＊＊ うそばっかりのうささぎの話 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
タケシ 「おっ、かささぎ、何やってんだ？」
うささぎ「お巡りさんがタケシさんを逮捕しに来たんだ。」
タケシ 「エッ？」
クロクロ「タケシさんがスーパーで一人２個までしか買えない洗剤を
４個買ったことがバレたんだ。」
タケシ 「洗剤なんか買ってないけど？」
うささぎ「ありゃ」
ドンドンドン
警官 「早く扉を開けなさい。」
タケシ 「はいはい、ただいま。」
警官 「困るなあキミ。警察相手にイタズラしちゃあ。
はーい、名前と本籍地を言って。」
タケシ 「おれは何もしていないっすよ。」
警官 「何言ってんだ。１１０番通報かけっぱなしにして、
本官が来てみたら人質篭城事件をマネたイタズラをしただろう。」
タケシ 「？？？？？
あっ、わかった。
お巡りさん、イタズラをしたのはこいつらです。」
警官 「こいつら、ってだれのことだ？
だれもいないぞ。幽霊の仕業とでも言うのか？」
タケシ 「幽霊じゃなくて、こいつら、このぬいぐるみたちの仕業です。」
警官 「ぬいぐるみ？
ぬいぐるみが動くわけないだろ。」
タケシ 「オレも今日までそう思ってきたんですけど、実は動くし
話しもするんですよ。」
警官 「警察をナメるのもいいかげんにしろよ。
はい、名前と本籍地！」
タケシ 「ほんとにしゃべるんですよ。
こいつら東京から静岡への旅の途中でオレんところに寄ったんです。
なっ、かささぎ。
かささぎ、なんとか言ってみろよ。」
シーン
タケシ 「こいつら都合が悪くなると、ダンマリを決め込みやがって。」
警官 「ぬいぐるみが旅をするって？
笑わせるね、うちの金魚なんか空中ブランコをするぞ。」
うささぎ「クロクロ、金魚の空中ブランコだって。」
クロクロ「すごいね。ぜひ見せてもらおう。」
うささぎ「お巡りさん！」
クロクロ「金魚の空中ブランコを見せてもらえませんか？」
警官 「ややっ！ ぬいぐるみがしゃべった。」
タケシ 「ほら、お巡りさん。オレの言ったとおり。
こいつらしゃべるでしょ。」
警官 「！？」
つづく