1996年11月4日

**** うそばっかりのうささぎの話 *****

うささぎ「お兄さん、電話が鳴っているよ。」

タケシ 「ああ、代わりに電話に出ておいて。」

うささぎ「うん。」

    

うささぎ「もしもし、こちら、うささぎです。」

クロクロ「うささぎ、ここはタケシさんの家で、うささぎの家じゃないじゃん。」

うささぎ「あ、いけね。

     もしもし、うささぎはタケシさんじゃないけど、こちらタケシです。

     ご用件はなんでしょう?

     もしもし、もしもし!」

電話  「..............」

うささぎ「相手の人何も言わないよ。」

タケシ 「ハハッ、その電話ちょっと故障しているんだ。

    電話をかけたり、受けたりはできるんだけど、

    相手が何言っているか聞こえないし、こっちが何言っても

    相手には聞こえないんだ。」

クロクロ「へえー、まったく役に立たないね。」

タケシ 「そうさ、だから電話するときは公衆電話をつかっていたのさ。」

うささぎ「まったくどこへも通じないのかなあ? クロクロ」

クロクロ「うーん、どうだろう。」

うささぎ「110番は緊急通報だからつながるかも?」

クロクロ「試しにかけてみよう。」

うささぎ「うん。」

       ピポパポ

クロクロ「もしもし、警察ですか? こちらクロクロ、

     ただいま電話の試験中。お巡りさん聞こえますか?」

電話  「.......」

クロクロ「やっぱり通じないみたいだね。」

うささぎ「うーん、残念。」

タケシ 「おーい、かささぎー、こっちきてテレビ見ないか?

    映画やっているぞ。」

うささぎ「おーい、かささぎー、ってうささぎのことを呼んでいるのかな?」

クロクロ「そうだね」

タケシ 「かささぎー!」

うささぎ「うささぎは、かささぎじゃないよ。」

タケシ 「同じようなもんじゃん。かささぎの方が有名だけど。」

うささぎ「かささぎって何?」

タケシ 「知らないの?」

うささぎ「知らない。初めて聞いた。」

タケシ 「かささぎは鳥の名前。カラスに似ていて、漢字で書くと鵲となる。」

うささぎ「うわー、うささぎに似た名前の生き物がいたんだ。」

タケシ 「それは発見だったな。」

うささぎ「かささぎとは何か友達になれるような感じがする。」

クロクロ「クロクロの仲間はいない?」

タケシ 「ろくろ首じゃないかな? カタカナで書くとロクロク ビとなって

    似ているだろう。」

クロクロ「わーい」

タケシ 「でも、ろくろ首はオバケだから友達にするには怖いかも?」

クロクロ「ありゃ。」

つづく


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