1996年7月22日



******  うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ *******



忘れ物保管場所での話 つづき



うささぎ「さてカバンさん、どうやってこの保管場所から脱出しようか?」

カバン「ぬいぐるみちゃんたち、持ち主を待たなくていいの?」

うささぎ「うささぎたちはだれかに連れられて電車に乗ったんじゃなくて、

     自分達で勝手に乗ったんだよ。友達の家に行く途中なんだ。」

カバン「そうか。」

うささぎ「で、どうやって抜け出すか?」

カバン「この部屋には鍵がかかっているからね。

    だれかが入ってきたスキに脱出するしかない。」



ガチャガチャ



クロクロ「わっ、だれか入ってくるよ。」

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どっかのおばさん「すいません、駅員さん、無理言ってしまって。

         すごく大切なものがはいっていたんです。」

駅員「まあ、わたくしどももお客様の要望にはできるだけ

   応えるようにしていますから。」

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うささぎ「忘れ物を取りに来たんだね。

     何忘れたのかな?」

クロクロ「そんなヒトの心配していないで、今のうちに逃げよう、うささぎ。」

うささぎ「よし、逃げよう。

     カバンさんも早く。」

カバン「よしきた。」

             ひょいひょいひょい

うささぎ「なんとか脱出できたね。」

クロクロ「ふう」

カバン「じゃあ、ぬいぐるみちゃんたち、

    オレは酔っ払いオヤジのところに帰るからね。」

うささぎ「がんばってね」

カバン「ぬいぐるみちゃんたちも気を付けてね。」

うさ&クロ「じゃあね。さよならー。」

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うささぎ「うわー、外はもう夜になっちゃったね。」

クロクロ「どうする?

     まだ海老名だし、今日じゅうには御殿場にたどりつけないね。」

うささぎ「そうだね。どうしよう?」

クロクロ「だれかの家に泊めてもらおう。」

うささぎ「そうしよう。」

クロクロ「よし、泊めてくれる家を探そう。」

うささぎ「出発!」

つづく



****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ ******



うささぎ「さて、どこの家に泊めてもらおうか?」

クロクロ「あそこの家、ちょうど窓があいているよ。

     夏だからだね。ちょっと行って頼んでみよう。」

うささぎ「そうだね」

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テレビの声「緑おおい茂る地球、この地球は年々人類の手で破壊されていきます。

      ひょっとしたら宇宙人は、われわれに警告するために

      やって来ているのかもしれません。

      地球は人類達自身の手で守りなさい、と。

      あなたのところへも、もしかすると宇宙人がメッセージを

      伝えに今夜やって来るかもしれません。チャチャチャーン」

少年大介「いやー、UFO番組はウソばっかりとわかっていても

     つい見ちゃうなあ。

     だいたい人類が死のうが生きようが宇宙人には関係ないじゃん。

     絶滅しそうになったら宇宙動物園ででも保護繁殖してもらえば

     イイさ。」

             トントン

大介「ふよ?」

うささぎ「こんばんわ、旅のものですけれど一晩泊めてもらえませんか?」

大介「うわー、何だ何だこいつらは!」

うささぎ「うささぎとクロクロだよ。」

大介「ひょえー、どうみても人間じゃない!」

うささぎ「そうだよ。うささぎは人間じゃないよ。」

大介「ということは...

   うわー、ひょっとして.....これは.....宇宙人だあ!

   おかあさん、おとうさん、たいへんだあ、宇宙人だあ!」

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クロクロ「おにいさんは勘違いしていない?」

うささぎ「気にすることないさ。」

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大介「ほら、おとうさん、宇宙人だ。」

うさ&クロ「こんばんわ

      旅のものですけれど、一晩泊めてもらえませんか?」

父「旅のもの?」

大介「惑星から惑星へ旅をしているんだね。」

父「宇宙人というよりETじゃないか?」

クロクロ「ヒソヒソヒソ(うささぎの顔が不細工だからETと

     まちがえられちゃったじゃん。)」

うささぎ「ヒソヒソ(そうかなあ?)」

父「立ち話もなんですから、どうぞお上がりください。」

うさ&クロ「わー、ありがとうございます。」

父「お二人とも地球の言葉が上手ですね。」

大介「話しているように感じるけど、テレパシーで語りかけてきているんだ。

   そうだよね、ETさん。」

うささぎ「ええ、まあ。」

クロクロ「ヒソヒソヒソ(うささぎ、ウソはいけないよ。)」

うささぎ「ヒソヒソヒソ(いいよ、ETのフリして泊めてもらおう。)」

クロクロ「そうだね」

父「え、なにか?」

うささぎ「いや、何でもありません。」

大介「ETさんはどこから来たの?」

うささぎ「レチクル座ベータ星の第5惑星からきました。

     かみのけ座方面へ向かっていたのですが、あいにく宇宙船の

     故障で地球に不時着したわけです。

     明日になれば仲間の船が迎えに来ます。」

大介「うわー」

父「故障した宇宙船は今どこに?」

うささぎ「故障したら使い捨てなので、小さくたたんで燃えないゴミに

     出しておきました。」

父「さすが宇宙の科学はすばらしいですね。」

つづく


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