****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ *******
忘れ物保管場所での話 つづき
うささぎ「さてカバンさん、どうやってこの保管場所から脱出しようか?」
カバン「ぬいぐるみちゃんたち、持ち主を待たなくていいの?」
うささぎ「うささぎたちはだれかに連れられて電車に乗ったんじゃなくて、
自分達で勝手に乗ったんだよ。友達の家に行く途中なんだ。」
カバン「そうか。」
うささぎ「で、どうやって抜け出すか?」
カバン「この部屋には鍵がかかっているからね。
だれかが入ってきたスキに脱出するしかない。」
ガチャガチャ
クロクロ「わっ、だれか入ってくるよ。」
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どっかのおばさん「すいません、駅員さん、無理言ってしまって。
すごく大切なものがはいっていたんです。」
駅員「まあ、わたくしどももお客様の要望にはできるだけ
応えるようにしていますから。」
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うささぎ「忘れ物を取りに来たんだね。
何忘れたのかな?」
クロクロ「そんなヒトの心配していないで、今のうちに逃げよう、うささぎ。」
うささぎ「よし、逃げよう。
カバンさんも早く。」
カバン「よしきた。」
ひょいひょいひょい
うささぎ「なんとか脱出できたね。」
クロクロ「ふう」
カバン「じゃあ、ぬいぐるみちゃんたち、
オレは酔っ払いオヤジのところに帰るからね。」
うささぎ「がんばってね」
カバン「ぬいぐるみちゃんたちも気を付けてね。」
うさ&クロ「じゃあね。さよならー。」
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うささぎ「うわー、外はもう夜になっちゃったね。」
クロクロ「どうする?
まだ海老名だし、今日じゅうには御殿場にたどりつけないね。」
うささぎ「そうだね。どうしよう?」
クロクロ「だれかの家に泊めてもらおう。」
うささぎ「そうしよう。」
クロクロ「よし、泊めてくれる家を探そう。」
うささぎ「出発!」
つづく
****** うそばっかりのうささぎの話 御殿場へ ******
うささぎ「さて、どこの家に泊めてもらおうか?」
クロクロ「あそこの家、ちょうど窓があいているよ。
夏だからだね。ちょっと行って頼んでみよう。」
うささぎ「そうだね」
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テレビの声「緑おおい茂る地球、この地球は年々人類の手で破壊されていきます。
ひょっとしたら宇宙人は、われわれに警告するために
やって来ているのかもしれません。
地球は人類達自身の手で守りなさい、と。
あなたのところへも、もしかすると宇宙人がメッセージを
伝えに今夜やって来るかもしれません。チャチャチャーン」
少年大介「いやー、UFO番組はウソばっかりとわかっていても
つい見ちゃうなあ。
だいたい人類が死のうが生きようが宇宙人には関係ないじゃん。
絶滅しそうになったら宇宙動物園ででも保護繁殖してもらえば
イイさ。」
トントン
大介「ふよ?」
うささぎ「こんばんわ、旅のものですけれど一晩泊めてもらえませんか?」
大介「うわー、何だ何だこいつらは!」
うささぎ「うささぎとクロクロだよ。」
大介「ひょえー、どうみても人間じゃない!」
うささぎ「そうだよ。うささぎは人間じゃないよ。」
大介「ということは...
うわー、ひょっとして.....これは.....宇宙人だあ!
おかあさん、おとうさん、たいへんだあ、宇宙人だあ!」
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クロクロ「おにいさんは勘違いしていない?」
うささぎ「気にすることないさ。」
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大介「ほら、おとうさん、宇宙人だ。」
うさ&クロ「こんばんわ
旅のものですけれど、一晩泊めてもらえませんか?」
父「旅のもの?」
大介「惑星から惑星へ旅をしているんだね。」
父「宇宙人というよりETじゃないか?」
クロクロ「ヒソヒソヒソ(うささぎの顔が不細工だからETと
まちがえられちゃったじゃん。)」
うささぎ「ヒソヒソ(そうかなあ?)」
父「立ち話もなんですから、どうぞお上がりください。」
うさ&クロ「わー、ありがとうございます。」
父「お二人とも地球の言葉が上手ですね。」
大介「話しているように感じるけど、テレパシーで語りかけてきているんだ。
そうだよね、ETさん。」
うささぎ「ええ、まあ。」
クロクロ「ヒソヒソヒソ(うささぎ、ウソはいけないよ。)」
うささぎ「ヒソヒソヒソ(いいよ、ETのフリして泊めてもらおう。)」
クロクロ「そうだね」
父「え、なにか?」
うささぎ「いや、何でもありません。」
大介「ETさんはどこから来たの?」
うささぎ「レチクル座ベータ星の第5惑星からきました。
かみのけ座方面へ向かっていたのですが、あいにく宇宙船の
故障で地球に不時着したわけです。
明日になれば仲間の船が迎えに来ます。」
大介「うわー」
父「故障した宇宙船は今どこに?」
うささぎ「故障したら使い捨てなので、小さくたたんで燃えないゴミに
出しておきました。」
父「さすが宇宙の科学はすばらしいですね。」
つづく