＊＊＊＊　うそばっかりのうささぎの話　御殿場へ　＊＊＊＊＊＊

バス停留所の付近で

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「部長、”２割も値引きしろ”なんて厳しいですね。

　常識では考えられません。」

部長「これがビジネスというもんだよ、佐川君。」

佐川「自分はなんかビジネスに向いていないような気がします。」

部長「気にすることはない。ビジネスに向いている奴は

　　　ほんの一握りしかいないんだから。」

佐川「そうですかあ」

うささぎ「おじさーん」

佐川「？？？」

うささぎ「おじさん！　おじさんのこと呼んでいるんだよ。」

佐川「はっ？」

うささぎ「おじさんたち、バスに乗るの？」

佐川「そうだけど。何か？」

うささぎ「頼みがあるんだ。」

佐川「ほう、どんな？」

部長「佐川君、あんまり変なのとかかわりにならない方がイイぞ。」

うささぎ「うささぎたちはヘンじゃなよ。

　　　　　こっちがうささぎ、こっちがクロクロ。」

クロクロ「よろしく。」

うささぎ「うささぎたちはバスに乗りたいんだけど、お金持っていない。

　　　　　うささぎたちはおじさんの手荷物のフリをするから、

　　　　　バスの中まで　うささぎたちを運んで欲しいんだ。」

佐川「あんなこと言っていますけど、部長、どうしますか？」

部長「キミの責任において、好きなようにしなさい。」

佐川「じゃあ、うささぎくん、君達に協力しよう。」

うささぎ「わーい、ありがとう、おじさん。」

クロクロ「ちょうどバスが来たよ。」

つづく

＊＊＊＊　うそばっかりのうささぎの話　御殿場へ　＊＊＊＊＊＊

＋＋＋＋＋＋＋　バスに乗り込んだうささぎたち　＊＊＊＊＊＊＊

うささぎ「うささぎたちが座れるような場所はないね。」

クロクロ「椅子の下に潜り込もうか？」

うささぎ「ちょっと、きゅうくつそう。」

佐川「君達、よかったら、おじさんと一緒にすわらないか？

　　　膝の上にカバンのっけるから、カバンの上に乗れば？」

うささぎ「ありがとう。

　　　　　上がらせてもらいます。」

クロクロ「ここからだと、外の景色が良く見えるね。」

うささぎ「おじさん、おじさんの頭の上に登ってもいいですか？」

佐川「頭の上？」

うささぎ「きっと頭の上からだと、外をよく眺めることができると思うんだ。」

佐川「はあ。じゃあイイよ。」

うささぎ「ありがとう。

　　　　　わーい、登頂成功。

　　　　　クロクロ、あそこにブクブクが見えるよ。わーい。」

　　ぴょんぴょんぴょん

佐川「うささぎくん、悪いんだけど、頭の上で跳びはねないでくれるかなあ。」

うささぎ「あっ、すみません。

　　　　　クロクロ、交替しよう。」

クロクロ「わーい、頭の上は眺めがイイ。」

他の乗客「ママ、あのおじちゃん頭の上にぬいぐるみのせているよ。

　　　　　ヘンなの。」

ママ「きっとおもちゃ会社の人よ。

　　　宣伝かなんかでしているのよ。

　　　静かにしていなさい。」

部長「佐川君、キミ、そのぬいぐるみを頭にのせるのは、ちょっとー。」

佐川「あっ、マズイですか？

　　　すぐ下ろしますから。

　　　悪いがクロクロちゃん降りてくれ。」

クロクロ「はーい。」

佐川「でも部長、頭にぬいぐるみをのせていると、なぜヘンなんでしょうか？」

部長「ヘンなものはヘンなものだ。

　　　みんなそう思うに決まっている。

　　　そんなこともわからないのか？」

佐川「はあ」

部長「人間社会の常識だぞ。」

佐川「はあ」

部長「どうやらキミはビジネスに向かないんじゃなくて、

　　　人間社会に向かないようだな。」

佐川「すみません。」

うささぎ「人間も大変だね、クロクロ。」

クロクロ「そうだね。」

つづく

＊＊＊＊＊＊　うそばっかりのうささぎの話　なぜヘン？　＊＊＊＊＊＊＊

うささぎ「頭の上にぬいぐるみを乗せると、なぜヘンなんだろう？」

クロクロ「部長さんは”ヘンなものはヘン”と言っていたけれど、

　　　　　それは説明にならないよね。」

うささぎ「うん、そうだね。

　　　　　帽子や兜は頭に乗せても、ヘンって言われないよ。

　　　　　なぜ帽子以外のぬいぐるみや缶詰を頭に乗せるとヘンになるんだろう？」

クロクロ「佐川さんもそのことを知りたかったんだよね。」

うささぎ「うん。

　　　　　帽子は普通、ぬいぐるみはヘン、普通とヘンの境目は

　　　　　どこにあるんだろう？」

クロクロ「うささぎの話を読んでいるみんなも考えてみてね。」

つづく