1997年

*** うそばっかりのうささぎの話 *********

さて夜になって。

カステラ「うささぎ、クロクロのお姉さんから電話だよ。

     クロクロを見かけなかったか、だって。」

うささぎ「見ていないよ。

     まだクロクロ帰っていないの?」

カステラ「そうみたいだ。」

うささぎ「たいへんだ。いよいよ何かの事件に巻き込まれたんだ。

     いまからクロクロの家へ行くってお姉さんに伝えてね。」

カステラ「おいおい。」

うささぎ「いってきまあす。」

クロクロの家

うささぎ「おねえさん、うささぎだよ。」

お姉さん「あっ、うささぎちゃん。今、くまったちゃんも来てくれたところよ。」

くまった「やあ。」

うささぎ「クロクロはどこへ行っちゃったんだろうね?

     お姉さん心当たりありませんか?」

お姉さん「クロクロが行きそうなところは全部電話してみたんだけど、どこにもいない

わね。ぬいぐるみたちの秘密の隠れ場所とかないの?」

うささぎ「集会はいつもお寺の境内だし。

     とくに秘密の場所はないなあ。」

お姉さん「どこ行っちゃったのかしらねえ。まったく。」

くまった「ねえ、ねえ、くまったは占いをすることができるよ。」

お姉さん「占い?」

くまった「占いでクロクロを探してみようと思うんだ。」

うささぎ「すごいね。」

くまった「さっそく占ってみるね。まずは、星占い。」

うささぎ「おおっ」

くまった「お姉さん、クロクロの誕生日はいつ?」

お姉さん「さあ? いつ工場で作られたんだか?」

うささぎ「ダメかあ。」

くまった「じゃあ血液型占い。クロクロの血液型は?」

うささぎ「クロクロに血は流れていないって。」

くまった「これもダメか。

     手相占いもクロクロ自身がいないとできないし。」

お姉さん「ぬいぐるみにも手相があるの?」

くまった「うーん、あると思えばあるし、ないといえばない。」

うささぎ「やっぱり占いに頼らず普通に考えよう。」

くまった「待って待って。まだカード占いならできるから。

     お姉さんトランプを貸してください。」

お姉さん「はいはい。」

くまった「では始めます。

     ひょいひょいひょい。」

うささぎ「何と出た?」

くまった「クロクロはくまったの右方向にいる、と出ました。」

うささぎ「右方向かあ? もうちょっと細かく占えない?」

くまった「では、水晶玉占いもやってみよう。。」

うささぎ「ほう」

くまった「ひょいひょいひょい。

     クロクロは左にいる、と出ました。」

お姉さん「さっきは右にいるっていう結果じゃなかったの?」

くまった「そうだよ。」

うささぎ「じゃあ、右と左、どっちを探せばいいの?」

くまった「両方さがす。」

お姉さん「やっぱり占いに頼らず普通に考えましょう。」

くまった「そのほうがいいみたい。」

つづく


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