さて、東京に帰ってきたうささぎ。
東京のうさぎ小屋でのできごと。
カステラ「寒いね、うささぎ」
うささぎ「ちっとも寒くない。
うささぎはガマン強いから。」
カステラ「それは便利だ。」
うささぎ「でしょ。
ときに”寒い”ってどういうことかなあ?」
カステラ「ちょっと待って。”寒い”を辞書で引いてみる。」
うささぎ「なんて書いてある?」
カステラ「”気温が低くてじっとして居られず、不快な様子”だって。」
うささぎ「ふーん。」
カステラ「人間の基本的な感覚を説明するのは、すごくむずかしいと思うよ。
デズデモーナは”寒い”の正体わかる?」
デズデモーナ「ダー、ダー、ダー」
カステラ「?
うささぎ、デズデモーナの言っていること通訳して。」
うささぎ「ダー、って言っている。」
カステラ「あっ、そう。」
デズデモーナ「ダー」
うささぎ「ダー、って言っている。」
カステラ「やっぱり、通訳しなくていいや。」
うささぎ「せっかく通訳してあげているのに。」
カステラ「いやあ、ありがと、ありがと。
でも、よくわからないからもうイイや。
うささぎはデズデモーナの言っていることの意味わかる?」
うささぎ「考えたこともない。」
カステラ「そうだよね。」
デズデモーナ「ダー」
うささぎ「あっ、デズデモーナ怒っている。」
カステラ「まあまあ、デズデモーナ落ち着いて。」
デズデモーナ「ダー」
カステラ「うささぎ、何とかならない。」
うささぎ「じゃあ、デズデモーナ、
ミミズク博士のところへ”寒い”ってどういうことか
尋ねに行こう。」
カステラ「ミミズク博士?」
うささぎ「クロクロの先生だよ。
いろんなことを知っている。」
カステラ「ほう」
うささぎ「最近クロクロはミミズク博士の助手をしているんだ。」
カステラ「ぬいぐるみが勉強とは。
人間は勉強するの嫌いだけどな。」
うささぎ「勉強というよりは、博士の発明の手伝いさ。」
カステラ「ふーん」
うささぎ「じゃあ、ちょっと行ってくるね。
はい、デズデモーナ、うささぎの背中に乗っかって。」
デズデモーナ「ダー」
カステラ「いってらっしゃい。」
つづく