1997年1月

******* うそばっかりのうささぎの話 ******

さて、東京に帰ってきたうささぎ。

東京のうさぎ小屋でのできごと。

カステラ「寒いね、うささぎ」

うささぎ「ちっとも寒くない。

     うささぎはガマン強いから。」

カステラ「それは便利だ。」

うささぎ「でしょ。

     ときに”寒い”ってどういうことかなあ?」

カステラ「ちょっと待って。”寒い”を辞書で引いてみる。」

うささぎ「なんて書いてある?」

カステラ「”気温が低くてじっとして居られず、不快な様子”だって。」

うささぎ「ふーん。」

カステラ「人間の基本的な感覚を説明するのは、すごくむずかしいと思うよ。

     デズデモーナは”寒い”の正体わかる?」

デズデモーナ「ダー、ダー、ダー」

カステラ「?

     うささぎ、デズデモーナの言っていること通訳して。」

うささぎ「ダー、って言っている。」

カステラ「あっ、そう。」

デズデモーナ「ダー」

うささぎ「ダー、って言っている。」

カステラ「やっぱり、通訳しなくていいや。」

うささぎ「せっかく通訳してあげているのに。」

カステラ「いやあ、ありがと、ありがと。

     でも、よくわからないからもうイイや。

     うささぎはデズデモーナの言っていることの意味わかる?」

うささぎ「考えたこともない。」

カステラ「そうだよね。」

デズデモーナ「ダー」

うささぎ「あっ、デズデモーナ怒っている。」

カステラ「まあまあ、デズデモーナ落ち着いて。」

デズデモーナ「ダー」

カステラ「うささぎ、何とかならない。」

うささぎ「じゃあ、デズデモーナ、

     ミミズク博士のところへ”寒い”ってどういうことか

     尋ねに行こう。」

カステラ「ミミズク博士?」

うささぎ「クロクロの先生だよ。

     いろんなことを知っている。」

カステラ「ほう」

うささぎ「最近クロクロはミミズク博士の助手をしているんだ。」

カステラ「ぬいぐるみが勉強とは。

     人間は勉強するの嫌いだけどな。」

うささぎ「勉強というよりは、博士の発明の手伝いさ。」

カステラ「ふーん」

うささぎ「じゃあ、ちょっと行ってくるね。 

     はい、デズデモーナ、うささぎの背中に乗っかって。」

デズデモーナ「ダー」

カステラ「いってらっしゃい。」

つづく


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