太田市場で起きてること

日本農業新聞への手紙

太田市場の現状は

日本農業新聞の論説で数回取り上げられました。

個人的には誤解があるような印象をうけます。

以下の文章は、7月31日に掲載された論説に対する意見を

農業新聞にe-mailで送りました。

掲載された文章は、インターネットで見ることが出来てたのですが

チェックしてみたら、掲載リミットがきてたようで、見られませんでした。

ここに全文を掲載するのは問題かもしれないので、私のe-mailを紹介しま

す。

日本農業新聞社様

太田花市場でせりに参加しているものです。
先日の取材の時にも、お話をさせていたであいたうちの一人です。
7月31日の<論説>を読ませていただきました。
意見の相違ということなのかもしれませんが
誤解があるのなら解いておきたいと思い
メールしました。

私は、もともと組合員ではありませんでした。
ある時期から、どうも自分の欲しい花がセリに出て来ない
と感じ始め、
最初にうちは、気になった一つ一つの花に対して、太田花き担当者に確認する
というような今考えると実に素朴な手しか思いつきませんでした。
当時は、予約相対を除く総入荷量の4割はセリに出てる、という話しでした。
そのうち、
オブザーバーとして取り引き委員会に出席するようになり
実体が少しずつ分ってきた、ということです。

さて

 <上場数量をめぐる問題は昨年からくすぶり続けていた。入荷量の2割以上を競売(せり)にかけることでは一致しているが、問題は「2割」の解釈にある。品目・品種・等階級ごとの2割を主張する組合と、品目の2割と考える卸売会社が対立。それが元になってインターネットによる、せり時間前販売(いわゆる先取り)の条例違反問題にまで発展してしまった。
花きはし好品であり、品目というより品種で価格が決まる例が多い。それだけに、組合の主張は一定
の正当性はある。しかし、人気のある品種をせり下げ方式の競売にかけるより、相対で話し合いながら 価格をつくることが間違っているとも思えない。せりが公正な品質評価手段の一つであることは認めるが、それだけが価格決定手法ではない。>

花屋さんは、店鋪規模の大小を問わず、花を品目で考えません。
例えば、白い薔薇を使いたい時には特定の品種(ティネケ、etc)を頭に浮かべます。
それが無理なら、似てる白い薔薇を探す、ということになります。
それをバラという品目で一括りにするのは現実的ではありません。
エダモノとかネイティブフラワーとか、
形態もサイズもまったく違う植物を一緒にまとめて2割、というのは乱暴すぎるのです。
せり割合検証部会では、品種を対象にして話し合いをしていました。
それがある時期から解釈が違うという話しになっていったのです。
これは
インターネット取り引きが受発注システムという名前に突然変更になったのに似ています。
実体は変らないのにシステム維持のために名前を変える。
違反してる意識はある、という事だと思います。

私個人は、先取りの経験がありません。
ネット販売が始まる前にも時間を守らないで相対取り引きすることはあったようです。
問題は、ネットが始まることにより爆発的に規模が拡大したという点です。
そのあたりを考えて2割りという約束が出来た、ということだと思います。
2割を守らない上に時間も守らない、と言わざるをえないのです。
相対で価格を決めることもありだとは思います。

相対で取り引きされた後は欲しい花が残ってない
それが現状です。

相対の価格よりセリの方が安い、と考えるのが一般的かもしれません。
ネット以前はそういう傾向にあったと想像します。
今ではそんなことないです。
クリスマスの前になると殆どの花屋さんは赤いバラが必要になります。
それがネットで先取りされ、数箱を300人で取り合うのですから
高価になるのは当然。
これは特殊な例ではありません。

<一方で、仕入れ環境も変わった。国内産地の高齢化、担い手不足は深刻。若い後継者が比較的多い花 き産地といえども、価格低迷の長期化で担い手は減っている。加えて自由貿易協定(FTA)などによる貿易自由化は加速。一つ一つへの対応を万が一にも怠れば、市場は差異化できる品種どころか、絶対量を集荷することもおぼつかなくなる。
考えるべきは、こうした環境の変化だ。市場に行けば当然のようにどんな花でも手に入るという、
従来型の既得権益の主張だけでは物事は解決しない。組合には、そのことを分かってほしい。もちろん、卸売会社にも責任がある。ネット取引であろうと何であろうと、法令順守は当たり前。改善すべき は改善しなくてはいけない。せりへの上場も話し合えば知恵が出る。分荷できないほどの数量の貴重品種なら、仲卸機能を使った販売を考えるのも一つだ。
大田市場の卸売会社2社は業界を引っ張る役割がある。その社会的な責任を自覚し事態を収束させて もらいたい。>

市場に行けば当然のようにどんな花でも手に入る、とは思っていません。
<従来型の既得権益の主張>が何をさしてるのか私には分りません。
インターネット取り引きによる権益、というのなら分ります。
現在、ネット取り引きをしてる人(買う側)に不公正という意識はないと思います。
ネット上では公正な競争があるのですから、問題意識も少ないでしょう。
しかし、公営の市場で、ネット情報を得られない花屋が多数を占めるのです。

インターネット取り引きに反対してるように思われるかもしれません。
これは全く違います。
時代の流れという以上に、便利で合理的な方法は使えた方がいいと思います。
ただし、だれでも参加出来るということと公正平等であること
これが要だと思います。

7月26日の取り引き委員会において
日本農業新聞に掲載された記事(前回)に関し、太田花きよりクレームがありました。
これまで話し合ってたにもかかわらず、こんな記事が出て残念だ。
これ以上、この場(取り引き委員会)でこの問題に関して論議することはない。
とのことです。
1年以上にわたって話し合いに参加してきました。
しかし、話し合いといっても、ルールを守って、という要望と
それに対してはっきり返事をしない、という無結論の連続だったのです。

先日の取材に同席したものとして
意見を述べさせていただきました。




4へ続く

2006.10.10

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