清里だよ。
その2

子供の頃の夏の記憶があります。
僕が中学二年まで過ごしたのは、長崎市の一画にある山の中腹でした。
 夕方になると、近くの林にあるものを探しに出かけます。
雨の日もでかけます。
そいつは地面に小さな穴をあけて夜のくるのをまっているのです。
僕はそいつを篭にいっぱい集めて家にもってかえり、から揚げにして食べるのです。

というのは嘘です。

それはの幼虫です。
すべてくまぜみ。
くまぜみは大型の蝉です
その泣き声はものすごい大音響で、そばで鳴かれると
たまらん。
九州に沢山いるよいうで、桐の木の幹にすきまなくびっしりととまってたりします。
鳴いているのはオスで、あんなにも全身で鳴かれたひにゃ
メスもたまらん。
僕の朝は、まるで山が鳴っているような音ではじまります。
たまらん、たまらん。

この幼虫を蚊帳にくっつけて羽化させるのです。
いま考えたら、20頭あまりのセミの幼虫が蚊帳のしかも内側を上って行き
居場所を見つけたら、そこでとまって脱皮する準備にはいるのですよ。

母は偉かった。

明け方、素晴しい光景に出会います。
脱皮してまもない蝉のうす青い羽の美しいこと!!

おそい初恋をするまではこの羽の色に恋をしていた僕でした。
なんちゃって。

そのいるはずもないくまぜみが、今、この清里で鳴いています。
僕が変なのか、くまぜみが変わってしまったのか?

謎だ。

1998年8月4日。
清里Joe's House のテラスにMac を持ち込んで。
昼間っからビールでも飲んでるような、いけない気分。いい気分。


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