図1: 絶対静止系で考えた鏡 AB 間の光の往復時間
絶対静止系で考えるので光の速さは c で一定であり、鏡A、Bは光がA→B→A と往復する間に
A→A'→A''
B→B'→B''と移動します。つまり、光は実際には
A→B'→A'' と往復するのです。光が A を出て B に届くまでの時間を tAB とすると、その間に鏡 A は
A→A' 、鏡 B はB→B' 、光はA→B' と移動するので、
AA' = BB' = vtAB
AB' = ctABが成り立ちます。ここで AB' = AB + BB' ですから、
となります。
同様に、光が B で反射して A に戻るまでの時間を tBAとすると、その間に鏡 A は
A'→A'' 、鏡 B はB'→B'' 、光はB'→A'' と移動するので、
A'A'' = B'B'' = vtBA
A''B' = ctBAが成り立ち、A''B' + A'A'' = A'B' ですから、
となります。鏡 AB の光の往復時間 t1 は tAB と tBA の和ですから、
と、#2 と同じ結果になります。
図2: 実験室の運動方向に垂直な方向への実験室系での見かけの光速
実験室系で考えるので、鏡 A、C は静止しています。 一方、絶対静止系ではないので光速は c ではなく、見かけ上変化しています。その変化を求めます。 実験室系で図2の縦方向に走る光 (図2の黒い矢印) は実際には絶対静止系では赤い矢印のように斜め方向に飛んでいます。 その速度から青い矢印のように実験室の速度が差し引かれて実験室での見かけの光速になるわけです。 言うまでもない事ですが、今は光についても速度の合成則が適用できる、という考え方に基いています。ここで窪田氏なら、
「光は通常の物体と違って光源の運動に影響されない。 だからこのように速度の合成則は適用できない。」と文句をつけそうですが、黒い矢印に光源の速度 v が足されて赤い斜めの矢印になるのではなく、 今は鏡 A から C に向かう光を考えているわけで、その光は絶対静止系では赤い斜めの矢印になる、 そしてそこから実験室の速度を差し引いて黒い垂直方向の矢印になる、といっているのです。
すると実験室系での見かけの速度 c' は三平方の定理により、
したがって鏡 AC 間の往復速度 t2は、
となり、やはり #2 での計算と同じ結果が出ます。