#6.1角度が90°でないときの計算

図1: 角度が90°でない場合
図1: 角度が90°でない場合

 上図1の(1)のように、装置の進行方向とACのなす角度が90°でなく、θであるときは、 絶対静止系で考えると(2)のように光は A→C'→A''と進みますが、 90°のときと違って A→C' にかかる時間と C'→A'' にかかる時間が異なるので、 前者を t'、後者を t'' とします。すると、図からAA' = CC'= vt'A'A'' = C'C'' = vt''AC' = ct'C'A'' = ct''

 (AC')2 = (AA' + Lcosθ)2 + (Lsinθ)2ですから、

式1:t'の計算その1

これを整理して t' を求めると (t'> 0 に注意する)、

式2:t'の計算その2

同様に t'' を求めると、

式3:t''の計算

往復時間を t とすると、これは t' と t'' の和ですから、

式4:往復時間 t の計算

が得られます。ここで、θ=0、つまり cosθ=1 だと、

式5:θ= 0 のとき

となって、#2で計算した t1 に等しくなり、 が得られます。ここで、θ=90°、つまり cosθ=0 だと、

式6:θ= 90° のとき

となって、#2で計算した t2 に等しくなります(当然ですが)。

角度が 90°でない場合のローレンツ収縮の適用

 角度が90°でない場合に、ローレンツ収縮を適用して計算してみましょう。 ローレンツ収縮によって装置は進行方向に 1/γ 倍に縮みますから、

(AC')2 = (AA' + Lcosθ)2 + (Lsinθ)2

のかわりに、

(AC')2 = (AA' + Lcosθ)2 + (Lsinθ)2

つまり、

式7

が成り立ちます。これを、c2 - v2 = c22に注意して整理すると、

式8

となり、これを t' > 0 であることに注意して解くと、

式9

同様に t''も、

式10

結局往復時間 t は、

式11

となり、θに関係なく一定であることがわかります。

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