2016年 若松倫夫の植物画カレンダーの絵についてのコメント
 
表紙
スザク
バラ科[Prunus lannesiana 'Shujaku']
 京都の朱雀にあったことからこの名に。荒川堤の桜を保存している都市農業公園で撮りました。
 
1月
ロマネスコ
アブラナ科[Brassica oleracea var. botrytis]
 農協売店によく出ます。カリフラワーよりやや甘味があり、もちもよいです。このたくさんの微細構造を描くのだからと、時間がたっぷりある時を待ちました。
 蕾が円錐を成し規則正しい螺旋に並ぶフラクタル、そしてその数はフィボナッチ数に一致するともいわれます。
 
2月
ストック
アブラナ科[Mathiola incana]
 房総の1泊ドライブで買った花です。育てている農家から買ったので、いきが良く、家中ストックの香りが立ちこめていました。花の数の多さに睡魔に負けそうになり、お茶を飲んでなんとか描きあげました。
 
3月
マーガレット
キク科[Chrysanthemum frutescens]
 予定していた花が入荷せず、代わりに黄色いマーガレットの鉢を買いましたが、次々と花が開き、他の教室にも使うことができました。それぞれの教室のために描いた二つの絵を合わせてご覧いただきます。
 
4月
サクヤヒメ
バラ科[Prunus ×yedoensis cv. Sakuyahime]
 弘前城植物園で撮影しました。花が咲いているうちから葉が出てきます。ソメイヨシノの実生から作られたそうで、葉の形は、オオシマザクラに似ています。
 
5月
バラ・バレリーナ
バラ科[Rosa hybrida hort 'Ballerina'] 
 妻の友人Kさんがお庭から一抱え、大きな球のガラス器に入れて下さった花で部屋が華やかに飾られました。ようやく描くことができたのは三日後。
 
6月
クチナシ
アカネ科[Gerdenia jasminoides]
 今年は、団地のあちこちで、クチナシの花が見事に咲きました。形良く開花したものは小蟻が這い回っていたので、開く途中のもの3つ、蕾を一つ、団地の清掃の方にお断りして切りました。
          
7月
クマシデ
アカネ科[Gerdenia jasminoides]
 緑色ばかりの題材で、魅力ある絵にしにくいと避けてきましたが、みなさんが上達されたので、使いました。
 主役はこの特徴ある実ですから、よく見てデッサンして、脇役の葉の色は地味にとアドバイスしました。また多様な緑色を使い分けることも魅力のポイントだと思います。
 
8月
ボタンクサギ
クマツヅラ科[Clerodendrum bungei]
 団地の芝生に実生で生えてきたのに何年か前に気づき、描こうと思いながら果たせずにきました。今年は雨で閉じこめらる日が続き、描くことができました。
 たくさんの花が咲ききるとパラパラと落ちるので、蕾がかなり残っているのを切りました。たくさんの小さな五弁花をできるだけ正確に描くためにとても肩が凝りました。
 
9月
エノコログサ
イネ科[Setaria viridis]
 藍美術にスケッチブックを買いに自転車で行った帰り、道々、紅葉しているエノコログサを探しました。南田中団地や石神井川の河川敷で、10数本採ってきて、3本の瓶に立てて描いたものです。
 
10月
五色トウガラシ
ナス科[Capsicum annuum]
 植物画の題材探しに苦労するとき、鮮やかな赤い実が魅力です。鉢植えで長持ちするのも好都合でした。
 
11月
アカダイコン
アブラナ科[Raphanus sativus var. longipinnatus]
 農協売店では葉を切り落とされていたので、レジに話しましたら葉付きを一本いただくことができました。ネットで検索すると、サカタの種の紅化粧という品種のようです。
12月
ナンキンハゼ
トウダイグサ科 [Sapium sebiferum]
 新宿御苑ではじめて見て、面白い実の形と紅葉の見事な色が印象的でした。
 環状8号線の沿道でその紅葉した並木を発見、一枝採集させてもらいました。紅葉した葉の色が多様で、彩色には意外に時間がかかりました。