2005年7月19日(火)  曇り

八丈島

土、日、月の3連休に有休を1日入れて八丈島へ。

すでにフライトなどが取れなくなっていたので、土曜日16:10発の最終829便を使って5時過ぎに島へ。大きな荷物を二人で4つ抱え空港で待つ。そこへ電話してきてもらった島のレンタカーの若いにいちゃん。このカーセンター八丈はどうやら島で一番安いレンタカーだったようだ。ここで借りたSuzuki WagonRに乗ってシーパークリゾートへ。

20年前のホテル ---  どうも位置的にいやな予感はしていたものの、やはり寂れた感じの20年位前に建てたような旧リゾートホテルだった。別に中はこぎれいだし、それなりの設備は整っている。ただ、インテリアを構成する床や照明、サッシ、バスルームなどどれをとっても20年ぐらい前のままである。さらにはラウンジやご飯を食べたレストランもどうも全体のデザインを考えないままいろんな部分部分を装い、隠してきたちぐはぐさが見え隠れしていた。このホテルがだめだなと思った決定的なものは食事。廃れるに違いないと思うホテルが必ず出す冷めた会席料理。量だけは立派だが、そこに盛り立てる演出は無く、せっかくの島の料理を誰も説明するわけでもなく、また、テーブルの上に並ばる器も無駄にスペースを取るため、配置に困る類のものだった。そして働いている人たちのモーチベーションの無さは見ていてすぐにわかった。ホテルのオーナーが他人を装って1泊でもすればこのホテルが流行らない理由がすぐさまわかりそうなものだろう。

まあ仕方ない、夕方に着いてしまったために止むを無く泊まっただけだし。。。唯一良かったのは屋上で星が見られることだ。この夜はまあまあ晴れていたようで、星がたくさん見られた。泊まりにいく場合は見てみるといい。


キャンプ --- 

この旅の本番である翌朝からのキャンプ。翌朝目覚めたホテルの窓の外をこつんこつんとぶち当たるものが沢山飛んでいた。カナブンだ。大量発生していてブンブンあちこちにぶつかってた。ぶつかっては仰向けに落ち死んだかなと思わせておいて、実はちょっとすると大暴れしながらひっくり返り立ち直りまた飛び立っていくあほな虫だ。空港で見て以来、帰るまでずっと見続けた虫だ。季節だったのだろうか。

さて、朝のうちにテントを張っておきたかった。実は海の日をはさんだこの連休だけにフェリーの着く海の近くの八丈島唯一の底土キャンプ場は満杯なんじゃないかと心配していた。そもそも八丈島に決めたのはこのキャンプ場が良く整備されているからだ。10年以上前にここを訪れ底土でキャンプしたことがある。その時も芝生が敷かれ、シャワーも整備され、すごくきれいなキャンプ場だなと思っていた。虫が大嫌いでキャンプ生活にそれほど慣れていない妻を考えるとここら辺で手を打っておくのが良さそうだろうという結論だった。

実際底土に行ってみると、結構空いていた。近くにたむろしているおじさんが教えてくれたには、8月になるといっぱいになるがこの時期はそこまでは混まないそうだ。実は八丈島の形の様にひょうたん型したこのキャンプ場、水場で左右に分かれている。両方の丸の中に張られたテントは合わせても10ちょっとだったろうか。ゆったりとしたスペースでテントを張らしてもらった。10数年前に来たときも周りのキャンパーたちはそれなりに大きなテントを張ってるなあとうらやましそうな目で見ていた記憶があるのだが、今回はさらに輪をかけて昨今の欧米ブランドのテント用品の普及をいいことに誠に贅沢なキャンプをみんな展開している。大きなテントはもちろんのこと、ランタンやハンモック、タープ、中には余裕でテントの中で立てるほど大きなものまで持ってきている人もいた。

自分たちも負けじと4人用のテントを張り、ボンベ直結のコンロとチタン製コンパクトコッヘルなどを広げてキッチンを用意、ビニールマットと100円ショップで買った折りたたみ三角椅子などで快適空間を作っていった。

底土海水浴場 ---  キャンプ初日の日曜日。残りの日が雨が降ると嫌だったので、天気も良かったのでテントを張って汗を引くのを待たずしてキャンプ場のすぐ横にある底土海水浴場へ。昔の記憶ではもっときれいな海だったはずなのだが、実際行ってみるとテトラで囲まれた半分閉ざされた浜辺だった。せっかく持ってきたスノーケルとフィンなので、付けて潜りに行った。テトラのあるあたり、ブイのあるところまでしかスノーケルでは行けなかった。魚は、、、あまり見ることはできなかった。おそらくブイの向こう側にテトラポットの外側にいっぱいいるのだろう。ちょっと残念だったが、いい天気のこの日、ちょいと水と戯れていただけなのにテントに戻る頃にはゆでダコのように焼けていた。

赤いバンダナ ---  キャンプには必ず持って来るものがある。高円寺のむげん堂で昔買った赤いバンダナ。どうやらワニが描かれているようだが柄はどうであれ、なぜか気に入っている。子供が使い慣れたブランケットを絶対手放さないように、僕はこの赤いバンダナをキャンプに必ず持って来る。ソフトな肌触りで普通のバンダナよりも一回り大きい。普通の人よりも一回り大きな頭のサイズなため、このバンダナは自分の頭に巻くのにはちょうどいい。キャンプするところは大抵暑いので、頭をまとめるのに巻くので重宝する。そしてこのバンダナ、巻かれるだけじゃなく、拭いたり、洗ったり、かまれたりする。食器や手を拭くのもこれ、温泉に入るとき使うタオルとして、時にくしゃみが止まらない時などはこれで鼻までかんでしまう。これ一枚でキャンプでの用はすべて足せる。チタンのコッヘルはすごく熱くなるのだがこれで取っ手を巻いて鍋つかみに。 今回は途中で熱湯を脛にこぼしてしまい、水ぶくれになってしまったのだが、テントの裏に生えていたアロエを切って、ゼリー面を患部に貼り付けた。これをこの赤いバンダナで縛って応急処置とした。なんと重宝するバンダナだろう。端がもう破れてしまっているのだが、使えなくなるまでこのバンダナ持って行ってあげようと思う。


キャンプ満喫 --- 

夕方、せっかく持って行ったBBQグリルを使うべく八丈ストアで買出しをして焼肉。ご飯はぎりぎり半分ずつコッヘルであっためたサトウのご飯。2人だと持っていけるキャンプ用品に限度がある。少ない道具でいかにして充実した食事を作るか。これもテクニックを要する。調味料はジップロックやお弁当用の醤油さしに入れ、、包丁などは国内線だと預け荷物に積めば持っていける十徳アーミーナイフで用が足りる。日本手ぬぐいはいろんな用途に使えて便利。

焼肉した後、潮と汗と焼肉臭を取るべく中之郷温泉やすらぎの湯へ。一人300円で入れる。ボディーソープも貸し出してくれてたし、上がった後の座敷もあり、なかなか。この日は日がどっぷり沈んだ後だったが、翌日も行った際には海も見えて景色もなかなか。湯の温度はこの日焼いたばかりだったせいか一瞬やけどするかと思うほど熱いと感じたが慣れてくればそうでもなかったので42度ほどじゃないかと思う。

お勧めスポット ---  この中之郷温泉へ行く際に大通りから右折するのだが、この角っこに中田商店がある。ここの明日葉とバニラのソフトクリームがうまいとの評判で最終日の火曜日に寄ってみた。メニューを見てみるとあずき入り300円(明日葉とバニラのダブルは250円)のがあったのでそちらを食べた。波波エッジのコーンにあずきをまず入れてその上から明日葉とバニラソフトのダブルを落とす。八丈の暑い気候にぴったりのほろ苦さとまったりさと和風な甘さのトリプルコンビネーション。ANAのキャビンアテンダントの人たちも御用達のようで、なぜか芸能人たちの色紙に混じって彼女たちの色紙も沢山飾られていた。

キャンプ2日目は八丈富士へ。鉢巻道路と呼ばれるカルデラの外輪を走る一周道路まで車で行ったもののそこから頂上へ上るのは断念。結局一周して撤収。続くビジターセンターではこの島のアイドルといわれるキョンをみかけた。

小さな鹿のようなものらしい。特にじっとしてたのでその愛嬌あるところなどは見られなかった。月曜日は祭日。ビジターセンターにはいくつかの展示物と資料があるので、ざっくり島のことを知りたい場合は寄ってみるとよいだろう。トレッキングマップもあるので登る際には先にもらっておこう。

ビジターセンターから降りてくると大通りにぶつかる。左折して大中上という交差点のすぐそばにあるPocketというカフェ。後述するパンフレットで旨そうなパフェを見たもののそのカフェの場所がわからず、とりあえず近場の喫茶ということで入ってみたら、BINGO!、まさにそのカフェだった。ロコモコも出しているらしくちょっと魅かれたが軽くピザにしてあとはキウイアイスクリームとチョコアイスクリームに舌鼓を打った。店は外壁のサイディングやごっつい木のテーブル、ログハウスのような壁や屋根に吊り下げファンと、アメリカンな感じで統一されている。メニューもそれっぽい感じだが、働いている店員さんたちは皆女性で明るく応対してくれた。

もう二つ八丈で寄ると良いところをご紹介。一つは歴史民族資料館(大人360円)。黄八丈にくさやに代表される八丈特産品や島の歴史や流人の島として知られる部分など、ビデオや展示品で一通り時代を遡って見ることができる。この資料館の建物自体古めかしい感じで旧東京都八丈市庁舎だったらしい。

もう一つその近くにあるのが玉石垣。陣屋敷跡だそうだが、丸い石で積み重なった石垣がずらりと並ぶ一角は沖縄のそれとはまたちょっと違った風景を作っている。

もう少し南東のほうに車を走らせ、前述中田商店のあたりを通り過ぎてちょっと行ったところを左に入るTEPCO八丈島地熱館

入場無料で地熱発電の仕組みを知ることができる。受付でもらえる小さなメダルは中で見る展示の装置に入れてプレスしてくれる。ただでちょっとしたお土産がついてくるのはうれしい。地熱館は発電施設の横にあり、見た目に蒸気以外これといった見せ場の無い地熱発電施設の横には風力発電の風車も回っている。これを写真に収めるだけでも何となく得した気分になる。ちょっと寄ってみてはいかが。


漁港のお祭り ---  この日は月曜日。海の日で底土の隣にある神湊漁港ではお祭りをやっていた。この時脛に火傷して手当てしていたので、祭りそのものには間に合わなかった。みんなが片付けている傍らで漁協のおばさんたちらしき人たちが乗る船を見かけた。お祭り用に遊覧船として漁船を出しているという。その最終便に乗ることができた。最終便は朝からお祭りの準備で一生懸命がんばってくれたお母さんたちへのお礼の意味で普段乗せない船に乗せてくれたものだった。なので本来は一般人の遊覧はもう終わっていたのだが、まぎれて乗船させてもらった。底土までという触れ込みだったがあっという間に通り過ぎ、さらに結構なスピードで走っていった。船首に座ったお母さんたちは始めての船だというのか船が上下に打ち付けられるたびにキャーキャーはしゃいでいた。結局末広の漁港の方まで突き進んでUターンした。後から聞いた話では、あんなところまで船を出してくれたのは出血大サービスなんだそうな。確かに燃料代もばかにならないだろうしなあ。

八丈島のパンフレット ---  はどれもわかりづらい。それがもらったパンフレット何種類かを見て行き着いた結論。自治体や観光協会のパンフレットは訪れるお客さんよりも、内輪の事情で作られることがままあると思われるが、果たしてこの八丈島のパンフレットはどういう経緯でこういう作りになったのかちょっと聞いてみたい気もする。何が不満かというと、このパンフレット群はすべて、島に渡るまでの島の魅力を前面に打ち出したものであって、いざ島についてそのパンフレットを見てもぜんぜん使いにくいということ。八丈島のあれやこれやを紹介している。まあどこにでもあるような些細なものまでもが写真によって島のあちこちがそうであるかのような思い込みをさせてしまうものだったりもするが、それ以上に、じゃあその写真に載っているそれを見に行こう、食べに行こう、触れに行こうとしたときに、その案内や店の名前、営業時間、金額、何も書かれていない。結局山勘頼りで行き着くことができたのが正直なところ。 地点標なるものが島の道沿いに置かれているのでどこを走ってるか一目瞭然という触れ込みだったが、実際走ってみて、それがどんな形をしているかもわからないので、最初の地点標を見つけるまでに1日かかった。さらに連番になっているはずなのに、ちょくちょく抜けている。元々無いのか何かにさえぎられていて見えないのか。ちなみに地点標の1番は甘藷の畑の中、網の内側に植えられていました。そらー見えんわな。

八丈小島に落ちる夕日 ---  前日どこかで見た八丈小島に落ちていく真っ赤な夕日が見たくて最終日の夕方、南原千畳敷で張った。溶岩質の岩が海岸線にだだっ広く流れ入った状態で海の水に冷まされたのだろう断崖絶壁の形で海にせり出して止まっている。そのため打ち寄せる波は溶岩に打ち付けて水しぶきを上げる。その向こうにぽっかり浮かんでいる八丈小島。どうやら八丈富士よりも古い時代にできた島らしいが、現在は無人島になっている。この日は雲が八丈小島の頂上付近を垂れ込めていてすっきりは見えそうに無い。雲の元をたどろうと左に目をやるとまだまだ雲が行列をなして待っている。八丈小島の山にぶつかり山裾をなでながら上昇して分厚い雲となって八丈富士まで続いている。

お日様の底辺が雲の上辺に触れたときピラミッドの上に輝く神の光を見るかのような光景となり、雲の裏に回ってからは雲と山をシルエットのように描き出す。もうこれでだめかなと思いながらしばらく待っていると、山の右裾野あたりで雲の底辺から再び顔を出し、今度はキャンドルのような鉄の溶けたようなオレンジ色の光が放たれた。その光は山の裏から照らしながら、山裾を覆い隠すほどの輝きで最後のあがきであるかのように光り輝いて落ちていった。今度はぜひ晴れた日に見てみたい。


 ---  月曜の夜は面倒なので郷土料理を食べに行こうということにしていた。毎日の道すがら気になっていた店に入ってみた。店の名前は白い看板には書かれてないようだったがあとで「膳」と言う店だとわかった。どこか沖縄で郷土料理を食べた時の店と雰囲気が似ていて飾らない普通な感じがよかった。早速パッションフルーツサワーにあれやこれや頼んでみる。島のり、島豆腐2種(イカとカツオの塩辛乗せ)、島野菜のかき揚げ、島寿司。焼酎5種利き酒や焼うちわえびにエビシーザーサラダを堪能した。その頃にはすっかり酒に飲まれ上瞼半開き状態。でも先ほどの野菜のかき揚げを使った「かき揚げ丼ミニ」を〆として食べていた。すっかり酔っ払って腹いっぱいにしてテントに戻らせてもらった。ご馳走様でした。ちなみにこの店はこの7月に開店したばかりだそうな。


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Photos taken by Cybershot T1