2004年11月1日(月)  曇り

函館

函館に行ってきた。函館というと「は〜るばる〜きたぜ...♪」だと妻は言っていたが、確かに着いた空港の出口を取り囲んでいたのはさぶちゃんよりももっと怖そうなパンチパーマをしていた人たちだった。親分らしき人が出てきたと同時に威勢よくご挨拶。隣に建て直しているものの到着ロビー側はまだまだ古めかしく、昭和の香り漂うそこは北の地に出所したての人が降り立ったかのような様相だった。

そういう結構珍しいものを見た後は、普通に旅を続けた。今回泊まったのは山水というところで、昭和天皇も泊まったことがあるらしい。ここは函館の街からは離れていて、北に30キロほど行った大沼というところにある。朝一番の飛行機で着いて、函館の町を見て回った後、夜に着いた。真っ暗で道がわかりにくかったけど、着いたその宿は和風建築の落ち着いた雰囲気だった。

着いた当日は金曜のせいもあり自分たち1組だけ。温泉も中庭の池の鯉も自分たちで独り占めした。土曜日になってもあと2組加わっただけで、結構町から離れているせいもあってか、混んではいなかった。部屋は居間と寝室に板の間が着いている昔ながらの旅館形式で、しっかりと1ドアの冷蔵庫もビールグラスもありました。食事は、旅館にありがちなとにかく大量フルコース、っていうのではなく、程よい量で出してくれたのでベルトをゆるめることもなくしっかり食べられました。さしみにかにやえびやいかなどの海鮮ものや鍋など。初日は苦手な「うに」と「しいたけ」の鍋だったので、食べられなかったけど、伝えて翌日からはちゃんと抜いてくれました。

2日目の朝は快晴!最近ハイキングなど歩くことをしていなかったので、大沼周辺を歩きたいと思っていた自分には絶好の天気となった。ガイドブックには小さくしか紹介されていなかったので大して人もいないだろう、と侮っていたが、行ってみると結構人が来てた。観光バスも来るほど。ちょうど福島の五色沼のような感じだろうか。まだまだ自然が残っていて、きれいな景色を拝めるけど、それなりに人が来てる。そんな感じだった。

前方に駒ケ岳を望み、大沼と小沼に分かれた二つの沼に点々と小さな島がある。それらを橋でつなぐちょっとしたハイキングコースが何本かあった。この沼は山の噴火で川をせき止めてできたという。思わず案内板の横に100円献金で売ってた「湖畔遊歩道セルフガイド」を買ってしまった。コースを回るだけならとりあえず観光協会とかで配っている地図で事足りるので心配ない。

宿の窓の外には真っ赤に染まるもみじがあったので、こちらも?と期待したものの、宿の人にも聞いてた台風23号の影響でか、葉は散り、色づかず枯れているのが結構見受けられた。それでも黄色や赤、時にはピンクと遠目には難しそうな絵画にもなりそうな景色に見とれながら、歩く。池に写り込む山や空、もみじなどを撮りながらなんだかんだですべてのコースを回ってしまった。せっかくの秋模様と静けさを堪能したいのに、沼を走る観光用ボートが音と波を立てて行き来するのが時折邪魔をしていた。せっかくのゆっくりとした時をどうしてせわしくボートでまわりたいのだろうか?


3日目は五稜郭などを回り、再び函館の町で教会が集まる地区を散策。小樽、神戸、長崎、函館、これまで訪れたそれらの町はどこも港町であり、山や丘を背に港との間に広がる坂を中心に教会や西洋文化が入ってきたことを物語る。函館の場合は教会がロシア聖教なのが印象的で、北なんだなあというのを感じた。

もう一つ北を感じたのは、北方民族資料館。アイヌ民族にかかわる資料が展示されていた。以前アメリカにいたときにちょっと文献をあさってみたアイヌ文化に久しぶりに触れた。本当は北海道には沢山アイヌについての資料やそれを公開している場所があるのだろう。日本での唯一の先住少数民族といえるアイヌ。なぜか興味を持った。アメリカンで見たネイティブの文化とアイヌがベーリング海峡でつながっているところなのか、日本は純血単一民族だと言い張る政治家がいっぱいいる反発だろうか、彼らの作るもののデザインの秀逸さだろうか。自分がその文化に共通点を見出しているわけではないけれども、ここまで近い場所に存在しているまったくの異文化に純粋な興味を抱いていたのかもしれない。文化は常に栄え廃るものではあるけれど、自分の近くで民族性が失われていくのは見るに忍びない。特に人と違うことを全般的に好まない日本人。独自性を保ちつつもお互い協同しあうことに人は恐怖を感じるのだろうか。


今回の旅行でいろんなところで食べ歩いた。いくつか感想を。

  • 長谷川ストアのやきとり弁当。---中身はやきとりじゃなくて焼きトン。300円台のお弁当で、レンガ倉庫近くの本店では店内で食べることができました。そういえば、まわりに牛丼店を見なかったので、こういうのお手軽で美味しくて安くて結構よかったです。単純明快。白いご飯にのりを乗せ、その上に3本の串焼き豚ねぎ、これに焼き鳥のたれをかけたもの。一度食ってみるべし。
  • 恵比寿屋食堂。---朝市をただぶらぶら歩こうとすると気を抜いているとすぐ買わされそうになるので要注意。朝市のところにあるここで食べてみたのはどんぶり。味は飛び上がるほどはうまくなかったです。
  • ひし伊。---ここでは太り続けるお腹を気にしてみつ豆とコーヒーにしました。何しろ雰囲気は抜群です。2階の座敷もゆったりしていて、人が少ないときに行くと思わずウトウトしそうで。。。1階がアンティークショップ兼用になってるようです。
  • 茶房 旧茶屋亭。---ここも外観でやられて入りました。大正ロマンを醸し出した内装はやっぱり写真に撮りたくなります。寒かったこの日に頼んだのはおしるこ(抹茶つき)。丸いお椀の下に三角の天辺を折って縫った袋状の布が敷かれていて、持つ手も熱くなく保温してくれる気の利きよう。最初にさくら茶、最後にぶどうのシャーベットが出てきました。ゆっくりできるカウチに座って一服にはいい場所です。
  • Snaffles。---赤レンガ倉庫を歩いてると試食をやっていました。よくあるチーズケーキっぽいものだったので、ちょっと食してみることに。う〜ん、これはうまい。以前どこかで食べたことがあることを思い出しながら、その日はこのショップで他のケーキを二人で3つ食べてしまいました。どれも美味しかった。結局最終日、ここに戻ってきたとき1個だけ買ってじっくり食べさせてもらいました、チーズオムレット。これ最高!買い占めたかったけど、お腹周りを気にして涙をのみました。
  • 五島軒。---最後の最後で食べたのがここ。行った店はすごく広くって、多目的ホールのような感じ。つくりは明治、大正チックな内装になっていました。名物はカレーのようだったのでビーフカレーをいただきました。中辛と書かれていましたが結構辛くて、うまい、というよりは辛いという印象だけが残りました。