目的と種類
キャラクターは情報収集のために会話を行ったり、対話の中で自分の要求を通したりする機会もあるでしょう。
○目的
プレイヤーは実際に相手と話をする前に、何を目的とした会話をするのかを明らかにする必要があります。相手に質問を行うのか、交渉を持ちかけるのか、あるいは説得を行ったり圧力をかけたりするのかによって、判定に用いる技能が違ってきます。
○種類
▼事前準備
直接対話を行う前に、噂を通じて情報を集めたり、相手と面会するための下準備を行う段階です。
◇噂
特に該当する技能がない場合は、《会話技術》を用いて話術の判定を行って下さい。特定の業種や社会階層など、何らかの分野に関連する噂を集める場合は、《所属知識》《上流知識》《裏社会》といった技能を用います。◇信用
初対面の人や警戒している相手に信用させ、心を開かせるために判定を行います。判定には《会話技術》の技能を用いて下さい。
▼直接対話
実際に特定の相手と会って会話を行う場合です。
◇通常会話
相手から何か話を聞き出したり、自分の主張を相手に納得させたい時には、《会話技術》の技能を用いた判定を行います。◇取り引き
相手と何らかの取り引きを行ったりする場合は、《駆け引き》の技能を用いた判定を行います。◇圧力
相手を恫喝して心理的に優位に立ったり、尋問を行って人から情報を引き出す時には、《駆け引き》の技能を用いた判定を行うことになります。◇嘘・演技
相手を騙したり、違う人物を装って行動する場合は、《演技力》の技能を用いた判定を行います。
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判定方法
会話に関する判定は以下のような手順で行うことになります。
○判定の適用
会話に関する判定を行うのは、それが結果を左右する場合に限られます。いくら口がうまくても法律を覆すことはできませんし、人の心を簡単に鞍替えさせるというわけにもゆきません。
会話に関する判定は他のものと同様に、GMが指示した場合のみ試みることができます。何を言っても結果が変わらないと設定されている場合は、いちいち判定を行う必要はありません。逆に予めこの台詞を言ったら成功と決められている時は、それに類することを口にすれば良いことになります。この場合はどのように言ったかはさほど問題ではありません。なぜならば、それは判定する必要もなく成功する、難易度0の判定と同じだからです。
○判定の基本
▼能力値
会話に関する技能判定は、基本的に【判断】の能力値を基準とします。▼会話の内容
判定を行う際には、どのような内容の話をしたのかを、プレイヤーに告げてもらう必要があります。というのは、それによって相手が動揺することもありますし、逆にPCの心象を悪くする可能性もあるからです。
話の内容が相手に心理的影響を与えると考えられる場合は、GMの判断で幾らかの修正を加えて判定を行なわせて構いません。これは状況修正の一種として扱って下さい。
○プレイヤーとキャラクター
会話を行う場合は、プレイヤーとキャラクターの能力を混同しないよう、GMは注意して判断する必要があります。
▼プレイヤーの判断
プレイヤーの判断力は、会話をどのように行うのか、どうやって条件を整えるのか、という部分で発揮されるものです。プレイヤーがいかに巧みに弁舌を弄したとしても、それ自体は判定の基準に組み入れられることはありません。いくら芝居がかった大仰な台詞でも、内容が的外れであれば何の効果も持たないのです。逆にいくら的確な内容の発言でも、言い方によっては逆効果になる場合もあります。GMはこの点について、冷静に判断を行うようにして下さい。▼キャラクターの能力
実際に上手く会話を行うことが出来るかどうかは、判定を行って判断する部分となります。つまり、キャラクターの能力と技能が、会話での力量を表わす要素だということです。
○キーワード
GMは特定の言葉をキーワードとして定めておくことが可能です。会話の中でキーワードが出て来た場合、判定に何らかの影響を及ぼします。
▼前提キーワード
会話を行うために必要となるキーワードです。これを話さなければ相手と面会したり、会話することを断られてしまいます。▼効果的キーワード
会話を有利にするキーワードです。この言葉が会話の中で出て来た時は、判定時にプラスの修正を与えたり、判定成功時に得られる成果にボーナスを加える、といった処理がなされます。▼決定的キーワード
決定的なキーワードを言った場合は、判定を行うことなく目的を達成することが出来ます。これは登攀であれば梯子の、錠前を開ける場面であれば鍵の役目に相当する言葉となります。
このキーワードを探すこと自体が、情報収集の目的として設定される場合もあります。このような言葉は1つだけとは限らず、幅を持たせて幾つかの言葉を用意しておくこともあります。また、5つあるキーワードの3つ以上など、定められた数の言葉が揃わなければ有効とはならない、という設定にすることも可能です。▼禁止キーワード
不愉快にさせる言葉を口にしてしまった場合は、確実に相手の機嫌を損ねてしまうことになります。この時は相手の信用を失ったり、判定にマイナスの修正を受けたりすることになります。絶対的な禁句を言ってしまった時には、会話をその場で打ち切られたり、相手を敵に回してしまう可能性もあるでしょう。GMは言葉の内容をよく吟味して、相応しい反応をNPCに取らせて下さい。
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対抗判定
○基本
相互に心理的な影響を与えたり、相手との駆け引きが必要となる会話判定は、その多くが対抗判定となります。何か意図があって会話を持ちかける時は、その目的に合った技能で判定し、相手の達成値を上回る必要があります。対抗判定で勝利した場合、何らかの利益や情報を得ることが出来ます。
○種類
対抗判定に用いることが出来る技能には、以下のような種類があります。
▼自我抵抗
誘惑や恐怖に耐えたり、相手の主張に心を動かされないようにするためには、【自我抵抗】の判定を行わなければなりません。・対抗:誘惑、威圧、雄弁、説得、詐欺...etc.
▼駆け引き
相互に条件を出し合って交渉したり、威圧を行って相手よりも精神的に上位に立つために用いる技能です。これらの行動を試みる場合は、相手側も《駆け引き》の技能を用いて対抗判定を行います。・対抗:交渉、威圧...etc.
▼精神知識
顔色や仕種から心情を読み取る技能です。相手の嘘、演技、心の動揺などを見抜くことが出来ます。・対抗:嘘、演技、動揺...etc.
▼分析力
得られた情報を分析し、その意味を正しく理解するために用いる技能です。また、相手の嘘や詐術に対して、内容の矛盾から疑念を抱くことが出来ます。・対抗:嘘、矛盾、詐欺...etc.
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状況修正
キャラクターの口調や身なりによって、相手が機嫌を損ねてしまうことも十分に考えられます。逆に相手の心証を良くする要素があるならば、互いに気持ちよく会話を進めることが出来るでしょう。このような条件による影響は、判定時の状況修正として表現されます。
○礼儀と身なり
礼儀や服装といった要素が問題となるのは、相互の身分差が激しい場合です。よほどのことがなければ、見た目に関する要素については、特別に考慮に入れる必要はないでしょう。逆に、階層を問わずに影響を与えるのは口調や態度です。PCが目に余る態度を取ったり、相手の心証を悪くするような口調で会話を行う時は、マイナス修正を加えて判定を行わせて構いません。
▼前提
上流階級の人間に交渉を持ちかける場合には、礼儀作法(専門:記憶+上流知識)の知識が必要となります。相手がこちらの素性を疑っていたり、見下しているような素振りが見られる場合には、判定に成功して相手の信用を得る必要があるかもしれません。▼修正
〈礼儀作法〉なしでも交渉を行うことは可能ですが、相手がそれで悪印象を持つ可能性があります。相手が不快に思うような行動を取った時は、GMは以降の判定にマイナスの修正を与えて下さい。▼身なり
服装がきちんとしていない場合も同様です。正装とまではゆかなくとも、適度に清潔な身なりをしていなければ、−2程度の修正を受けることになります。ボロボロの身なりであれば−4以下となり、場合によっては話を聞いてもらうことさえできなくなるでしょう。▼常識
一般作法(一般:記憶+上流知識)、もしくは常識判断(一般:判断+一般情報)の判定に成功すれば、どののような言動が相手に不快感を与えるのかがわかります。なお、常識について相互の意識が大きく異なると考えられる場合は、幾らかのマイナス修正を与えて判定を行なわせて下さい。
◆上流身分との会話
修正 状況 −2 きちんとした服を着ていなかったり、言葉遣いが下品な場合など −3〜 言動によって不快感を与えた場合や、ボロボロの服を着ている場合など
○事前調査
素性も性格もまったくわからない相手と会話を行う時は、思わぬことから機嫌を損ねてしまう可能性があります。相手が気さくな人柄なのか、無駄話を好まない人物なのか、あるいは堅苦しい話し方を嫌う人なのかといった情報は、滞りなく会話を進める上では重要な要素となります。
もし、会話を行う相手について事前に調査を行っていた時は、判定にプラスの修正を与えてもよいでしょう。逆に一切の調査を行わなかった場合、いくらかのマイナス修正を与えたり、余分に時間を消費させるなどのペナルティを与えても構いません。
○賄賂による修正
賄賂を贈ったり接待を行うことで、相手の口を開かせたり条件を緩和してもらうというのも、立派な交渉手段の1つです。
▼消費
賄賂によって便宜をはかって貰おうとする場合、どの程度の時間、金銭、手間をかけるのかを明らかにする必要があります。▼基準
賄賂の基準は相手がどれだけの金額で満足するかによるもので、その人物の収入や財産によって異なります。相手が十分に満足するだけの金品を贈った場合は、以降の会話判定に+4程度の修正を与えて下さい。不足と感じた場合は+2などに修正が下がることになりますし、金額が桁違いに大きければ無条件で交渉を成立させることも出来るかもしれません。▼条件
予め不正な取り引きが逆効果であると設定されている人物に対しては、賄賂は逆に相手を怒らせる結果となるでしょう。この場合、金額による効果はまったく逆方向へと作用します。賄賂を絶対に受けつけないという人が相手だった場合は、二度と話を聞いてもらえない可能性もあるので注意しましょう。▼影響
賄賂も種類によっては犯罪となる場合があります。それが明るみになった場合は犯罪者として扱われる可能性もありますので、注意した方がよいでしょう。また、それによって評判を落とした場合は、判定に不利な影響を受けたり、会話自体を受け付けて貰えないこともあるでしょう。
○その他の影響
その他にも、下表にあるような影響によって、会話判定に不利な修正を受ける場合があります。
◆会話判定の修正値
修正 状況 −2 動揺していたり、好みの異性が交渉相手の場合など −3 非常に混乱している場合や、態度や服装などが非常に場違いである場合など −4〜 話の内容が常識で考えて到底ありえないと思われる場合など
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