カーカバート/全体情報

概要基本情報自然文化・生活人物・集団


 

概要


 人の住む地域に変異らしい変異が見られない、エルモア地方でも非常に貴重な土地です。地形的要因などから他国から攻め入られたことがなく、政治的な中立地帯となっています。
 カーカバートには2つの意味があり、1つは交易都市カーカバートとして、もう1つは自由都市連合をさす言葉として使われています。カーカバート自由都市連合は経済同盟であり、メルリィナ南部のランカスティア半島一帯に存在する、独立した都市や小自治体で構成されています。
 この一帯は中継貿易港となっており、エルモア中の品々がここに集まります。人の出入りも多く、特に中心となるカーカバート市は賑やかさで知られています。スパイの活躍する都市、亜人が自由に徘徊できる都市、若き芸術家たちの夢をかなえる都市など、カーカバートはひとりひとりに対してその顔を変えます。文化の交流地であり様々な人種が入り乱れる様は、通りにたたずんでいるだけでも退屈を忘れさせてくれます。しかし、そうしている間にも影では様々な密約が交わされ、種々の陰謀が繰り広げられているのです。ここ数年、政治的陰謀から影を潜めていた暗殺者ギルドの動きも見られるようになって、各国のスパイは忙しい状況を強いられています。


 政治:評議会が統括/民主主義
 代表:評議会の委員長が市長に相当
 貴族
:なし
 軍隊
:全体/自警組織/表向きの軍隊を持たない
 警察
:評議会が統括/通常形態
 司法
:評議会が統括
 宗教
:特になし
 教育
:中〜高
 科学
:中〜高
 術法
:中


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基本情報


○ランカスティア自由都市連合

 カーカバートには2つの意味があり、1つは交易都市カーカバートとして、もう1つはランカスティア自由都市連合をさす言葉として使われています。以下の情報は、自由都市連合についての説明となります。
 ランカスティア自由都市連合は経済同盟であり、メルリィナ南部のランカスティア半島一帯に存在する、独立した都市や小自治体で構成されています。これは古くは中央地方から渡来したドゥーガル人の商人連合として存在していたもので、当初より経済圏の統一が行われていました。その後、ランカスティア半島全域はアリアナ海交易の中継貿易港として発展し、一帯の市町村の間で現在の自由都市連合としての同盟が結ばれることとなりました。現在の形態になったのは盟主であるカーカバート市の提唱によるもので、カーカバート市が中心となって連合加盟自治体を取りまとめています。なお、正式名称はランカスティア自由都市連合ですが、カーカバートの影響力が余りにも強いために、誰もがカーカバート自由都市連合と呼んでいます。


○現況

 地理的条件とカーカバート市の銀行に各国の貴族が多額の預金をしているという事情から、昔から政治的な中立地帯として機能しており、他国から直接攻め入られたことは1度もありません。このように表向きは非常に平和に見えますが、影では密約や裏取り引きが頻繁に行われており、種々の陰謀劇が繰り広げられています。ここ数年は影を潜めていた暗殺者ギルドの動きも見られるようになって、各国のスパイは忙しい状況を強いられています。しかし、国家間の影の対立は数多く繰り広げられていても、都市自体がその原因や中心となることは滅多にありません。この都市は常に脇役として闇の中で動き、誰にも知られぬまま目的を達成するのです。


○民族

 黄人系民族のドゥーガル人が中心ですが、殆どの都市が交易を生業としているため、住人には様々な民族が入り混じっています。亜人が全く差別を受けない地域としても有名です。


○宗教

 特に国教は存在せず、住人ひとりひとりによって信仰する神が異なります。夫婦であっても信仰を異にする場合もあるのです。


○科学・教育

 教育水準は高く、殆どの市では高度な教育を受けることが可能です。しかし、内陸部の町村では教育の普及がやや遅れており、初等学校が整備されていない場所もあります。


○産物

 貿易によって成立している都市であり、独自の産物らしいものはセルアシャという植物と魚貝類だけです。


○交易

 アリアナ海を通じた中継貿易を中心に行っています。また、ペルソニアへも商船を出しており、様々な国へ交易品の輸出を行っています。


○交通

 陸上での主な交通手段は馬車となります。この他には船が特に頻繁に利用されており、カーカバート市内では水路を利用した船舶交通が普及しておりますし、都市間の連絡も主に船で行われています。かつては沿岸部の都市を結ぶ鉄道の敷設計画が検討されたこともありますが、選挙や利権の絡みから計画は難航し、結局はカーカバート市とレラ市を結ぶ路線しか建設されませんでした。


○国家関係

▼友好国
 全ての国家に対して友好的ですが、特別な友好国家は存在しません。


▼敵対国
 どの国家とも敵対はしておりません。


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自然


○概要

▼地勢
 カーカバートはメルリィナ南部のランカスティア半島に存在しており、地図上ではメルリィナと接しています。しかし、実際は高い断崖が国境をつくっており、陸路での交流はありません。この断崖のことを、断層国境と呼ぶこともあります。この断崖には幾つか有名な滝があり、壮大な景色を作り上げています。
 南部一帯はアリアナ海に面しており、貿易や漁業で栄えています。沿岸部は波が穏やかで、強風で高波が立つことも殆どないため、港としては非常に理想的な環境が整っています。また、貝類や海草類の養殖も盛んに行われており、特にレラ市が有名です。
 ランカスティア半島一帯は殆どが低地で、500〜1500m程度の山地が幾つか存在するだけです。これら山地から流れる河川の流域には、柑橘類などの果樹園やトウモロコシ畑が広がっています。


▼気候
 全土がアリアナ海型の気候で、夏期は高温乾燥、冬は温暖湿潤という環境です。5月頃から暑くなりはじめ、8月頃には気温が 30度を上回る日が多くなりますが、乾燥しているので体感的な暑さはそれほどでもありません。


○地図


 


○変異現象

 人の住む地域に変異らしい変異が見られない、エルモア地方でも非常に貴重な土地です。強いて例をあげれば、メルリィナとの国境の断崖に生えているセルアシャという名の、摘草に似た青い可憐な花が広く知られています。これを煎じた薬は、若返りの薬として非常に高値で売買されており、国外でも人気のある品です。この薬で本当に若返るわけではありませんが、一時的に老化を停止させる作用があり、特に貴族の女性が競ってこれを買い求めます。


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文化・生活


 民族が多様なため文化的に統一されている様子はなく、各人の好みが強く繁栄されています。派手な極彩色の看板を掲げている店もあれば、質素すぎて店とは気づかれないような場所もありますし、家の中に北方の家具を揃えている人もいれば、その隣はペルソニア風の飾りを施していたりもします。
 この国には常に表と裏の顔があります。たとえば昼間の大通りでは、万物市と呼ばれる各国から輸入されてくる種々雑多な品を扱う市が開かれるているかと思えば、ひそかに裏通りでは闇市という盗品を扱う店が軒を連ねた市で賑わっています。こういった場所では奴隷や子供の売買もされており、かなり地位の高いものも顔を出しているようです。


○食べ物

 貿易の中継地ということで様々な食べ物が入ってくるわけですが、特に多く食べられているのがパスタ類と魚介類でしょう。街を歩けば魚のすり身の麺や魚の揚げ物などが屋台で売られており、住民たちが歩きながらこういったものを食べている姿が目につきます。最近はデシャンプルカというパスタの一種が、若い人を中心に人気を集めています。これは麺を油で揚げて、その上に細切りにした具を乗せて食べるというもので、その手軽さからこれを売る屋台が増えています。また、この都市ではイカがよく食べられており、酢づけのイカやリングフライ、あるいはイカスミパスタといったものも売られています。


▼飲み物
 カーカバートの人々はコーヒー好きでも有名です。お茶といえばコーヒーをさすぐらいで、ウィンナ・コーヒーやブランデー・コーヒーといった、他国ではあまりお目にかかることのない品が楽しめます。


○ギャンブル

 カーカバート市はカジノの街としても知られており、国外から観光で訪れる貴族をあちこちで見かけます。高級リゾート地のカジノは、単にギャンブルを行うためだけではなく、密談を行う場としても利用されており、特定の会員のみが入室できる特別室も備えられています。もちろん、ギャンブルは上流階級の人間だけでなく、中層市民や下層市民にも楽しまれています。貧民街でも毎日賭事が行われており、その日の稼ぎを全てギャンブルに費やす者も珍しくはありません。


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人物・集団


○組織・集団

▼黒十字会
 経済問題を取り扱う秘密結社で、エルモア中の商取引を操作しています。他国の政策にさえ影響を与えるほどの力を持っています。

▼暗殺ギルド
 超一流の腕を持つ暗殺者集団で、裏の世界では知らぬ者のないほど有名な組織でありながら、その実体を知るものはほとんどいません。

▼子供商会
 子供専門の人身売買組織であり、子供の教育も行っています。チャイルド・マーケットと呼ばれる闇市を開き、主に貴族や地主などを相手に商売をしています。

▼カーカバート純系市民団
 亜人種撲滅を推進する集団で、つい先頃からカーカバート市内で活動を開始しています。この冬の終わりに、ある裏路地で亜人の殺人事件が起こりましたが、その死体の側に亜人撲滅と次の犯行予告を示すメッセージが添えられておりました。その後、2件の亜人殺害事件が発生しており、全身に数百カ所の打撲痕のある死体と、亜人の特徴を示す部位と顔面が潰された無惨な死体が発見されています。

▼カーカバート自由活動調停会議
 カーカバートの闇組織の間で問題が起こった時に、その調整を行うために開く会議です。これは主要な法外集団が互いに被害を及ぼしたり、不要な敵対関係をつくらないために存在しています。この組織には全く拘束力はなく、あくまでも調停の場を設けることが仕事となり、自由活動調停会議準備会という下部組織が、会議場の維持と連絡役を務めます。
 調停会議は参加団体の要請に応じて開かれるもので、いつでも必要な時に指定した団体を招集することが出来ます。また、当該団体はそれぞれ適当な第三者団体、あるいは調停会議の存在を知る弁護士等を指名して、調停および弁護の役を引き受けてもらうことが出来ます。
 問題解決は当該集団と調停者による相談によって行われます。この調停会議に参加を表明した時点で、いかなる武力および圧力行動も禁止され、それを守らない場合はこの会議に所属する全団体を敵に回すことになります。ただし、参加団体が会議の席につくかどうかは、その都度選択する権利を持ちます。会議での解決を選択しなかった場合は、その他の参加団体とは無関係に、当該団体同士で自由に決着をつけることになります。
 会議場として用意されているのは、表向きは法律事務所の看板を掲げた空き事務所です。その地下には大きなフロアがあり、会議場、待機場、個別の相談所などが用意されています。当然のことながら建物には抜け道が用意されており、外部の目を気にすることなく出入りすることが可能です。


○人物

▼エロル=ガスパーラント(男/47歳)
 13人委員会のメンバーの1人で、陰謀家として恐れられています。食い道楽で知られており、港に他国の珍しい食べ物が運ばれてくるのをいつも楽しみにしています。でっぷりと肥え太っていて、部下に左右から支えてもらわなければ歩くことができません。

▼ブラックピジョン(男/28歳)
 子供商会の一員であり、影使いとして知られる術法師です。その能力で子供をさらうことを仕事としています。

▼フリアン(男/33歳)
 広場で芸を披露しているマジシャン。道化師の扮装をしているため非常に目立ちますが、化粧を落とすと一転して弱気になります。しかし、裏の世界では有名な情報屋で、都市の情報で知らないものはないとさえいわれます。

▼盗賊キャットテイル(女/24歳)
 猫のように吊り上がった目と尻尾のように結った髪から、このように呼ばれています。盗品を標的にしている泥棒で、裏組合を敵に回しています。普段は骨董品屋を営む未亡人に扮しています。

▼死の翼デュラリス(男/25歳)
 暗殺ギルドを抜け出した凄腕の暗殺者で、現在はギルドから指名手配されています。

▼サーラ(男/28歳)   32歳  女
 美しさを歌う者という二つ名をもつ歌姫で、港では一番の人気者です。航海から戻ってきた水夫たちは、真っ先に彼女の歌を聞きに店を訪れます。逆に彼女の方も、この街の水夫の名前をみんな覚えているという話です。

▼キルケ&ミカラ(女/13歳)
 表向きは宿屋の双子の娘なのですが、実は夜の積み木という裏の名を持つ暗殺者です。もともとは捨て子で、暗殺ギルドに拾われて人殺しの技術を叩き込まれました。もちろん、その宿屋も暗殺ギルドの支部で、メンバーは一家と従業員という表の役割を演じています。


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概要基本情報自然文化・生活人物・集団