(G)南東部/全体 


 


 ペルソニア南東部(G地域)はその殆どが未踏の地域であり、過去に探検隊が1つの遺跡を見つけた他には、まだ何も情報を得られておりません。特にウォール・ラグーンと呼ばれている場所は、周辺を高い山々で囲まれているためか、現地の人々でさえ伝承でしか知らない土地となります。


○地勢・気候

 ペルソニア南東部は熱帯性の気候で、1年の平均気温は30℃ほどになります。海から吹く風によって空気は湿っており、気温、雨量ともに安定しています。
 これより北のD-4地域は湿地が続いておりますが、G-1地域は比較的しっかりとした地盤で、ゼオホ川の下流域には土砂が堆積してできたパト平野が広がっています。この一帯の海岸は断崖絶壁となっているため、海での漁は行なわれておらず、人々は主に農耕と川漁で生活の糧を得ます。
 南のウィノー川流域は熱帯雨林が鬱蒼と茂る密林地帯で、現地の部族がわずかに暮らす以外は、大自然の景観がそのまま残されています。平野部に住む人々もここに足を踏み入れることは滅多になく、奥地の様子を知る者はおりません。
 西にそびえるグレボロ山地より向う側はさらに未知の領域となり、まったく情報がない地域となります。伝承によれば高い山々に囲まれた大地があるらしく、礁湖に似たその形状からウォール・ラグーンと呼ばれています。


○ラルケシュの民

 現在のところは、ゼオホ川の流域に広がるパト平野(G-1)に住む人々に関しての情報しかありません。彼らは自らのことを『ラルケシュの民』と呼んでいますが、これは『神々のしもべ』という意味を持つようです。始原ペルソニア文明のプシュケシュ王国に似た名であるため、その末裔ではないかと考える人もいます。


▼人種
 原住民の多くはバウンシャ系赤人のようですが、一部にエルモア地方に住むレプラッド系と思われる赤人や、赤人と黒人の混血であるレバンド人も住んでいるようです。


▼言語
 文化的な意味で興味深いのは、住民の一部が始原ペルソニア語を断片的に読めることです。また、彼らが話す言葉は訛りのあるペルソニア語なのですが、中には始原ペルソニア語の単語も含まれているらしく、かなり以前の段階で外部から孤立したのではないかと推測されています。
 もう1つ面白い発見は、現在のペルソニア語と同じ意味で、発音も近い単語であるにもかかわらず、文字だけが異なるものが数多く存在することです。ラルケシュの民の方がより起源に近いならば、これまでのペルソニア文字を元にした古代語の解読法は全くの的外れで、彼らの用いる文字こそが鍵になると考えられます。


▼外部交流
 ラルケシュの民は外部との交流は殆どなく、長く独自の文化を築き上げてきたようですが、密林に住む部族とはわずかに交易があり、鳥獣の肉や山地で取れる貴重な香辛料などが取り引きされていました。完全な外界との接触というのは、おそらく聖歴700年代の初頭に訪れたラガンの調査隊が相手です。また、現在は定期的な交流というものは持たれておりませんが、聖歴784年にロンデニアの調査隊をナクラム遺跡に案内しています。

・関連ナクラム遺跡


▼信仰
 彼らの信仰は自然崇拝であり、太陽などの特定の自然要素や生き物ごとに神が存在すると考えます。その他の信仰でいえばマイエル教に近いのですが、目的としているのは自然と共存した慎ましい暮らしで、禁欲的な教えに従って生活しています。なお、伝えられている神話や伝承は聖獣信仰に似ているものの、神々は絶対的な存在ではなく時には過ちを犯したり、神同士が結婚して子供をつくるなど人間的な側面もあるようです。
 
◇巨神
 巨人の姿をとる擬人化された神々を崇めています。ただし、偶像崇拝は行なっていないため、ナクラム遺跡にあった神獣の像にも特に興味はありませんでした。

◇聖地
 彼らはグレボロ山地の向う側に神が住む理想郷があると信じており、ウォール・ラグーンを聖地としています。聖地のことは『リ=ラピス』と呼んでおり、神のこともリ=ラピスの神々といいます。

◇限定情報:禁忌
 彼らの伝承では、神に選ばれた者しかグレボロ山地を越えることは出来ないと伝えられています。また、異教を排斥するような極端な信仰はありませんが、教えでは異教徒が聖地に入り込むことは絶対の禁忌とされています。ですから、探索に訪れた異邦人が聖地を目指していると知った場合は、何らかの対策を取る可能性が高いでしょう。実際、ラガンの調査隊が遺跡を発見した時は、ひそかに尾行して神々の大地を穢さないか見張っておりましたし、ロンデニアの調査隊が来た際にも監視を兼ねて案内役を引き受けたのです。
 ただし、彼らが警戒しているのは聖地への侵入であって、調査の邪魔をする意図はありません。神の教えに従って自然に寄り添って生きることを目的としている彼らにとって、遺跡に眠る財宝など価値はありませんし、静かな暮らしを邪魔するつもりがなければ非常に友好的な人たちなのです。


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