○概説
ブルム内海の出口近くに位置する小島で、いずれの国家の領土でもない独立した存在です。古くはイーフォン皇国の支配下にあったのですが、皇国の崩壊以後は様々な国家の領土となり、やがて中立地へと立場が移り変わりました。
○現況
現在は海賊船の母港となっており、船のねぐらと呼ばれています。多くは通商海賊として交易船を狙い、荷役の一部を奪うことで生活を成り立たせています。基本的に殺しはせず、彼らはあくまでも通航料として徴税しているのだと言い張ります。逆に通航料を払わない他国の船の方が泥棒だとさえ主張しているのです。
こういった略奪行為に対して、各国は様々な対策を考えてはいるのですが、今のところはこの島の近海を知り尽くしている海賊たちの方が一枚上手のようです。しかし貿易時代に突入した現在、彼らの存在は邪魔以外の何ものでもなく、いずれの国もそろそろ本格的な討伐に乗り出すことでしょう。
また一方で、霊子機関の普及とともに海賊たちの船はいささか時代遅れとなっており、いずれ彼らが食いっぱぐれることになるのは明らかです。もちろん海賊たちもこうした事態を見越しており、霊子機関など新しい技術の導入を真剣に検討しています。
○民族
▼ラチェン人
もともとはヴァンヤン島に住んでいた黄人であり、海賊王と呼ばれたラグの末裔たちです。ほぼ全員が海賊として略奪行為で生計を立てています。▼その他
各国から集まったならず者たちが住んでいます。その出自はばらばらで、様々な民族が入りまじっています。
○自然
ごつごつした岩だらけの島で、植物も雑草や小さな潅木ぐらいしか生えていません。農耕には全く向かない土地ですが、南の岩壁の付近は海鳥の糞が厚い層となって堆積しており、これを切り出したものが良質の肥料として取り引きされておりました。
島の周囲は海流が乱れており、また無数の暗礁が隠れていることから、穏やかなブルム内海の中では唯一の難所となっています。
○変異現象
北の入り江に藍青海と呼ばれる藍色の海が広がる場所があります。ここは星のように薄ぼんやりと光る何かが流れていますが、その正体はまったくの不明です。というのは、この光は見えることはできても触れることは全くできないためで、特に害を及ぼすわけではないのですが、船乗りたちは気味悪がって近づこうとはしません。
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