概要
南北に細長い国土を持ち、南端はアリアナ海に接しています。ルワール大公を首長とする貴族支配国家で、ルワール公国の領主が代々の大公を世襲的に受け継いでいます。
5年ほど前から南部でドゥーガル人による独立運動が起こっており、これを平定するために軍が出動しています。反乱は今でも続いていますが、法教会など他勢力による裏からの支援があるため、これを鎮圧することが出来ないまま現在に至っています。
また、海への道を求めるカイテイン帝国の侵攻が予想されており、現在は軍備の増強が急がれています。カイテインの南方政策において重要な位置にあるこの国は、近年では他国からアリアナ回廊と呼ばれています。ルワールの内乱はカイテインにとっては好都合ともいえる状況ですが、南部で海洋貿易を行っている国々にとっては非常に都合が悪く、法教会に対して圧力をかけるなどの干渉が行われています。
政治:全体/貴族主導の政治/身分制議会/民意は反映されにくい
:地方/領邦国家/領主貴族の支配
代表:大公
貴族:支配階級/領主貴族/諸特権を持つ
騎士:存在/軍人
軍隊:全体/国家軍/地方軍を統括
:地方/領主貴族が統括
警察:領主貴族が統括する独立組織/治安判事
司法:領主貴族が統括する独立組織
宗教:聖母教会/中
教育:低〜中
科学:中
術法:中
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基本情報
ルワール大公を首長とする貴族支配国家で、ルワール公国の領主が代々の大公を世襲的に受け継いでいます。南北に細長い国土を持ち、南端はアリアナ海に接しています。
▼国号
正式名称にはルワール朝による東メルレイン連邦国家となります。これはメルレインという国から独立した時につけられた名称ですが、メルレイン王国がはるか昔に滅亡していることもあって、この名称は全く使用されておりません。現在では内外を問わずルワール大公国と呼ばれており、これが正式の国名として通用しています。▼国旗
地の部分は1:4で赤と白に塗り分けられており、白地の部分に大公家の紋章である黄金の獅子の横顔と交差した二本の旗が描かれています。▼貴族
支配階級であり、強い権限を持っています。領主貴族は1つの自治体を統括する存在であり、地方軍の将としても活動します。無領地貴族には官僚として働くものと、騎士として領主貴族に仕えるものがいます。▼統治
大公ミューレル(男/48歳)が統治者として君臨しております。▼首都
シュビック地方にあるルディナ市です。約100年ほど前に遷都された比較的新しい都で、通りが垂直に交わる整然とした街並みに設計されています。
○現況
5年ほど前から、アランフェルト地方を中心にドゥーガル人による独立運動が起こっており、これを平定するために軍が出動しています。反乱は今でも続いていますが、法教会など他勢力による裏からの支援があるため、これを鎮圧することが出来ないまま現在に至っています。
また、海への道を求めるカイテイン帝国の南部侵攻が予想されており、現在は軍備の増強が急がれています。カイテインの南方政策において重要な位置にあるこの国は、近年では他国からアリアナ回廊と呼ばれています。ルワールの内乱はカイテインにとっては好都合ともいえる状況ですが、南部で海洋貿易を行っている国々にとっては非常に都合が悪く、法教会に対して圧力をかけるなどの干渉が行われています。
○民族
▼カリスト人(白人)
赤い巻毛に鳶色の瞳をもつ白人です。幼い頃はそばかすが多いのも、この民族の特徴です。全人口の70%ほどを占めています。▼マイリール人(白人)
旧エクセリール王朝由来の民族で、金髪で碧眼の白人です。国土の北部に多く住んでおり、全人口の15%ほどを占めます。▼ドゥーガル人(黄人)
黄人で、髪や瞳は茶色あるいは黒色です。南方の一部に住んでおり、全人口の10%程度を占めています。▼カイン人(白人)
小麦色の肌に金髪で、瞳は濃い青かあるいは深い緑色をしています。ジグラット由来の民族で、全人口に占める割合は5%以下となります。
○宗教
国教は聖母教会であり、北部の都市アルマーナには中央教会の『氷の聖アルマ』教会があります。ただし、ドゥーガル人は法教会の教えを受けています。
○科学・教育
教育水準は低く、農民層では文字の読み書きが出来ない者も多くいます。しかし、近年では他国に追いつくために幾つかの改革を行っており、ロンデニアを通じて盛んに最新技術の導入を試みています。
○産物
▼農産物
小麦、トウモロコシ、大豆、綿花、落花生、柑橘類、米、トマト▼鉱産物
鉄、石炭、硝石、銀、銅、鉛、亜鉛、水銀▼その他
魚、ランプ、ガラス製品、細工鏡、綿織物
○交易
アリアナ海を通じた海上貿易で発展した国家ですが、現在は海上での勢力は衰えており、ロンデニアの中継貿易港としての性格が強くなっています。主な輸出品は硝石とガラス製品であり、特にガラス工芸品の評価は高く、国外からも注文が殺到しています。
○交通
主な交通手段は馬車であり、鉄道も山間部などで資材運搬用に使用される程度となります。ペトラーシャなどの先進諸国を模倣して、都市間の鉄道敷設を推進しようとする者もおりますが、貴族たちの反対によって机上の計画で終わっております。
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国土
○概要
山脈の合間に存在する南北に長い国です。北部はペトラーシャ、西部はメルリィナ、東部はエリスファリアおよびジグラットと接しており、南部にはアリアナ海が広がっています。山脈に接する部分には海抜2000m級の山もありますが、国土の殆どは平野がひらけています。
国土全体は温帯に属しておりますが、気候は南北で大きく異なります。北部は夏期は高温で冬期は寒冷な大陸性の気候となりますが、南部にゆくに従って寒暖の差が少なくなり、中部では年間を通じて穏やかで過ごしやすい気候となります。ただし、山裾に広がる地域では、山から吹き下ろす風によって寒さが厳しく感じます。南部は暖かい湿潤な冬と乾燥した夏を特徴とするアリアナ海型気候で、年間を通じて非常に過ごしやすい条件が整っています。夏の平均気温は25度近くになりますが、乾燥しているために体感温度はそれほどでもありません。また、冬も0度を下回ることは殆どなく、低地では積雪は殆ど見られません。
○地図
○要所
▼マルロー山地
ウェストリーネ地方の西部にある、平均標高2000mほどの山地です。この麓は天然の硝石が産出される場所で、古くから大公家の所領となっています。南のシュルツ山はもともとはメルリィナ王国が所有しておりましたが、戦勝によって鉱山を含む東部山地を得ています。この山頂を境に、西側はメルリィナ王国の領土と定められています。
▼シューロス連峰
北部のペトラーシャ国境付近にある山地で、標高2500mほどの山々が南北に連なっています。ここでは鉛など数種類の鉱産資源が採掘されています。
▼ペントワール湾
シャルトル市の南部沿岸に広がる、アリアナ海に面する波の穏やかな湾です。ここには古くから軍港が置かれており、現在も軍船が停泊しています。
▼ガラスの小庭
小石ぐらいの大きさの丸くなったガラスが落ちている場所で、シザリオン市の郊外にあります。付近の人々はこれを磨いて装飾品として売り出しています。
▼ラスター川
北部のシューロス連峰に源流を持ち、アリアナ海まで流れる長河川です。北部流域では大雨になると氾濫することが多かったため、現在は調整池や運河で水量を調節しています。
▼レーン湖沼地帯
国内中南部に位置するルディナ市の北に広がる湖沼地帯で、大小9つの湖が集まっています。このうち4つは大きな湖で水深も深く、淡水魚の漁獲が行われています。北のジェイディ湖には体長5mほどもある大ナマズが住んでおり、貴重な蛋白源として古来より食べられていました。
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変異現象
○鏡の檻
鏡の檻と呼ばれる現象が、人々に非常に恐れられています。その名の通り、鏡や水など姿がうつるものの中に閉じこめられるという現象で、いつどこで起こるのかは全くわかりません。このため、この国では行方不明者が数多く出ます。これを解決するため、鏡界士と呼ばれる魔鏡系の術法師が存在します。国は鏡界士に対して生活を保障しており、どんな小さな村にも必ず1人は派遺されます。もちろん国民から非常に尊敬されています。
鏡の檻現象は鏡に最も近い物体に起こるということがわかって以来、この国でつくられる鏡には何らかの模様が施されたり、額縁がつけられることになりました。この習慣は実用とともに芸術となって発展し、この国の細工鏡は各国で有名になり、非常に高価な値で取り引きされています。貴族は最高級の鏡を買い集め、鏡の間と呼ばれる大きな細工鏡で囲まれた部屋を持つことがステータスシンボルとなっています。
○嘆きの野火
これは自然発火現象とも呼ばれるもので、何もないところでいきなり物が燃えだしたり、まれに生物でさえ発火することがあります。あまり頻繁に起こる現象ではないため、鏡の檻現象ほどには恐れられてはおりませんが、それでも充分な驚異といえるでしょう。
○霊魂剥離
その名の通り、生物の霊魂が肉体から離脱し、霊体となってしまう現象です。どのような条件を整えれば体に戻れるのかは、いまだにわかっておりません。時間が経つと自動的に戻ることもあるようですが、そのまま肉体が死んでしまった例もたくさんあります。
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文化・生活
北部の住民は一般に几帳面で、努力を重ねる人が多いと言われています。また、よく約束事を守る人々でもあるようです。南部は孤愁の人とも言われるメランコリックな気質の持ち主が多く、基本的には陽気で情熱的な人々が多いのですが、ふとしたことで憂鬱になって沈み込むことがよくあります。これは南部では昔から国外に旅立つ人が多く、辛い別れを何度も経験してきたためだと言われています。
○工芸
一般にルワール人は器用だと言われています。それは細工物などの工芸品が国外に多く出回っているためであり、特にガラス工芸についてはエルモア随一と讃えられています。硝子細工は地方によっても特色が異なり、切り子硝子やマーブルグラスなど、様々な種類のものが楽しめます。首都には観光用のガラス博物館があり、各地の名品や珍品が並べられています。
▼シャンデリア
繊細な装飾を施された細工鏡や飾りランプもそうですが、特に熟練した職人の手によるシャンデリアは芸術の域にも達しており、権勢を示す格好の道具として、エルモア中の貴族から注文が集まります。このシャンデリアは普通のものとは異なり、色ガラスを混ぜて幻想的な雰囲気を醸し出したり、あるいは宗教画を壁に投影するような、非常に凝った仕掛けが施されていたりします。
▼ガラス幻灯
シャンデリアの絵細工から発展したもので、ガラス製のスライドをただ交換するだけではなく、ターンスコープと呼ばれる手回し式の動画映写機と組み合わせて、幻想的な光景を映し出したりするものもあります。
▼楽器
この国ではガラス製の楽器なども作製されています。ガラス製のカップに大きさの違うガラスのボールを入れて回し、異なる音階の音を出すものや、ガラスの棒で水の入ったガラス筒を叩いて鳴らすものなど、幾つかの楽器が存在します。
○食べ物
ルワールの人は薄味を好みます。特にレモンなどの酸味を薄くつけることが多いようで、レモンソースをかけたりピンクライムの薄切りを添えたりします。お菓子もレモンタルトや蜂蜜づけのレモンなどがよく食べられています。また、最近ではピンクライムの絞り汁を入れたピンクソーダという発泡水が売られるようになり、非常に売り上げを伸ばしています。
近頃の流行といえば、マデリーノ婦人がつくったプチ・マデリーノというお菓子があります。見た目は一口サイズのシュークリームといったところで、プチという小豆によく似た白い豆を小麦粉の薄皮でつつんで焼いたものです。甘さは控え目で、ルワール人の味覚によく合います。
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人物・集団
○組織・集団
▼黄人解放連盟(YLU:イール)
黄人たちの反乱組織で、ゲリラ活動を主体として行動しています。ドヴァリン(頭の意味)という指導者に率いられています。▼獣人郷
亜人地域の近くにある獣人の隠れ里です。亜人たちとは意見が合わないため、交流はありません。▼山岳銃砲衆
パディカース地方のベルゼフ山地を縄張りとする武装強盗団で、軍の輸送部隊を砲撃して糧食や弾薬を奪ったり、鉱山の採掘を妨害するなどの活動を行っています。彼らは銃器や砲弾を用いて遠方から襲撃を行い、山の複雑な地形を利用して逃亡を図るため、非常に厄介な相手となります。しかも、事前に情報を得て周到に計画を練り、慎重で引き際を心得た戦い方をするため、捕縛するのは容易ではありません。
この集団は、最初は単なる食い詰め者の寄せ集めと思われていましたが、最近ではその考えが改められつつあります。というのは、その手際があまりにも良すぎることと、手口の一部に軍隊の戦闘様式がうかがえるためです。
もともと彼らは、ルワール国内では不遇な立場にあったジグラット系カイン人の集団で、黄人たちの反乱を密かに支援してきました。彼らが武装襲撃を行うようになったのは、ルワール北部を活動拠点とする北方民族系の商人たちの支援を受けるようになってからです。北方商人たちは傭兵経験があるという数名をこの集団に送り込み、作戦参謀および野戦の指南役に据えました。彼らの知識や経験は確かなもので、全くの素人だったカイン人たちを瞬く間に手練の武装集団へと仕立てあげたのです。
しかし、北方商人たちの背後にいる勢力については、銃砲衆たちは全く気づいておりません。そもそも北方商人たちは、内乱を利用して稼ぎを増やしたいという名目でカイン人に近づいたのですが、実際のところ彼らはカイテイン帝国と密かに通じているのです。南方への進出を目論むカイテインは、ルワール大公国の内乱を大規模なものにするため、幾つもの裏工作を行っていますが、この集団もその陰謀の1つとなります。カイン人たちは現在もその事実を知らないまま、武装ゲリラ集団として利用されているのです。
○人物
▼大公ミューレル=ルワール(男/48歳)
ルワール公国の領主であると同時に、ルワール大公国の大公(国家君主)として位置づけられる存在です。大公はルワール公国の首長であると同時に、硝石の産地であるウェストリーネ地方のロームベック伯爵領や、首都ルディナ市のあるルヴィンドラ侯爵領の領主でもあります。巧言令色を地でいくような男で、彼に対する人民の評価は真っ二つに分かれます。▼ドヴァリン
イールの長をいう言葉ですが、実はドヴァリンを名乗る者は複数いて、それぞれが大きな部隊を率いています。部隊は状況に応じて臨機応変に活動しており、その実体は掴みにくくなっています。ドヴァリン同士はその間だけでしか連絡をとらず、トゥルー=ドヴァリンと呼ばれる本当の指導者を中心に組織全体を動かしています。▼ディランツ子爵(男/63歳)
メイア市周辺を治める貴族で、無骨な顔立ちをしていますが非常に優しい人物です。現在は運河の建設に取り組んでいるのですが、黄人たちの妨害工作を受けており、なかなか計画は進まないようです。▼リオニル=ラヴィルカーン(男/52歳)
ラヴィルカーン侯爵家の当主で、外務省の高級官僚です。平和外交派の中核を為す人物で、国外に対して様々な働きかけを行っているようです。▼カーラ=ラヴィルカーン(女/20歳)
リオニルの一人娘であり、その右腕として働いています。その外交手腕には定評があり、リオニルに対外交渉のすべてを任されています。現在は国外を飛び回っているようです。▼メルフィーア=デューン(女/33歳)
シザリオン市の南部を治めているデューン男爵の妻で、藤色の洋服を好んで着ていることから藤色の貴婦人とも呼ばれています。一昨年に流産を経験しており、それが原因で半ば狂乱状態に陥ったことから、郊外の別荘に軟禁状態になっています。しかし、心の隙をつかれて悪魔に取り憑かれてしまっており、悪魔の娘を自分の子供だと思って育てています。▼赤獅子公アインシュラ=クエイス(男/44歳)
豪奢な長い赤毛が獅子のたてがみに見えることから、赤獅子公と呼ばれている公爵です。勇猛な武人として知られており、サスティナ砦の防備を任されています。▼ナシュエリュアル(男/?歳)
最強の鏡界士と呼ばれる年齢不詳の老人で、100歳を越えているという噂もあります。最近は自ら活動することはあまりなく、弟子をとって術法を教えながらひっそりと生活しています。▼ユーケサティロ(男/24歳)
ナシュエリュアルの弟子だった青年ですが、鏡魔に取り憑かれてその能力を利用されています。美女や子供を鏡の中にとらえて、コレクションにしています。
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