概説
○国家と制度
エルモア地方には貴族が支配者である国家がまだ多く存在します。それぞれの権力や政治形態は様々で、ひとくくりにして説明することはできませんが、爵位や支配する領地の大きさには幾つかの共通点があります。
なお、貴族支配国家であっても、必ずしも貴族領主が土地を持っているとは限らず、地主などに売却してしまっている場合もあります。しかし、このような貴族の家系にも領主特権は維持されており、旧領地を区分とする自治体の首長を世襲的に受け継ぐ権利を有しております。
また、領地や自治体首長としての権限は与えられておりませんが、貴族位を持つ場合もあります。このような貴族には騎士のように世襲的な軍人と活動する場合や、宮廷貴族や裁判官のような官職に就いている者がいます。
貴族領主が存在しているのは以下の国家です。都市国家半島は、その都市によってさまざまな政治形態を持ちますが、多くは貴族制を敷いているようです。
▼貴族領主国家
カイテイン/アルメア/ユークレイ/カスティルーン/ライヒスデール/エリスファリア/ジグラット/ルワール大公国/メルリィナ/ソファイア/セルセティア(独立公国)
▼騎士の存在国家
カイテイン/アルメア/ユークレイ/カスティルーン/ライヒスデール/エリスファリア/ジグラット/ルワール大公国/メルリィナ/ソファイア
○貴族階級と領土
階級と治める領土は以下のような内容となりますが、国家によっては存在しない階級もあります。
▼国王
国家の最高権力者で、首都とそれを含む州を直接統治します。州内の領地を近縁の血族に分配することもあります。それ以外の領地は委任王領となり、遠縁の血族や王家に仕える貴族に分配されます。
▼大公
小国の君主で、現在のところはルワール大公国にのみ存在します。かつては、戦勝で得た他国の広い領土を治める貴族を大公と呼んでいたようですが、その殆どは君主の家族に限られています。
▼公爵
1つの公国/州を領地として治めています。王族出身でない場合は、よほど大きな功績を挙げた一族しか、この位につくことはないようです。
公爵の持つ領地の一部は、伯爵以下の貴族に分け与えられることがあります。このようにして公爵領の一部を治める貴族は、その多くが公爵家に連なる血筋の者で、特に直系の者は市といった大きな土地の行政を任されます。
▼侯爵
1つの侯国/小州を領地として治めています。領地は国王の直轄地や公爵領とは重ならず、独立した行政単位として地方の政治を受け持ちます。なお、都市国家の首長もこの位であることが多いようです。王領や公爵領と同様に、侯爵領も伯爵以下の貴族に分け与えられる場合があります。
▼伯爵
独立伯爵領として領地を預かる場合は、最大で市とその周辺地域を合わせた程度の領土を治めています。王領、公爵領、侯爵領などを分割統治する者は、通常は大きな町単位の領地を治めます。
なお、植民地政府の一切を任される辺境伯(植民地総督)という地位も存在しますが、これは通常の伯爵よりも大きな領地と権力を持つのが普通で、侯爵とほぼ同等の扱いを受けます。
▼子爵
大きな町といった単位の領地を任される爵位です。領地を持たず、官職に就いているだけの上位貴族の分家も多く存在します。公爵、侯爵、伯爵の後継者は、一般にこの位を名乗ることになります。
▼男爵
町や村などを治めるか、領地を持たない小貴族です。子爵と同様に、官職に就いているだけの者も多く存在します。
▼准男爵
一代限りの爵位として、軍人や名士に与えられる階級です。名誉的なものであり、領土を与えられることは殆どありません。
▼騎士
特定の貴族に仕える軍人階級で、通常は領地を持たず俸給を得て生活しています。基本的には世襲となりますが、准男爵と同じように一代限りの地位として扱われる場合もあります。なお、国家によっては強い力を持つこともあり、エリスファリア王国の9人騎士のように侯爵と同等の立場である場合もあります。騎士が特殊な立場にある場合は国家の説明に記述してありますので、そちらを参照して下さい。
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継承制度
一般に継承権については男女の区別はなく、直系の血筋のものが当主として扱われます。どの国家でも、特に当主によって指名されることがなければ、一族の長子が家を受け継ぐことになります。
次子以下のものは、長子に仕える立場を選んで領地を分割してもらうこともあれば、分家して平民となる場合もあります。長子が政治家として首都などに在住する必要がある場合、次子以下のものが家を守る役目を担うことも珍しくありません。ただし、領地の分割は伯爵以上の爵位の場合であり、子爵以下の家系では後継者は1名のみに限られます。
▼複数爵位の保有
伯爵以上の高位の貴族の場合、以前からの爵位を維持したまま上位へと上がるシステムが取られています。そのため、相続以前の長子でも、儀礼称号として親のもつ二位以下の称号を名乗ることが許されます。たとえば父親が侯爵と伯爵の爵位を有している場合、その長子に限って伯爵として扱われるのです。
▼王族の独立
王家直系の者が結婚などによって独立する場合や、王領の一部を割譲された場合、何らかの爵位が与えられます。
▼無領地貴族
国家に対する勲功によって爵位を授かることもありますが、現在では爵位に付随する権利、および幾らかの恩賞(報償金あるいは役職)を与えられるだけで、領地を得られない場合も珍しくはありません。こういった貴族たちは主に首都などに居を構え、官職を務めることによって俸給を得て生活します。
▼爵位の売買
絶対王政国家やそれに近い中央集権国家では爵位の売買が行われることがあります。これは主に王家が私腹を肥やすためのもので、官職に付随する形で爵位を売るという形で、一代限りの称号として准男爵の地位が与えられます。また、既に名誉称号としてのみ爵位が有効である国家や、複数の爵位を有していて金銭的に困窮している家系でも、金銭と引き替えに爵位を売り渡すことがあります。この場合は婚姻や養子縁組という手続きを介して爵位を引き継ぐ形を取るのが殆どで、金銭のやりとりだけでは継承は成立しません。なお、どちらの場合でもあまり高い爵位が売買されることはありません。
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