素体人形は人形系と傀儡系の術法をかける場合に必要となる人形です。
○術の発動
素体人形にはあらかじめ紋様を彫り込んでおき、それを指でなぞることで術をかけます。紋様は術によって異なるもので、目的の術に対応する紋様が彫られてなければ、素体人形に術をかけても何も反応しません。
通常は念を込めて細工道具を用い、素体人形を作製します。この行程のことを術の施埋と呼びます。なお、施埋処理さえしてあれば、他人が作製した人形に術をかけることも可能ですが、通常は自身が作製した人形のみを用います。これは芸術家としてのプライドの問題であり、術をかける場合の制約ではありません。
○施埋処理
▼判定
紋様を彫り込むには、人形系術法/傀儡系術法の技能で判定を行います。難易度は術レベルとなり、判定に失敗した人形は術をかけても起動しません。
もちろん、習得している術以外の紋様を彫り込むことは出来ません。見よう見まねでこれを彫り込んだとしても、人形が機能することは絶対にないのです。
▼時間
紋様を彫り込むための施埋時間は[術レベル×1時間]となります。
▼種類
1体の人形に複数の術を施埋することも可能ですが、全ての術レベルの合計が施埋の難易度となります。後から追加で施埋を行なった場合でも、難易度は合計値となるので注意して下さい。
▼失敗
施埋の判定に失敗した場合、修復には[不足分の達成値×1時間]の時間がかかります。修復の判定は専門美術/人形(専門:器用+美術)で行ない、その後で改めて施埋処理をすることになります。
▼憑依
素体人形は霊魂が取り憑きやすい性質があるようで、通常はそれを防ぐための特別な紋様が施埋されます。
○作製
基本的な人形の作製に関する判定は、専門美術/人形(専門:器用+美術)で行います。
▼材質
特に記述がなければ、模倣活動体に分類される人形は、術法をかけた後は象牙のような白いつるつるした材質に変化します。そのため、特に材質にこだわる必要はありませんが、作製に用いられる基本的な材料は木材となります。材質の変化は術の効果が途切れるまでで、時間が過ぎれば元の素材に戻ってしまいます。
▼構造
人形の体は頭、胴、手足などのパーツに分かれており、それぞれ関節のような機構と内部に張り巡らせた糸(腱)で繋げてあります。関節は人間のように可動し、術をかける以前のものでも工芸品として成立する高度な技術の結晶です。このような構成であるために木製の方が取り回しがよく、既存の流派の殆どが材質には木を用いています。
▼形状
素体人形の形は大雑把で構わず、シルエットが人型であれば機能的に問題ありません。ただし、人形の形状は素体人形の仕上がりに左右されるので、一流の人形使いは素体人形の作製に多くの時間を費やします。
▼大きさ
術によっては、効果を示す人形の大きさが決まっている場合があります。多少の狂いは問題ありませんが、平均を大きく外れると術が発動しなくなります。
▼日数
以下の製作日数は最低限の機能を備えるだけの品を、作業機械を用いて最短で作製した場合の基準であり、外観などについては全く考慮されていないものです。芸術作品として扱われる人形は、これより遥かに多くの時間をかけて作製されます。
種類 大きさ 製作日数 極小 約30〜60cm 約5日 小 約70〜100cm 約1週間 中 約110〜140cm 約10日 大 約150〜180cm 約2週間
▼期間の短縮
製作の際に振った達成値を、製作期間の短縮に振り分けることが出来ます。達成値は人形の出来映えを示していますが、これを1減少させるごとに、5%の製作時間を短縮することが可能となります。ただし、最大でも30%までしか短縮することは出来ません。
▼修正
人形はパーツで構成されているために、気に入らない部位だけを手直しすることが出来ます。そのため、最初の達成値が低かったとしても、判定をやり直して達成値を上昇させることが可能です。ただし、手直しを1回行うごとに、通常の作製時よりも10%の時間を余分に費やすことになります。
修正を行った場合、判定をやり直して前の達成値より大きくなれば、もとの達成値に1を加えたものが最終的な出来映えとなります。ただし、もともとの判定値を上回るような数値になることはありません。逆に元の値よりも低くなった場合は、最終的な達成値が1減少することになります。
▼重量
術をかけた時は、だいたいその大きさの人間の体重ほどの重さとなります。その前の重量は材質によって変化します。
▼機巧
木製の素体人形は中が空洞なものが多く、内部に機巧を施すことが出来ます。たとえば内部に歯車機巧を施して動かしたり、オルゴールなどを仕掛けることも可能です。ただし、これを試みる場合は、機械知識の技能に含まれる機工技術/歯車機械の専門分野を身につけなければなりません。
術が効果を示すのは1種類の材質だけですので、内外に取り付けた機巧や装飾の機能が阻害されることはありません。ただし、術が効果を示している間は、人形の内部のメンテナンスをすることは出来ません。そのため、永久的に効果を示す術を用いる場合は、余計な機巧を仕込まないのが一般的です。どうしても内部を後から調整したい場合は、一部だけを別の材質で作製することになりますが、見栄えが悪くなるので普通はこれを嫌います。どうしてもメンテナンスが必要となる場合は、象牙など似た素材のものを利用することが多いようです。
○判定
命令を与える場合は判定を行う必要はなく、声を出すだけで術者の意図を伝えることが出来ます。命令は人形の個体名と命令の2つによって認識されるので、名前を省略することは出来ません。
意思を持たない模倣活動体は、基本的に1度命令された内容を繰り返すだけなので、違う行動を行わせる場合は改めて命令し直す必要があります。
▼行動分類
命令はマルチアクションの本行動に分類される能動行動なので、戦闘などの場面では1ラウンドにつき1回しか行うことが出来ません。
○修理・回復
▼模倣活動体
模倣活動体の場合は、以下の方法で修理を施すことが出来ます。また、人形系の人形修復の術によって回復を行なうことが可能です。
◇ダメージ
生命値が1以上の場合は、人形のパーツを取り替えることで、ダメージを回復することが可能となります。その場合は、受けたダメージが1ポイントにつき、1時間の修理時間が必要となります。
ダメージを受けて生命値が0以下となった人形は、通常の修理による修復は不可能となります。ただし、術法を用いて修復した場合は、問題なく元通りになります。◇判定
修理の判定も作成の時と同じで、専門美術/人形(専門:器用+美術)で行います。もちろん、再び施埋処理を行わなければなりませんので、人形系術法/傀儡系術法による判定にも成功する必要があります。
▼疑似生命体
疑似生命体の場合は、模倣活動体のようにパーツ交換を行なうことは出来ません。ただし、これらは生物と全く同じように、自動的に耐久値の回復が起こります。また、回復系術法による治癒や、人形系の人形修復の術によって回復を行なうことも可能です。
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