基本情報
ペルソニア大陸はほぼ全土に砂漠が広がっており、知られているだけでも6つの大砂漠が存在します。
○基本
▼種類
一般に砂漠という言葉から想像されるのは、見渡す限りに砂が広がる茫漠とした光景でしょう。しかし、実際には「砂砂漠」「岩石砂漠」「 礫砂漠」「土砂漠」などの種類があり、多様な地形を形成しています。これらは砂漠の中で混在しておりますが、緩やかに景色が移行することもあれば、急激に変化を遂げる場所もあります。
▼砂海
この大陸の砂は非常に粒が細かく、まるで水のようにさらさらとしています。砂砂漠の環境は場所によって極端で、嵐のように風が吹き荒れる地域もあれば、まるで死の世界のように静かな風景に出会うこともあります。変わらないのは一面に砂が広がっているというその1点であり、エルモア地方の人々はその広大さと、風がつくる波のさまを大海原にたとえて『砂海』と呼んでいます。実際、砂の中を泳ぐように移動するトカゲやヘビも存在しますし、事実かどうかはわかりませんが砂漠の民の話によれば、風もないのに砂の波が立つこともあるのだといいます。
▼生物
砂漠の環境に適応した生き物は、独特の姿や能力を持っています。人間もそうですが、彼らにとっても水分を集めることは何より重要で、そのための特別な機能を備えた動植物が数多く存在しています。なお、砂漠の民は動物を利用して水を探し出すこともあり、その能力を持つ猿などを捕獲して水場まで案内させるそうです。
○危険
▼風・嵐
砂漠では強風や嵐が度々発生し、この地の住民に大きな被害をもたらします。砂嵐は地表の急激な温度変化によって発生する場合が多く、巻き上げられた砂は広大な範囲を覆いつくし、砂漠の民の活動を妨げます。大きな嵐は重い物でも軽々と吹き飛ばし、飛ばされた生物が命を失うこともあるといいます。
風は遠く離れた地域にも砂を運び、作物の生育に大きな影響を与えたり、時には家々を砂で埋もれさせてしまいます。曇っているわけでもないのに砂埃で空が霞んだり、まるで雨雲のごとく辺りを覆い尽くして、夜空のように天を暗くさせることもあるそうです。
▼健康被害
風が運ぶ砂が目に入ると、これで眼球を傷つけてしまう恐れがあります。特に子供は目をこすってしまうために、眼病を患う可能性は非常に高いものです。また、砂漠の日射しは非常にきつく、地面からの照り返しで目を痛めたり、知らぬ間に皮膚に大きなダメージを負ってしまう場合があります。
砂漠の人々は全身を布で覆ったり化粧を施すことで、これらの被害から身を守ります。また、そのために特別につくられた仮面で、目を保護する部族も存在します。
▼底なし流砂
方々の砂漠で見られる現象で、砂漠の中にすり鉢状の穴が突然あらわれ、砂上にある存在を全て飲み込んでしまうといいます。これはデザート・ワームと呼ばれる怪物の掘った穴や、巨大なアリジゴクの仕業である場合もありますが、それらとは全く関係なく発生することも珍しくはないようです。砂の下に引きずり込まれたものの行き先はわかりませんが、地下に死者の国があるという伝承や、地底王国に関する話が各地に残っています。
▼呪砂だまり
砂漠の各地に点在する赤い砂だまりのことですが、どうやらこれは砂のような形態を取る怪物で、動物の血肉を糧として生きているのだといいます。現地で呪砂だまりと呼ばれるこの異形の存在は、本来は黒みがかった色をしているようですが、生き物にまとわりつくようにして襲いかかり、その血を吸って赤くなります。なお、エネルギーを十分に取り込んだ後は休眠状態に陥るため、単なる赤い砂にしか見えません。しかし、時間が経つと本来の色に戻り、再び活動を開始します。
通常の砂漠だと簡単に見分けがつくため、人間がこの怪物に襲われることは殆どありませんが、赤の砂漠とも呼ばれるマハ砂漠(C-7/C-12)の場合は事情が違います。ここは鉄分を含む赤い砂で覆われておりますし、周辺の山地も赤茶けた岩肌を見せています。辺りが夕日に包まれる頃には景色は赤一色に染まるため、こういった状況では特に注意が必要となります。
○変異現象
▼砂雲
砂雲と呼ばれる、宙を浮遊する砂の塊が有名です。これは本当の雲のように空中を流れており、ときおり砂の雨を降らせることがあります。この砂は湿度が高くなると水分を吸って下に降りてきて、砂霧となって地表近くを覆います。この砂霧は視界を遮って旅人を迷わせる上、水分によって体温をも奪ってゆきます。砂漠に住む部族は砂避けのためにマントをきっちりと着込み、口覆いと呼ばれる布で顔の下半分を隠して、砂霧から身を守っています。
砂雲は地域によって色が異なっており、それぞれ黄砂、赤砂、白砂、黒砂と呼ばれています。砂雲が嵐に巻かれて地上に落ちたときは、一帯の地面はこのどれか一色に染まってしまいます。
○霊砂
ペルソニアの砂漠には霊砂と呼ばれる霊子物質が含まれています。これは粉末霊石(霊石のかけら)と言われる青白い粒状の物質ですが、現在のところエネルギー源としては用いられておりません。
▼聖砂
砂漠には聖砂と呼ばれる神聖な砂が含まれています。これは呪装仮面と呼ばれる霊的な力を持つ仮面の材料となるもので、周辺に住む部族の仮面使いがこれを得るために訪れることがあります。
聖砂の中には必ず霊砂が混じっています。霊砂は青白い粒状の物質なので、通常の砂と見た目で判別することが出来ますが、原住民たちは霊子物質の1種だとは認識しておりません。なお、単に霊砂を含む砂であればよいというわけではなく、その他の条件を満たした砂でなければ呪装仮面の材料には適さないようです。
▼術法
これを媒介して発動させる霊砂系術法の使い手も存在するようです。
○結晶物質
▼デザート・ローズ
砂漠では自然現象によって生まれる『砂漠のバラ』(デザート・ローズ)と呼ばれる物質が見つかることがあります。これは化合物がバラのような形状で結晶化したもので、本来は透明で滑らかな物質なのですが、表面に付着した砂が結晶と一体化し、ザラザラした手触りの石になっていることが多いようです。置物として人気がある品で、お土産品としても売られています。
▼クリスタル・ローズ
中に白い網状の筋が入った球状の透明結晶の外側に、青白い花弁のような層状構造を持つ結晶石で、デザート・ブルーと呼ばれることもあります。これはデザート・ローズの一種と考えられておりますが、まるで花をあしらった宝石のように美しい鉱物であるため、置き物として人気があります。
しかし、理由はわかりませんが、この結晶は放置しておくと花弁の部分が消えてゆき、中心の透明結晶も亀裂が入って少しずつ崩れてゆきます。そして、最終的には白い糸上の結晶と砂粒を残して消えてしまうため、珍しい品ではありますが宝石ほどの高値はつきません。
▼デザート・クリスタル
透砂水晶あるいは砂結晶とも呼ばれる、中に白い網状の筋が入った透明な球状結晶です。これはクリスタル・ローズの中心部分だと考えられており、砂漠の中でごくまれに見つかることがあります。ペルソニアでは願いを叶えてくれる石と言われていますが、伝承の中では呪われた石とも呼ばれており、地域によっては忌み嫌われています。
○その他
▼砂漠の生活
砂漠における生活は、乾燥地帯よりもさらに厳しいものとなります。オアシスなどの限定された地域で定住生活を営む者もおりますが、多くは移動生活を行なう遊牧民族です。彼らは強い日射しから身を守るために布で皮膚を覆い隠し、草地を求めて長い距離を歩きます。休む時は砂の上に厚いカーペットを敷き、組み立て式のテントで砂や夜の冷えた風から身を守っています。
▼引き水
砂漠の不特定の場所で起こるもので、一晩のうちに砂地に水たまりや池が生まれ、朝には引いてしまうという現象です。これは地盤や砂の質などによらず起こる現象であるため、エルモア地方の移民の中には変異現象の1種ではないかと考える者もいますが、砂漠においては神の贈り物に他なりません。
この現象が定期的に発生する地域もあります。このような場所には夜番を置いて引き水を探し出し、これを耕作に利用している部族も存在します。なお、こういった地域では水に浸かってしまわないよう、木の上に小屋をつくって住んでいたり、ハンモックで寝る習慣などが広まっているようです。
▼風の道
砂の世界で生きる風読みたちの話によれば、砂漠の上空に吹く風の流れには規則性があるといいます。そして、過去にはその風をうまく読んで、ヨットのように風を受けて走る『砂船』を操り、砂漠を旅した部族がいたとも語られています。また、砂の民の間に残されている伝承では、大型の船を移動させていた古代国家が存在したともいいますが、さすがにこの話はお伽話だと考えられています。
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大砂漠
現在のところ、大砂漠については以下の情報が知られています。
○ネナン砂漠(B-7/B-11)
南方をアポルト山とストラ山脈に塞がれた乾燥地帯で、様々な伝説が残る地として知られています。実際、ここでは古来より奇妙な現象が多発しており、夜に砂漠が青白く光ったり、砂そのものが生き物のように動くといった話が語り継がれてきました。また、砂漠の中にはデザート・ローズという鉱物によく似た、クリスタル・ローズあるいはデザート・ブルーと呼ばれる、花弁のような層状構造を持つ青白い結晶石がよく落ちています。こういったことから、ここは天地信仰者の聖地の1つとしても有名で、巡礼のためにこの砂漠を目指して旅をする者もいます。
▼灰色砂丘
岩石砂漠と砂砂漠が混じっているような地域には、砂の上にぽつんと佇むように岩が出現している場合があります。中でも南にある灰色砂丘と呼ばれる場所では、非常に特異的な環境が形成されています。
この地の岩には細かい孔が開いているらしく、見た目の割に軽いのが特徴です。そのため、風によって岩石が転がされて大きく移動し、砂上に引きずったような跡が長く残されることがあります。また、孔が適度に湿度を保つためか、重く転がりにくい岩塊の上に植物が生えている場合があり、木々が突き出ていたり丸サボテンに囲まれているなど、個々の岩ごとに異なる生態系が見られます。砂漠の人々は、このような岩石を『緑岩』と呼んでおり、植物を目当てに集まる動物の狩り場としている部族も存在します。
▼失われた王国
原住民の伝承ではここはもともと砂漠ではなく、熱帯雨林の生い茂る湿った大地だったといいます。しかし、奥地にあった古代の王国が施した秘術が失敗し、一夜にして砂漠に変わってしまったのだそうです。その時、王国の民は都市ごと砂に飲み込まれ、今も砂漠の下で眠りについていると伝えられています。なお、砂漠には蜃気楼が時々あらわれることがありますが、この土地では失われた王国が幻像として姿を現わすと言われており、実際に古の都を見たという目撃談は少なくありません。
○ウルリ砂漠/雷鳴砂漠(C-9/C-10)
メナナ高地に囲まれた盆地に出来た砂漠で、別名を雷鳴砂漠といいます。これは一帯で起こる変異現象からとられた呼び名で、その名の通りに頻繁に雷が落ちて来るのです。この雷は天候に関係なく発生するもので、雲1つない晴天でも雷光が放たれる場合があります。もともと、一帯は草原だったという伝承が残っており、その証拠に砂漠の各地で草食動物の化石が発見されています。
この場所が砂漠に変わったのは落雷による火災が原因で、繰り返し起こることで植生の回復が不可能になったのではないかと推測されています。砂漠化を促進させた要因の1つとされるのが、各所で散発的に吹き荒れる大風で、これによって火が広範囲に拡散したのでしょう。この風は神の怒りの息吹だと信じられており、吹き荒れる少し前になると上空の方から、鳶の鳴き声のような神秘的な高い音が響き渡ります。周辺に住む人々は、この音を「神鳥の歌」あるいは「歌う風」と呼んでいます。
大風は砂嵐を発生させ、周辺の地形を全く新しいものに変えてしまいます。規模の大きいものは空高くまで砂を巻き上げ、砂漠の外にも砂塵を飛散させます。ひどい時は周辺地域に厚い砂の層を堆積させ、一面が黄色い大地へと変わってしまいます。本当かどうかはわかりませんが、1つの集落を飲み込む大嵐が発生し、住民や家畜たちを山の上まで運んでしまったという伝承も残っているほどです。いくぶん誇張されて伝わっているかもしれませんが、遠く離れた場所から砂漠に立つ砂の柱が目撃されることもあるため、実際に大規模な被害をもたらした嵐が発生したのでしょう。
▼象牙谷
いわゆる象の墓場と呼ばれる場所で、ウルリ砂漠の探索に出向いた探険家グエン=オーリィが、ヒナ山麓の奇岩地帯で偶然に発見したものです。実際に象の骨が大量に見つかった非常に稀な例の1つで、100体以上の死体が見つかっています。
グエンはそこで手に入れた象牙で一財産を築くと、その半分を次の探険の準備のために費やし、さらなる奥地を目指して旅立ちました。しかし、その探索行から彼が戻って来ることはなかったといいます。残された半分の財産はグエンの妻子が受け継いだのですが、彼らはそれをペルソニアの冒険者組合の設立のために使い、現在も彼の孫であるパヴェル=オーリィが組合長を務めています。
○マハ砂漠/赤の砂漠(C-7/C-12)
マハ砂漠は鉄分を含む赤い砂で覆われているため、赤の砂漠と呼ばれることもあります。周辺の山地も赤茶けた岩肌を見せており、辺りが夕日に包まれる頃には景色は赤一色に染まります。
この砂漠は岩盤の上に出来たものらしく、積もった砂礫の中から幾つもの岩山が突き出ています。砂地に比べると岩影は水が蒸発しにくいため、周辺には植物が根付いています。また、それを食料とする生物が集まってきたり、厳しい日射しをしのぐために岩の隙間に住み着いている動物もおります。このように動植物にとってオアシスのような存在であるため、現地の人々はこの岩石のことを『泉岩』あるいは『森岩』などと呼んでいます。
▼宝石の谷
キラーラ高地の麓の砂漠で、聖歴690年代に宝物が発見されたことがあります。ルビーやエメラルドを豪華にあしらった宝飾品や、見事な細工の銀製品などが埋まっていたため、地下に何らかの遺跡が存在するのではないかと期待されたのですが、かなり深くまで掘り進めても何も出て来ることはありませんでした。しかし、この発見によってキラーラ高地の調査が本格的に行なわれ、ロンデニアは新たな鉄や石炭の供給地を手に入れることになります。
なお、この場所は正確には砂漠ではなく、砂が吹き溜まった峡谷だったようで、他にもこのような大きな亀裂が幾つも地下に存在することが確認されています。これらをロンデニアの人々は『砂谷』と呼んでいますが、新たな発見を夢見て砂を掘る人々の姿を、今でもこの付近で時々見ることができます。
○ティトナ砂漠(E-1)
西部の山地に囲まれた一帯にはティトナ砂漠が広がっており、人々の北方からの侵入を防いでいます。
▼虹の雨雲
砂漠に不意にあらわれるという雲で、付近に雨の恵みを与えてくれます。しかし、いつどこで出現するかは全く予想がつきませんし、いつまでも降り止まず一帯を水浸しにし、砂に潜って生活している動物を窒息死させてしまったり、急流の河川を生み出して植物を押し流してしまうこともあるそうです。▼ナイフ岩
この砂漠の西側にあるオゴロ密林とは、ズマ山地とそれから南に続く岩山で阻まれています。この山は壁のようにそびえ立つ急斜面で、東西の交通のみならず砂や水蒸気の移動を防いでいます。▼エメラルド砂漠
イゴール山地の麓には、砂地の下に粘土層が厚く堆積している場所があります。この一帯に雨が降ったり、高地から流れる雪解け水などの影響で地下の水位が上がると、砂丘がつくる谷の間に幾つもの池が出現します。大きなものは池というより湖と呼ぶにふさわしく、半径が100m以上にも及ぶ水地が生み出されることもあるといいます。また、数は少ないものの、年間を通して水が涸れないオアシスも存在し、周辺に暮らす人々に様々な恵みを与えてくれます。
伝承によれば、この周辺はかつて密林だったようで、古の昔に生えていた木々の化石が砂の中から見つかることもあります。実際、壁のようにそびえ立つ急な岩山で遮られてはいますが、この地の西方(D-9)にはオゴロ密林が広がっており、フラガ湖沼群には1年を通して豊富な水がたたえらえています。
○カナデ砂漠/大砂海(E-3)
ペルソニア大陸で最大の砂漠であり、古より周辺地域の交通を強く阻んできました。この砂漠は遥か広大な海のようにも見えることから、特別に『大砂海』と呼ばれることもあります。非常に面積が広いため、一口に砂漠といっても様々な環境を含んでおり、地域によって特異な変異現象が発生することもあります。
▼白銀砂漠
粒子の大きい石英の粒で覆われた砂漠です。この砂は踏みしめるとキュッキュッと音がすることから、鳴き砂などと呼ばれることがあります。真っ白なシーツを敷き詰めたようなこの明るい砂地は、特に太陽の照り返しがきついため、旅人はそれに備えた装備を整える必要があります。
この砂漠では時おり不思議な現象が発生するという噂があります。それは鳴き砂が自ら動いて不思議な紋様を描いたり、大きな渦やすり鉢状の穴を穿つといったもので、天地信仰者の伝承で昔から語り継がれています。エルモア地方の人々は単なる風の影響だと考えていますが、天地信仰では砂は死んだ魂であり、それが生命の源となる光を受けて動くというのは不思議な考え方ではありません。また、砂が鳴く音は死者の声だとも考えられており、わざわざこの地に遺体を運んで葬る部族もあるといいます。▼斑砂漠
砂漠の中に岩塩がまとまって産出する場所が存在しています。通常、岩塩は産地や地層によって、紫色、黄色、褐色などの様々な色がありますが、この砂漠の場合は同じ場所でも異なる色の岩塩を採ることが出来ます。多様な色彩の塩塊が剥き出しになっている地層は、単調な風景が続く砂漠の中では特に目立ちます。▼雪砂漠
古来よりカナデ砂漠の奥地には、冬のような寒さに包まれた奇妙な砂地が存在すると言われています。この一帯に積もった砂は、『冷砂』あるいは『氷砂』と呼ばれる特殊なもので、その名の通り非常に温度が低いのが特徴です。範囲としてはそれほど広いものではなく、ウォール・ラグーン(G-3)の入り口に近い場所に点在しているといいます。なお、信憑性のある話ではありませんが、砂漠の周辺に住む幾つもの部族の間で、雪砂漠は移動するという伝承も残っています。
雪砂漠にはいつも霧が漂っており、その存在は常に隠されているようです。また、そのさらに外側に砂雲と呼ばれる変異現象が発生することが多く、旅人を迷わせることが度々あるといいます。しかし、霧によって水分が供給されるためか、雪砂漠の近くでオアシスを見つけたという伝承は多く、それで命を助けられたという例も少なくはないようです。▼鉱泉
カナデ砂漠西方の奥地には、飲用には適さない毒の泉と呼ばれる水たまりがあるといいます。周辺には限られた種類の動植物しか生育しておらず、近くの砂漠や高地に住む部族もこれを利用することはありません。しかし、彼らはもちろんエルモア地方の人々も知らないことですが、これは周辺の地層に含まれている鉱物が原因であり、将来的に周辺で鉱山開発が行なわれる可能性もあります。
○ロロ砂漠(H-1)
四方を山岳地帯で囲まれた灼熱の地獄で、雨が降ってもすぐに蒸発してしまう死の砂漠です。また、一部の地域では磁力が狂うことが知られており、過去にハーバル川を遡ってこの地に辿り着いた探検隊が、ほぼ全滅するという事態に陥ったことがあります。
▼砂岩地帯
ロロ砂漠には非常に固まりやすい砂が存在し、砂粒同士が吸着して大きな塊をつくります。この砂塊は強い力を加えれば崩れてしまいますが、ちょっとした風ぐらいでは影響を受けることはありません。そのため、小さな砂粒の塊が風で転がって大きな砂玉に成長したり、砂丘が星形や四角錐の形で維持されるなど、少々変わった風景が見られる場合があります。
この砂は核となる物質があれば、その表面に吸着してどんどんと大きくなってゆくため、砂山の中に動物の死体や巨大な岩石が隠されている場合があります。また、粘液で砂を固めて巣をつくる怪物や、砂を転がしてつくった玉の中に卵を産みつける蜘蛛など、うまくこの地に適応した生物も多々存在するようです。▼塩湖
南部にあるリュヤンナ山地の麓では、半ば干上がって塩の結晶が見える塩水湖が幾つか点在しています。特に、乾期の時期は水が殆ど無くなってしまい、ひび割れた白い大地が続いています。
風が強い時には塩が少しずつ風下に寄せられ、やがて小さな山をつくります。その上に飛ばされた塩や砂が堆積し、長い時間をかけて柱が形成されることがあります。ある場所ではこの塩柱が連なった森が形成されており、まるで無数の墓標が佇んでいるように見えます。▼無限砂漠
砂漠で迷った者は方向感覚が狂わされ、同じ場所を延々と回り続けるという話はよく聞きますが、無限砂漠は砂雲(変異現象)によって引き起こされる特殊な現象だと伝えられています。ただし、これは砂漠の民の伝承の話であり、実際にそれを確認した者がいるわけではありません。
砂雲が地表におりて霧のように宙を漂うことがありますが、その中で迷った旅人はいつしか無限に続く砂漠にとらわれます。そこは2度と抜け出すことができない絶望の大地ですが、誘い込まれるのは咎人だけであり、その罪が許されるまで歩き続けなければならない業を背負うのだそうです。無限砂漠には浄化の砂が敷き詰められており、歩くことでその人物の罪が浄められるという伝承も存在します。咎人が歩いた場所には漆黒の足跡が残されますが、その罪が清められて足跡がつかなくなる日まで、死ぬことは許されないのだといいます。
本当かどうかはわかりませんが、無限砂漠で罪を償った人間は砂に還り、砂雲となって新たな咎人を捕まえるという話も残されています。砂雲は地域によって色が異なっており、それぞれ黄砂、赤砂、白砂、黒砂と呼ばれておりますが、これがちょうど各人種の色に対応しているのが、その証拠の1つと考えられています。
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