刻印霊石/霊的回路

属性霊石色霊石紋章霊石


 

属性霊石


 変異現象などの霊的な影響によって、合成霊石に霊的回路の情報転写が行われ、何らかの性質を備える場合があります。このような霊石を『属性霊石』と呼びますが、これは術法や変異現象のような霊的効果を発揮し、周囲に影響を与えてしまう可能性があります。


○誕生

▼霊的回路
 情報を転写した合成霊石は、その内部に霊的回路を宿します。霊子物質は導霊物質の1種ですから、属性霊石はそれ自体が霊的回路を形成することになります。

▼希少性
 通常、このような霊的回路の転写が起こるのは稀な現象であり、単発の変異現象の場合はそれを再現することは殆ど不可能となるでしょう。しかし、地域に特有の変異現象であれば、同じような効果を持つ属性霊石が繰り返し生み出される可能性があります。


○発動

 霊的回路を備えているとはいえ、霊魂を宿していない属性霊石が、自動的に霊的効果を発揮することはありません。通常の状況でこれらが機能を発現する可能性があるのは、霊子機関の燃料として用いた場合になります。


▼作用
 霊子機関の燃料槽に属性霊石を投入した場合、本来であればピストンを動かすエネルギーへと変換される霊子が、属性霊石の霊的回路を起動させるためにも用いられます。これによって霊的効果が発動され、通常とは異なる現象が発生します。

▼発光
 属性霊石はそれ自体が回路を構成しているため、霊的効果を発揮する時に紋様が光となって浮かび上がります。

▼消費
 属性霊石は合成霊石ですから、霊的効果を発揮すると同時に内部に蓄えられている霊子を消費して、そのまま消滅してしまいます。
 単体でこれを用いた場合は、すぐにエネルギーを使い果たしてしまいますし、効果時間も非常に短いものとなります。しかし、多くの霊石が燃料として一緒に補給されていれば、その分が霊子機関だけでなく属性霊石の発動にも利用されるため、単体の場合よりも長持ちすることになります。


○霊的効果

▼物理現象
 特定の物理現象を再現する情報を霊的回路として得た場合は、霊子機関を作動させた時にその現象が発生します。これによって霊子機関が故障したり、周囲に被害が及ぶ可能性があります。

▼情報の再現
 概念情報、記憶、精神世界などの情報を霊的回路として転写した刻印霊石は、過去の記憶を幻影として再現してしまったり、空想の内容を実在のものとして誕生させてしまう可能性があります。


○実用化

 実際に特殊な霊的効果が発生した場合、それは霊子機関の故障か変異現象だと考えるのが普通でしょう。また、合成霊石に情報が転写されても、その1回限りしか効果は現われず、再現性のない現象となります。ですから、実用の技術として普及させるためには、非常に長い時間を要すると思われます。


▼生成原石
 単なる属性霊石の場合は、発動によって内部に蓄えられている霊子が消費され、そのまま消滅してしまいます。しかし、特定の霊的回路を備えた属性霊石を生み出す情報が、生成原石の側に転写されたとすれば、同じ効果を持つ属性霊石を大量に生産できることになります。
 また、この生成原石と通常の霊子物質を同時に燃料槽に入れた場合、生成原石は周囲から霊子を吸収して属性原石を合成します。そのため、燃料となる霊子物質を添加し続ければ、長時間の運用が可能となるでしょう。


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色霊石


 属性霊石の参考例として、色霊石の存在を挙げておきます。


○基本

▼誕生
 熱や光などの性質が情報として合成霊石に転写されることで、それらの性質を持つ属性霊石が誕生します。
 
◇変異現象
 変異現象によって物理現象の情報が合成霊石に定着する可能性があります。なお、通常の物質にこのような情報転写が起こって、変わった性質を持つ石や水が誕生することもあり、それらが実際に使用されている例も珍しくありません。

◇怪物
 雲霊獣(クラウド・モンスター)と呼ばれる、細かい塵で構成されている怪物(高位霊獣)が存在します。これには火炎、冷気、光、闇、雷といった属性のものがおり、その性質に応じた色をしています。この怪物の情報が合成霊石に転写された場合、高熱や冷気を放出する属性霊石へと変化します。


▼外見
 それぞれ属性に応じた色をした、不透明な結晶石へと変化します。


○種類

▼赤霊石(ヒート・エーテル)
 火属性の刻印霊石で、高熱を放出する性質を持ちます。霊子機関の燃料槽を改造すれば、蒸気機関と同じように使用することが出来るでしょう。また、石炭よりも少ない燃料で同等の熱量が得られますし、直接的に赤霊石に水を接触させることでエネルギーロスを無くすと同時に、沸騰までの時間を短縮させることが可能となります。そのため、起動までの時間が長いという蒸気機関の弱点を解消できる手だてとなるかもしれません。

▼青霊石(アイス・エーテル)
 氷属性の刻印霊石で、冷気を放出する性質を持ちます。これは想像の通り、冷蔵・冷凍に用いることが出来るもので、このような技術を持たないエルモア地方では、非常に画期的な発見となるでしょう。

▼黄霊石(サンダー・エーテル)
 雷属性の刻印霊石で、電気を発生させることが出来ます。これはエネルギーを熱変換して発電に用いるわけではありませんので、非常に無駄の少ない発電機構といえます。
 なお、現在のエルモア地方では、変異現象のために電気の安定利用は困難な状況ですが、錬金術師は雷雲機構という装置を使って電気制御を行っています。ですから、黄霊石が誕生した場合は、まずは錬金術師によって用いられることになるでしょう。

▼白霊石(ライト・エーテル)
 光属性の刻印霊石で、光を発生させることが出来ます。燃料を用いる照明器具しかないエルモア地方にとっては、非常に有用な技術となるはずです。

▼黒霊石(ダーク・エーテル)
 闇属性の刻印霊石で、闇を発生させることが出来ます。これを有効利用できるかどうかは、使用する側の工夫次第となるでしょう。


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紋章霊石


○基本

 合成霊石に霊刻を施すことで、何らかの霊的効果が得られる場合があります。


▼可能性
 紋章霊石は色霊石などの属性霊石が発見され、その特性に人々が気づいた後に登場する可能性のある技術となります。

▼発動
 これは物理的に霊的回路を施すということ以外に、属性霊石と違いはありません。実際に使用する場合も、霊子機関の燃料槽に入れて用いることになります。


○技術の確立

 以下のような事情があるため、この技術が実用のものとなるには、かなりの時間がかかるかもしれません。ただし、変異現象などの偶然性に頼らなくてよいという意味では、非常に画期的な発明となるでしょう。


▼刻印パターン
 実際に霊的効果を得た属性霊石は、発動する際に霊的回路に沿って光を放ちます。そのため、非常に時間はかかるでしょうが、刻印パターンを見極めることは不可能ではありません。
 しかし、ただ単にこれを真似た刻印を施しても、すぐに霊的効果を得ることは出来ません。というのは、属性霊石に転写される霊的回路は立体的なものですから、それを単に平面に写し取っただけでは、まともに起動させることすら出来ないはずです。また、導霊物質の違いによっても霊的回路の反応は異なるので、安定した結果を得られるには非常に長い道のりとなるでしょう。


▼手がかり

◇錬金術
 錬金術の機械の中には霊刻を施すものも存在しますし、怪物の特殊能力を解析した鋳型のパターンから、何か手がかりが得られる可能性もあります。

◇彫刻霊石
 ロンデニアの探検隊がペルソニアのナクラム遺跡で発見した刻印霊石は、その表面に始原聖刻文字が彫刻されておりました。これは単なる儀式用の物品である可能性もありますが、霊的回路として意味のあるものかもしれません。

◇その他
 その他の手がかりとしては、以下のようなものが挙げられます。

・術法の補助動作、術法人形・呪装仮面に刻印する紋様、科学魔道機器の回路構成など


○霊刻

▼精度
 以上のような手段を用いて回路のパターンを推測しても、刻印する際に精度が十分でなければ、望んだ効果を得られないでしょう。


▼回路構成
 このような単純な刻印で形成できる霊的回路というのは、得られる霊的効果もあまり大きなものではありません。また、こういった技術レベルの低い回路は、非常にエネルギー効率が悪いため、霊石を大量に消費することになります。


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属性霊石色霊石紋章霊石