ルワール大公国/制度

概要行政区分国家制度軍事警察司法


 

概要


○領土区分

 ルワール大公国の行政単位は、それぞれの領邦国家(邦国)および独立伯爵領が基準となります。領邦国家のうち、公爵が治める公国は州、侯爵が治める候国は小州として扱われ、1つの独立した国家であると同時に大公国を構成する行政単位として設定されています。独立伯爵領は準州となりますが、独立国家とは認められておりません。


○貴族制度

 支配階級であり、強い権限を持っています。領主貴族は1つの自治体を統括する存在であり、地方軍の将としても活動します。無領地貴族には官僚として働くものと、騎士として領主貴族に仕えるものがいます。


○政治制度

▼大公国
 立法府としては二部会議が設置されており、貴族会と平民会の2つの議会によって法律が決定されます。行政行務を担当するのは行政院であり、各省長官の下に設置される省が実務を行います。国家君主である大公は行政組織の最高責任者であり、諮問機関として位置づけられている枢密院の助言を受けて行政全体の指揮を執ります。


▼地方
 大公国全体の行政組織は地方行政に深く介入する権限を持たず、地方自治体の首長である領主貴族が一切の権限を持っています。殆どの地方の行政組織は国家制度とほぼ似たような構造を取っており、貴族領主(もしくはその指名者)が州知事もしくは市長といった自治体の最高責任者となり、その下部に議会と行政機関が整備されています。領邦国家は大公国の法律に抵触しない範囲で独自の法を設置することも出来ますし、行政組織を改編することも可能となります。


○軍事

 地方自治体はそれぞれ独自に軍隊を保有しており、これが集まって国家軍を構成することになります。軍の将校となるのは貴族たちであり、領主は自領地の軍を指揮する権限を有しています。常備軍ではありますが、職業兵士ではなく農民層を中心とした徴兵と傭兵が主力となっています。


○警察

 ルワール大公国の警察組織は領地単位で運営され、1つの自治体(領主)ごとに警察本部が存在します。しかし、本部は事務を行う機構でしかなく、実際の業務を行うのは支部となります。支部は地域や街区ごとに設置されますが、支部数は自治体を治める為政者が決定する権限を持ちます。
 個別の警察組織は、治安判事という役職を中心として活動しております。治安判事は1つの地域や街の警察組織を統括する刑事で、部下の警吏を率いて事件捜査を行います。それと同時に、軽犯罪に関する裁判権を有する裁判官でもあるのです。スリや少ない金額の盗難などに関しては、詰め所で簡易裁判を行って刑罰を即決することができます。また、治安判事は民事事件にも介入することが許されています。つまり、大きな犯罪に対する裁判以外は、その地域における全てのもめ事を解決する重大な役目を負っているのです。地域によっては自警組織が警備を行い、警察活動を補佐しています。


○司法

 司法組織全体を司るのは、行政府に属する法務省となります。しかし、領地内の司法組織は各領主が統括するものとなっており、法務省はこれに介入する権限を持ちません。法務省が処理するのは、各領内では決着が付かなかった訴訟や、自治体間で生じた問題の調停、そして貴族の裁判についてです。
 裁判所としては、市などの地域自治体に置かれる地域裁判所と、地方自治体全体の裁判を統括する中央裁判所が設置されています。なお、治安判事は軽犯罪に関する裁判権を有する裁判官の役目も負っているため、治安判事の事務所は簡易裁判所としても機能します。


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行政区分


○基本制度

 ルワール大公国の行政単位は、それぞれの領主貴族が治める領邦国家(邦国)および独立伯爵領が基準となります。領邦国家のうち、公爵が治める公国は州、侯爵が治める候国は小州として扱われ、1つの独立した国家であると同時に大公国を構成する行政単位として設定されています。独立伯爵領は準州となりますが、独立国家とは認められておりません。
 大公国の行政組織は地方行政に深く介入する権限を持たず、領主貴族が一切の権限を持っています。また、領邦国家は大公国の法律に抵触しない範囲で独自の法を設置することも出来ますし、行政組織を改編することも可能となります。


▼地方行政
 殆どの地方の行政組織は、国家制度とほぼ似たような構造を取っています。貴族領主(もしくはその指名者)が州知事もしくは市長といった自治体の最高責任者となり、その下部に議会と行政組織が整備されています。
 地方議員は選挙で選ばれますが、殆どが貴族や有産市民で占められており、民意が非常に反映されにくい状態にあります。民衆には陳情書を提出することは許されていますが、多くの地域では議題として取り上げられることも少ないようです。


○自治区域

▼特別自治区
 かつてより平民によって自治を得ていた地域の中には、特別自治区として自治権を与えられているものもあります。特別自治区は国家に直接属する行政区であり、幾つかの政治的権限は国家が有することになります。
 主に商業都市にこのような自治区が設定されることが多いようです。規模としては市や町といった比較的小さな面積となり、小州など大貴族の領地に匹敵する自治区は存在しません。
 自治区の代表は市民から選ばれる民衆の代表であり、議会も平民で構成されておりますが、中には貴族のように振る舞う者もいるようで、地域によっては貴族の領地と大差ない場所も幾つか存在します。


▼半自治領
 貴族の領地に含まれる中で、平民の自治が認められている特別区です。市長や町長といった行政長官は平民の中から選出され、議会もすべて平民によって構成されておりますが、領主貴族の承認を得られない場合は、会議の決定は無効とされてしまいます。


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国家制度


 ルワール大公を主権者とする立憲君主制国家であり、貴族会と平民会の二部会議によって法律が決定されます。行政行務を担当するのは行政院であり、各省長官の下に設置される省が実務を行います。国家君主である大公は行政組織の最高責任者であり、諮問機関として位置づけられている枢密院の助言を受けて行政全体の指揮を執ります。
 現在の国家制度は、かつて近代国家への転換を図ろうとした時期にロンデニアを模倣して構成したものですが、結局のところ領主貴族の力を削ぐことは出来ませんでした。また、そもそもの目論みであった枢密院の解体も果たされず、行政院の組織が分割されただけに終わっております。


◆ルワール/制度

 
 国家君主──┬──宰相
       |
       ├──枢密院
       |
       ├──行政院──┬──主席長官(=宰相)   
       |       ├──内務省
       |       ├──外務省
       |       ├──財務省
       |       ├──軍務省
       |       ├──司法省
       |       ├──工務省
       |       ├──商務省
       |       ├──農務省
       |       └──宮務省
       |
       └──二部会議
 


○国家首長

▼ルワール大公
 ルワール公国の領主であると同時に、ルワール大公国の大公(国家君主)として位置づけられる存在です。これは代々のルワール公国の首長が世襲的に相続する地位であり、憲法でそのように規定されています。
 大公は議会の決定に対しての許認可権を持つ唯一の存在であり、平民会議の決定に対する拒否権も有しております。ただし、上院である貴族院の決定を覆す力はなく、議会全体の決定に対しては認可を下すことしか出来ません。また、議会そのものにはルワール公国の首長としてしか参加することは出来ず、実際に行政院の指揮を執るのも主席長官となります。そのため、基本的には大公国の公務と所有領地の首長としての行務をこなす立場となり、法案の許認可や条約の締結など幾つかの特殊な事項以外では、単独で強い権限を発揮することは出来ません。


▼宰相
 国家君主の一切の業務を補佐する役割にあり、大公の指名によってその職に就くことになります。宰相は大公の公務代行権を有しており、大公個人の許可があればいつでもこれを行使することが出来ます。
 宰相職は伝統的に、有力な門閥貴族たちが交代でその役に就くことになっております。これによって貴族間の権力闘争のバランスを執り、また、特定貴族が大公と特別懇意な関係となることを防いでいます。


○枢密院

 国家君主の諮問機関であり、行政に関する議題について意見提出を行います。枢密院会議には大公および宰相も出席して意見交換を行います。
 もともとは大公国の成立に関して功績のあった貴族一門から選抜されており、この組織が直接行政に関して指揮・監督を行うことはありませんが、無視できない影響力を持っておりました。しかし、席数が拡大された現在では門閥貴族は半数の8名となっており、残り8名は聖職者や平民出の識者も含めた幅広い構成となっています。


○行政院

 内閣にあたる組織は行政院と呼ばれており、9省から構成されています。


▼人事
 主席長官は宰相が兼任することになるため、この職だけは自動的に大公の指名によって決定されます。その他の長官は、平民会を含めた二部会議の推薦人物の中から、宰相によって各1名が指名されます。


▼行政会議
 行政会議は大公と行政長官の間で行われます。


▼官僚貴族
 行政院の官僚の大半を占めるのは貴族となり、平民から高い位へと出世することはきわめて稀なことです。官僚として働くためには、貴族に対して何らかのコネを得るか、爵位を買うなどの金銭的な授受が必要となります。


○二部会議

 立法府に当たる二部会議は、上院である貴族会と下院に当たる平民会の二院から構成されています。


▼貴族会(上院)
 領邦国家の領主貴族は無条件で議員となり、世襲的にその地位を受け継ぐことが出来ます。これとは別に、勲功を認められた有力貴族のための永世議員枠や、準州領主および無領地貴族のための選挙枠があり、合わせて邦国領主と同数の議席を有しております。公選議員は一定数以上の貴族の推薦を受けた者の中から、全貴族による4年に1度の選挙で選ばれます。
 なお、票決に際しては邦国領主が2票の投票権を持つのに対して、その他の貴族は1票の投票権しか与えられておりません。


▼平民会(下院)
 主に学識者、有産市民、聖職者などによって構成される下院議会で、議員は各領地を単位とする4年に1度の選挙で選ばれます。選挙権および被選挙権は、聖職者および一定以上の税金を納めた平民に与えられます。また、これとは別に特別自治区の代表には、任期の間は自動的に議員の地位が与えられます。


▼法案の審議
 法案の提議を含めた準備審議は、上下院ともそれぞれ個別の部会で行われることになります。
 法案の発議は両部会とも行なうことができますが、貴族会の決定は大公の認可があればすぐに法律として成立するのに対して、平民会を通過した法案は必ず貴族会による再審議を受けることになります。そして貴族会で否決された法案は、平民会に差し戻されて再審議を行わなければならないよう規定されています。
 平民会の再審議で再び可決された法案については、貴族会が再度下院に差し戻すことは出来ず、貴族会の意見を添えて大公に提出されます。しかし、大公は平民会の決定について拒否権を有しておりますので、自身も領主貴族である大公が貴族会が反対する法案を認可することは殆どありませんし、仮に認可しても後に貴族たちを敵に回すことは確実です。このような状況から、貴族は二重の拒否権を持つことになり、貴族に不利な法案は決して通らないのがこの国の実状です。


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軍事


○組織構成

 地方自治体はそれぞれ独自に軍隊を保有しており、これが集まって国家軍を構成することになります。


▼地方軍
 各領主は軍隊を保有する権利を持つと同時に、大公国全体の防備に対しても責任を負う立場となります。領主貴族は自軍を指揮する権限を持ちますが、国家全体の作戦には従わなければなりません。また、平時に常備する兵数が定められておりますし、有事の際にも軍部の要請に応じて、一定兵数を出兵させる義務を負っています。


▼指揮系統
 大公が統帥権を有しており、その指示に従って軍務省の長官が総司令官として軍を統括します。


○兵士

▼将校
 領主貴族はそれぞれが一軍の将としての役割を与えられます。その下には一族から輩出された将校が付き、各部隊を率いることになります。これら将校の任命権は領主にあり、国家君主といえども大公国の法律に反していない限りは、地方軍に所属する将校を罷免する権限はありません。


▼騎士
 無領地貴族のうち、軍に所属するのが騎士と呼ばれる存在です。彼らは各領主に仕えており、俸給を貰って生活しています。多くは将校として部隊を率いるのですが、特に信頼の厚い者は身辺の警護を任されることが多いようです。


▼一般兵士
 農民層を中心とした選抜徴兵と志願兵で構成されています。これまでは旧態依然とした軍制を敷いておりましたが、カイテイン帝国の侵攻が予想される現在は、国家軍として指揮系統を一本化し、職業軍人を主体とする常備軍の整備を進めようという動きがあります。しかし、議会の半数ほどがこれに反対しているため、現在のところは特別徴兵と傭兵で不足兵数が補われる形となっています。


○軍事情勢

 5年ほど前から、アランフェルト地方を中心にドゥーガル人による独立運動が起こっており、これを平定するために軍が出動しています。しかし、法教会など他勢力による裏からの支援があるため、これを鎮圧することが出来ないまま現在に至っています。
 また、海への道を求めるカイテイン帝国の南部侵攻が予想されており、現在は軍備の増強が急がれています。カイテインの南方政策において重要な位置にあるこの国は、近年では他国からアリアナ回廊と呼ばれています。ルワールの内乱はカイテインにとっては好都合ともいえる状況ですが、南部で海洋貿易を行っている国々にとっては非常に都合が悪く、法教会に対して圧力をかけるなどの干渉が行われています。
 このような状況を前にして、貴族会では対外強行路線派と平和外交派の2つに分かれて論議を戦わせています。中でも、平和派の有力貴族ラヴィルカーン侯爵家は国外に対しても何らかの根回し工作を行っているようであり、国際的に今後の動向が注目されています。
 人民の間では政治的な不信がつのり、退廃主義的な思想が蔓延しています。未だに方針の定まらない政府を見限り、無政府主義を掲げて民衆を扇動する者や、国外への逃亡を考えている商工業者も多数います。


○国家関係

▼友好国
 いざ戦いとなれば、カイテインの南進に対して警戒している国家の助力が期待できます。現在はロンデニアが積極的に援助を行っていますが、エリスファリアやジグラット、あるいはソファイアなどの国家が味方につく可能性もあります。


▼敵対国
 カイテイン帝国は国境付近に兵を配備し始めており、いつ侵攻が開始されてもおかしくない状況にあります。その他、周辺国家とは国交はあっても、歴史的経緯から友好関係が築かれているとはいえません。


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警察


 警察組織は治安判事という役職を中心として活動しております。治安判事は1つの地域や街の警察組織を統括する刑事で、部下の警吏を率いて事件捜査を行います。それと同時に、軽犯罪に関する裁判権を有する裁判官でもあり、スリや少ない金額の盗難などに関しては、詰め所で簡易裁判を行って刑罰を即決することができます。また、治安判事は民事事件にも介入することが許されています。つまり、大きな犯罪に対する裁判以外は、その地域における全てのもめ事を解決する重大な役目を負っているのです。地域によっては自警組織が警備を行い、警察活動を補佐しています。


▼管轄

◇地方自治体(州/小州/準州)
 各地方自治体の領主は中央警察本部を統括します。本部は事務を行う機構でしかなく、捜査など実際の業務について直接の指揮・命令を行うことはできませんが、領内にある全ての警察組織を監督する権限を持ちます。

◇地域自治体
 市や町といった各地域自治体には地域警察本部が置かれ、その下に地域警察支部が設置されます。支部数は自治体を治める為政者が決定する権限を持ちます。


▼職務

◇中央/地域警察本部
 裁判所への連絡や報告書の整理、資料の保存などが行われます。各本部は事務仕事を行うだけであり、実際の警備や捜査を行う権限はありません。
 各支部や治安判事への命令・指揮を行うことはできませんが、支部の動向を自治体(領主)の代理で監査し、領主に報告する権限を持ちます。自治体からの通達や治安判事試験を行うのも本部の役目です。

◇地域警察支部
 支部は実際の警察業務を行う組織となります。これは街区や地域などで区分されます。地域警察支部は10〜数10名ほどが所属する独立した署としての性格をもち、通常の事務所には簡易裁判所と留置所も設置されています。担当区域が広域である場合には詰め所を設置することができ、警吏や保安官を1〜2名置いて、その地域での警備を担当させます。民間人の協力をあおぐこともあり、地域住民が持ち回りで詰め所に待機することもあるようです。
 地区の人口密度があまりに低い場所では、警察支部を置かずに詰め所だけを設置することもあります。このような場所は、巡回判事が出向いて捜査を行います。


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司法


○法務省

 ルワール大公国では、領内の司法組織は各領主の統括するものとなっており、法務省はこれに介入する権限を持ちません。この機関が処理するのは、各領内では決着が付かなかった訴訟や、自治体間で生じた問題の調停、そして貴族に対する裁判についてです。


○裁判所

 各領地で起こった事件に関しては、その地方を治める領主に裁判権が与えられます。領主は裁判所を監視し、正しく法が執行されるよう指導する義務を負っています。


▼簡易裁判所
 個別の警察組織を統轄する治安判事は、軽犯罪に関する裁判権を有する裁判官の役目も負っています。治安判事は事務所で簡易裁判を行って刑罰を即決することができますし、民事事件にも介入することが許されています。


▼地域裁判所
 市などの地域自治体には地域裁判所が置かれており、ここで一般の裁判や報告書の整理等が行われます。


▼中央裁判所
 地方自治体には中央裁判所が設置されており、領内で起こった重要事件や地域裁判所から控訴された案件を裁くことになります。しかし、よほど大きな事件でなければ控訴が認められることはなく、殆どが地域裁判所で処理されることになります。


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概要行政区分国家制度軍事警察司法