夢魔現象
『夢魔現象』はルクレイドで起こる特有の変異現象で、誰かの強い思いが夢となってあらわれ、見ている者の精神に何か悪影響を与えるというものです。その多くは過去に起こった悲劇や死者の念、あるいは誰かの強い悩み・恐怖といったものが根源となります。この現象から人々を救うのが夢使いの仕事であり、主に夢系の術法を駆使してこれに対処します。
○根源思念
夢魔現象の根本的な原因となるのは何者かの強い思いです。それは生者のものばかりではなく、霊魂の思念であることもあれば、その場所や物品に定着した意思を持たない過去の思いなども、夢魔現象の根源となる可能性があります。また、1人の念だけが元になるのではなく、複数の人間の無意識の思いが問題を引き起こしていることもあります。
▼負の想念
夢魔現象の根源思念となるのは、基本的に満たされない思いとなります。たとえば、解消できない深い悩み、思い通りにならない現実への不満、死者の心残り、不安や恐怖から逃れたいという願い、誰かに対する強い怨み、といったものがこれに該当します。そして、これらの思いが夢を見ている者の心に悪影響を及ぼすのです。
▼種類
根源思念となるものには以下のような種類があります。
◇生者の思念
誰かが抱えている不安、恐怖、悩み、怒りといったものです。◇死者の思念
霊魂が抱く感情や思いのことです。生者のものとは異なり、死亡した時点でその想念が固定され、特定の思いに強く支配されていることが多いようです。◇残留思念
残留思念というのは意識のパターンであり、過去に生じた何者かの思いや感情のことをいいます。◇無意識
漠然と感じている思いのことで、複数の思念が原因となることもあります。
○憑依
夢魔現象は誰かの夢として現われるもので、根源思念によって様々な出来事が引き起こされます。これは憑依現象に似たもので、問題が解決されるまでは誰か特定のキャラクターの夢として、この現象が連続して発生することになります。
▼憑依対象
夢魔が憑依する対象には、以下のような種類があります。
◇関係者
誰かに強く怨まれている者や不安の種となる存在、あるいは何者かが無意識に助けを求めている相手など、その思念に関係しているキャラクターです。◇本人
夢を見ている本人が原因である場合もあります。しかし、その根源思念が自分のものであるとは気づかないことも珍しくありませんし、夢魔現象の解決を当人が望まないケースというのも存在します。◇無関係
憑依対象がまったく無作為に選ばれることもあります。たとえば、単に墓地の前をたまたま通りかかった人に死者の魂が助けを求めたり、近くで起こった事件に関する残留思念が夢魔現象を引き起こすなど、直接的な関連性が見られない例も少なくありません。
○夢界
夢魔現象が生じるのは『夢界』(ドリームランド)と呼ばれる場所です。これは個人の心の中に広がる世界であり、想像次第で様々な世界に変化します。なお、複数の根源思念が元凶となっている場合は、その全てのキャラクターの夢界が1つに連結され、皆で同じ夢を見ることになります。
○影響
夢の中では根源思念の影響によって何らかの出来事が発生します。その出来事は夢を見ている者に恐怖や強いストレスを与え、精神を少しずつすり減らしてゆきます。夢魔現象が継続されることで精神が崩壊してしまう可能性もあるため、早期に解決する必要があります。
○解決
▼手段
夢魔現象を解決するための手段には様々なものが存在します。たとえば、思念の持ち主が夢の中で説得されるなどして問題が解決される場合もあれば、現実に起こっているトラブルを解消しなければ、いつまでも継続される夢魔現象もあるのです。
解決手段はその根源問題とともにシナリオ内容として設定される項目です。夢の出来事から解決手段を探ることもゲームの課題の1つですので、GMは様々な趣向を凝らしてみて下さい。
▼夢使い
術法や心理学の知識を駆使して夢魔現象の解決に当たる専門家です。精神治療のエキスパートとして尊敬を受けており、心の守り手(マインドキーパー)と呼ばれることもあります。・関連:職業データ
▼術法
夢使いは夢系、精神操作系、感情操作系の術法を習得することが出来ます。
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夢魔
○基本設定
夢魔現象を引き起こす存在を一般に『夢魔』と呼んでいます。これはキャラクターのような個としての存在ではなく、それ自体に自我や意識があるわけではありません。しかし、根源思念に従って夢の世界を創造したり、その中で様々な出来事を発生させる力を持っています。
○データ設定
夢魔とは現象であるため、データ上では通常のキャラクターとは異なるものとして扱われます。
▼能力値/属性値
夢魔も能力値や属性値を持ちますが、【霊力】と【精神抵抗】の値しか設定されません。この2つの数値は、GMが自由に決定することが出来ます。▼霊力判定
夢魔が他の存在に影響を与える場合の判定は、【霊力】の値が基準となります。この判定のことを霊力判定といいます。▼ダメージ
夢魔が直接姿を現わすことはないため、これにダメージを与えることは出来ません。また、耐久値に相当するデータも存在しません。▼特殊能力
夢魔の行動として選択できるのは特殊能力の発動です。これは能動行動として扱われ、1ラウンドに1回試みることが出来ます。
○特殊能力
夢魔は以下の特殊能力を行使することが出来ます。これらの作用に抵抗する意思がある場合は、夢魔の霊力判定に対して【精神抵抗】を行なうことになります。
▼夢界創造
根源思念を反映した夢の世界を創造します。この世界は夢魔によって設定された法則が働きます。夢の中の世界や法則は、夢を見ている途中で改変されることもあります。なお、それ以外の事柄に関するルール上の処理は、現実世界と全く同じように扱って下さい。
▼夢傀儡
夢魔が夢界の中に誕生させたNPCのことです。夢魔は根源思念に従ってこれらを操り、何らかの現象や出来事を引き起こします。生み出された傀儡はそれぞれ独立した存在として活動することが可能で、夢魔の能動行動としては扱われません。
◇データ
夢傀儡はNPCとして扱われます。データ上の処理も、現実世界でキャラクターを扱う場合と同じように設定して下さい。◇影響・ダメージ
夢傀儡に与えられる影響やダメージの処理についても、現実世界の存在と同じように処理して下さい。なお、これによって夢魔本体が傷つくことはありません。◇回復
夢傀儡のダメージは、夢魔が干渉しなければ現実世界と同じように回復します。ただし、夢魔が意図すれば、【霊力】を基準とした判定の達成値の分だけ、耐久値を回復させることが可能となります。これは夢魔の能動行動として扱われます。
▼夢見
取り憑いた相手の精神を夢の世界に引きずり込むことが出来ます。眠気に抵抗しようとする場合は、夢魔の霊力判定の達成値を難易度とした、【精神抵抗】の判定に成功しなければなりません。
▼夢界捕縛
夢の中にいる夢傀儡以外の存在を、そのまま夢界に閉じ込めておくことが出来ます。これに抵抗しようとする場合は、夢魔の霊力判定の達成値を難易度とした、【精神抵抗】の判定に成功しなければなりません。
この能力によって囚われの身となった者は、現実世界では昏睡状態に陥ってしまいます。夢魔現象を完全に解決しない限り、この眠りから目覚めることはありません。
昏睡中のキャラクターは仮死状態に置かれることになります。この間は水や食料を与えなくても死亡することはありませんし、老化による影響も受けません。
▼記憶消去
夢界での出来事に関する記憶を消し去ることが出来ます。記憶の全てを消去するだけでなく、部分的に消すことも可能です。この能力は取り憑いている対象にのみ発動できるもので、覚醒時に発動されます。GMはシナリオの内容に応じて、記憶を消去するかどうかを選択して下さい。
記憶を消された場合、対象は夢の中での出来事を覚えておりませんが、その印象だけは何となく心に残っています。それを手がかりに夢の記憶を思い出そうとする場合は、夢魔の霊力判定の達成値を難易度とする【精神抵抗】の判定を行って下さい。判定に成功すれば断片的な記憶を取り戻すことが出来ますが、詳しい内容を知ることは不可能で、わずかな視覚記憶やイメージを得られるだけにとどまります。
▼回復停止/自我
全ての夢魔が身につけているわけではありませんが、憑依対象の【自我値】の回復を妨げる能力を持つものも存在するようです。このような夢魔に取り憑かれた場合、憑依状態が解かれるまで減少した【自我値】を回復させることは出来ません。
○消滅
根源思念が抱える問題を解決しない限り、夢魔が消滅することはありませんし、憑依状態が解けることもありません。夢から覚めたとしても再び眠りに就けば夢魔が活動を開始しますし、夢界の中で何らかのイベントをクリアしても、それが問題解決に繋がらなければ同じことです。
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夢界
夢魔によって引きずり込まれる夢の世界を夢界(ドリームランド)といい、ここではいかなる不可思議なことでも現実となって起こり得ます。これは仮想的な世界でありながら、夢界に入り込んでいる者にとっては、全て現実同様の物理世界として影響を与えます。
○基本
▼出現
夢魔が支配する夢界は、取り憑いた被害者が夢を見ている時にのみ出現します。それ以外の時は漆黒の闇で閉ざされています。▼舞台・法則
舞台となる夢界の設定や物理法則というのは、1体の夢魔によって支配されています。これは夢魔の意識次第でどのような世界にも変化し得るもので、時間の流れなども自在に調節できます。▼行動処理
基本的な行動については現実世界にいる時と処理は変わらず、行為判定などのルール適用も全く同様に行ないます。▼ゲーム進行
夢界を舞台とする場合でも、通常のシナリオを遊ぶのと同じように進行処理を行ないます。
○登場者
▼夢傀儡
夢魔が夢界の中に誕生させたNPCのことです。夢魔は根源となる意識に従ってこれらを操り、何らかの現象や出来事を引き起こします。これは通常のNPCと全く変わらない扱いとなります。
▼夢見人
その夢を見ている本人のことで、夢魔に取り憑かれた者となります。
◇登場
特に肉体や精神にそれを阻害する影響を受けていなければ、眠りに就くと同時に夢界に登場し、目覚めれば現実世界に戻ることが出来ます。これは複数の人間が生み出した夢の場合でも全く変わりません。
ただし、夢界捕縛の特殊能力を使われたのでなければ、夢の中に本人が登場するとは限らず、ただ夢界の出来事を眺めるだけの傍観者に過ぎない場合もあります。◇設定・行動
夢見人は現実世界と全く同じように行動することが可能です。術法や特殊能力などの影響を特に受けてなければ、外見などの設定は現実世界と同じものとなります。また、判定などの基準となるデータも、通常と全く同じ数値を用います。◇変化
夢見人の思念が夢魔現象の根源となっている場合は、異なる設定で夢界に登場する可能性があります。過去の自分や理想の姿に扮したり、全く別の姿を取ることも珍しくはありません。また、その意識が本人のものであることは間違いないのですが、夢魔によって異なるキャラクターとして設定されている場合は、記憶なども含めて全くの別人として振る舞う可能性もあります。
このような場合は、能力値などのデータが本来とは異なる値に設定されたり、特殊能力や術法などの力を身につける可能性があります。
▼外来者
夢魔以外の影響(夢使いなど)によって夢界に入り込んだ者のことで、夢魔の影響下にはない存在となります。
◇登場
外来者の場合は、術法や特殊能力などの影響を受けなければ、夢見人の中にある夢界へと出入りすることは出来ません。◇行動
外来者は現実世界と全く同じように行動することが可能です。◇設定
術法や特殊能力などの影響を特に受けてなければ、外見などの設定は現実世界と同じものとなります。また、判定などの基準となるデータも、通常と全く同じ数値を用います。
○影響・ダメージ
現実世界から入り込んだ者は、夢の中では仮想的な肉体を持って行動することになります。しかし、意識は現実世界と共有されており、夢の中で受けた影響は現実世界でも効果を継続します。
▼肉体
夢の中では仮の肉体を操って行動することになります。そのため、現実に肉体に受けているダメージや影響は、夢に入った時点で消えてしまうことになり、現在耐久値も最大値として扱われます。肉体の更新は夢の中に出入りする度に行なわれます。
◇減少/生命値
夢界の中での【生命値】のダメージは仮想的なダメージとして処理され、目覚めて夢界から出れば消えてしまうことになります。◇肉体的影響
毒や病気などの影響もダメージと同じく、夢界を出れば消滅してしまいます。
▼精神
意識は現実世界と共有されているため、夢界を出入りしても耐久値が変わることはありませんし、現在受けている影響もそのまま効果をあらわします。
◇減少/自我値
【自我値】の減少は、現実でも夢界でも全く同じように処理します。夢界で【自我値】にダメージを受けた場合は、目覚めてもそのままダメージとして残っています。◇減少/精神値
【精神値】の減少は、現実でも夢界でも全く同じように処理します。夢界で【精神値】が減少した場合は、目覚めてもそのままの値をとります。◇精神的影響
精神的影響については、現実世界と全く同じように処理されます。目覚めてもその影響が消えることはありません。
▼死亡
夢の中で死亡してしまった場合は、精神的影響として肉体の持ち主に作用します。夢の世界での死者は、現実世界と同様に目覚めることなく、その場に倒れて動かないままとなります。ただし、現実世界で声をかけられるなどの刺激を受けた場合は、普通に目を覚ますことができます。肉体の傷は仮想的なダメージですから、目を覚ませば夢の世界に入る前の状態に戻ります。
▼ダメージの回復
夢界にいて活動している間は、睡眠をとっていることにはなりません。しかし、夢界で眠りについた場合には、肉体・精神にかかわらず通常と同じように回復します。なお、夢界で睡眠をとっても夢を見ることはありません。
○術法
夢の世界そのものに影響を与えない術であれば、何の障害もなく行使することができます。
▼夢界
夢界そのものに影響を与えようとした場合は、夢魔の【精神抵抗】との対抗判定に勝利しなければなりません。これは夢界の内外にかかわらず自動的に行なわれる抵抗判定となります。▼夢傀儡
夢魔が想像した夢傀儡に術をかける場合は、NPCとして設定されているデータを用いた抵抗判定を行ないます。▼登場人物
夢見人や外来者などの、夢傀儡以外の登場人物に術を行使する場合は、現実と全く同じようにルール処理を行なって下さい。
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精神影響
夢の中では根源思念の影響によって何らかの出来事が発生し、それらの体験が夢見人の精神に大きな影響を与える可能性があります。夢魔現象が継続されることで精神が崩壊してしまう場合もあるため、早期に解決する必要があります。
○恐怖
夢の中で何か強い恐怖を感じるような経験をした場合は、【自我抵抗】を基準とした恐怖判定を行わなければなりません。この判定に失敗した場合は【自我値】にダメージを受けて、精神に何らかの異常をきたす可能性があります。詳しい判定処理については「心理的影響」のページを参照して下さい。
▼原因
夢魔現象の根源思念となるのは、基本的に満たされない思いとなります。その中でも、自分の悩みを他人に分かって欲しいという心や、恐怖や苦痛の記憶から逃れたいと願う死者の念が、夢界で自らの体験と同種のイベントを発生させ、夢見人の精神に悪影響を与えることがあります。▼死亡
夢の中で死亡してしまった場合、GMは状況に応じて恐怖判定を行なわせても構いません。▼精神支配
夢魔によって繰り返し心理的な圧力が加えられた時は、キャラクターの精神に長期的に影響を与える可能性があります。これに関する判定処理については「精神支配」のページを参照して下さい。
○理想世界
根源思念が夢見人である場合は、夢魔によって夢界に理想の世界がつくられてしまうことがあります。夢を見ている間は現実の苦痛を忘れさせてくれるため、やがて夢の世界に逃げ込んでしまう者も少なくありません。
このような状況に長く置かれると、目覚めることを拒否するようになったり、外界の影響を一切遮断しようとするといった行動を取るようになります。また、こういったケースでは夢魔が夢界捕縛の特殊能力を使う例が多く、問題の解決を一層困難にします。
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