異端


 


 宗教機関の教えに背くもの、あるいは神に否定されたものは異端として扱われます。異端の存在にも様々な種類があります。


○異教

 各宗教機関は自らの教えのみを正統としており、それ以外のものを異端として扱います。例えば、聖母教会と法教会は互いを異端とみなしていますし、法教会から分かれたエリスファリア国教会などは、双方から異端扱いされています。こういった他宗教のことを異教と称し、それを信奉する者は異教徒と呼ばれるのが普通です。
 宗教機関の間にある溝は深く、教義上の争いは絶えませんが、表立って戦争を行ったことは1度もありません。ただし、水面下では様々な抗争が繰り広げられているようです。


○宗派

 異教徒ほど大きなカテゴリーではなく、小さな信仰上の食い違いによる異端も存在します。これは宗派という言い方で区別され、その他の宗派からは異端派と呼ばれます。異端派の認定は、教義審問などと呼ばれる宗教裁判によって行われます。
 裁判の結果によっては、異端者はその宗派を破門されることもあります。このうちで最も有名なものが、サン=ミシャルハ議定と呼ばれる聖母教会の宗教裁判で、これにより異端とされた主教セルトラーンは後に聖人ルーンに出会い、法教会が生まれることとなりました。


○邪教

 宗教的な見解ではなく、社会全体からも敵と認定されているのが、大変異現象を起こした魔神やその手下の悪魔たちです。悪魔は現在でも出現し、人々をたぶらかして堕落させることに力を注いでいます。人間の中にもこの悪魔の力を借りる者がいます。彼らは一種の宗教のように魔神や悪魔を崇めるため、こういった存在を特に『邪教』と呼ぶことがあります。
 『悪魔使い』と呼ばれる邪教徒たちは、宗教組織だけではなく社会にとって明らかな敵となります。悪魔に魂を売り渡した者たちは、悪魔の印を体のどこかに持っているといいます。これが見つかってしまった場合には、人々の迫害を受けたり、時には火あぶりの刑に処されたりします。また、変異の影響を受けた者も悪魔に魅入られた者として人々に忌避され、社会的には『異端階級』として扱われます。異端階級は身分制度の最下層に位置しており、場合によっては教会から破門されたり、土地柄によっては魔女狩りにあって私刑を受けることとなります。


○その他の用語

▼破門
 教義を逸脱した者として認定された場合、それ以後は教会の救いが一切受けられなくなります。破門の徒、破戒の輩とも呼ばれ、信仰心の篤い地域では村八分となることが多いようです。

▼聖罰
 神が与える神罰に対応する語で、神の代理として聖職者が人に与える罰のことを言います。


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