概要
術法に関連する事件全般を取り扱うシナリオとなります。
○目的
術法に関連して起こる問題を解決したり、術法でしか解決することの出来ない問題を扱うシナリオです。
術法はこの世界を説明する上で欠かせない存在であり、多様な現象を引き起こすことの出来る手段です。そのため、術法をテーマとしたシナリオには様々な種類のものがあり、一括りにして説明することは出来ません。しかし、術法というのは神が人間に授けた手段であり、術法師は正しくその力を使うことが社会的に期待されている職業です。ですから、術法師の現在の地位を維持しつつ、種々の問題を解決することが推奨されます。
○楽しみ
▼発動
純粋に術法を用いて問題に対処することの楽しみがあります。術法変化技能を習得している場合は、頭を使って術法の使用方法を可変させ、通常では無理な状況に対処するといった面白さを味わうこともできるでしょう。▼推理
現場の痕跡や証言から、どのような術法が用いられたのかを特定し、それに対処する楽しみがあります。▼調査
調査に特化した術法を用いるのは、たとえばスパイ映画で特殊な機械を持ち出す時のような、独特の面白さがあります。GMはこういった術法を効果的に使わせることで、その他のキャラクターでは味わえない爽快感を与えることが出来ます。▼駆け引き
自身の術を効果的に用いるために作戦を立てたり、相手の術法を封じるために頭を使うなどの駆け引きが楽しめるでしょう。また、術法を使うシチュエーションをよく考えれば、パズル的な要素を取り入れることも可能となります。
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舞台
○全体
聖職者は広く地域に分布しておりますし、術法協会もエルモア中に広がる組織であり、術法師が登場するのにはそれほど地域を選ぶことはないでしょう。ただ、科学が発達しているところでは術法師が減少する傾向にあり、周囲の理解や組織の支援に期待できない場合もあります。
しかし、専門家が少ないということは、逆に術法を使えるPCの活躍が期待されるということでもあります。また、術法師が少ない地域であることは、術法の習得制限を行う理由にもなりますので、GMとしてはセッションのコントロールがしやすいといえるかもしれません。
○特定地域
特定の問題が頻発する地域では、それに対処するための術法師が存在している場合があります。たとえば、ルワール大公国には鏡魔という鏡の世界に棲む魔物がいることから、鏡界士と呼ばれる術法師が国家に雇われる形で活動しておりますし、ルクレイドでは夢魔現象に対抗する夢使いが存在します。この他、地域文化の成立に伴って発祥した、人形使いや香水師といった職業術法師も、特定地域と深い繋がりを持っています。
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シナリオ
○タイプ
▼術法犯罪
術法を用いた犯罪事件を解決するシナリオで、術法を用いた犯罪トリックを解いたり、相手の術を封じる手段を考えるなどの楽しみがあるでしょう。
▼探索
調査のために用いる術法も数多くありますので、これらを用いて人捜しを行ったり、野外での探索行などをシナリオに組み込んでみるのも面白いでしょう。通常では設定できないような難しい条件でも、術法があれば何とかなる可能性もあります。
▼変異現象
特定の変異現象に対して、術法が有効に働く場合もあります。鏡界士や夢使いはこういった現象に対するエキスパートですし、聖職者や協会術法師のように様々な術が使える職業であれば、もっと幅広い現象を利用することが可能となります。また、特定の術法を機能させるための特別なシナリオを考えてみても面白いでしょう。
▼怪物
鏡魔、夢魔、不死者、吸血鬼、精霊といった存在に対しては、それに対抗するための特別な術法系統が存在します。そういった術を使わせることによって、独特のシチュエーションを楽しむことが可能となるでしょう。
▼精神
人間の精神に作用する術法も数多く存在します。記憶喪失や狂気といった問題や、集団がパニックを起こすような状況などを、これらの術法で解決させることが可能となります。ただし、術法によって簡単に解決するような問題を、シナリオの課題として提示するべきではありません。過去に関する問題や悩みごとを解決するなど、精神面での救済が中心となるようなシナリオを作成するよう心がけるとよいでしょう。
▼迫害
異端術法師の中には周囲から迫害を受ける者もおりますし、迫害されている少数民族の中にも術法師が混じっているかもしれません。他にも、先天的に術法を習得していて、そのことで差別される者などが存在します。あえてこのような人物が活躍できる状況を提示して、周囲との関係を改善できるようなシナリオを組んでみるのも面白いかもしれません。
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その他
○判定
▼能力値
術法を用いるためには、【精神値】の大小に関係する【霊力】の値が高い方がよいでしょう。また、発動に関連する能力値も高いほど有利です。この他、調査が必要なシナリオでは、【記憶】や【判断】の能力値が重要となるでしょう。
▼技能/専門分野
それぞれの術法の技能には、なるべく多くのCPを割り振らなければなりません。また、術法の効果から種類を特定する必要があるシナリオでは、《術法知識》に含まれる〈魔術学〉の習得が必須となるでしょう。
▼術法変化技能
術法変化の補助技能を習得しておいた方が、さまざまな状況に対応できて便利でしょう。
○注意点
術法に関連するシナリオでは、以下のような要素に気をつける必要があります。
▼前提条件
特定の術法の存在に期待するシナリオの場合は、それに沿ったキャラクターを作成してもらうことになるでしょう。しかし、もし前提条件が整っていても必ずしも発動判定に成功するとは限りませんし、プレイヤーが術を使う状況に気づかないことも考えられます。ですから、慣れないうちは術法があれば便利、解決までの展開が有利になる、という程度のシナリオからはじめた方がよいでしょう。
▼技能
術法にばかりCPを費やしてしまうと、他の技能に回すCPが足りなくなり、別の状況で全く活躍できなくなってしまう可能性もあります。ですから、術法に関連するシナリオを作る場合は、基本的には予め作成しておいた術法師に合わせて、課題や状況を整えるべきでしょう。
逆に、シナリオを先に作成している場合は、GMが予め作成しておいたキャラクターの中から選ばせたり、特定の技能の成長を前提条件とするなど、何らかのガイドラインを設けておく必要があるでしょう。
▼弱点
このシステムでは耐久値の回復が遅いことから、基本的に術法師というのは長期戦に弱い傾向にあります。また、相手を認識しないと術がかけられなかったり、距離が離れている相手に効果的に術が使えないなどの弱点もありますので、障害の設置や周辺状況の設定に凝ってみることで、プレイヤーに様々な工夫を行わせることが出来るでしょう。
▼推理
術法トリックは推理としては非常に難解であり、上級者向けのシナリオとなります。通常の場合は、術法知識の判定で相手の術を特定したり、物理的には絶対に不可能な状況をつくりあげ、術法が関係していることを明確にしておく必要があります。シナリオを停滞させないためには、なるべく術法トリックと物理的なトリックを複合させない方がよいでしょう。
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