基本情報
○全体
B-2地域がアルロー小州として扱われています。
▼総督
ジュール=シュペルツァー辺境伯が植民地総督を務めています。▼州都
ワーズ山脈の北西にあるイルマ・ノーザ市が州都となります。
○人種・民族
住民の大多数を占めるのは、ペルソニア中部域に住んでいたと言われるレグラム人系の黒人です。この他にも、本国から移民としてやって来た白人、ラガン由来の黄人、およびこれらの混血人が住んでいます。また、少数ですが赤人やその混血人も住んでおり、北部にゆくほどその割合が高くなります。
○歴史
▼B-2
以前はシュパイト=ダハグ氏族同盟という、10を超える有力氏族による連邦国家が存在していましたが、聖歴125年にラガン帝国に征服されてしまいます。その後、聖歴710年代になってラガン帝国の影響が弱まると、エリスファリアの支援による独立運動が起こり、聖歴720年代には自治権を勝ち取ります。しかし、エリスファリアの国内問題によって充分な支援が受けられなくなると、聖歴730年代にソファイアの侵攻を受けて、再び植民地へと戻ることになります。
その後、聖歴740年代になるとソファイア本国の影響力が弱まり、この地を管理していたソファイア貴族の専横が始まります。しかし、聖歴759年にライヒスデールによる侵攻が始まり、領地の東半分(B-1)を失うことになります。結局、その後は本国に助けを求めることになり、現在はソファイア王国の植民地として維持されています。
○産物
ワーズ山脈からは鉄、銅、鉛、亜鉛などの鉱産物が採掘され、本国へと運ばれてゆきます。バナナやカカオなどの栽培も行なわれておりますが、周辺地域ほど大規模な農場ではなく、鉱業ほど利益を生む産業にはなっておりません。
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自然・要所
○地勢・気候
ペルソニア北中部域は亜熱帯から熱帯に属しており、海から吹く風によって湿潤な気候となります。夜間を除いて、気温は1年を通じて20℃を下回ることはなく、平均気温は25度近くになります。
この地域の南部にはワーズ山脈がそびえており、山地やその麓の斜面が殆どの面積を占めています。そのため、海沿いの一部には平野がありますが、耕作地はそれほど多くありません。
○都市
▼イルマ・ノーザ市/州都(B-2)
ワーズ山脈の北西を流れるベイメル川沿いにある都市で、アルロー小州の州都となります。もともとはラガン帝国の植民都市として建設された街であり、その時代の建物や遺跡も存在しています。この街は海沿いにありますが、海岸は岩壁となっているため港には向かず、河口から少し陸地に入ったところに埠頭がつくられました。ワーズ山脈から続く緩やかな傾斜地にあるため、内陸に向かって全体が登り坂となっており、郊外には大理石の採石場が多く存在しています。
格子状に街路がはり巡らされた整然とした構造の街で、メインストリートを登った先にある小高い丘には広場があり、その先には豪奢な装飾が施された植民地政府の建物が置かれています。メインストリートと広場の床には、白色と色付きの大理石を用いてモザイク画が描かれています。また、ラガン時代の遺跡の壁材にも大理石がふんだんに使われており、これらには美しいレリーフが彫り込まれています。マイエル教の神々をモチーフとした彫刻は、ソファイアが征服した際に削り取られてしまいましたが、著名な芸術家の作品の多くはまだ残されており、人々の目を楽しませてくれます。
▼ジェナイラハ(B-2)
オルリク平野につくられた城塞都市で、5mほどの低い石壁で囲まれています。もともとはラガン帝国が放棄した砦を、反ラガン勢力として結集した原住民が使用したことから始まった街で、迷路のように入り組んだ構造をしています。これは敵兵の侵入を防ぐための仕組みで、複雑に曲がりくねった狭い路地が縦横に伸びており、細かく分けられた幾つもの区画は、ぶ厚い門で簡単に閉鎖できるようになっています。現在はソファイア軍が駐留しており、原住民の生活区域は城壁の外部に追いやられており、正門に続く道は門前市として賑わっています。
○要所
▼ワーズ山脈(B-1/B-2)
標高2000〜3000mほどの山々が連なる山脈で、峻険な峰によって南北の交通は分断されています。過去に大噴火を記録したこともあり、西部のソファイア領地には活動中の火山も存在します。鉄、石炭のほか、わずかにダイヤモンドの産出もあり、新たな鉱脈を求めるソファイア、エリスファリア、ライヒスデールといった国々が、変異体や猛獣が多く出没する南峰にも調査隊を派遣しています。
▼アマラ川(B-1/B-2)
ワーズ山脈から流れる急河川で、ライヒスデールとソファイアの植民地の境界線となります。オルリク平野を通ってフルネル海岸へと抜けてゆき、流域の耕作地を潤しています。低地を蛇行する部分は洪水が多いため、この土地に住む人々は古くから堤防を築いており、ラガン時代には運河と調整ダムも建設されていました。
▼ティフィナ遺跡(B-2)
ワーズ山脈の北西にある台地につくられた古代の街で、空白期の時代にこの地域に移住してきた民族の住居と考えられています。高度な技術でつくられた石組みの建物が並んでおり、きちんとした石畳も整備されておりました。
その後、南からレグラム人系の黒人部族があらわれ、麓の平地を開墾して農耕生活を送るようになります。この移住者たちは後にシュパイト=ダハグ氏族同盟の一員となるダーダル氏族なのですが、彼らが山地の方まで生息域を広げる頃には既に先住民の姿はなく、その行方は現在も明らかになっておりません。
◇破壊
聖歴125年のラガン帝国の侵攻時、ティファナ遺跡はダーダル族の最後の逃げ場となりました。しかし、結局は圧倒的な軍力の前に屈し、建物に使われていた石材の多くは、麓につくられた植民都市(現イルマ・ノーザ)の建材として用いられます。戦いで破損した建物や割れた石畳は、現在もそのまま放置されておりますが、長く風雨にさらされたことによって風化したり、土砂や植物に覆われて見えなくなっている場所もあります。◇限定情報:大壁画
ティフィナ遺跡はダーダル氏族が聖地としていた場所で、彼らの埋葬地としても使われておりました。その理由は遺跡のさらに奥地にある石組みの祭壇に隠されています。この建築物は多角形の石が隙間なく積み上げられたもので、当時の技術では考えられないほど精緻な造りとなっています。しかし、さらに驚くのは巧みに隠された祭壇内部の空間で、複雑なからくりによって隠し扉が開くようになっています。
隠し扉からは緩やかに下る長い通路が伸びており、奥へ進むとやがて一辺が10m程度の五角形の部屋へと辿り着きます。この部屋の入り口を除く壁には、聖獣信仰者たちが崇める4体の神獣(始祖神)と、彼らが起したとされる奇蹟の数々が描かれています。そして、天井にはこの4柱の神と、複数の頭と足を持つ異形の怪物との戦いを描いた絵があり、聖獣信仰者たちが神話を伝えるために残したものと考えられています。
それから、この部屋の中央には立派な体格をした男の彫像が置かれており、右手には精緻な装飾が施された銀の錫杖が握られ、顔には黄金のマスクがつけられています。錫杖とマスクは彫刻ではなく本物で、それぞれ取り外すことも出来ますが、なぜこのような仕組みになっているのかはダーダル族も分かっておりませんでした。
この部屋へ続く隠し扉はラガン帝国の侵攻時にも発見されることはなく、祭壇も異教の信仰ということで彫像が破壊された以外は、殆どの部分が当時の姿のまま残っています。そのため、壁画の部屋は数百年のあいだ1度も開かれることなく、今もひっそりと眠りについています。
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人物・集団
○組織・集団
▼黒ユリ義賊団
植民地政府に対して抗議活動を繰り返す数名の集団で、黒ユリをあしらった仮面で顔の半分を隠しています。メンバーは白人もしくはフォリア人(黒人と白人の混血)だという噂がありますが、実際のところはわかっておりません。政府機関に忍び込んで壁に抗議文を残したり、不当に拘束された現地民を牢獄から助け出すなど、少々無謀な活動を繰り返しておりますが、いまだ誰1人として捕まってはおりません。彼らの活躍に喝采を送る者も多いのですが、一方で市民に対する締め付けが一層厳しくなっているという事実もあり、必ずしもその活動が人々のためになっているとは言いがたいようです。
▼流れ村
最近、ワーズ山脈にあるティファナ遺跡に住み着くようになった、現地民の犯罪者による小集団です。犯罪者といっても他人に迷惑をかけるような行為をおこなったわけではなく、植民地政府に抗議をしたというだけで投獄されたり、辺境伯の気まぐれで取り締まりの対象になった者たちです。黒ユリ義賊団の手を借りて脱獄したのですが、その後は行くあてもないまま山野をさまようことになり、たまたまこの遺跡に辿り着きました。特に意図があってここに居着いているわけではなく、1日も早く家族のもとに戻りたいと願っています。
▼金貨の民
家督とともに代々受け継いでいる金貨を子供に譲り渡す風習がある部族です。最近になって考古学者の1人が発見したのですが、この金貨に刻まれている文字は始原ペルソニア語によく似ているようで、古代史の研究家たちが強く興味を示しています。
○人物
▼ジュール=シュペルツァー辺境伯(白人/男/40歳)
気位が高く気難しい領主で、周囲は彼の御機嫌取りに必死になっています。さらに面倒なのが気が変わりやすいところで、予定がコロコロ変更される程度のことはしょっちゅうで、簡単に約束を反故にすることも珍しくはありません。それによって商人が大きな損失を出すこともあり、恨みを抱いている者も多いのですが、気まぐれで散財したり善行を施すこともあるため、それに助けられた者も少なくありません。
▼オレリア=シュペルツァー(白人/女/17歳)
領主が溺愛している娘で、純白姫と呼ばれるほど肌が白く、本人もそのことを自慢しています。そのため、日に焼けるのを嫌ってなるべく外出を避けており、どうしても出掛けなければならない時は、側仕えの者に黒い日傘を持たせ、幅の広い帽子と濃いベールで陽光から顔を隠しています。
▼グエン=シャーマット(白人/男/24歳)
農場主とその愛人の息子で、本来は使用人として生涯を過ごすはずでした。しかし、2年前に一家の皆が事故で亡くなったために遺産を受け継ぐことになり、下働きから大農場主へと転身することになります。それまでの彼は辛い境遇に負けず、異母兄弟のいじめにも耐えて頑張ってきた好青年でしたが、財産を手にしてからはすっかり人間が変わってしまいました。おそらく、財産を狙う多くの人間が彼に近づいてきたためでしょうが、現在では殆ど誰も信じないというほど疑い深くなり、それまで仲間だった使用人たちにも辛く当たるようになりました。最近では奴隷たちに過剰な暴力を振るうことも多くなり、味方と呼べるものは殆どいない状態となっています。
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