ファイン=ファウンド

基本情報自然人物・集団


 

基本情報


 エルモア地方で最後に発見されたことから、この名がつけられました。エルモア地方最西端の島で、氷河と火山で知られています。もともとは赤人と呼ばれるレプラッド人(蔑称レッド)が大陸から追われて最後に逃げ込んだ場所で、原住民である彼らは狩猟を基礎として生活していました。しかし、聖歴500年前後にロンデニア人に発見され、聖歴669年にロンデニア領として併合されることとなりました。
 この地の原住民は被差別民として扱われており、過去に多くの人民が奴隷としてロンデニアに連れて行かれました。しかし、後に鉱脈が発見されて利用価値が高まると、逆にペルソニア由来の奴隷たちがこの島に送られるようになりました。この土地は犯罪者の流刑地でもあり、ここに送られてきた者は鉱山などで強制労働をさせられています。こういった人々の中には証拠が不十分のまま逮捕されたり、あるいは親がいないために犯罪行為で日々の糧を得るしかなかった都市浮浪児なども大勢含まれています。


▼制度
 政治的に独立した地域ではなく、ロンデニア王国ファー・ノース領として属領(準州)あつかいになっています。この島における全ての政治的権限は、植民地総督であるカッサールに与えられており、原住民や流刑者のほぼ全てが奴隷として扱われています。
 警察と軍を混同したような治安警察隊というものがあり、これは領主の私兵や傭兵隊で組織されています。また、これとは別個に軍隊も駐留しており、植民地総督の要請によって動かすことが可能です。

▼州都
 島の南部にあるカサルーニャ市で、総領主カッサールの居城があります。この城は200mほどもある岩山の上に建てられており、支配の象徴として奴隷民たちを見下ろしています。


○略史

 この島の南の海域は寒流と暖流がぶつかるよい漁場なのですが、魚を目当てに集まった海棲怪物も多数生息していたことから、長く発見されるに至りませんでした。その後、聖歴500年前後にロンデニアの冒険家が上陸を果たすことになりますが、まもなく国内で内乱が起こったために、植民地化を前にカルネア王国が入植を果たすことになります。しかし、今度はカルネアで内乱が起こるうちに再びロンデニアへと宗主権が移るなど、その後も情勢は二転三転します。最終的にこの問題が決着したのは聖歴669年のことで、ロンデニアがカルネア革命軍の支援と引き替えに割譲の約束を取り付け、ようやくこの地の支配権を手に入れました。そして、その後わずか数年のうちに原住民を征服し、植民地の1つとして支配下に置くこととなったのです。


○現況

 政治的に重要な場所ではありませんが、その資源の豊富さは各国の羨望の的となっています。中心都市として植民地総督が住むカサルーニャ市が島の南部に存在し、他は小規模な鉱山町や港町が点在しています。奴隷や服役者たちは日々、鉱山や港での過酷な労働に従事しています。これに不満を抱いた奴隷民たちは地下組織をつくり、大規模な反乱を計画しています。本国との距離や組織の規模から考えると、反乱が成功する確率は決して低くはありません。


○民族

▼シリーシア人(白人)
 亜麻色やプラチナプロンドの髪に青い瞳の白人です。主に犯罪者として本国ロンデニアから連れてこられた者です。

▼レプラッド人(赤人)
 赤銅色の肌に鳶色の瞳、赤茶色の髪の人種です。島の原住民であり狩猟生活を行っていたのですが、現在は奴隷として働かされています。

▼アデン人/レグラム人(黒人)
 ペルソニア大陸から奴隷として連れてこられた、黒髪に黒い瞳の黒人です。


○宗教

 レプラッド人の土着宗教(赤人宗教)が排斥され、現在では聖母教会に改宗されました。しかし、裏ではまだ赤人の教えが残っています。また、黒人たちの間でも、密かに独自の宗教を信仰している者が大勢います。


○産物

 各種鉱物、魚、アザラシ、角鯨(鯨油など)、羽毛(エリマキカモメ)


○文化・生活

 かつてこの地に移住してきた赤人の独特の文化が、現在でも深く根づいています。エルモア地方最北に位置する非常に寒い地域なので、北部では夏でも火を絶やすことはありません。彼らは練炭を主な燃料としており、囲炉裏や火鉢で暖をとるとともに、調理の場としても利用します。したがって、人々は非常に密接して生活することとなり、自然と家族の結束が固くなります。
 食料はもっぱら狩猟に頼っており、アザラシやトナカイ、あるいは角鯨といったものが食べられています。南の方の一部では寒麦がつくられており、この付近では練った小麦を囲炉裏の灰の中に埋めてパンを焼いたりしています。
 なお、この島ではビタミンをとるために動物の生き血を飲む習慣があるのですが、それが吸血鬼のイメージと重ねられ、弾圧の口実とされています。吸血鬼の瞳が暗い赤色に輝くということも、鳶色や茶色の瞳をもつレプラッド人たちのイメージを悪くしています。


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自然


○概要

▼地勢
 エルモア地方最西端の島で、氷河と火山で知られています。内陸部は起伏に富んでおり、岩石地帯や切り立った断崖がかしこで見られます。火山と気候の影響からか、基本的に農作物は根付かない土地柄ですが、鉱物資源は豊富に存在します。暖流と寒流が合流するため、島の南の海域はよい漁場となっています。また、エリマキカモメの繁殖地でもあり、その羽毛は最高級品として取り引きされています。


▼気候
 南部の沿岸域は暖流の影響を受けるため、緯度のわりには比較的温暖な気候です。この付近は冬期でも平均気温は−5〜0℃ほどで、夏期は10℃前半くらいになります。しかし、中部以北の内陸地からは寒さが厳しくなり、亜寒帯に属するようになります。北氷海に面する地域は寒流の影響を受けるため寒帯に属し、1年の大部分が冬に閉ざされています。


○変異現象

 変異による影響のうち、人類に対して害になるものは殆どありません。それゆえ、原住民たちはこの島に移住してきたのです。


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人物・集団


○組織・集団

▼黄金の足枷
 奴隷たちの反乱組織で、南方の港町を中心に活動しています。近年になって急速にメンバーを増やしており、近いうちに一斉蜂起を計画しています。

▼エイゴン族
 赤人民族の中では最大の勢力を誇る一族です。特に結束の固い集団で、生まれた子供を村全体のものとして協力して育てる習慣があります。一族を1本の木に、1つの家族を1本の枝にたとえて話すため、枝の民と呼ばれることもあります。


○要所

▼酒場「星乙女たち」
 南方の港町にある反乱組織の本拠地で、地下に隠し部屋があります。ここでは毎晩のように反乱の計画が相談されています。

▼エイシェル造船所
 表向きは赤人奴隷が働いている造船所ですが、倉庫の1つの地下は反乱組織の武器庫として使われています。

▼白い風車小屋
 中部の犯罪者収容所の近くにある、風車を兼ねた作業道具小屋です。ここは反乱組織に加担するシリーシア人たちの拠点となる場所で、この中で反乱の計画が練られたり、連絡のやり取りが行われています。


○人物

▼ヴァンセラ=カッサール(男/49歳)
 現在の植民地総督で、貴族の家系の出身者です。猜疑深い性格で、それは岩山の上に強固な城塞をつくりあげたことからもわかります。非常に極端な人種差別主義者で、奴隷を支配するのは当然のことだと考えています。

▼アンヴィーナ(男/43歳)
 黄金の足枷の指導者です。エイゴン族の族長の末裔で、赤人たちには非常に大きな影響力を持っています。

▼ルヴァ(男/56歳)
 「星乙女たち」のマスターで、犯罪者としてこの地に流されてきたシリーシア人です。もともとは冤罪によって流刑にされた人物ですが、収容所生活の間に蓄積したカッサールに対する強い恨みから、刑期があけた後もこの地にとどまり、復讐の機会を窺っておりました。以前は劇団にいたこともあり、非常に演技力に優れています。情報収集には欠かすことのできない人物で、反乱組織の中核の1人です。


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