TRPG/概説

はじめての方へ楽しみ役割と個性ルール遊び方


 

はじめての方へ


 TRPGはテーブルトーク・ロールプレイングゲームの略です。テーブルトークは卓上で会話を交えて遊ぶことを意味する言葉であり、家庭用ゲーム機で遊ばれているRPGを、人間同士の会話で楽しむゲームということになります。しかし、TRPGにはこれだけでは語りきれない様々な要素を内包した遊びであり、ゲーム機とは違った楽しみを数多く含んでいます。


○概要

 RPG(ロールプレイングゲーム)というのは、「役割を演じる遊び」と訳すことができます。この言葉が示す通り、ゲームの参加者は特定の役割を与えられ、その仮想的な役割を演じることで話を進めてゆくゲームです。そのため、TRPGというのはよく即興演劇に例えられたりします。


▼キャラクター
 与えられる役割というのは多くは人間ですが、それ以外の生き物である場合もあります。この役割はゲームによって異なる場合もありますが、一般にキャラクターと呼ばれています。


▼行動
 TRPGで特徴的なのは、参加者には台本などが与えられるわけではなく、状況のみが説明されるということです。参加者はキャラクターの立場で物を考え、どのような行動を取るかを選択しなければなりません。


▼ジャンル
 TRPGというのは1つのジャンルであり、スポーツのように非常に幅広いものを指す言葉です。ですから、TRPGという特定のゲームが存在するわけではありませんし、それぞれ個別のゲームごとに違ったルールがあり、異なる楽しみ方があるわけです。といっても、ジャンルとして分類されているからには共通する要素も多々あります。以下の項目では、TRPGがどのような要素を持った遊びであるかを簡単に説明してゆきます。


○ゲームの目的

 単に何者かの立場で行動するだけではゲームにはなりません。特定の目的があり、それを達成するために効果的な行動を選択するという作業があって、初めてゲームとして成立します。


▼課題の解決
 一般にTRPGでは、仮想世界の中で起こる特別な事件(ハプニング)を解決することをゲームの目的としています。たとえばサッカーやバスケットボールで得点を取り、ゲームに勝利するということに当たる作業です。


▼種類
 ゲームの目的は個別のルールごとに異なるものです。たとえば、キャラクターとして刑事を扱うゲームでは、通常は犯罪事件を解決することが目的となります。そして、より上手い手段でなるべく早く解決することができれば、結果に対する評価は上がることになるでしょう。
 一般的には、経験点として評価する部分を見てもらえれば、それが何をするゲームかが明確となるはずです。この目的を果たすことが、ゲームにおける参加者の第一目標となります。


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楽しみ


 TRPGでは以下のような楽しみを得ることが出来ます。なお、各ゲームが提供する楽しみというのは、そのゲームの目的や選択できる行動内容によって異なります。


▼会話
 複数の人間が参加して行うTRPGでは、一緒にゲームを行う仲間とのコミュニケーションが楽しみの1つとなります。


▼演技
 これは役者などが行ういわゆる演技ではなく、キャラクターの立場になって行動するという意味での演技です。自分とは別の誰かの立場になって物事を考えたり行動するというのは、TRPGの独特の楽しみでしょう。


▼判断と行動
 状況に応じて様々な判断を下したり、行動の選択や推理で悩んだりするということも、TRPGの大きな楽しみの1つです。
 TRPGはゲームの1種であり、特に選択を行うということは非常に重要な要素となります。人間が判断して状況を動かすTRPGでは、ただ決められた選択肢を追うだけの遊びとは違って、自由な発想を楽しむことが可能です。キャラクターの行動が成功するかどうかはルールによって制限されたりもしますが、どのようにしてゲームの目的を達成するかということについて、無限の発想が可能であるという点についても、TRPGで得られる独特の楽しみといえるでしょう。


▼物語への参加
 GMが用意した状況の中で様々な出来事を体験することは、1つの物語を楽しむことにも似ています。さらに、TRPGでは自らが物語へ参加しているのですから、他人が作り上げたストーリーをただ眺めるだけの娯楽よりも、何倍もの楽しみを得られる可能性があります。


▼創造性
 TRPGにおいては、ゲームの結末は定められておらず、プレイヤーの選択とキャラクターの行動によって変化します。努力によって様々な未来を描ける可能性があるという点では、非常に創造性あふれる遊びといえるでしょう。TRPGではキャラクターを通じて物語を動かさなければならないため、厳密な意味での創作作業とは異なりますが、主体的に状況を変化させようという努力を行うことは可能です。こういった点で想像力を発揮することも、TRPGで得られる楽しみの1つとして挙げることが出来ます。


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役割と個性


○役割

 TRPGの楽しみは事件を効率的に解決することばかりではありません。このゲームが他のゲームと異なる点は、あくまでも自分とは違った立場の人間(キャラクター)になって考え、そして行動を選択するということです。
 TRPGでは、ゲームの目的を果たすための役割を、キャラクターとして担当することになります。ゲームの中では、この立場にあるキャラクターであればこうする、ということも判断の材料の1つです。教師として設定されているキャラクターは、教師らしい考え方をするのが最も自然といえるでしょう。あるいは異世界の住人であれば、その世界の住人らしく行動することが求められるのです。


▼種類
 ゲームの中でのキャラクターの役割は、職業といった社会的立場や、可能となる行動の種類などで分類されています。キャラクターはゲームの目的を達成するために活動するわけですから、問題解決のための手段や能力を有している必要があります。このような条件があるため、ゲームの役割はプレイヤーが自由に設定できるわけではなく、通常は用意されている職業などから選択することになります。


▼役割分担
 1人のキャラクターが目的達成のための全ての手段を持っているとは限りません。そのため、ゲームのプレイヤーは仲間と相談して、役割を分担することになります。


○個性

 通常のTRPGでは、キャラクターにはゲームの役割とは別に、性格や考え方などの個性が与えられます。これは、人間などの知的生物をキャラクターとして扱う場合には当然のことで、その世界の中で再現し得る限りの範囲において、個性を自由に設定することが可能となります。


○判断要素

 ゲームの中では、立場や個性がジレンマの元になることもあります。たとえば子供のいる刑事であれば、我が子のためにやむを得ず犯罪を起こしてしまった人間に対して、社会的立場を忘れて同情することもあるでしょう。他にも、人のよい刑事であれば犯人に騙されてしまう可能性もありますし、若い刑事であれば正義感のあまりに犯人に過剰な暴力を加えてしまうことも考えられます。
 これらは事件をうまく解決するという目的から考えると、不利になる要素ともなりかねません。しかし、TRPGは事件を解決するという結果だけではなく、過程を楽しむことも重視されるゲームなのです。立場や個性による選択の制限は、TRPGではゲームを楽しくする要素の1つと考えて下さい。それがTRPGの大きな特徴の1つなのです。
 このような立場による判断の違いは、時にはまるで映画やTVドラマのような物語を作り上げます。これらは結果的に出来上がるものではありますが、ゲームの参加者の選択と行動によって生まれたものには違いありません。TRPGでは役割とその組み合わせ、そして1人1人の選択によって、無限のストーリーが生まれる可能性があるのです。これはあらかじめ結末が決まっている演劇や、数値だけで評価するゲームにはない要素であり、TRPGの最も魅力的な点といえるでしょう。


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ルール


 ゲームの基本的なルールというのは、特定の役割を演じたり、選択した結果を評価するための基準として設定されるものです。たとえば、ある刑事が犯罪の現場を捜索したとしましょう。優秀な刑事であれば容易く証拠を見つけてしまうかもしれませんが、そうでない刑事は証拠を見逃してしまう可能性もあります。もちろん優秀な刑事でも、時には何かを見落としてしまうことも考えられます。


○数値

▼行為と判定
 TRPGでは、キャラクターがどのような能力や技術を持っている人間なのかを、能力値やレベルといった数値で表現します。そして多くのゲームでは、その行動がうまくいったかどうかを、サイコロなどを用いてランダムに判定します。
 もちろん、ある技術に秀でたキャラクターは、確率的に成功しやすいように設定されます。また、専門的な技術を習得していないキャラクターは、行動そのものを行えないこともあるでしょう。たとえば、ドイツ人と会うことになったとして、ドイツ語が話せないことで困難な立場に追い込まれる場合も考えられます。
 このような要素としてルールをとらえる場合、キャラクターが持つ能力や技術は選択肢であり、数値は選択を行う際の判断材料ということができます。自分に出来ることは何か、逆に不得意なことは何なのかを考え、どのような行動を取るのかを決定するのです。これがゲームとしてのTRPGが持つ面白さの1つです。


▼特徴
 それから、キャラクターを表現する数値は、自分が演じる対象がどのような存在であるかを示す手がかりでもあります。プレイヤーはキャラクターが持つ数値から、その人物がどのような人生を歩み、そしてどのような趣味・嗜好を持っているのかを判断して下さい。そうすれば、その人物をよりイメージしやすくなり、身近に感じることができるようになるはずです。


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遊び方


 TRPGでは、コンピューターがやってくれることを、すべて人間が行わなければなりません。たとえば、主役となるキャラクターたちを操ることはもちろん、シナリオをつくることもそうですし、イベントの管理や人々の行動、あるいは敵となる存在を動かすことも含まれます。


○参加者の役割

 一般にTRPGでは、参加者を大きく2つの役割に分けることができます。1つはゲームマスター(以下GM)という役割で、それ以外はプレイヤーとなってゲームに参加することになります。


▼GM
 GMはゲーム機にあたる役目を負います。GMは舞台を整えたり、シナリオのあらすじを決めたり、司会進行役やルールの審判などもつとめなければなりません。また、キャラクター以外の登場人物を演じることもGMの役目となります。GMは1人で行うのが普通ですが、それでは処理が大変だという場合には、サブマスターとしてもう1人がサポートすることもあります。


▼プレイヤー
 残りはプレイヤーとなって、自分のキャラクターを動かします。TRPGの場合はゲーム機のRPGと違って、誰のキャラクターが主役ということはありません。通常はみんなが主役であり、全員で力を合わせて困難に立ち向かってゆくものです。


○進行

 ゲームの流れは、だいたい以下のようになります。

  1:ゲームマスターによる説明(シナリオの傾向、状況の説明など)
  2:シナリオの目的と状況の把握
  3:解決に向けてプレイヤーが判断
  4:判断に基づいてキャラクターを行動させる
  5:目的の達成/エンディング

 GMは事件を起こし、状況をプレイヤーの前に提示します。そして、プレイヤーがそれに対してどのようなリアクションを取るかを考え、行動を選択します。必要があれば、その行動が成功したかどうかをルールに従って判定します。そして、キャラクターが起こしたアクションに対して、どのような結果が起こったかをGMは描写します。この繰り返しによってTRPGというゲームは進んでゆきます。


○展開

 TPRGの特徴の1つとして、シナリオの結末が決まっていないということが挙げられます。一応のあらすじは存在していても、その通りにストーリーが決着するわけではないのです。プレイヤーの選択肢によっては、目的が遂げられずに終わってしまうこともあるでしょう。逆に、咄嗟の機転によって予想以上に良い結末が迎えられることもあるのです。また、同じシナリオを繰り返し遊んだとしても、キャラクターが違えば全く違う結果になることも十分に考えられます。
 もちろん、これはTRPG以外のゲームにも当てはまることですが、TRPGの場合は可能性の幅が無限といっていいほど広いのです。もちろん想像力には限界があるでしょうが、こういった創造性もまたTRPGの大きな魅力の1つでしょう。


 さて、これでTRPGがどのようなゲームなのか、だいたい分かっていただけたでしょうか? もちろん、これだけでは実際のプレイの様子までは想像できません。詳しく知りたい方は、TRPGに関する雑誌やリプレイ本(ゲームの様子を戯曲の台本風にまとめたものが多く、キャラクターの台詞と卜書きが書かれている)といったものを書店で購入できますし、ネット上でもTRPGに関するページを開設なされている方はたくさんいます。ぜひ、そちらの方をご覧になって、TRPGに対する理解を深めていただきたいと思います。


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