人種
○呼び名
エルモア地方では一般に、ペルソニアの住民を『ペルソニアン』(ペルソニア人)と呼んでいます。これは基本的に原住民に対する呼び名ですが、ペルソニア生まれの者に対する蔑称として使われることもあります。
○人種・民族
▼黒人
ペルソニアで大多数を占める人種は黒人ですが、これにはレグラム人系とアデン人系の2つの系統があります。地域や生活環境によっても差はありますが、全体的に見ればレグラム人の方が体格がよく力があり、アデン人はやや細身ですが瞬発力・持久力ともに優れています。
◇レグラム人(黒人)
前聖歴の頃よりペルソニア北中部(B地域)から中部(E地域)の一帯に住んでいた黒人です。古くは中部以南のサバンナ地帯で暮らしていたと考えられており、現在も奥地(E・F地域)に多くの部族がいます。◇アデン人(黒人)
前聖歴の頃よりペルソニア西部(C地域)や南西部(H地域)の一帯に住んでいた黒人で、多くはF-3地域の密林などで暮らしています。ペルソニア南部の高地に住んでいた巨石文明の末裔と考えられており、現在もその周辺のサバンナ地帯や奥地で多くの部族が暮らしています。
▼赤人
◇バウンシャ人(赤人)
古くから北東部(A地域)や中東部(D地域)の一帯を支配してきた赤人民族で、褐色あるいは赤銅色の肌と、赤みがかった髪や瞳を持ちます。
エルモア北方に住むレプラッド系赤人と同系統の民族だと考えられていますが、華奢なレプラッド人より全体的に体格がよく、肌や髪の色もやや濃いのが特徴です。そのため、彼らの中には黒人や黄人の血が混じっているといわれています。また、平均的に見てバウンシャ人の方が鼻が低く、美しい容姿であることに違いはありませんが、鑑賞奴隷としてより好まれるのはレプラッド人の方となります。
ペルソニア由来の赤人は赤人語を話さず、殆どはペルソニア語かエルモア共通語を用います。そのため、エルモア地方の場合とは異なり、赤人が通訳を兼ねた奴隷頭の地位に就くことはなく、黒人と同様に扱われます。
▼黄人
聖歴に入ってから入植を果たしたラガン帝国由来の黄人です。ソロニア人、ドゥーガル人、マステュス人、セル人、クリントル人など、数多くの黄人民族やその混血が存在します。
ラガン帝国が滅んで以来、ペルソニアでの黄人の地位はあまり高くなく、白人には蔑視される傾向にあります。また、それまでの侵略の経緯から黒人、赤人たちにも怨まれているため、植民地を離れて生活するのも困難となります。
殆どの黄人およびその混血人は各地に散らばって生活していますが、それは旧ラガン勢力が団結しないよう、白人国家が意図的に分散するよう仕向けているためです。とはいえ、完全に孤立しているというわけではなく、カーカバートの利用する中継港を通じて連絡を取り合ったりしています。
▼白人
植民地を持つカルネア、ライヒスデール、エリスファリア、ルワール、ソファイア、ロンデニア出身の白人が主となります。また、この他にもカーカバートの商人の姿はよく見かけられますし、これらの国を経由してペルソニアにやって来る他国人もまれに存在します。
▼混血
通常、現地民の血が混じっている者は、身分制度上も現地民に準じます。奴隷の子は混血でも奴隷階級として扱われ、解放されなければその子孫もまた奴隷ということになります。なお、身分制度や社会常識といった問題から、混血自体それほど頻繁に起こるわけではありませんし、何種類もの人種の血が混じることは滅多にありません。
◇フォリア人(混血:黒人+白人)
出自となる民族を問わず、黒人と白人の混血のことを広く言う言葉です。フォリア人は大きく2つに分けることが出来ます。1つは、貿易商人や移民として訪れた白人が、現地の黒人と結婚して生まれた子供です。もう1つは農園経営者などが奴隷の女性に生ませた子供で、こちらは白人家庭に受け入れられることは殆どなく、父親がいないものとして育てられます。いずれの系統にしても、フォリア人は双方の人種から疎まれる存在となります。◇ゴズラム人(混血:黒人+黄人)
黒人と黄人の混血を指す言葉で、北中部を中心に分布している混血人です。多くはB-3〜B-7地域に住んでいます。◇レバンド人(混血:赤人+黒人)
バウンシャ系赤人とレグラム系黒人の混血で、多くはペルソニア北部(A・B地域)に住んでいます。まれに中東部(D地域)で見かけられることもあります。◇クルゼイア人(混血:赤人+黄人)
バウンシャ系赤人とラガン由来の黄人の混血で、その多くは北東部(A地域)に住んでいます。◇レーリア人(混血:赤人+白人)
出自となる民族を問わず、赤人と白人の混血を指す言葉です。鑑賞奴隷の子供も多くいますが、その殆どは生まれながらにして親と同じ生涯をたどることを運命づけられています。◇パルメラ人(混血:黄人+白人)
黄人と白人の混血を指す言葉で、植民地の全域に分布しています。◇メルカディア人/ミクスチュア(複合混血)
ごく稀にですが、クルゼイア人とレバンド人の混血なども存在するようです。系統が判別できないほど混血が進んだ者たちは、当然のことながら白人からは差別の対象にしかなりませんし、その他の人種からも疎外されることになります。
人種 民族 主要地域 黒人 レグラム人 北中部(B)、中部(E)、中西部(F) 黒人 アデン人 西部(C)、中西部(F)、南西部(H) 赤人 バウンシャ人 北東部(A)、中東部(D) 黄人 さまざま 各国植民地 白人 さまざま 各国植民地
○亜人
ペルソニア大陸には、獣人や半獣人といった亜人が存在します。聖獣信仰者たちからは、こういった存在は神聖なものとして崇められています。しかし、エルモア地方の侵略者たちからすれば、変異現象の影響を受けた呪われた存在でしかありませんし、抵抗勢力の旗頭となることもあるため積極的に排除する対象となります。
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所属
○原住民
▼人民区分
通常、植民地の先住民は正式な国籍を持たず、外地籍という特殊な法的身分が与えられます。
◇登録民
外地籍を持つ原住民は、登録民として植民地政府の管理下に置かれます。これには奴隷階級として財産登録される者と、市民権を持つ外地市民の2種類があります。
奴隷は奴隷主の所有する財産であり、権利を持たない最下層身分の者として扱われます。外地市民は外地籍であることには変わりありませんが、一般市民として国家に認められており、職業に応じた身分として扱われます。しかし、本国と同様の正式な国籍を得るためには、国家の定める規定(金銭、身分保証など)を満たした上で、植民地政府の許可を得なければなりません。◇非登録
非登録民(植民地政府の管理下にない原住民)については、基本的な人権が全く与えられない状態となります。このような者は動物と同じ扱いとなり、これらの人々を傷つけても法的に責任を問われることはありません。奴隷として狩られるのは、このような非登録民に限られます。◇自由奴隷
かつて奴隷だった者が、逃亡や解放によって自由な身分になることがあります。このような人間を一般に『自由奴隷』と呼びます。
自由奴隷が人権を得るためには、奴隷所有者が身元を証明した上で、植民地政府に正式な届け出を行なう必要があります。これを政府が受理すれば外地籍の身分が与えられますが、奴隷主が自ら奴隷を解放することは滅多にないことですし、誰の庇護も受けずに生きるのは容易なことではありません。また、人権を得たからといって差別を受けることは間違いなく、まともな教育を受けていないことから、肉体労働に従事する下層市民として生活する以外、自活の道を見つけるのは難しいでしょう。
▼制限
外地籍に分類される者は参政権を持ちませんし、公職に就く場合に大きな制限を受けることになります。◇公職就任
本国からの移民だけでは人員不足となるため、現地民も行政業務に携わっています。ただし、彼らは準公務員的な扱いとなり、最も下位の役職にしか就くことが出来ません。どれだけ功績を上げても出世することは出来ませんし、国籍を持つ者に比べて給与水準も一段低いものとなります。
▼国籍取得
正式な国籍を得るためには、一定額以上の納税やエルモア共通語を話せるなど、幾つかの条件を満たさなければなりません。また、反政府活動への参加や罪歴の有無によって、条件を満たしていても国籍の取得を拒否される場合があります。
このため、本国籍を取得して官僚や州議会議員などの高い地位に就くことが出来るのは、古くから力のある部族出身の者や、経済的に恵まれたごくわずかな人間に限られます。なお、これは植民地支配をやりやすくするとともに、原住民が自らの代表を持てるということで、不満をやわらげる目的でその枠を設けているだけで、本当の意味で大きな権力や発言権を持つ者は殆どいない状況です。
◇混血児
通常、白人と植民地原住民との間に生まれた子は、白人の親が特別に手続きをしなければ外地籍となります。
○移民
▼入植移民
本国生まれの者はもちろん、ペルソニアで生まれた白人移民の子らも、植民地政府に正式に届け出が出されていれば本国籍を貰うことが出来ます。しかし、一般的な感覚としては、本国人よりも下の田舎者と認識されています。
▼強制移住
国家によっては、本国で重罪になった者をペルソニアへ強制移住させ、開拓作業や鉱山労働に従事させる場合があります。これは労働刑や追放刑の一種で、移住と引き換えに減刑されるのが普通です。しかし、刑期が正しく守られるとは限らず、植民地総督や政府役人が私腹を肥やすために、裏で手を回して自身が経営する農場や鉱山に密かに移して、強制労働を続けさせる場合もあるようです。また、刑期を終えても政府が本国へ送り返してくれるわけではなく、旅費は自身で稼がなければなりません。そのため、解放されても再び犯罪に手を染める例も多く、昨今では制度自体を問題視する声も大きくなっています。
○その他
非登録の原住民や素性の分からない移民が、何らかの理由で街中に紛れ込んで暮らしている場合もあります。
▼移民
移民の場合は犯罪者である場合が多く、他国の植民地まで逃れて来る例も珍しくはありません。また、強制移住者が施設から脱走し、人の多い街に潜伏している場合もあります。この他、何らかの理由で保護者による届け出がなされておらず、国籍を持たない者もまれに存在するようです。
▼原住民
原住民の場合、奴隷身分や居留地からの解放を求めて逃亡したり、犯罪などに関わって以前の場所に居られなくなって、他の都市に逃げ込む例が多いようです。また、法律の改正によって不当な弾圧を受けたりした場合は、集団で他国の植民地に移住することもあります。この他、生活が困難になって自ら部族を抜け出したり、反政府活動を行なうために市民に紛れているなど、珍しいケースも幾つか存在します。
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系統
○ルーツ
入植のはじまった聖歴以前は、地域によって以下のように系統に分かれておりました。しかし、これらの人種・民族が完全に分断されていたわけではなく、境界線となる地域ではそれなりに混血も進んでいたようです。
▼北東部(A地域)
大変異現象以後、最初にこの地域に移住してきたのは、北中部(B地域)に住んでいたレグラム系黒人のようです。しかし、何らかの理由で移住者たちは再びB地域に戻り、その後に赤人がこの地を支配することになります。なお、一部の黒人は中東部(D地域)の密林の中に逃れたり、赤人部族と融和して混血を進めたようです。▼北中部(B地域)
レグラム人系の黒人が住んでいた地域で、中部(E地域)に住んでいた部族が北上してきたものと考えられています。北東部(A地域)や西部(C地域)との境界付近では、混血部族も多く住んでいます。▼西部(C地域)
アデン人系の黒人が殆どを占める地域で、彼らはもともと南西部(H地域)に住んでいたか、もしくはさらに奥地の高地出身ではないかと考えられています。▼中東部(D地域)
バウンシャ人系の赤人が住んでいた地域です。彼らの起源については、エルモア地方から移住してきたレプラッド系赤人が、北東部(A地域)から南下してきたという説と、南東部(G地域)から北上してきたという2つの説があります。この地域には、聖歴以前からレグラム人系の黒人もわずかに住んでいたようで、これは北中部(B地域)から移住してきたものと考えられています。▼中部(E地域)
古くからレグラム人系の黒人が住んでいた地域となります。さらに南の地域から北上してきたという説もありますが、真偽のほどは定かではありません。▼中西部(F地域)
レグラム系およびアデン系の黒人が混ざりあっている地域であり、その混血の民も多く住んでいます。▼南東部(G地域)
民族学もしくは考古学的見地から、バウンシャ人系の赤人がもともと住んでいた地域と考えられていますが、発掘された遺跡の数が少ないためはっきりしたことはわかりません。▼南西部(H地域)
古くからアデン人系の黒人が住んでいた地域で、西部(C地域)の黒人はこの地域から移住したものと考えられています。彼らの起源は、さらに奥地にある高地の部族だという説が有力で、その周辺からは巨石文明の遺跡が発見されたという報告があります。▼南部(未踏地)
現在においても完全な未踏の地域であり、人間が住んでいるかどうかも不明です。
○赤人
赤人のルーツに関しては諸説ありますが、もともと信じられていたのは、エルモア北方の赤人がペルソニアに渡ってきたという説です。しかし、後にペルソニア南東部(G地域)に住む赤人集団の中から、レプラッド系と思われる赤人民族が見つかっておりますし、聖歴707年に同じ地域で発見された遺跡から、赤人種と見られる遺体が発掘されています。このことから、ペルソニアの南方にいた赤人が北上してきたという説や、ペルソニア北方の赤人が他人種を取り込んで大集団となり、南方やエルモア地へ勢力を広げていったという新説も出ております。
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