刻印霊石/基本

新発見事実情報


 

新発見


 これは今後の世界に大きな影響をもたらす可能性がある、新しいタイプの霊石に関する情報です。


○発見

 つい最近のことですが、アルシア=マクグレンという女性がペルソニア北中部(B地域)のネナン砂漠で、霊石のような青白い透明結晶を発見しました。この拳ほどの大きさの球形結晶は非常に特殊な性質を持っています。


▼錬金術師アルシア=マクグレン
 ペルソニアの砂漠に含まれる霊砂の研究を行なうために渡航してきた、カルネア出身の錬金術師です。大学時代の師の誘いを受けて元素秘学に関する研究の手伝いをはじめ、現在も霊石や霊水などの霊子物質を対象とした研究活動を続けています。
 表向きは霊子機関の研究者で、現在は軍の要請を受けてペルソニア植民地の軍事工房で働いています。彼女に与えられた任務は霊子機関の改良ですが、最近はこの結晶石の研究に没頭し、研究所の方を休みがちになっている状態です。

▼ロンデニア
 アルシアが発見したのと同様のものが、ペルソニア南東部(G地域)のナクラム遺跡から幾つか見つかっており、半分はロンデニアの植民地に、もう半分はロンデニアに持ち帰られて研究されています。これは聖歴784年に入手したもので、人間の頭ほどの大きさがあります。


○性質

 この結晶石は外見的には殆ど霊石と変わるところはなく、内部をよく覗き込むと白く細い糸のような筋が透けて見える程度の違いしかありませんでした。そのため、アルシアは不純物の多い霊石だろうと思い、研究サンプルとして採取した砂漠の砂と一緒に、そのまま自宅の地下にある研究室に保管しておきました。
 しかし、翌日に石を見てみると、その周囲に花弁のように結晶石を取り巻く、新たな霊石の層が生まれていたのです。これは結晶が剥離したわけではなく、見た目にも明らかに体積が増えており、重量も以前より増しておりました。
 この新発見に興奮した彼女は、寝食を忘れて研究に没頭するようになります。その結果、以下のような事実が確認されました。


▼導霊反応
 これは霊石の1種であることは間違いないものの、導霊物質としては少し本来のものと異なる反応を示します。

▼エネルギー利用
 新たに形成された層状結晶を使った実験では、霊子機関を正常に起動させることが出来ました。燃料価は霊石のほぼ半分となりますが、霊子蒸気(エーテル・スチーム)や霊笛(エーテル・ノート)と呼ばれる高音を出さないという、霊石よりも優れている点もあります。

▼不純物
 結晶石の内部には、白く細い糸のような筋が何本も入っています。それは網状に連結しており、何かの回路のようにも見えなくはありません。
 この白い不純物は、ケイ素の導霊物質である真砂と呼ばれるもので、おそらく結晶化の最中に混じってしまったものだと彼女は考えています。霊子機関で用いる場合は反応層に残留するため、量としてはそれほど多くはありませんが、定期的に清掃する必要があるでしょう。

▼外層形成
 結晶石の外層に出来る花弁状の結晶は、砂漠の砂に含まれる霊砂が結合したものではないかと推測しています。実際、実験に使用した砂からは霊砂が減少しているため、その他の霊子物質とは異なり、霊砂は互いに吸着して結晶を形成する性質があるのではないかと彼女は期待しています。しかし、これまでの霊砂の研究過程でそのような現象は一切観察されておらず、あくまでもこの結晶石の周囲でのみ見られる特異的な現象となります。


○植民地

 このような事実が世間に公表されたとすれば、新たな霊石の供給源として砂漠の価値が格段に高まり、各国がしのぎを削って奪い合うことは必至でしょう。
 現在のところ、霊砂から霊石が合成されるという事実を知っているのは、錬金術師アルシアだけです。ロンデニアの研究者たちは、アルシアのように結晶石を砂漠の砂と一緒にしておいたことはないため、霊砂を集めて層状結晶をつくる性質については全く知りません。


▼一般化
 アルシアはカルネアの研究者ですから、最初に合成技術を獲得する可能性が高いのはカルネアです。しかし、この国は内戦を繰り広げている最中であり、安全の保証のない本国に帰って研究を続けるのも難しい状況でしょう。また、霊石の原料となるのは砂漠の霊砂ですから、もしこの技術によって大量生産が行われるとしても、施設はペルソニアで稼働するはずです。
 しかし、彼女は錬金術師であり、純粋に科学技術を発展させたいという願いをもって、異端の道に足を踏み入れた人物です。そのため、彼女がこの技術を一国が占有することをよしとせず、一般に技術公開する可能性もないわけではありません。実際、彼女は本業である霊子機関の研究を休んでまで刻印霊石の研究に時間を注いでおり、このままクビになってもいいと考えているほどです。


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事実情報


 現在では判明しておりませんが、刻印霊石は以下のような存在となります。


○名称

 アルシア=マクグレンは砂漠で見つけた石を生成原石(種霊石)、その外側に層状結晶として形成される石を合成霊石と呼んでいます。ロンデニアの研究者はその性質についてわかっておらず、その見た目から彫刻霊石と名付けています。
 刻印霊石という呼び名は、この解説内で用いられる用語であり、一般の人々がどのように呼ぶかはまだ決まっておりません。なお、刻印霊石は総称として使われる呼び名であり、その性質によって分けて考える必要がある場合には、生成原石、合成霊石などと区別して表記します。


○生成原石

 この球状の透明結晶は、砂孔蟲という砂漠に住む微細な無機生物の塊です。これは周囲に霊子が豊富に存在する時に、砂孔蟲が大増殖を行う目的で形成する形態で、群体結晶と呼ばれるものです。砂孔蟲の詳しい性質については「砂孔蟲」のページをご覧下さい。


▼増殖機能の異常
 生成原石は群体結晶の中ではイレギュラーな存在です。その原因は大増殖を行う寸前に周囲から真砂が無くなったことで、増殖のために必要な霊的回路が形成されない不完全な状態で、群体結晶が完成してしまったのです。
 その結果、内部の砂孔蟲は増殖の準備を継続しているのですが、実際の増殖能は既に失われているという、非常に特殊な状態に陥っています。ですから、近くに霊子が存在すれば、これを増殖のために集めて結晶化し、自身の周りに花弁状の層状結晶を形成し続けます。


▼霊子の供給
 生成原石は【精神値】を持っておらず、周囲に霊子の供給源がなくなれば外層にある霊子を消費し、やがてデザート・クリスタルのような透明結晶に変わって休眠することになります。しかし、この状態でも霊子が与えられればすぐに目を覚まし、通常と同じように活動を開始します。


▼合成霊石の形成
 周囲に霊子物質が存在すれば、その霊子を集めて層状結晶を形成します。霊子の供給源は霊子物質に限らず、【精神値】を吸収して利用することも出来ます。
 
◇条件:真砂の存在
 彼らは増殖のために霊的回路を構築するのですが、その材料として真砂が用いられます。そのため、真砂も同時に接触していなければ、霊砂の結晶化は引き起こされません。合成霊石の内部に真砂が含まれているのもこの理由で、イレギュラーな存在であるため本来のものとは回路形状が異なりますが、必ず霊的回路として網状の糸が内部につくられます。

◇実際の合成
 霊石などを霊子供給源とするのではなく、霊砂を材料に合成を行う目的であるならば、真砂が存在しない条件というのは非常に考えにくいものです。というのは、ペルソニアの砂漠の場合は、砂の中に真砂、霊砂、砂孔蟲が混在した状態にあり、これを選別して選り分けるというのは殆ど不可能だからです。

◇精神値
 生成原石も砂孔蟲の群体結晶ですから、吸魂の特殊能力を保持しておりますが、真砂がなければ生命維持の目的でしか霊子を消費しません。ですから、真砂から離れた状態で誰かがこれに接触しても、特に何も変化は起こりません。
 しかし、真砂に接触した状態で1ラウンド以上これに触れていた場合、生成原石は【精神値】を材料に合成霊石を生み出します。ただし、周囲から真砂がなくなった時点で、この現象も自動的に停止します。

◇採集
 外層に形成された合成原石は、少し力を入れるだけで中心核の部分から剥がれます。多層構造になっているため、全てを取り外してしまわなければ、中心核の透明結晶は見えません。


▼生成原石の誕生
 砂漠の砂には砂孔蟲も一緒に含まれていることから、大量に霊石合成を行おうとした場合、その内部で砂孔蟲の大増殖が引き起こされる可能性が高いでしょう。そして、その中にある群体結晶がまた増殖の直前で真砂との接触を断たれれば、新しい生成原石が得られることになります。


○結晶仮面

 呪装仮面は砂孔蟲の増殖を停止するために、定形刻印という霊刻が施されています。この刻印がなされていないものや、破損して霊的回路が正常に機能していない仮面は、内部が結晶化している可能性があります。このような仮面のことを、仮面使いたちは『結晶化面』と呼んでいます。なお、こういった仮面は表面がひび割れ、青白い霊子結晶の層が外部に付着しているため、仮面使いたちは簡単に見分けることが出来ます。


▼生成原石
 実は、結晶仮面というのも生成原石の1種となります。内部の透明結晶は、豊富な霊子に触れた砂孔蟲がつくった群体結晶です。しかし、仮面は既に焼き固められているため、増殖のための霊的回路の材料となる真砂を利用できず、増殖が止まったままとなってしまうのです。


▼仮面の墓場
 結晶仮面は砕いて砂漠の砂に還すというのが、一般的な仮面使いたちのしきたりです。部族にもよりますが、破片を捨てる場所はだいたい決まっており、そこは仮面の墓場と呼ばれています。
 結晶仮面は生成原石であるため、砂漠に捨てられた場合は霊砂や真砂と接触して、合成霊石をつくります。ただし、やがて砂漠に埋もれてしまうために、滅多に見つかることはありません。また、霊砂が潤沢に供給されなければ大きな結晶にはなりませんので、それほど破片が大きくなることもないでしょう。
 なお、霊砂が霊石の破片と考えられているのは、単に結晶状態の霊子物質というだけでなく、砂漠でこういった合成霊石が見つかることも理由の1つに挙げられます。


○合成霊石

 合成霊石は以下のような性質を持っています。


▼燃料
 合成霊石は通常の霊石の半分の燃料価ですが、体積あたりで言えば霊砂の5倍の霊子エネルギーを内包しています。
 これは霊子物質として霊子機関の燃料に用いることが出来ます。また、霊子蒸気(エーテル・スチーム)や霊笛(エーテル・ノート)と呼ばれる高音を出さないという点で、霊石よりも優れている部分もあります。
 

◇燃料とEP

名称 燃料価
霊石(1L) 10EP
霊水(1L) 5EP
合成霊石(1L)

5EP
霊砂(1L) 1EP


▼霊的回路
 合成霊石の内部に微かに見える網状の白線は、導霊物質である真砂による霊的回路です。しかし、これは本来の群体結晶が形成するものとは異なり、増殖機能を発動することはありません。そのかわり、全く別の霊的回路を形成して、予期しない効果を発揮してしまう可能性があります。


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