ペルソニア/伝承

全域G:南東部


 

全域


 以下に列挙するのは遺跡に関する伝承であり、本当にこれらが存在したかどうかは分かっておりません。


○クシュフォール王国

 クシュフォール平野(A-1地域)には空白期の頃に、これまでのペルソニアの文明とは全く系統の異なる、独自の文化を持つ集団が存在したと伝えられています。クシュフォールという名は肥沃な大地という意味を持っており、この王国から伝わる言葉だとされていますが、実際に遺跡や遺構が発見されたことはなく、想像の産物ではないかという説が有力です。
 しかし、美しい大理石でつくられた聖都ヒメリウスや、遠くの海まで照らし出す神の姿を象った大灯台、あるいは装飾柱が列をなす黄金の大神殿などの伝承は、人々の創作心をくすぐる題材のようで、古より絵画や物語のモチーフとして頻繁に用いられています。


○ラシュラト王国

 ペルソニア奥地に存在した赤人国家で、外部とは殆ど交流を持たずに暮らしてきました。その歴史の中で殆ど争いらしい争いは見られず、幾度か内部での権力抗争はあったものの、おおむね平和的に王位の継承が行なわれていたようです。
 彼らは巨石文明の末裔として古い技術を受け継いできた集団で、その他の地域よりも高い技術・文化を持っていたと伝えられています。特に石工技術に優れており、祭祀場や王宮として建てられた巨石建造物は、華麗な装飾や優美な彫刻で飾られていました。
 なお、この国には古代の仮面の技術を受け継ぐ集団も存在し、彼らは非常に高い地位を得ていたといいます。しかし、仮面使いたちは後に王国を離れると、他国に仕えて戦闘用の仮面を作り、ラシュラト王国に攻め込ませたという話が残っています。王国はそのまま侵略を受けて滅亡するのですが、仮面使いの目的については統一された伝承がなく、物語は地域によって異なる結末で終わっています。


○獣王国タルテア

 タスハファ丘陵(E-4)の南にあったとされる軍事国家で、非常に優れた金属製錬技術を持っていたといいます。彼らは武力をもって周辺地域を制圧し、やがてカナデ砂漠の方にも支配地を拡大します。しかし、内乱が原因で急激に衰退し、支配域の外では姿を見せなくなってしまいます。
 彼らはゾウ、トラ、ライオンといった動物を操り、それらにも鎧を装備させて戦わせていました。また、真実かどうかはわかりませんが、死んだ獣を使役することも出来たといい、死兵獣と呼ばれて恐れられていたと伝えられています。王都には死兵獣を生み出すための不浄神殿という施設があり、螺旋階段を下りた地下深い場所に祭壇が設けられ、そこで神官たちによって秘密の儀式が執り行なわれていたようです。
 このような技術・文化を持っていたため、王都には慰霊碑も兼ねた巨大な獣の石像が飾られていました。しかし、いわゆる聖獣信仰者とは異なり、飾られているのは普通の動物であり、半人半獣の姿を持つ神獣のものではありません。


○石兵王国レイゴール

 古代の巨石文明国家の中には、石像の兵士を操る技を持つ集団が存在したようです。レイゴールはそういった者たちが建てた国家の1つで、人間や獣の形をした石兵を従えて周辺国家と戦いを繰り広げておりました。石兵は生き物を石に変える術によって生み出されるのだといい、ペルソニアに存在する石皮病というのは、この技術が関連しているのではないかと考える研究者も存在します。
 この王国では、王が亡くなった時には地下につくられた大墳墓に埋葬され、一緒に100体の石兵が副葬品として捧げられるのだといいます。これらは死者の国で王を守る兵士として戦うもので、武器や鎧も身につけているという話です。


○砂漠の大灯台

 かつてラガンの探険家がカナデ砂漠(E-3)の奥地で見つけたとされる遺跡ですが、その人物が実在した形跡はなく、想像の産物だと言われています。ともあれ、その人物が語ったという話によれば、砂漠の奥地に巨大な塔が倒れており、その先端にはかがり火を灯すための灯室が備えられていたそうです。また、柱の部分には砂漠にはいないはずの海竜をデザイン化した紋章が彫られており、竜の瞳には巨大なダイヤモンドが取り付けられていたともいいます。実際、ペルソニアで発見された200カラット以上のダイヤモンドが、ラガン本国の皇帝に献上されたという記録はありますし、ペルソニアの砂漠では砂船を移動手段として利用していたという伝承も存在します。ですから、カナデ砂漠には本当に倒れた灯台が横たわっているのかもしれませんが、南部の巨石文明では巨大な人工の湖をつくり、そこに聖竜を召還していたという伝承もあるので、そういった話からつくられた創作である可能性もあります。


○廃都ディランデラ

 ラガン帝国の植民地に残る資料によれば、過去にシリオン=ジレニアルという人物が波濤海を南下し、G-2地域で遺跡を発見したという報告があります。周囲を密林で覆われた山の麓にあったというその都市には、優れた製鉄技術を持っていた文明の痕跡や、本物の人や獣と見まがうばかりの精細な彫刻が残されていたそうです。
 列柱の並ぶ王宮や野外劇場の跡といった巨石建造物もあったらしいのですが、特にシリオンの目を引いたのは山の岩肌に彫られた巨大な人物像で、その足下には墳墓へと通じる建物が存在したといいます。そのうちの1つは顔の部分が削り取られていたそうですが、彼はこれを生前に廃位された王のものだと推測しています。
 これらの情報はシリオンの死後に残された資料から発見されたもので、生前には遺跡の存在を明かそうとはしませんでした。秘密にしていたは命を救ってくれた奥地の民との約束だったのですが、家族のいない彼の遺品を整理していた友人がこれを見つけ、研究者に届けてしまったようです。結局、ディランデラの遺跡は現在に至っても見つかっておりませんが、その貴重な体験は後にナクラム遺跡(G-1)の発見に繋がっています。


○空中都市アスナ・フォリウム

 クスクフ高地(B-9)には、岩石の上に建設された街が存在すると言われています。これはラガンの侵略から逃れた人々がつくったもので、ある場所から断崖絶壁を見上げると、翼の始祖と呼ばれる神獣を頂く大宮殿の屋根が見えるのだそうです。しかし、どのようにして峻険な崖地の上に辿り着き、巨大な石造建築を建てることが出来たのかはわからず、単なる作り話だと考えられています。


○無人都市ホルメイアス

 未踏地にあるという無人の都市で、四角い巨石を組み合わせて建造された無機質な建物が、規則正しく配置されているのだそうです。これらの建物は表面に彫られた溝に、金を流し込んで描かれた模様があるだけで、窓や入り口は全く設けられておりません。また、積み上げられている石の隙間は殆ど見えず、非常に高度な技術でつくられているのですが、内部がどうなっているのかは全くわかりません。


○宝珠都市ラクパシャ

 未踏地にあると伝えられている都市で、その周辺では宝石が大量に採掘されていたようです。巨石文明の系譜に連なる集団らしく、住民は切り立った峡谷の岩壁に掘った石窟住居に住んでおり、その谷を抜けた突き当たりの土地には半球のドーム型神殿が建てられています。
 神殿の中には無貌の石巨人が立ち並び、一番奥には両手を高く掲げた巨大な女神像が飾られているそうです。これらの石像の目と額には大粒の宝石が埋め込まれ、列をなす巨人像は手に剣と楯を、女神像は錫杖と王冠を身につけています。この錫杖や王冠には装飾が施されており、ありとあらゆる宝石で飾り立てられているといいます。
 なお、ペルソニアではこれらの像を模したと言われる、素焼きの土製人形にガラス玉をつけたお土産品が売られていますが、これにはモデルが存在します。それはラガン時代にD地域の一部族から奪い取ったという石人形で、これには本物の宝石が埋め込まれていたそうです。この谷は現在は砂に埋まってしまっていると伝えられており、それを見つけるために奥地を目指そうとする探険家も少なくありません。ちなみに、この時に見つかった石像は既に行方不明となっていますが、とりつけられていた宝石は呪われた石で、持ち主たちは全て不遇な最期を遂げたという逸話が残されています。


○沈降都市ハイドラ

 砂の下に眠る遺跡の伝説は各地に残っておりますが、F-1地域の南にも大きな砂漠があり、失われた都市の痕跡が残っていると伝えられています。遺跡に辿り着くためには、骨砂漠と呼ばれる場所を通らなければならないのですが、ここは無数の骨が埋まっている砂漠で、かつて砂に飲み込まれた人間の骨が転がっているのだそうです。
 その奥にある砂の丘には、地下深くまで繋がる建物が埋もれています。しかし、これは本当は地下への入り口ではなく、高い塔が砂漠に埋まっているもので、この遥か下に古の都市が眠りについているのです。塔の天辺だったこの建物の前では、石の体を持つ怪物が見張りをしており、既に存在しない住民のために侵入者から街を守っているのだといいます。ですが、砂に埋もれてしまったオアシス都市は珍しくありませんし、実際に砂漠で石の怪物に襲われる例もあるため、この都市にまつわる話はそういった事実から創作された物語ではないかと考えられています。


○墜落都市ベリアード

 天空に浮遊していた都市だといわれていますが、神々の怒りを買ったことで雷に撃たれ、地上に墜ちて滅んだものとされています。この都市の中央には魔力の泉と呼ばれる場所があり、そこに建てられた環状列石に太陽の力を溜め込むことによって、大空を自由に航行していたのだそうです。ペルソニアの各地には、不思議な石柱や巨大な丸石が並ぶ場所が存在しますが、もしかしたらその下に浮遊都市の遺跡が隠れているのかもしれません。


○魔道王国メギストリア

 魔道の技術によって栄えた都市があったといわれています。彼らの都は漆黒の石でつくられており、壁や地面の至るところに魔道文字が書き記されているのだそうです。また、神殿には将来起こる全ての出来事が書き込まれるという黒い予言石板があり、黒王と呼ばれる予言者によって未来を見通すことが出来たとも伝えられています。なお、予言を得るためには人の命を捧げなければならず、そのために殺された人々の呪いによって都市は滅亡したという話です。


○埋葬都市イシアス

 災厄を肩代わりさせるために街全体の複製をつくり、それを埋葬して予め殺しておくことで、将来の全ての不幸から逃れようとした都市の存在が語り継がれています。永遠の命を得るために、埋葬都市には市民を象った石像も置かれていたともいいます。あまりに荒唐無稽な話ですが、死者を埋葬するために建設された街も存在するため、あながち嘘とは言い切れないかもしれません。


○ペルモン火葬王国

 砂漠のどこかにあったと伝えられる黄金の都で、全てが純金でつくられた王の巨像や、豪奢な金細工で飾られた黄金宮殿などがつくられていたそうです。彼らは贅沢をするために奴隷たちを酷使したり、楽しむためだけに殺し合わせるなど、残虐非道な振る舞いを続けておりました。こうして数多くの人間を無為に殺した罪で、都市の住民は神による断罪の炎で焼かれてしまいますが、それで彼らが許されたわけではありませんでした。業火で燃やし尽くされた人々の影は、まるで煤のように都市の壁や床に焼き付き、魂ごとその場に囚われてしまったのだといいます。彼ら罪人は未来永劫、漆黒の炎に包まれたまま影となって苦しみ続け、救いを求めてのたうち回りながら影人の都市をさまようのだそうです。


先頭へ

 

南東部(G地域)


 以下はペルソニア中東部(D地域)や中部域(E地域)などに伝わる、ウォール・ラグーンの内側に関する伝承であり、確定している情報ではありません。


○ウォール・ラグーン

 G-3地域にある礁湖のように高い山々で囲まれた大地で、その内側に何があるのかはペルソニアの原住民たちでさえ分かっておりません。周辺地域には以下のような伝承が残っておりますが、その内容は統一されたものではなく、矛盾した情報が含まれている場合もあります。


▼聖地
 一部の聖獣信仰者たちの間では、この場所には神獣たちが暮らす聖地があり、山々の頂から下界の人々を見守っているのだと伝えられています。


▼高度文明
 神に選ばれた者が住む地だといい、彼らは非常に高度な文明を築いていると伝えられています。この文明の人々は古の時代に世俗とは袂を分かち、神に近づくために研鑽を積んでいるという話もあるようです。


▼破壊の都
 この中には高度な文明を持つ国家が存在したのですが、南方の国との戦いに破れて住民は皆殺しにされたという伝説があります。都は略奪の限りを尽くされ、周辺の土地も塩を播かれて不毛の大地にされたという話で、やがて全ては風化し砂になったのだとも伝えられています。また、ペルソニアに出る不死者はこの都の住民で、復讐のために死を忘れて徘徊するのだとも言われています。


▼火山
 ある部族の伝承によれば、この地にはかつて優れた文明が存在しておりましたが、神の怒りに触れて滅ぼされてしまったのだそうです。この地を囲む高い山はその時に神によってつくられたもので、噴火が起こり火山灰や溶岩が内側に流れ込み、都市ごと大地の下に埋もれてしまったと伝わっています。しかし、この伝承はラナン湖(D-4)の南にあった都市を指している可能性が高く、実際にウォール・ラグーンの北の麓では、溶岩で埋没した建物の一部が現地人によって発見されています。


▼死者の国
 天地信仰の部族の中には、この場所には死者の国が存在すると信じている集団もいます。この中に住むのは転生を許されない穢れた魂を持つ者で、黒い石の牢獄に囚われたまま永遠の時を過ごすのだといいます。
 この他、過去に罪人を埋葬していた土地だと伝えている部族もあり、砂漠の奥に流れる清めの川に遺体を流すと、いずれこの地に辿り着くのだと伝えられています。また、神が不死の集団を封じた地であるとか、この場所に異邦人を埋葬すると遺体を故郷に返してくれるだとか、部族の王のための特別な墓所があるといった伝承も存在するようです。


▼不死城
 
黒曜石のように見える固い岩石でつくられた城があり、そこに石で出来た人間が住んでいるという伝承があります。彼らは神に選ばれた不死の石人兵団で、聖なる戦いのために転生した英雄たちなのだといいます。


▼蒼水晶の谷
 神の力を宿した蒼水晶が眠る谷があるといい、その場所に辿り着いた者は何でも願いが叶うと言われています。また、この水晶の力によって滅ぼされた街の伝説や、石の中に閉じ込められた男の話なども残っているようです。
 他にも、蒼水晶が持つ力は神に与えられたものではなく、人間の魂を吸って魔力を蓄えるという話もあります。それから、蒼水晶は人間の邪な心を暴き出すもので、穢れた魂を持つ者を破滅に導くという寓話が、ペルソニアの各地に伝わっています。


▼巨大湖
 ウォール・ラグーンの中心には巨大な湖が存在し、その中には竜の神獣が眠っているという伝承があります。この他にも、湖の底に宮殿があるという話や、この湖に潜ると地底世界へと辿り着くという話などもあるようです。また、海と繋がっている湖も存在するといい、湖で泳ぐ鯨の伝説も幾つかの地域に残されています。


▼黄金都市
 全てが黄金でつくられた都市があり、その場所では永遠を生きられるという伝承も残っています。これには幾つかのパターンがあり、黄金の体を持つ神とその眷属が暮らすというものや、呪いによって国ごと黄金に変えられてしまったという話など、地域や部族によって異なる内容が伝わっているようです。


▼宝石の都
 奥地には宝石の産出する谷があり、その財で栄華を極めた都市が存在したといいます。また、呪われた真紅のダイヤモンドの物語や、エメラルドで出来た聖剣の伝説など、宝石にまつわる伝承が数多く残されています。


先頭へ

 


全域G:南東部