NPCの設定

役割の決定詳細注意点


 

役割の決定


 次に、ゲームに登場するNPCを考えます。NPCとはノン・プレイヤー・キャラクターの略で、プレイヤーキャラクター以外の登場人物をあらわします。つまり、GMが操る人々のことであり、重要なものも単なるエキストラ的な役割のものも全て含まれます。
 ゲーム世界の中では、GMはNPCを通して情報を提示したり、プレイヤーを誘導したりといった作業を行うことになります。NPCを設定する場合は、まず、そのNPCが何のために存在するのかという理由を考えましょう。つまり、シナリオの中での役割ということです。


○種類

 NPCの役割には以下のようなものが挙げられます。


▼障害
 悪意のあるなしにかかわらず、シナリオの中で障害となる存在です。PCと敵対する者である場合は、その行動自体が障害となるでしょう。他にも、取り引きを行う相手、衛兵などの任務の遂行者、説得しなければならない相手などもこれに含まれます。

▼支援
 積極的、あるいは間接的な支援を行う立場です。金銭、物品、その他の援助を行ってくれる者で、血縁者や恋人、友人や仕事仲間などがこれに含まれるでしょう。

▼影響
 足手まといになったり、逆に精神的な示唆を与えたりする者です。家族、恋人、友人などもこれに含んで構いません。また、守護しなければならない依頼人なども、この役割に含められます。

▼情報
 シナリオに関連する情報を提供する者です。導入や誘導を行うNPCもこれに含まれるでしょう。

▼目的
 シナリオに目的をもたらす者、あるいは存在そのものが目的となるNPCです。依頼人や標的などの役割となります。

▼手段
 能力的な支援を行うNPC、あるいは特別な技術や道具を所持している者です。こういったNPCの援助を受けること自体がシナリオの課題となることもあります。

▼背景
 単なる一般人など、エキストラ的な役割をする者です。


 立場によっては複数の役割を持つNPCも存在します。たとえば、護衛の依頼を持ち込んできたNPCは、目的であると同時に影響を与える役目となります。場合によっては、情報提供者も兼ねることとなるでしょう。
 また、時間や状況、あるいはPCとの関係の変化によって、NPCの役割が変わる場合もあります。他にも、裏に隠している事情があれば、表向きの役割と実際のシナリオ上での役割がまるで逆になることも考えられます。


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詳細


 NPCの役割を決めたら、次は細部の設定を行います。


▼一般的要素
 名前、年齢、職業、住所、身分、経歴といった一般的な要素です。

▼行動指針
 NPCの目的や主義思想などに関連する部分です。大雑把にでも決めておけば、突発的な事態に直面した場合でも、NPCがどのような行動を取るかを悩まずに済むでしょう。

▼人間関係
 PCとどのような関係を持つか、あるいは相手に対してどのような感情を抱くかを設定します。これはあくまでも予定であって、実際に会ってから関係が変化する可能性があります。

▼背景情報
 どのような経緯で事件と関わるようになったのかなどの要素です。PCに語られない情報もあるでしょうし、背景情報を探ることがシナリオの課題の1つである場合もあります。

▼特徴
 その人物らしさであり、どのようにNPCを印象づけるかの手段でもあります。外見、性格、口調など、さまざまなものが存在します。

▼影響範囲
 権力や財力など、そのNPCがどこまでの影響力を持つのかを決定します。この範囲を超えて影響を及ぼすことができないという枠組みを決めておけば、GMがそのNPCを使って何ができるのかが明確になります。行動指針と同様に、その人物の行動を決定するための基盤となる要素です。

▼データ
 NPCの数値的データや所持品などです。判定を行わないようなNPCは、それほど細かく決定する必要はありません。


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注意点


○特徴づけ

 ただ単にNPCを登場させただけでは、なかなか名前も覚えてもらえないものです。そのため、シナリオに深く関係するようなNPCは、ある程度の特徴づけを行う必要があるでしょう。特徴といっても、外見から性格など非常に幅広いものです。ざっと挙げてみるだけでも、以下のような特徴があります。
 
 ・役割
 ・身体的特徴
 ・性格
 ・口調
 ・生い立ち/経歴
 ・大事なもの/価値観


 特徴がないNPCは忘れられるのも早いものですが、あまり数多くの設定は必要はありません。逆に、特徴を増やすことで人物像を不鮮明にする場合もあるのです。NPCを印象づけるだけであれば、1つか2つほど明確な特徴があれば十分でしょう。ちょっとした口癖でも、ある程度繰り返し行うことで、いずれはそれが特徴にかわってゆくものです。
 気をつけるべきは、特徴的な人物と異常な人間を一緒にしてはいけないということです。NPCには助力となったり情報を与えたりする役割とは別に、まずその世界の住人であるという大前提があり、世界を映す鏡ともいえる存在なのです。ですから、NPCに極端な特徴づけを行ってしまうと、その異常性がプレイヤーの異常な行動を誘発して、シナリオや世界の雰囲気を壊してしまう可能性も考えられます。GMは特徴ということにとらわれすぎないように注意して下さい。


○人数

 NPCの数が少なければよいのですが、あまりに数多くのNPCが出過ぎると情報を整理できずに、プレイヤーは混乱をきたしてしまいます。逆にGMの側でも管理が大変になってしまいますし、間違いをおかしやすい状況をつくることになります。主要なNPCの人数は数名でとどめておくか、覚えやすいように少しずつ人数を増やしてゆくべきです。


○行動

 NPCが出しゃばりすぎたり、自分たちだけで話を進めてしまうようではいけません。ゲームにおいて話を進めるのはプレイヤーであり、与えられた課題をクリアするのもプレイヤーなのです。常に中心となるのはPCであることを忘れないで下さい。


○利益

 PCを利用して利益を得ようとしたり、いつもPCに一方的損害を負わせるようなNPCは、プレイヤーがよほどのお人好しでもなければ嫌われるものです。場合によっては、ゲームの中で関わることを拒否されるでしょうし、行き過ぎればGMの自己満足や嫌がらせとして受け止められてしまうこともあります。
 逆に、PCに一方的に利益を与えるだけの存在も、あまり好ましいものとはいえません。1回限りのセッションならばともかく、NPCが無償で何度もPCに利益を与え続けると、それを当たり前と思って努力することを忘れたり、相手を道具扱いするプレイヤーも出てくることでしょう。
 こういったNPCが恒常的に登場すると、プレイヤーとGMの間に過度の甘えが生じるようになります。これはゲームとしてのTRPGをつまらなくする結果にもなりかねませんし、場合によっては諍いの原因となる可能性もあるものです。ですから、利益に対するNPCの態度については、あまり極端な設定を行うべきではありません。


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