概要
聖職者とは神学徒より上の信者を指す言葉で、その殆どは教区教会で働く者となります。聖母教会の聖職者は人格者であり、人々に非常に尊敬されています。教区の人々にとって聖職者は人生の教師であり、人生を共に歩む1人でもあります。ですから、困ったことがあれば聖職者に相談しに行きますし、聖職者の側でもその信頼に応えようと尽力するのです。教区民にとって、聖職者はもう1人の家族ということができるでしょう。
○教育期間
聖職者は自ら望んで信仰の道に一生を捧げることを誓った者であり、後戻りすることは出来ません。しかし、望めば誰もがなれるというものでもなく、教会組織に認められて初めて扉が開かれるものとなります。
▼教導教会
聖職者を目指すには、教導教会と呼ばれる場所で同じく聖職者を志す者と共同生活を送り、聖職者になるために必要な教育を受けます。聖職者への道は誰にでもひらかれており、都市浮浪児や娼婦、あるいは罪歴のある者でも修行生活を行うことは出来ます。教育を受けるためには一切の資金はかかりませんが、自らの財産を全て教会に寄進する者が殆どです。
教導教会は各地方や州などの単位で設置されており、多くの場合は山村などで自給自足の、清廉で禁欲的な生活を送ることになります。しかし、信者の多くない国家では大教会の付属施設となっている場合もありますし、辺境地や内乱などの混乱状態にある地域では、各教区教会が教導教会の代わりを務めることも珍しくはありません。なお、この場合は教区教会から近くの教導教会へと定期的に報告が行われますし、逆に聖職教師が巡回することもあるようです。
▼修行期間
教導教会での修行は期間が決まっておらず、神学徒となるに相応しい人格を身につけたと認められるか、自らが諦めるかのどちらかによって終わりを迎えます。ただし、聖職者になるには中等学校を卒業するのと同じ程度の学力も要求されるため、幼いうちから修行に入ったとしても、大抵は15歳以上になってからでなければ、神学徒として認められることはありません。
▼配属
教導教会で認められ、叙階と呼ばれる儀式を受ければ、晴れて神学徒として活動することが出来るようになります。通常は各教区教会へと配属され、そこで神官の下について働くことになります。
▼その後
神学徒となった後も教育が終わるわけではなく、それぞれの教区教会で修行を続けます。神官として認められるのは、そこで十分な見識と経験を身につけ、上層部に認められてからということになるのです。ただし、あくまでも人格を含めた総合的な実力で判断されるので、教育の程度や術法や戦闘といった実力に関しては、ほんの参考材料としかなりません。
○収入
教区教会などの単位で経営を行い、それに見合った分担金が割り当てられ、それを各自の判断で使うことができます。しかし、これを個人的な収入として蓄える者は殆どおらず、余った分は教会へ寄進したり、慈善事業に寄付するのが普通です。
○衣装
清廉をあらわす白と貞潔をあらわす黒を基調とした衣装を身につけ、聖印以外の飾り物や化粧で身を飾ることはありません。現実世界の神父や尼僧の格好とだいたい同じような服装となります。
治療や祭祀を執り行う役職にある者は、白を基調をとした長衣を身につけています。長衣は腰の部分を白のベルトで止めるだけで、司祭以上の高位聖職者でも祭祀の時を除いては、聖印以外の飾りをつけることはありません。
○結婚
聖職者の結婚は禁じられてはおりませんが、教会に認められていない離婚は破門に該当する事項となります。なお、聖職者の地位は世襲ではありませんので、子供が跡を継ぐといったことはあり得ません。
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階級
聖職者には位があり、階級や役職によって仕事の内容が変わります。聖母教会での聖職者の階級は以下の表のようになります。
▼認定
階級が上がるのは教会から認定された時のみで、試験などがあるわけではありません。普段の行動や信仰心、それから教会や社会への貢献度によって評価され、推薦や会議などの過程を経て認定されることになります。▼判定官
判定を行うのは教導座と呼ばれる組織となり、これに属する聖職者は教区聖職者の動向を調査する権限を持っています。ただし司祭長以上の位に関しては、教導座は推挙する役目に過ぎず、最終的な決定権は中央座が有しています。▼女性聖職者
聖母教会の特徴としては、その成立の経緯からもわかることですが、女性聖職者の多さがあげられます。シスターと呼ばれる女性たちは、一般社会と同様、高い地位につくこともできます。現に先代より3代前までは、大主教の職は女性が就いていました。
◆聖職者の階級/聖母教会
階級 説明 大主教 聖母教会の頂点にたつ存在であり、ユナスフィール教国の国王でもあります。大主教は1人しかおらず、聖都守護座の座長であるとともに、聖母アリア教会の教会長でもあります。 主教 主教は聖母アリア教会以外の中央教会の教会長や、各々の座長をつとめています。国政に干渉する場合も多く、多大な責任を負う地位となります。 司祭長 祭祀を司るものであり、政治的な影響力をもつ地位になります。司祭長のうち、中央教会につとめる者は教会運営の執務長となります。他の分教会にいるものは、その教会の教会長となります。 司祭 街の中心となる教会に属する高位の神官であり、大きな宗教行事などを取り仕切ります。司祭長の補佐を務める者もおり、その場合は様々な執務の指揮をとります。 神官 教会に正式に認められたものであり、聖職者として実際の仕事をこなします。小さな教会を預かる者がこの階級であり、教区の祭儀などの責任を負います。 神学徒 聖職者として教会に属する者であり、様々な訓練を受けています。教区教会の雑役夫として働く階級で、見習いの神官といった立場です。 平信者 洗礼を受けた民間人です。特に宗教上の階級ではなく、義務などを負うわけではありませんが、自主的に宗教儀式に出席したり、寄進を行なったりします。
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神官戦士
聖母教会が保持する武力には『神官戦士団』があります。神官戦士は守護座の教区守護会に所属しています。教区守護会は各地域の大教会に中枢を置いており、神官戦士は教区教会や任地へと派遣される形となります。
神官戦士団は、古くは変異体や悪魔などの異端の怪物の脅威から人々を守るために結成されたものですが、後には巡礼者たちを山賊などの被害から守るために、そして反社会的な活動を行う邪教徒たちと戦うといった役目も担うようになりました。ただし、国家的戦乱に加担したことは1度もなく、あくまでも信者を守るための戦いのみに力を振るうことになります。人々は彼らの誠実さと、そして何よりその頼もしい武力に対して尊敬の心を向けています。
○選出
神官戦士は希望すればなれるものではなく、基本的には教会上層部が配属を決定します。ただし、神官戦士はそれなりの覚悟がなければ務まらない役職であるため、指名された聖職者の側からこれを断ることも出来ます。
推薦されるのは教区教会で働く神官からであり、教導教会からいきなり神官戦士になることはありません。そのため、神官戦士は通常の教会の仕事内容をきちんとこなすことができます。なお、神官戦士として武力を振るうためには、正しい教義の理解とそれに則った判断力を備えてなければならないため、身体能力や術法の実力だけで神官戦士に選ばれることはなく、心身ともに優れた者のみが選ばれることになります。
神官戦士になるためには、通常の聖職者としての知識や経験だけではなく、戦闘の訓練を積まなければなりません。配属されて数年のうちは、様々な訓練を受けながら雑務をこなし、少しずつ仕事を覚えてゆくことになります。ここで実力が認められた後に小隊に配属され、怪物退治などに派遣されることになるわけです。
○組織
大教会(幹教会/枝教会)に置かれる中枢組織のことを幹/枝戦士団と呼び、高位聖職者である団長1名と副団長2名が団を率いています。この下には幾つもの小隊が結成され、戦士隊長の命令によって与えられた任務をこなすことになります。小隊は地域や任務によって規模が異なり、大きな隊では隊長を補佐する副隊長が存在することもあります。
▼構成
守護座──教区守護会──神官戦士団──幹/枝戦士団──小隊──神官戦士▼班
小隊は任務の内容によって班を結成し、班長の指示に従って活動します。
○装備
▼武装
神官戦士になった時に、円十字型の柄を持つ長剣と小剣が与えられます。これが神官戦士である証であり、基本装備となりますが、個人や任務によって武装は変化します。ただし、銃器を用いることは決してありません。基本的に防具は軽いものしか身につけず、よほど危険な怪物が相手の時だけ、金属鎧や楯などを装備することになります。▼衣装
平時の衣装は一般の聖職者と違いありません。しかし、あらかじめ戦闘とわかっている場合は、軍服に似た厚手の白い闘着に着替えます。▼移動
基本的に神官戦士は移動に馬を用います。大教会にはそのための厩舎が存在します。▼術法
神官戦士に限らず、守護座に所属する聖職者は術法を習得している率が高くなります。ただし、怪物退治などは集団で行動することを前提としているので、1人の人間があまり複数の系統の術法を習得することはありません。
○任務
▼教会警護
有事や盗難に備えて教会の警護を行います。通常は大教会でのみ行われるもので、小さな教区教会ではあまり警護任務は行われません。▼一般雑務
神官戦士は一般の神官としての知識も身につけていますので、護衛や戦闘任務がない時には教区教会の仕事を手伝います。▼巡礼者の護衛
聖誕祭や降臨際のような季節に行われる巡礼では、巡礼者が危険にさらされないために、巡礼護衛団を結成して警護にあたります。ただし、平時には大きな街道を定期的に巡視するだけとなります。▼異端との戦闘
危険な変異体や不死者などの不浄の者と戦ったりします。この任務にあたる時は祓魔師を加えて隊を編成したり、警察や軍隊、あるいは一般市民(獣狩りや協会術法師など)と協力することもあります。▼行政任務
ユナスフィール教国にいる神官戦士は、警察官や兵士に相当する役目を負います。
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