セッションの課題

課題と評価題材と傾向確認事項


 

課題と評価


 ゲームには達成すべき目的が存在しなければなりません。TRPGではPCに与えられる課題の解決が目的となり、GMはシナリオという形でプレイヤーに課題を提示することになります。


○ゲームの目的

 アンバランスド・ワールドのシステムの場合、ゲームの目的は経験点の評価項目で示されています。
 

課題評価
 目的の1つは課題の解決であり、よりうまく物事を解決した方が評価が高くなります。

感情評価
 もう1つの目的は、課題を解決する途中で関与した人々が、どのような感情を抱いたかということです。幸せになった人が多いほど高い評価を与えられることになります。


 すなわち、本システムではより多くの者を幸せにしつつ、課題をうまく解決することがゲームの基本的な目標となるわけです。極論をいえば、これ以外の要素はゲームの楽しみの1つではあっても、目的ではありません。たとえば戦闘で敵に勝ったとしても、それが最善の方策でなければ評価は当然低いものとなります。戦闘をせずに物事を丸く収める方が、より人間的に評価されるということは、あえて言わなくてもわかることでしょう。
 GMはシナリオを考える際に、ゲームの目的に見合った課題を設定する必要があります。これはプレイヤーがゲームの目的を無視して行動してはいけないのと同じで、GMが評価を無視してシナリオを作成するのは、絶対に避けなければならないことなのです。これはTRPGに限らず、その他のゲームにおいても同様となります。


○評価基準

 GMはシナリオを作成する時に、評価の基準を設定しなければなりません。これには幾つかのポイントがありますが、だいたいは以下のような要素を考えるとよいでしょう。
 
 
 ・シナリオで果たすべき目的は何か
 ・誰が評価対象に含まれるのか
  誰を幸せにすればよいのか/誰を不幸にしてはいけないのか
 ・PCが何もしない場合はどのような結果になるのか
 ・PCの活躍によってどのような変化が起こりうるのか
 ・シナリオが失敗した場合はどのような結果に終わるのか 
 


○注意点

 GMはどのような手段をとっても達成できない課題を設定してはいけません。課題や障害はPCの能力に見合ったものでなければなりませんし、GMが解決可能と思っていてもプレイヤーの側から見て不可能にしか見えなければ、解決不能の課題を設定しているのと同じことになります。
 また、課題が何であるか最後までわからないようなシナリオもよくありませんし、課題だと思われることがコロコロと変わるのも避けるべきでしょう。これは、どんでん返しが悪いということではなく、行動選択の指針がないシナリオはプレイヤーを無用に悩ませ、ゲームの展開に悪い影響を及ぼしてしまうという理由からです。もし、本来は課題ではないのに、プレイヤーにとって一時的にでも課題に見えてしまう要素があるのであれば、なるべくシナリオの序盤で解決は不可能であることを示すか、あるいは他にわかりやすい課題を出しておくべきでしょう。
 それから、二律背反的な課題を出しても構わないのですが、初心者にはあまり向いているとはいえません。また、このような課題はフラストレーションをためるだけの可能性もあり、全員で楽しく遊ぶというゲームの大前提に反することにもなりかねません。TRPGに熟練した人や、そういった課題を好むプレイヤーだけに提示する方が無難でしょう。


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題材と傾向


 シナリオを作成する際にまず考えることは、何を目的としたプレイを望むかということです。何を楽しむためにプレイするのか、参加者がどのような傾向のプレイを望むかで、それに適したシナリオの題材や傾向が絞り込まれてきます。


○題材(テーマ)

 シナリオの題材というのは、たとえば犯罪や差別問題といった、いわゆるシナリオのネタと呼ばれるものを指します。題材によって、それぞれシナリオで楽しむべきポイントが異なります。地味な捜査を主体としたシナリオでは、会話や駆け引きといったものがプレイの楽しみに含まれるでしょう。探検や戦闘を想定したシナリオでは、爽快なアクションやスリルを楽しむことが期待されます。
 
▼パーティション
 本システムにはルールや解説を題材別に分類した「パーティション」というページも存在しますので、必要があればこれを参考にして下さい。


○傾向

 シナリオの傾向とは、全体における雰囲気のことを指します。アンバランスド・ワールドのシステムでは、コミカルなプレイもあればシリアスな悲劇を取り扱うこともできます。通常はそれらが適度に合わさった状態でプレイを行いますが、ある程度は傾向を決めておいた方が問題は起こりにくいでしょう。


○準備

▼プレイヤーの嗜好
 シナリオの題材や傾向を選択するのはGMが持つ権限の1つですが、当然のことながらプレイヤーの好みを想定しなければなりません。参加するプレイヤーがあらかじめわかっていて、その人物の趣味嗜好をある程度把握しているのであれば、それを考慮してシナリオを作成すればよいでしょう。しかし、参加者の好みがバラバラであったり明らかではない場合は、事前に何らかの意識のすりあわせが必要となってきます。
 誰もが戦闘や謎解きを好むとは限りませんし、性差による意識や主義思想の違いよっても題材に対する好みは大きく異なってきます。不愉快に感じる題材を扱ったシナリオでは、プレイヤーは十分にゲームを楽しむことはできません。GMは参加者が楽しくプレイできるよう、シナリオ作成の段階から気を配っておく必要があります。

▼確認/相談
 もしシナリオ作成前に時間があるのであれば、題材や傾向は参加者全員で相談して決定するとよいでしょう。その方が楽しく円滑にプレイを進めることができます。また、シナリオを既に作成してしまっている場合でも、事前に確認を取っておくのは決して無駄なことではありません。余裕があればプレイヤーの意見を採り入れてシナリオを修正することも可能ですし、傾向に対する認識の違いが原因でセッションが失敗するのを防ぐことが出来ます。


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確認事項


 セッションの前に確認できる余地があるのであれば、以下のことをプレイヤーに尋ねてみるのもよいでしょう。ただし、これらは必ず確認しなければならないものではありませんし、しつこく根ほり葉ほり訊くのは、場合によっては失礼に当たります。シナリオを作成するの手がかりとなるものだけ、プレイヤーが答えられる範囲で簡潔に答えてもらうようにすればよいでしょう。


○プレイ経験

 まずは、これまでに遊んだことのあるゲームや、楽しいと感じたセッションの内容などを尋ねておくととよいでしょう。また、市販されているリプレイ作品の中で気に入ったものや、次に遊んでみたいと思うTRPGシステムなどを知っておけば、どういったシナリオ内容を期待しているのかを把握するのに役立ちます。


○プレイヤーの嗜好

▼プレイの雰囲気
 シリアスな傾向のプレイを好むのか、あるいはコミカルな傾向が好きなのかを尋ねます。この点についてのすりあわせをよく行っておかないと、後で不快に思う人が現れる原因となります。

▼趣味
 好きな映画や読書傾向なども、そのプレイヤーの嗜好を把握する上でのヒントとなります。

▼嫌いな要素
 プレイヤーによっては苦手とする分野や題材というものが存在します。もし予告もなしにそのようなシナリオが展開されることになれば、それは悲劇というしかありません。趣味や嗜好について尋ねる際には、好きなものと嫌いなものの双方を訊いておくよう心がけましょう。


○題材

▼要望するイベント
 調査、探検、犯罪、戦闘など、シナリオ内で起こるイベントやそれに対する行動についての嗜好です。パーティションルールの中から選択させても構いませんし、もっと具体的な細かい指定があってもよいでしょう。
 かといって、ゲームの目的にそぐわないイベントを選ぶのは本末転倒です。汎用システムを除く殆どのTRPGのルールは、目的に合わないシナリオを円滑に遊べるようには設計されておりません。目指すべき方向が明らかに違う場合は、きちんと説明して理解を求めるか、別のゲームを遊ぶようにするべきでしょう。

▼避けて欲しい題材
 プレイヤーによっては絶対に取り扱って欲しくない題材というものも存在するでしょう。単に好き嫌いだけではなく、題材によってはゲームとして取り扱うには不謹慎だと考える人もいます。

▼ゲームの規模
 壮大な物語を好むのか、それとも日常レベルの小さな事件を好むのかという質問です。あまりに重い責任を負わされるのを好まないプレイヤーも多いものです。


○キャラクター

 どのようなキャラクターを演じたいのかに関する質問です。これらによって、導入が制限されることも多いでしょう。
 
▼立場
 PCがどのような立場からゲームに参加するのかについてです。テーマにそぐわないような立場であったり、キャラクター間の立場の違いがゲームの進行の妨げになると思われる場合は、きちんと説明して変更してもらったり、譲歩を求めるようにして下さい。

▼嗜好
 キャラクターの嗜好や性格などについてです。特に他人に対する態度については注意しておいた方がよいでしょう。

▼嫌いなタイプ
 どのような人物を嫌うのかについてです。嫌いなタイプの人間を依頼人などに設定してしまった場合、ゲームの序盤でつまづく可能性もあります。


○キャラクターの死

 セッションで扱う題材や傾向によっては、PCが死亡してしまうこともあり得ます。しかし、愛着のあるキャラクターをどうしても死なせたくない、というプレイヤーも少なからず存在します。ゲームである以上は何らかのリスクは背負うべきなのですが、それは生命に限ったものではありません。ですから、プレイヤーが嫌うのであれば、無理にキャラクターの死をリスクとして設定する必要はないのです。
 これは単にキャラクターへの愛着という話だけではなく、プレイの雰囲気にも関係することです。また、どの程度までシビアになるのかという基準は、プレイヤーが選択を行う際の判断材料にもなります。コミカルな雰囲気で遊んでいたのに、いきなりシビアな戦闘を仕掛けられてキャラクターが死亡するような羽目になったら、それはプレイヤーが不満に思って当然でしょう。プレイヤーの心構えといったものも含めて、シナリオで起こりうる危険の度合いについては、ある程度明らかにしておいた方がよいのです。


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課題と評価題材と傾向確認事項