○地勢・気候
この地域の南東部は乾燥した気候のサバンナ地帯が占め、北西部は大密林で覆われています。
▼サバンナ
丈の高い草類の中にバオバブなど乾燥に強い樹木がまばらに生える草原で、乾季と雨季が明確に分かれているのが特徴です。乾季となる冬は殆ど雨が降らず、雨季の夏はスコールで洪水になる地域もあります。夏は大地が草花で覆われますが、冬は草が枯れて赤茶けた大地へと姿を変え、樹木も乾燥に耐えるために葉を落として休眠します。サバンナでは群れをなす草食動物とそれを狙う肉食獣が多数生息していますが、彼らの生活は気候の変動に大きく影響を受け、食物や水場を求めて移動しながら生活しています。
▼大密林
南東部のサバンナとはうってかわって、周辺の山地から豊富な雪解け水が注ぎ込む密林地帯が広がっています。密集した木々や下生え、あるいはぬかるんだ泥地や湿地帯が人々の交通を阻んでおり、昔からこの地域には都市や大きな村落が形成されたことはありませんでした。
そのため、一帯には手つかずの原自然がそのまま残っており、新種の生物や単独種の宝庫として知られています。こういった動植物を求めて、研究者や探険家、あるいはプラントハンターなどが探索を目論むのですが、険しい地形や危険生物の妨害に遭い、未だ奥地へ到達した者は誰もおりません。密林の中で暮らす原住民ですら、足を踏み入れたことのない土地が多々存在するというのですから、ここへ赴くためには綿密な準備が必要となることでしょう。
○地図
○要所
▼イスボンゲロ大草原/大サバンナ(F-1)
ペルソニア最大のサバンナ地帯で、見通しのよい緩い起伏の草原が続いています。大型の肉食獣も多く、竜種の姿もよく見られる地域となります。
▼蹄の森(F-2)
湿地帯の中に木々が生えている地域で、アイオーン川の上流にあります。これらの樹木の根は地面から浮いているため、幹と地面の間にトンネルのような隙間が出来ており、池のように水が溜まっていることもあります。その隙間には魚、カエル、ヤドカリ、貝類といった水辺で暮らす生き物や、それを餌とする動物たちがたくさん生息しています。原住民はこれらの生き物を目当てに森の中を動き回り、漁や狩りを行なってその日の食料を得ます。
しかし、この地域で最も特徴的な存在は、奥地に潜むという透明の体を持つ怪物です。これは伝承でも語られている危険な存在で、泥の上に出現した蹄の跡が螺旋状に取り囲むように近づいて来て、不用意に足を踏み入れた者に襲い掛かるのだといいます。また、その獣たちと暮らす不思議な部族の存在も知られていますが、一帯は現地の民にとっての禁足地であり、彼らの正体については謎のままとされています。
▼ニグニ山(F-2)
人跡未踏ともいわれる秘境で、現地の人々ですら奥地の様子は全くわからないそうです。巨大昆虫が空を飛んでいたり、奇怪な鳴き声をあげる動物が存在するようで、この地に死を踏み入れるには相当の準備と覚悟が必要でしょう。
◇岩首塚
ニグニ山の麓に広がる森の中には、盛り土の塚が100以上も点在しています。この塚の上には直径1m以上ある岩が置かれており、それらには人面彫刻が施されています。しかし、これらが何のために作られたのかは、現地の人々にもよく分かっていないようです。
▼ペズン山(F-3)
ペズン山は周辺部族から霊山として崇められる場所で、非常に植生豊かな山としても知られています。また、数億匹の蝶が集まる水場や、色とりどりの羽毛で着飾った野鳥の楽園など、独特の生態系を観察することも出来ます。
▼リャモ密林(F-3)
ペズン山の南に広がる大密林で、その中心には澄んだ水をたたえるシスララ湖があります。この地域はレグラム人とアデン人の2民族が出会う地点であるためか、昔から争いごとは話し合いで解決するという決まりがありました。無用な流血をなるべく避ける手段なのでしょうが、結果として人々は非常に大らかで優しい気質を持つに至り、知らない相手にも友好的に接します。しかし、現在はそれで良いとしても、エルモア地方からの移民がこの地に足を踏み入れた時に、彼らの警戒心のなさが悲劇的な結果を生むことになるかもしれません。
▼ハーバル川(F-3)
マヤメヤ山脈を水源とする大河川で、その上流域には密林地帯が広がっています。この水はモドラ・サバンナを抜けてイズマ平野を潤し、やがて紺碧海へと到達します。
◇グレシュカの滝
マヤメヤ山脈の麓にある大瀑布で、その幅は1km以上にも及びます。落差は100m前後あり、落下した水は渓谷を流れて密林へと注ぎ込みます。滝口は大量の水によって少しずつ上流の方へと後退しており、その手前には過去の滝口であったと思われる崖地が幾つも存在します。こうして削られて出来た断崖や岩山の上には青々とした木々が茂っており、外敵が侵入しない安全な場所のため、数多くの鳥や昆虫が住み着いています。
◇ダリル渓谷
グレシュカの滝から落ちて来た水は、幅100mほどの流れとなって渓谷を下流に進んでゆきます。川の両岸は鮮やかな地層の見える断崖となっていますが、その壁面の各所から引き出しのように岩のテーブルが飛び出しています。この岩棚を住処とする動物もおり、周囲から隔絶した場所には鳥や昆虫が巣をつくっています。また、大きな岩棚には猿やヤギが群れで住み着いており、岩棚をジャンプして崖の上とを行き来しています。
◇大湖
ダリル渓谷を抜けた川は南のウィルクル湖に水をたたえ、さらに北に位置するラクティマ湖を通って、モドラ・サバンナへと流れてゆきます。これらの湖の存在によって、滝の勢いに比べるとモドラ・サバンナに届けられる水量はずっと少なくなっています。
ウィルクル湖は底が見えないほど水深が深く、湖水は鉛色に近い紺色をしています。湖岸付近はやや浅くなっていますが、そこから少し進むと急に深く底が落ち込んでいます。湖底には巨大魚や竜族が住んでいると伝えられており、実際に水中を泳ぐ巨大な影が目撃されることがあります。
ラクティマ湖はそれほど深い湖ではなく、湖岸からしばらく歩いて進むことが出来ます。湖の周囲は湿地となっており、葦などの植物が豊富に生い茂っています。この湖で特徴的なのは、大小あわせると200以上にもなる小島の存在で、この上で生活を営む部族も存在します。
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