(H)南西部/地域 


 


○地勢・気候

 この一帯は熱帯性サバンナ気候ですが、高地であるため比較的過ごしやすい気温帯となります。地域によっても異なりますが、だいたい5月〜10月が雨期、11月〜2月が乾期です。ただし、山地に囲まれた一部の乾燥地帯では砂漠が広がっており、1年を通じて殆ど雨が降りません。


▼山岳地帯
 奥地は1500m以上の高地が連続しており、未踏地への侵入を阻んでおります。また、高山地帯やその周辺の峡谷沿いには飛竜や肉食の大型鳥類も生息しているようで、現地の部族でさえ足を踏み入れない地域が各所にあるようです。


▼平原
 山岳地帯の向う側には広大な平原地帯が存在します。大半の地域は乾燥したサバンナが広がっていますが、山麓には雪解け水が流れる川や湖が存在しており、その周辺では多様な種の野生動物が暮らしています。近くには狩猟・採取の原始的な生活を営む部族も多く住んでいます。


○地図

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○要所

▼ロロ砂漠(H-1)
 四方を山岳地帯で囲まれた灼熱の地獄で、雨が降ってもすぐに蒸発してしまう死の砂漠です。また、一部の地域では磁力が狂うことが知られており、過去にハーバル川を遡ってこの地に辿り着いた探検隊が、ほぼ全滅するという事態に陥ったことがあります。
 
◇砂岩地帯
 ロロ砂漠には非常に固まりやすい砂が存在し、砂粒同士が吸着して大きな塊をつくります。この砂塊は強い力を加えれば崩れてしまいますが、ちょっとした風ぐらいでは影響を受けることはありません。そのため、小さな砂粒の塊が風で転がって大きな砂玉に成長したり、砂丘が星形や四角錐の形で維持されるなど、少々変わった風景が見られる場合があります。
 この砂は核となる物質があれば、その表面に吸着してどんどんと大きくなってゆくため、砂山の中に動物の死体や巨大な岩石が隠されている場合があります。また、粘液で砂を固めて巣をつくる怪物や、砂を転がしてつくった玉の中に卵を産みつける蜘蛛など、うまくこの地に適応した生物も多々存在するようです。

◇塩湖
 南部にあるリュヤンナ山地の麓では、半ば干上がって塩の結晶が見える塩水湖が幾つか点在しています。特に、乾期の時期は水が殆ど無くなってしまい、ひび割れた白い大地が続いています。
 風が強い時には塩が少しずつ風下に寄せられ、やがて小さな山をつくります。その上に飛ばされた塩や砂が堆積し、長い時間をかけて柱が形成されることがあります。ある場所ではこの塩柱が連なった森が形成されており、まるで無数の墓標が佇んでいるように見えます。

◇無限砂漠
 砂漠で迷った者は方向感覚が狂わされ、同じ場所を延々と回り続けるという話はよく聞きますが、無限砂漠は砂雲(変異現象)によって引き起こされる特殊な現象だと伝えられています。ただし、これは砂漠の民の伝承の話であり、実際にそれを確認した者がいるわけではありません。
 砂雲が地表におりて霧のように宙を漂うことがありますが、その中で迷った旅人はいつしか無限に続く砂漠にとらわれます。そこは2度と抜け出すことができない絶望の大地ですが、誘い込まれるのは咎人だけであり、その罪が許されるまで歩き続けなければならない業を背負うのだそうです。無限砂漠には浄化の砂が敷き詰められており、歩くことでその人物の罪が浄められるという伝承も存在します。咎人が歩いた場所には漆黒の足跡が残されますが、その罪が清められて足跡がつかなくなる日まで、死ぬことは許されないのだといいます。
 本当かどうかはわかりませんが、無限砂漠で罪を償った人間は砂に還り、砂雲となって新たな咎人を捕まえるという話も残されています。砂雲は地域によって色が異なっており、それぞれ黄砂、赤砂、白砂、黒砂と呼ばれておりますが、これがちょうど各人種の色に対応しているのが、その証拠の1つと考えられています。


▼白巨人の石窟寺院(H-2)
 マハ砂漠を抜けてベラフィム山脈の中腹まで到達したロンデニアの探検隊は、そこで無人の巨大な石窟住宅を発見します。大きくせり出した岩の下に掘られた穴の中には、回廊のようなテラスとその奥に続く数十の部屋があり、金属食器や家具などの生活の痕跡が残されていました。また、水路の跡から灌漑農業を行なっていたと考えられ、周辺地域に住む原住民たちよりも発達した技術を持っていたようです。
 探検隊の興味を引いたのは、おそらく礼拝所だと思われる部屋の壁に描かれた、白い巨人たちの絵です。シルエットで描かれてはいるものの、4体の巨人は翼や角などを備えているため、これは聖獣信仰者たちに伝わる神話の一幕なのでしょう。気になるのは彼らが戦っている相手なのですが、その敵は冒涜の王と呼ばれる怪物の姿によく似ているため、神々の時代の出来事は真実の断片を伝えているのではないかと考える者もいます。


▼金石混合文化(H-2)
 本当かどうかはわからないのですが、リュヤンナ山地の奥地には黄金の都があり、そこには壮麗な巨石建築が並んでいるという者がいます。彼の名はファビアン=ディビーシュといい、その遺跡を発見したのは彼の父親なのだと話しています。
 それらの建物は金箔で装飾されており、黄金や銀でつくられた豪奢な食器や、様々な宝物が見つかったのだといいますが、ファビアンはその証拠を示すことが出来ません。というのは、探険隊を率いていた父ノーマンとその一行は、宝を手にして帰る途中に原住民に教われ、それらの殆どを奪われてしまったというのです。
 瀕死の状態でただ1人戻って来た父親の手記には、確かにその手がかりとなる記録が残されていました。しかし、それまで探険家としての実績が殆どないノーマンは、皆にただの詐欺師だと思われており、いつも探索資金をかき集めるのに苦労していた男です。ファビアンはそんな父の汚名を晴らすべく、協力を募って奥地の探索へ赴こうとしていますが、同行を申し出る者や資金を提供する支援者は誰もおらず、最近では安酒場で飲んだくれる毎日を送っています。


▼カドラス湖(H-2)
 リュヤンナ山地のさらに奥にある広大な湖で、周辺地域から流れて来る雪解け水を集めています。乾燥地帯にありながらこの周辺地域だけは植生が豊かで、多様な種の野生動物が集まって暮らしています。植民地開発によって西部(C地域)で数を減らした生物たちも、ここではまだ多くが生存を続けています。


▼ペリト平原(H-3)
 乾燥の激しいサバンナで、雨季でも雨は少なく、昼夜の気温の変化が激しい気候となります。この地域の動植物は特に乾燥に強く、特殊な形態や能力を持つ固有種が多く見られます。


▼黒油海(H-3)
 サンパニ湖の西部にある、天然のアスファルトに満たされた湖です。ここで採れるアスファルトは純度の高いもので、現地の人々は接着剤や防水剤と利用しています。もしかしたら、この付近で石油を採掘できる可能性があるかもしれませんが、調査どころかエルモア地方の人々はまだこの地に足を踏み入れてすらいない状況です。


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