書物

一般書専門書


 

一般書


○人気作品

▼たとえば私はかすみ草
 カルネアで発売された奴隷と貴族の恋物語です。奴隷解放を唱える北部連邦で人気を集め、現在では国外でも出版されています。

▼傾いた鐘楼殺人事件
 名探偵ラングリット=バイター氏による実録の推理もので、ロンデニアの昨年のベストセラーとなりました。

▼愛しのアデリーヌ
 農村で繰り広げられる若い2人の恋物語で、ラストは少女の病死で終わる悲劇です。

▼空を見上げるカナリア
 貴族の娘が自分の出自を捨て、馬丁の少年と駆け落ちするまでを描いた作品です。


○その他

▼歌謡諸誌
 ペトラーシャを中心とした大陸中部に昔から伝わる、民謡や大衆歌を集めた歌曲集です。吟遊詩人たちが奏でる伝承歌も含めて、その全てを楽譜付きで記していることから、文化的資料としても価値の高いものです。

▼コルフト=カートランドの生涯
 霊子機関の父と呼ばれるコルフト=カートランドの業績を綴ったものです。しかし、彼の人生には謎が多く、その死の真相については未だ闇の中となっています。この書も推測部分が多いのですが、その点をミステリー仕立てで面白おかしく書いていることから、人々の人気を集めています。

▼丘に立つ独立旗
 エストルーク連邦の独立戦争を描いた大作です。戦争に携わった人々の活躍をやや大袈裟に描写しながらも、おおむね事実に則った内容であることから、歴史的にも価値のある書物として評価されています。また、これは貴族支配が続く国家の思想家たちにも読まれ、その活動に大きな影響を与えているようです。

▼シャドウピープル
 カルネア南部の大農場を舞台に、差別や過酷な労働に耐えながら生活する黒人奴隷の姿を描いたものです。主人公の青年マルアは奴隷仲間との交流を通じて、全てを諦め凍えた心を少しずつ溶かしてゆき、生きている実感と人間的な愛情に目覚めます。そして、彼ら奴隷たちは人間としての生を取り戻すために、農場からの逃亡を試みるのですが、北部を目前にしながら撃たれて死亡してしまいます。この話自体は創作ですが、実際の事件をモデルに書かれたことから、大きな反響を呼び起こしました。

▼世界を支える木の物語
 エリスファリア王国の女流作家が、自身の見た夢をもとに描いた児童文学です。彼女は自然公園の設立運動などに参加している人物で、森林の過剰伐採などが伴う昨今の開発姿勢に対して、一石を投じる内容となっています。

▼ファルデーラ奇歌集
 高名な民俗学の研究家であるファルデーラ女史による記録書で、カイテインの遊牧民などに伝わる民族独特の歌を中心に、様々な生活文化を紹介しています。それぞれの部族の交流について歌の共通点から検証しており、その着眼点は学会でも評価されています。
 この書が一般にも知られているのは、これと同時に発売された小説「魔門の調べ」がベストセラーになったためです。この小説は幾つかの部族に共通して伝わる歌にまつわる伝承を、女史が謎解きをまじえた冒険譚としてまとめたもので、魔界に繋がる門を封じるための探索行を重厚な筆致で綴っています。冒険小説としては分厚く、複雑な謎解きが含まれているにもかかわらず、その内容のリアルさと予測もつかないストーリーから、多くの少年たちの人気を集めました。

▼アイデル大恋花
 ライヒスデールの劇作家ヘリオス=バーミリオンの最後の作品で、つい先頃発売されたものです。オペラ歌手を夢見る少女アイデルのサクセスストーリーを描いた前編と、成功をおさめた彼女の転落までを記した後編に分かれています。
 アイデルを含めた登場人物には全て実在のモデルがいるらしいのですが、彼らが引き起こす歌劇界の醜聞についても詳しく書かれていることから、この作品は世間の注目を集めています。そのうちの一件には、若き日のヘリオス=バーミリオンも深く関わっているようなのですが、引退を決め込んだ本人はいたって呑気なもので、あくまでも創作だと言って数々の噂を笑い飛ばしています。


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専門書


○学術書

▼万物誌
 ユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャの三国の自然科学学会が協力して、昔からの博物誌を編纂したものです。編集には多くの専門家が携わっており、科学的に信憑性の高い内容に仕上がっています。また、このために描き起こされた精緻なスケッチは、国外からも高い評価を受けています。

▼マーベル・サイエンス
 マーベル=ローゼン伯爵によって創刊された科学雑誌で、ジャンルを問わず様々な事柄を取り扱っています。伯爵も趣味で機械工学の研究を行なっている人物で、自らも編集に携わっています。

▼ヘッセン博物誌
 ニース=ヘッセン女史が半生をかけてまとめ上げた博物学の書で、主にアリアナ海沿岸の生態学が中心となっています。現在、女史はカーカバートで研究を続けているようです。

▼ジョン=スミス百科事典
 ジョン=スミスを名乗る不明の人物から送られた、多額の寄付金によってつくられた百科事典です。これはロンデニアの王立科学アカデミーが中心となって編纂したもので、他国でも広く販売されています。

▼霊子機関大全
 霊子機関の父コルフト=カートランドの研究を、ぺトラーシャの学問院がまとめ上げたものです。現在でもこの書が最高の教科書として用いられています。

▼薬草図鑑
 メルリィナ王国の医師がまとめた薬草知識に関する本です。しかし、その多くは放浪民の薬師の経験と知識を元にして書かれているため、実際の効果とは無関係に医学会に否定されています。


○思想書

▼近代教育論
 近代教育の父と呼ばれるアーシュリア=クリスィンの著作です。この書は彼の思想を広めるのに大きく役立ちました。

▼理性ある帝国
 ライヒスデールの思想家ヴェルメル=ハボックの著書で、皇帝の専政と貴族支配社会を批判する内容です。現在は発禁処分となっておりますが、地下活動を行なう者たちが独自に発行を続けているようです。なお、ヴェルメルの行方については「現在は他国に逃れて革命の準備を整えている」「秘密警察に捕まって投獄されている」「既に当局によって殺害されている」など、数々の噂が流れています。

▼資本主義体系〜国家盛衰の原理〜
 富国発展論と富国実証論の2部からなる書で、資本主義経済の発展と市場から見る経済動向の分析および将来予測が主要な内容ですが、最後に独自の改革論が唱えられていることが、一部の思想家の注目を浴びています。それは共産主義に基づく社会の形成であり、この思想は貧困層を中心に少しずつ広まっているようです。

▼支配と没落
 カイテイン、ライヒスデール、フレイディオンらの侵略構想を批判したもので、これらの国家による検閲を免れるために、仮想の国家をもとにした小説として描かれています。彼の考えによれば、帝国主義を存続するためには果て無き市場の拡大と際限のない消費が必要であり、小説の中では大国同士による大戦が勃発し、それに続く社会全体の荒廃で物語は締めくくられています。


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