人種・民族/基本要素

概要舞台シナリオその他


 

概要


 人種間での差別問題や、特定の民族と一般市民との間で起こる問題を取り扱うシナリオです。


○目的

 シナリオの目的は人種間や民族間に生じている問題を解決することになります。しかし、これは簡単に答が出る問題ではなく、もちろん全てが容易に片づくものではありません。


▼注意点
 これらは非常にシリアスな傾向のシナリオとなり、プレイヤーにも様々な葛藤が生じるでしょう。また、回答のない命題もあり、シナリオ作成の際にGMが明確な模範解答を用意できない可能性も高くなります。ですから、こういったシナリオを行う場合には、正しい回答はないということを最初に話しておき、同時に問題の完全解決を目的に定めないことも重要となってくるでしょう。

▼評価
 これらのシナリオは、キャラクターの立場で利益を追求するだけでは、課題をクリアしたことにはなりません。もちろん、ただ譲歩すればよいというものでもなく、PCの立場を考えた上で、全体にとって最良の選択をすることが重要なポイントとなるでしょう。GMはPCの活躍によってどれだけの人が幸せになることができたかを評価し、それを第一の目的として行動してもらうように努めて下さい。


○楽しみ

▼人助け
 純粋に人助けをすることに対して喜びを得ることが出来るでしょう。これは人として第一に目指すべき姿勢であると同時に、システムが推奨する達成条件にも合致するものです。

▼調和/平和
 話し合いによって協定を結ぶなど、悲劇的な状況が訪れる前に和をもって問題を解決するというのが、このタイプのシナリオのベストの解決法法でしょう。他者との調和は難しいものであり、利害が絡んでいればなおさらとなりますが、その困難を克服して問題を解決することも大きな楽しみの1つと言えます。

▼心理/葛藤
 この世界では人権に関する考え方がまだ未熟であるため、周囲の人間を説得するにも多大なる努力を要するはずですし、PCの発言や行動によっては反社会的な人物として見られたり、被差別民の仲間として扱われてしまう可能性もあります。このように自らが差別や迫害を受ける側に置かれた時に、いったいどのように行動するのかを考えてみるのも、人道や主義主観に関する問題を扱うシナリオにおいては、1つの楽しみといえるでしょう。
 また、PC自身の生い立ちや主義思想によっては、差別を悪として意識していないことも十分に考えられます。しかし、そのような立場を貫くことはゲームの目的に反することであり、プレイヤーとして認められる態度ではありません。差別する側に回った時にPCをどのようにコントロールし、シナリオを解決するのかということも、プレイヤーの腕の見せ所となるでしょう。


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舞台


○奴隷問題

 このタイプのシナリオの代表的な題材は奴隷問題でしょう。奴隷が特に数多く存在するのはカルネア、エリスファリア、ロンデニアといった国々です。これらの国家はそれぞれペルソニア大陸に植民地を持っており、奴隷商人を通じて奴隷を本国へと輸送しています。特にカルネアでは奴隷問題に端を発した内戦まで起こっており、国家問題に絡む大規模なシナリオをつくることもできるでしょう。また、ロンデニアの植民地であるファイン=ファウンドでは、奴隷や犯罪者たちによる反乱が計画されており、キャンペーンシナリオを展開することが可能です。


○民族問題

 民族問題を扱うシナリオでは更に舞台が広がります。カーカバートのように人種が混在する都市もありますし、交通の要所となる地点でも同じ様な状況が見られます。このような場所では、民族の間で小さな諍いが起こりやすいでしょう。
 もう少し大きめの問題としては、辺境などに住む少数民族との対立があります。竜の一族の住むジグラット、他民族を積極的に排斥しているライヒスデール、あるいは亜人地域や大森林といった場所に接している国家などが、こういったシナリオに向いている舞台といえます。
 また、現在のエルモア地方では国家単位での民族問題も多数発生しています。ルワール大公国の内乱やセルセティアで起こっている内戦も、人種や民族に深く絡んだ問題です。新大陸エスティリオへの進出もまた、地理上の発見にとどまらず民族問題の1つとしてとらえることができるでしょう。
 それから、戦争が原因で他国に移住した人々も偏見や差別に遭遇する場合があります。遊牧民やラチェン人のような放浪民族も、色々な問題にぶつかる可能性があるでしょう。このようなキャラクターをつくり、様々な国家を渡り歩いてみるのも面白いかもしれません。
 なお、ユナスフィール教国および法教会を信奉している地域では奴隷制度は存在しませんし、特に人種や民族による差別も行われておりません。


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シナリオ


○タイプ 

▼差別
 特定の民族や人種を対象とした差別問題を取り扱うシナリオです。社会問題として大きな事件を取り扱うことも出来ますし、身近な人物を助けるような小規模なシナリオも考えられます。


▼逃亡
 逃亡奴隷を匿ったり、自身が逃亡する側となって追っ手を振り切るようなシナリオとなります。迫害にあった少数民族が別地域へと移り住むのを手助けするような場合は、旅に同行して危険を打ち払ったり、移住先との交渉を引き受けるような内容も考えられます。


▼政治
 政治で取り扱う題材の1つとして、人種や民族に関する問題を解決します。奴隷や移民の取り扱いなどに関して、対抗勢力と駆け引きを行ったり、特定の法案を通過させるために尽力するといったシナリオになるでしょう。


▼内乱/反抗
 ルクレイド公国の黄人やペルソニアや植民地の部族など、差別政策や侵略者に対して反抗する者を取り扱うシナリオです。


▼心理
 相互理解をテーマとする内容で、多くは個人の主義思想にスポットが当てられるシナリオとなるでしょう。領主と奴隷、被差別民と街の住民など、対立関係にある者を主に扱うことになります。


▼民族の対立
 民族間の対立問題を解決するシナリオです。複数の民族から成り立つ国家では、こういった問題が起こることは十分に考えられますし、各地を旅する部族と定住民との確執などを取り扱ってみるのもよいでしょう。


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その他


○判定

▼能力値
 特にこれといって必要な能力値はありませんが、【判断】の値が高い方が他人に主張を聞いてもらいやすいはずです。


▼技能
 特に人の上に立つキャラクターの場合は、《会話技術》や《駆け引き》といった技能レベルが高い方がよいでしょう。また、政治がらみの話になる場合は、〈社会制度〉〈経済〉〈歴史〉といった学問知識があった方が、より深みのある話を展開しやすいはずです。


○参加者間の対立

 これらのシナリオを行う場合は、まず事前にプレイヤーに概要を説明し、興味がない人は参加しないようにして貰わなければなりません。また、プレイヤーの間にも相当な意見の食い違いが見られるかもしれませんが、対立しているのはキャラクターであって、プレイヤー同士が対立するものではないということを、よく理解してもらわなければなりません。


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