魔道技術

発見と発展刻印呪法


 

発見と発展


○基本

 術法や科学魔道、あるいは変異現象に共通する機構は、特定パターンに配置された霊子が幽子情報に変化を与え、それに応じて何らかの現象が発生するというものです。この現象を人為的に起こすために開発されたのが魔道技術であり、術法も科学魔道もこの一種に分類されます。
 魔道技術の最も基本的な要素が魔道回路(霊的回路)の構築で、これに霊子を通過させることで魔道効果を発生させます。科学魔道では霊子と物質を用いて、術法の場合は精神によって回路を発動させるのですが、求める変化に応じた回路構成を見つけるのが、いずれの技術においても研究・開発の第一歩となります。


○科学魔道技術の発展

 科学魔道技術の研究が開始されたのは、現実世界の科学レベルでいえば20世紀末〜21世紀初頭の頃となります。最初のうち、この研究はまったく形になりませんでしたが、霊子物質を利用することに気づくと状況は一変します。そして、この技術に興味を持った多くの科学者たちによって基礎研究が進められ、研究開始から30年も経たないうちに、『呪式』と呼ばれる科学的魔術法則の公式化を果たすのです。これによって科学魔道は、実用の技術として一気に社会に広まることになります。
 初期の『科学魔道学』はまだ体系化されたものではなく、単体の現象を制御する段階でしかありませんでした。しかし、それから50年たらずという短い時間で、様々な分野の研究者によって数々の『魔道方程式』が証明されることになります。こうして人々は物質の構造から幽子に働きかける術を、『呪学』という大きな学問分野として体系的にまとめ上げる段階にまで到達しました。これが科学魔道技術の完成で、これによって個人が魔術を行使することは殆どなくなりました。
 こうして研究の開始から1世紀も経たないうちに、社会のあり方は大きな変貌を遂げることになります。科学魔道技術によって為し得た事柄は、それまでの科学技術の範囲をはるかに超えるもので、その分野も多岐に渡ります。しかし、科学魔道も万能とは言えず、通常の科学技術と同時に発展し、相互に補完し合う形で利用されておりました。そのため、科学魔道機械の発展は、一般科学の進歩にも大きく影響を受けていたというのが実際のところです。


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魔道回路


○種類

 魔道回路(霊的回路)には、以下のような種類があります。


▼科学魔道
 導霊金属などの霊子伝導物質で回路を作り、そこに霊子物質から取り出した霊子を通して、霊的回路を形成する技術です。

▼術法
 術者自身の霊子を用いて、精神作用によって魔道回路を形成する技です。補助動作や物品に施す刻印というのは、回路形成のための補助となるものです。

▼特殊能力
 術法のように発動時に回路を形成するのではなく、霊子場や体の構成物質に予め魔道回路を備えるものです。

▼霊刻魔儀
 旧コロニー勢力が開発を進めていた特殊な科学魔道技術です。魂霊子(霊魂の持つ霊子エネルギー)を用いて科学魔道の機械を動かす目的で開発されたもので、そのために霊子を消費して活動する無機生物を利用します。


○物理霊導

 物理霊導とは、物質を用いて霊的な回路を作成すること、またはその技術の総称です。これには科学魔道による霊的回路や、旧コロニー勢力の霊刻魔儀、錬金術による機刻などの技術が含まれます。


▼刻印呪法
 最初期の魔道回路の形成技術で、物質に回路パターンを刻み込む方法です。簡素で手間のかからない手法である反面、安定性に欠けるため緻密な回路構築には向かず、科学魔道技術が生み出した高度な魔道機械を作製する場合は、補助的にしか使われておりません。
 人形系や仮面系の術法で用いる刻印も、これらの派生技術となります。しかし、術法は精神場に含まれる霊子を利用するもので、刻印はあくまでも発動の補助動作と同じもので、精神が形作る霊的回路を補助する存在でしかありません。これに対して刻印呪法というのは、それ単体で機能する物理的な霊的回路となります。
 
◇霊的回路
 刻印呪法によって刻まれた霊的回路のことを、刻印回路または霊的刻印といいます。これを刻む作業のことは霊刻(霊刻作業)といい、回路の形状のことは霊刻パターンと呼んでいます。刻印を行なうこと自体は難しい技術ではありませんが、霊刻パターンの発見と発生する魔道効果の分析というのは、非常に手間のかかる作業となります。

◇材質
 術法の場合と違って、刻印回路は霊子が通ってはじめて霊的回路が形成されるものですので、材質として用いることが出来るのは、『導霊物質』(霊子伝導物質)と呼ばれる霊子を伝導できる物質に限られます。

◇発動
 霊的回路は霊子を通じた状態で完成するもので、刻印を施しただけで魔道効果が発生するわけではありません。ですから、たとえ霊子物質に刻印を施したり、霊的回路に触れて念を込めても効果はなく、エーテル変換装置を用いるなどして回路に霊子を正しく流す必要があります。


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