技能の種類
機械に関する知識を思い出したり操作するための技能には、以下のような種類があります。
○基礎知識
機械の基本的な仕組みを理解するには、基礎的な学問知識を身につけていなければなりません。〈機械工学〉などの専門知識は、これらを学んだ上で初めて身につけることができます。
▼習得
エルモア地方では初等教育は授業料無償で受けることができるので、通常のキャラクターは全て基礎教育は受けているものとします。ただし、奴隷や辺境で生まれ育ったキャラクターの場合は、専門分野として扱われる場合があります。
▼判定
初等学校で学ぶ程度の一般的な知識は、基本情報(一般:記憶+機械知識)の判定で思い出すことが出来ます。この判定に成功すれば、梃子や歯車といった単純な機械や、蒸気機関の基礎的な原理などを理解していることになります。
○機工技術/各種
機械の作動機構や原理に関する知識を思い出したり、修理・作製といった作業を行なうためには、機械知識の技能に含まれる、〈機工技術〉の専門分野を身につけている必要があります。
▼習得
〈機工技術〉の専門分野は、動力機関や歯車機械などの種類ごとに習得しなければなりません。これらの知識や技術は、専門学校や高等学校以上の学術機関で教えてもらったり、工房や作業場で働きながら学ぶものです。発掘機械以外は独学でも身につけられないことはありませんが、その場合は非常に苦労することでしょう。
◇種類
機械の系統は以下の4種類となります。専門分野の習得は系統ごとに行なって下さい。・一般機械:自転車、車両、汽車、船舶、重機械、紡績機械、印刷機械、ポンプ...etc.
・歯車機械:時計、歯車機巧、オルゴール...etc.
・動力機関:蒸気機関、油燃機関...etc.
・発掘機械:霊子機関...etc.
▼判定
これらの専門分野を身につけていれば、以下の判定を行なうことが出来ます。
◇基本情報(記憶)
機械の基本的な構造や作動原理、および一般的な操作方法に関する知識を思い出すことが出来ます。また、動力機関を安全な条件で運転させたり、使用状況が適正かどうかを判断することが可能です。◇状態判断(記憶/判断)
機械の状態を判断するための判定です。これによって故障の場所や原因を特定したり、動作状態をチェックすることが出来ます。◇修理・整備(器用)
機械の修理や整備を行なったり、図面から機械を組み立てる際に適用する判定です。作業を行う際には、基本的に何らかの工具を必要とします。
○機械工学
《機械知識》に含まれる専門分野です。これは機械の作動原理や構造に関する高度な専門知識で、これを習得していれば機構を解析したり、設計・改造を行うことが可能となります。
▼習得
大学校や研究機関などで身につける専門知識です。これは機械の種類ごとに習得する必要はありませんが、扱える範囲は身につけている〈機工技術〉の専門分野までに限定されます。また、霊子機関を含めた発掘品に対して、この知識を適用することは不可能となります。
▼判定
この専門分野を身につけていれば、以下の判定を行なうことが出来ます。
◇専門知識(記憶)
機械の構造や詳しい作動原理について知ることが出来ます。◇構造解析(記憶/判断)
機械の内部構造や動作機構を把握するための作業です。既知の技術を用いている場合には【記憶】で、未知の機械などまだ知られてない機械の場合は、【判断】の能力値を用いて判定を行なって下さい。◇機械設計(判断)
機械の改造や新しい機械を開発するための作業です。一般に普及している機械は一流の研究者が開発したものですので、更なる効率化は非常に難しい行為となります。よほど新しい分野でなければ、改良を行うためには難易度10の判定に成功する必要があり、成功値によって改良の度合いが決定します。
○操縦技術
自動車や船舶など、さまざまな乗り物や機械を自由に運転・操縦するためには、《操縦技術》の技能に含まれる〈専門操作/各種〉の専門分野を習得している必要があります。
▼習得
専門操作は機械の種類ごとに習得しなければなりません。
◇種類
・車両機関(車両、オートバイ、機関車、戦車...etc.)
・水上機関(機械船舶、帆船...etc.)
・航空機関(気球、飛行船、羽ばたき飛行機...etc.)
・作業機械(重機械、工業機械...etc.)
▼判定
機械を運転・操縦するためには、[関連能力+操縦技術]を基準とした判定を行って下さい。ただし、通常の状態で操作する場合には、いちいち細かく判定を行なわせる必要はありません。悪条件や高度な技術を必要とする条件下で運転する際に、適当な難易度を設定して判定させて下さい。
◇操作性
操作性はそれぞれの機械の扱い易さを示した数値で、機械の操作/操縦判定の修正値となります。この値が高いほど、操作しやすい機械であることを意味します。◇速度修正
移動を行なうための機械の場合は、速度に応じて操作性の値が変化します。データに示されている数値は巡航速度が基準となっており、これに以下の速度修正を加えた値が実際の修正値となります。
◆速度による修正値
修正 速度 +2 〜慎重速度(=巡航速度×1/2) ±0 〜巡航速度 −2 〜最大速度(=巡航速度×2)
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故障と修理
○耐久値
機械は使い続けていれば、いつか故障する可能性があります。このことを表現するために、機械にはキャラクター同様に耐久値が設けられています。ルール的には、キャラクターの場合と同じ処理を行います。
▼減少状態
◇耐久値1以上
機体の外装や部分骨格など、機械の作動に大きく影響しないパーツへのダメージを受けた状態です。この場合は、特に何の影響も受けずに動かすことが出来ます。◇耐久値0以下
生物の場合とは違って、耐久値が0以下になった場合でも気絶判定を行う必要はありません。ただし、以降は装甲による防御値をデータの半分として扱わなければなりません。◇−耐久値以下
−耐久値(最大耐久値にマイナスをつけた値)になった場合は、作動に関係する機関部や駆動部までダメージを受け、機械は完全に壊れたことになります。
○外部ダメージ
機械に外部から直接的な打撃を加えられた場合には、耐久値を減少させなければなりません。
▼ダメージ計算
機械へのダメージ処理は生物の場合と全く同じように行います。乗用機関のように打撃を回避する余地がある場合は、その機械の操縦判定の達成値と防御値の分だけダメージを減少させることができます。なお、機械は生物の場合と異なり、気絶判定や死亡判定に相当する判定は存在しません。▼武器の効果分類
外部が硬い素材で覆われている機械に打撃を加えることが出来るのは、基本的に効果分類が破壊となっている武器や爆薬だけとなります。ただし、衝撃などの影響で破損する可能性があると考えられる場合は、それ以外の武器によるダメージを認めても構いません。
○故障ダメージ
機械の作動や制御に関わる中枢部にダメージを受けた場合、それは故障ダメージとして扱われます。
▼条件
◇作動条件によるダメージ
悪路を走行するなど、何か故障の原因になるような条件のもとで機械を使用する場合には、《操縦技術》などを用いた判定を行わなければなりません。この判定でGMが設定した難易度を上回る達成値が出なければ、耐久値へ[難易度−達成値]のダメージを受けることになります。◇中枢部への直接攻撃
機体の内部から動作系統に直接打撃を与えた場合は、装甲などの防御値を無視して耐久値へ直接ダメージが与えられます。また、外装がいくら硬くても落下による衝撃などを受けた場合は、作動部への直接打撃と見なして構いません。◇特殊な結果
外部からの攻撃が奇跡的成功だった時や、回避や操縦に関する判定で致命的失敗を出した場合、そのダメージは故障ダメージとして扱われます。
▼処理
◇影響
機械には気絶や即死が存在しないかわり、中枢部にダメージを1回受ける度に、自動的に動作に関する1つの要素(操作性、出力、切り替え部分など)に悪影響が及びます。
故障の発生は1度のダメージにつき1箇所となります。故障箇所や破損の程度はGMが自由に決定して構いません。◇故障ダメージ
故障を引き起こしたダメージを故障ダメージといいます。これは修理の際の難易度になると同時に、耐久値が何ポイント回復すれば故障が直るのかの基準ともなります。◇記録
何らかの故障が生じた場合は、故障内容と故障ダメージを一緒に記録しておいて下さい。たとえば、耐久値に8点のダメージを受けた時は、8点/故障内容という具合です。◇修正値
故障箇所が1つ増える毎に、操作に関する判定には−1の修正値が累積してゆきます。
○修理
機械の故障やダメージを直すためには、〈機工技術〉を用いた修理判定に成功しなければなりません。
▼準備
◇故障判断
どの箇所が故障しているかを判断するためには、機工技術(専門:判断+機械知識)の判定に成功する必要があります。◇工具・材料
実際に修理を開始する前に、使用する工具や交換用の部品などを用意しておく必要があります。
▼修理判定
◇耐久値の回復
機工技術(専門:器用+機械知識)の判定に成功すれば、達成値の分だけ耐久値を回復させることが可能です。◇故障部分の修復
故障ダメージを受けて生じた不具合は、耐久値が元に戻れば自動的に直ります。修理した分の耐久値が故障ダメージに達する度に、故障箇所の機能を回復させて下さい。
▼応急処置
間に合わせの部品などがあれば、その場で応急処置を施すことも可能です。この場合は、修理したい箇所の故障ダメージを難易度とした、機工技術(専門:器用+機械知識)の判定に成功する必要があります。
この判定に成功すれば1つの影響を取り除くことができ、操作判定に受ける−1修正も一時的に解除されます。ただし、これはあくまでも応急処置であるため、耐久値そのものを回復させることは出来ませんし、時間が経てば自動的に元の故障した状態に戻ってしまいます。作業にかかる時間や元の状態に戻る条件や時間については、GMが任意に決定して構いません。
▼メンテナンス
特に故障となる原因がなくても、GMは適当な間隔で状態判断や整備の判定を行わせることが出来ます。また、過酷な条件で動かした後にも整備が必要ですし、長く放置されていた機械を使用する場合にも同様の判定を行なって下さい。
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発掘品
○基本
エルモア地方では、遺跡から先史文明(科学魔道時代)の遺産が発掘されることがあります。こういった発掘品のほとんどは何に使うのかわからない機械であり、今まで一般に普及した品は霊子機関だけです。
ですから、もし発掘品を見つけたとしても、それを使用することはほぼ不可能です。しかし、こういった物品にまったく意味がないわけではなく、他の考古学的な遺産と同様に非常に高値で売買されます。発掘品の買い取りを行っているのは、主に学問院や軍、あるいは大学などの研究機関です。古物商などがこれらの組織との仲介をしていることもあり、まれに発掘品を専門に扱う店もあります。
○判別
科学魔道時代の物品は、普通に調査しても理解できない品ばかりです。霊子物質で駆動するらしいということだけは判明していますが、それだけしかわからない状態なのです。実際に使ってみるにしても、それが確実に作動するとは限りませんし、危険が伴う可能性があります。しかし、以下の技能があれば、大雑把な判別だけは行うことが可能です。
▼遺失技術
機械知識に含まれる遺失技術の専門分野を習得していれば、発掘品に関する知識判定を行なうことが出来ます。
通常、この知識は自由に習得することはできず、GMがシナリオ中で必要だと判断した場合のみに学ぶことができます。習得できるとしても、学問院や軍の最先端の研究室といった限定された場所だけであり、個人の努力でどうにかするのは殆ど不可能といってよいでしょう。
▼分析
発掘した機械について分析を行なう場合は、遺失技術(専門:記憶/判断+機械知識)の判定を行なって下さい。
しかし、これによって発掘した物品が何であるかを正確に特定したり、正しい使用法を解明したりすることはできません。かつて発掘された機械に似ているとか、あるいは大雑把な用途というものが判断できるだけに止まります。実際に利用できるようになるまでには、10名以上の専門家が集まっても10年以上の時間はかかるでしょう。
◇難易度
科学魔道学の判定の難易度は非常に高いものとなります。奇跡的成功を収めて、ようやくわずかな事実が類推できる程度です。
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