戦闘

戦争戦場外


 

戦争


 聖歴789年の現在は国家間の関係が不安定であり、いつ大きな戦争が起こってもおかしくはありません。実際、ライヒスデールとフレイディオンの軍事同盟と、神聖同盟と呼ばれるユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャの3国間では、小競り合い程度の戦闘が続いていますし、大国カイテインは海への道を拓くため、ルワール大公国への侵攻(南方政策)を計画しています。
 国家間の対立だけではなく、幾つかの国では内乱が起こっており、特に民族問題が各地で浮上しています。北方のカルネアでは奴隷問題と貿易問題から奴隷解放戦争が勃発し、国家を2分した戦いが続いています。ルワール大公国でも黄人系民族ドゥーガル人の反乱が5年前に起こり、現在もまだ決着がついておりません。それから南方の国家セルセティアでも、セル人とセティア人の2つの民族が激しい対立を繰り広げているのです。
 また、植民地問題も浮き上がっており、征服民と被征服民の確執は根深いものがあります。ロンデニアの植民地ファイン=ファウンドでは、奴隷である黒人と赤人が地下組織を結成して反乱を企てていますし、ペルソニア大陸の植民地でもこういった民族問題は山積しており、遠くないうちに各地で戦乱が起こる可能性があります。


○戦士

 戦争で戦うのは主に騎士や軍の兵士たちです。こういった者たちの中には職業軍人もいれば、戦時に徴兵されて戦地に赴く民間人もいます。自ら志願して兵隊となるものもおり、特にカルネア奴隷解放戦争では黒人志願兵が年を経るごとに増大しています。


▼訓練
 職業軍人も徴兵された民間人も、通常は訓練を受けた後に戦地に送られるのが普通です。昔の騎士であれば、幼い頃より騎士見習いとして雑役をこなしながら戦闘訓練を受けるという具合で、アルメア王国のような古い国や中央から離れた一部の領地では、未だにこのような見習い制度が残っていることもあります。しかし、近年では銃器が登場して戦闘の形態も変化したため、こういった古い風習は徐々に廃れており、貴族の子弟は兵学校(士官学校)で訓練を受けるのが一般的です。


▼傭兵
 こういった者たちとは別に、戦いを職業とする傭兵も存在します。一種の職業軍人ですが特定の国家には属しておらず、主義や思想ではなく生活のために雇われて戦います。彼らの中には歴戦の強者が多く、戦士としては非常に信頼されています。戦場において外国人で構成されている味方の部隊を見かけたら、その殆どは傭兵隊だと思って構いません。こういった傭兵たちは、戦争だけではなく変異体との戦いに雇われることもあります。特に怪物を専門に狩るものは『獣狩り』と呼ばれ、人々の尊敬を集めています。


○戦闘スタイル

 昔は騎士が剣を持ち、馬に乗って戦うというようなスタイルが当たり前でしたが、現在は戦闘の仕方も様変わりしています。それは銃器の登場によってのことです。銃はその威力と攻撃範囲において最高クラスの武器です。また、筋力のないものでも扱うことができ、そのうえ小型で携帯にも便利と利点ばかりが挙げられます。昔の銃器は精度も悪く、耐久性にも問題があり、暴発することも多かったのですが、現在のものはわりと精密につくられており、安全性も格段に上昇しています。
 しかし、火薬の原料である硝石の生産量が少なく、天然の火薬ともいえる雷石(サンディ・ロック)もやや高値であるため、銃自体は兵士たちに支給できても、弾丸や火薬が支給されないということも多くあります。このような理由から、銃器は急速に広まっているとはいえ、まだ完全に主力武器とはいえない状態にあります。今もって遠距離からの攻撃に弓が使用されることもあり、戦場では剣が必要なのです。近年では動力機関の発達に伴い、戦車などの新しい機械が試作されるようになりましたが、これも銃器と同様に普及されているとは言いがたい状況で、しばらくは馬が戦場を駆け巡る時代が続きそうです。


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戦場外


 この世界では、日常とすぐ隣り合わせの場所で戦いが起こっています。人間の生活を脅かす怪物たちや、傭兵くずれの野盗といった存在に出会う可能性も、決してないとは言い切れないのです。


○装備品

 装備品の所持は特に法律で規制されておりません。というのは、エルモア地方には変異によって強力な怪物が存在しており、自衛手段として武器を携帯することは、一般的に認められているからです。ただし、町中で刀剣を帯びていたり、鎧を身につけていたりすることは殆どありません。懐に銃を忍ばせたり、あるいは杖の中に刀を仕込んでいることはあっても、それを積極的に人目にさらすことは避けるべき行為なのです。警察官や軍人でもなければ、変人扱いされかねないということを覚えておいて下さい。
 一方、田舎では自分の力で身を守らねばなりませんので、森に入るのに銃を携帯したり、ナタや手斧を腰にぶらさげていてもまったく問題はありません。それから、街道を歩いて移動する旅人が武器を所持することは、むしろ常識的なことだと考えられています。変異体が出没する他にも、犯罪者が路銀を狙うこともよくあるからです。
 とはいえ、日頃から常にそれらを手放さずにいるというのは、常識的な態度ではありません。この点については注意するようにして下さい。


○戦闘スタイル

 銃器が利用されるようになってからは、重い鎧が敬遠される傾向があります。大砲や爆薬といったものに対して防具はほとんど役には立たず、むしろ逃げるためには邪魔になるばかりなのです。しかし、それは戦場においてだけのことで、野外で他の生物を相手にして戦う場合には、まだまだ鎧は効果を発揮します。特に獣狩りという怪物を専門に狩る傭兵たちは、好んで古い武装を身に纏います。
 他生物の中には人間に比べてはるかに強く、たとえ銃器を使用したとしても、1度や2度の攻撃では倒れないものも多くいます。また、もとより銃器による攻撃が通用しないものも存在するのです。このような人外のものと戦う時、身を守るための鎧は必須の装備となり、銃器などの強力な武器が今以上に普及したとしても、武器や鎧の鍛冶職人はまだまだ仕事にあぶれることはないでしょう。
 また、こういった他生物との戦いには銃器よりも、むしろ昔ながらの武器の方が便利な時があります。森の中で長銃の砲身を振り回して戦うのは不便ですし、何よりも銃器は弾込めに時間がかかります。怪物たちが非常に強靭であることは前に述べた通りですが、こういった生物は充填していた弾丸を全てくらったとしても、平気で襲いかかってくることがあるのです。それに、土の中に潜っているような敵には、銃器による攻撃はまったく効果をあらわさないでしょう。このような事態に対応するためには、剣や槍といった昔ながらの武器が必要なのです。
 これらの他にも、人々は様々な場所で戦いを行わねばならない時があります。たとえば町中で銃を用いたりすれば、誤って通行人に当たることも考えられます。あるいは、どこかの屋敷に忍び込む時に、大きな音がする銃器を使用するわけにはいきません。万能の武器というものは存在しません。相手と場所を考えて、その時々で最良の選択をするのが優れた戦士の条件といえるでしょう。


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