術の要素

基本要素術のタイプ特殊な効果その他の注意


 

基本要素


 術にはタイプ、距離、持続時間、効果範囲、効果といった要素があります。これは個々のデータに書かれている通りなのですが、特に注意すべき点について説明します。


○タイプ

 術法を行使する場合、基本的に術者は対象や効果範囲を認識していなければなりません。しかしタイプによっては、効果範囲や距離などの他の要素の適用方法が異なります。


○距離

 術の到達距離のことです。到達距離以内に目標が存在すれば、それに対して術をかけることができます。距離については、10mのように具体的に書かれているものもあれば、接触、無制限などとなっている術もあります。


▼種類

◇術者
 術者となっている場合は、術をかけるキャラクターを中心として術が発動します。ですから、術者が移動した場合でも、発動している術法の中心は術者となります。

◇0(零距離)
 距離が0となっている場合は、その場所にかかることになります。この時は、術者が移動しても術法の効果はその場に残ることになります。

◇接触
 距離が接触となっている場合、対象に触れた状態で術を発動する必要があります。なお、認識の有無も含めて、相手が避けることが可能な場合は、自動的に術者の接触を回避することが出来ます。

◇影響範囲
 距離が影響範囲となっている場合は、術者の影響範囲(半径3m程度)までの距離に術をかけることが出来ます。

◇通常
 武闘系術法には通常という距離が存在します。これは武器で通常攻撃を行うことができる距離が術法の到達距離となります。このように設定されている術はマルチアクションとして扱われ、移動力の分だけ動いてから術法を発動させることが出来ます。


○持続時間

 術の効果が持続する時間です。持続時間は10分、1時間など具体的に書かれているものもあれば、一瞬、あるいは永久などとなっているものもあります。


▼注意
 一瞬となっているものは、術法の発動している時間は確かに一瞬なのですが、効果自体は持続することがあります。たとえば発火の術法の場合、燃焼するものさえあれば火は燃え続けます。逆に治癒に関する術で持続時間が永久となっていても、改めてダメージを受ければ耐久値は減少します。


○効果範囲

 術法が効果を及ぼす範囲についてです。半径10mなどと具体的に書かれている場合は、1点を中心とした球となります。この時の術の到達距離は、中心となる1点までとなります。


▼種類

◇1対象
 1対象と書かれている場合は扱いが特殊となり、半径1mの空間に存在する中の、連続する1つの対象(物体、生物など)となります。これは水のように境界がはっきりしないものについても、連続している一塊に効果を示すことになります。
 対象がその空間に入りきらない場合は、術は一切の効果を示しませんが、術法変化の補助技能によって範囲を拡大することは可能となります。ただし、対象の一部に対して物理的影響(切断、拘束など)を与えたり、直接ダメージを与えるような術については、大きさに関係なく作用することになります。

◇影響範囲
 効果範囲が影響範囲となっている場合は、術者の影響範囲(半径3m程度)までの距離に術の効果が及びます。

◇数値範囲
 半径〜mなどと具体的に書かれている場合は、その範囲に術の影響が及びます。


▼注意

◇認識
 いずれの場合でも、術が効果を及ぼすのは、基本的に自分が認識している範囲までです。壁の向こう側など見えない部分には術はかかりませんので、この点については注意して下さい。

◇術者への影響
 術者を中心として発動する術法は、特に記述がなければ術者に悪影響が及ぶことはありません。


○効果

 個々のデータに書かれている通りの効果を及ぼします。


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術のタイプ


 術法を行使する場合、術者は基本的に対象や効果範囲を認識していなければなりません。たとえば誰かにかける場合には、相手が見えていたり触れていたりしなければならないのです。
 ただし例外もあり、相手が術者を見ていたり、音が聞こえていたりすることでかかる術法もあります。これらは、術法をかける時のタイプによって変化します。


▼通常
 対象が視覚的に認識できているか、そうでない場合は接触している必要があります。また、このタイプの術は壁などがあれば、障害物に対して術の効果が適用されます。背後にあるものに対しては、障害物によって効果が遮られてしまいます。


▼距離
 対象が視覚や触覚によって認識できていなくても、明確に思い出すことができれば、術をかけることが可能です。ただし、これは相手のことをよく知っている必要があります。記憶が曖昧である場合は、記憶力(一般:記憶+一般情報)の判定にも成功していなければなりません。
 それから、相手に何か関連が深いもの(遺品や足跡など)を鍵として、対象を特定することができる術もあります。説明にこのような記述がある術の場合は、相手のことを知っている必要はありません。


▼範囲
 障害物の有無に関係なく、術は効果範囲内の全てに適用されます。対象や効果範囲を認識している必要はありません。


▼限定範囲
 相手にものを見せたり、音を聞かせたりすることで効果を及ぼす術です。このタイプに含まれる術は、音を消したり視線を外したりすることで、術の効果を無効とすることができます。ただし、この場合は反射回避(一般:感応+回避力)の判定に成功しなければなりませんし、回避判定に失敗した後で【精神抵抗】を行うことは出来なくなります。1度の処理で行う対抗判定は、必ず1回の判定で済ませて下さい。
 それから、このタイプの術は距離や効果範囲を拡大することはできません。術の要素そのままの数値が効果の及ぶ限界となります。


▼認識範囲
 主に感覚を強化するために用いる術で、認識している範囲にのみ効果が及ぶものです。また、もともと視認できないほど微細なものや、本来聞こえない音を知覚できるようにはなりません。


▼集中
 術の効果を維持するために、特定の行為を集中して行う必要があります。持続時間中は、歌や精神集中などを続けなければなりません。
 
◇行動
 集中状態にある間の行動はフルアクションとして扱われます。この間は補助移動などの判定を必要としない行為を試みることは可能ですが、判定を必要とする能動行動を試みることは出来ません。

◇影響
 精神集中を行っている間にダメージや精神影響を受けた時は、自動的に術の効果が途切れることになります。これを避けるためには回避や抵抗などの受動行動を試みなければなりません。
 この場合は複数行動のルールが適用されるので、回避判定には−3修正を受けることになります。回避や抵抗に成功すれば集中状態を維持することが出来ますが、失敗した時は自動的に術の効果は途切れてしまいます。

◇制御
 タイプが集中となっていない術でも、何かを制御するために一時的に精神集中を行わなければならない場合があります。しかし、これは集中タイプの術と異なり、集中を解いても持続時間が過ぎるまで術の効果が消滅することはありません。


▼感知
 何かの存在を感知する術です。この術は感知することができるだけであり、知識にない情報を理解することは不可能となります。
 このタイプの術は、対象や効果範囲を認識している必要はありません。相手が抵抗判定を試みることも不可能で、判定に成功していれば必ず情報が得られます。また、相手が効果範囲内に存在していても、特定の術で守られているなどの状態になければ、術がかけられたことを感知することは出来ません。


▼魔力付与
 物体に魔力を付与する術で、主に武器の強化のために利用されます。効果時間のあいだは、通常武器でダメージを与えられない相手にも、ダメージを与えることができるようになります。
 このタイプの術をかけたものは魔力のフィールドで守られ、持続時間のあいだは内側にはダメージが伝わらなくなります。そのため、元々の用途が何になっていても、破壊武器として扱われます。逆に、破壊武器以外の用途として使用することはできません。
 このタイプの術は生物にはかかりません。それから飛び道具にかける場合、弾丸など個別の追加武器に対して、1回ずつ術をかける必要があります。


▼幻術
 このタイプの術でつくりだされたものは、半実体化した魔力として存在します。術によっては映像だけでなく、触れても気づかない幻想体をつくり出せるものもあります。
 幻術の場合は、相手が何か疑問を感じて疑いを持った時に、【精神抵抗】を行うことが可能となります。対抗判定で勝利すれば、その者は幻術の効果を打ち破り、真実の姿を看破したことになります。ただし、魔力を解除しなければ幻術そのものは存在し続けます。


▼呪詛
 このタイプの術は、通常の魔力解除の術では効果を打ち消すことはできません。呪法解除(魔力操作系)や呪詛払い(浄化系、霊媒系)などの特殊な術のみが対抗効果を持ちます。もちろん呪詛と同質、あるいは正反対の効果を持つ術でも、呪詛に対抗できると明記されていなければ、対抗効果を発揮することは不可能となります。


▼特殊
 このタイプの術は主に奇跡として認識されています。距離や効果範囲などは術者の望みによって変化します。その妥当性については、GMが判断して下さい。


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特殊な効果


 術の効果は個々の説明に書かれている通りですが、特殊な扱いを受けるものも存在します。これは以下のような幾つかのタイプに分類することができます。


○対抗効果

 似た効果をもつ術法や、あるいはまったく逆の効果をもつ術法は、1つの対象や場所に対して同時に効果をあらわすことはできません。たとえば光を生み出す術と闇を生み出す術では、その効果が拮抗して互いの効果を打ち消し合おうとします。また、攻撃の判定に対して+2の修正を与える術と+4の修正を与える術でも、相手の効果を消滅させるように働きます。


▼比較
 このような術が同一の対象に重ねてかけられた場合、術のレベルには関係なく達成値が高い側の効果が残り、低かった方は打ち消されてしまいます。なお、達成値が同じであった場合には、両方の効果が消滅します。
 魔力を解除しようとする場合や【精神抵抗】に関しても全く同じことがいえ、魔力操作系の魔力解除などの術の場合も、判定方法はこれに準じます。術法の強さはレベルや効果の大小とは無関係であり、達成値が高いものが常に勝利するということだけ覚えておいて下さい。


○ダメージ効果

 術法には相手にダメージを与えることができるものがあります。ダメージの決定には、武器による打撃と同様の処理を行います。


▼ダメージの決定
 相手に術法で攻撃を仕掛ける場合は、術法判定(能動側)と精神抵抗(受動側)とで対抗判定を行います。ダメージ効果が発生するのは能動側(術者)が勝利した時で、成功値(=差分ダメージ)に術ごとに決められている強度ダメージを加えたものが、最終的に相手に与えるダメージになります。


▼防具の効果
 術法での攻撃が通常の武器による打撃と異なるのは、物理的な防具によってダメージを減少させることができないという点です。ただし、術法によって特別に防御値が得られている場合は、その分のダメージを減少させることができます。
 
◇例外
 武術に含まれる術法の中には、武器によって相手を攻撃するような術が存在します。この場合だけは例外となり、防御値によるダメージの減少が起こります。通常の戦闘と同じように処理を行って下さい。


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その他の注意


 ここでは、術のデータには書ききれなかった注意点を羅列しています。


○修正値

▼妨害/全判定
 あらゆる判定にマイナス修正を受けると書いている場合でも、データに記述されていなければ、【生命抵抗】および【精神抵抗】に不利な修正を受けることはありません。


○攻撃/防御

▼効果値
 効果値が示されている術の場合は、相手の達成値ではなく効果値を基準とした対抗判定を行います。術の判定は発動するかどうかにのみ関係します。

▼ダメージ/殺傷力
 効果の欄に殺せる、あるいはダメージを与えられると明記していない術の場合、基本的には一切のダメージを与えられないものと解釈して下さい。

▼魔力の武具
 魔力によって武器などを作製した場合、実際に攻撃を行うのは次のラウンドからとなります。なお、これらの武器はタイプに魔力付与と書かれていない限り、通常と同じ武器として処理して下さい。また、これらの武器については、重量を気にする必要は一切ありません。

▼魔力の防具
 装備中の防具と同種の効果を得られる術法の場合、防御値は累積して取り扱って構いませんが。形状によって得られる利点は重複しません。たとえば既に楯を装備している者に魔力の楯を用いた場合、戦闘防御の判定への修正値は、どちらか高い方の値が適用されることになります。

▼結界
 術法などの影響を削ぐ結界に対して、効果の欄に記されている以上のダメージが与えられた場合、結界内にいる者はオーバーした分を基準として抵抗や回避を行うことになります。

▼装甲内部へのダメージ
 鎧などおよそ体に密着している装甲の場合は、内部へダメージが透過します。しかし、乗り物や建物などにダメージを加えた場合は、対象そのものの耐久値へダメージを与えることになります。内部の人間にはダメージを適用しないで下さい。

▼攻撃術法の軌道
 〜の矢と書かれている術法の場合は、術者から対象へと魔力が飛んでゆきます。〜球の場合、特に明記されていなければ指定した1点に魔力が出現し、そこで爆発が起こることになります。術者を中心に発動する術法は、術者から効果範囲へと魔力が広がってゆくものです。

▼回避/抵抗
 回避判定や抵抗判定にかわりに用いることが可能な術も存在します。この場合の判定は受動行動として扱われ、記述されている手段のかわりに術法判定の達成値を用いることが出来ます。


○創造/変化

▼作製物
 術法で作製した通常の物品は、特に魔力が付与されているわけではありません。

▼魔道具
 いわゆるマジックアイテムと呼ばれるものは、いかなる組織・機関でも製造することはありません。自然界から見つかったり、あるいは宗教機関の聖人たちが作り出したものは存在しますが、現行の機関が作製したものは記録の上でも存在しません。

▼術法による創造/模倣
 花系で花を創造したり、あるいは獣化系などで動物の模倣をする場合、術者が対象を知っている必要があります。見たこともない花を生み出したり、自分が知らない能力を模倣することは不可能です。対象を知っていることにするためには、《生物知識》や《記憶力》の判定に成功しなければなりません。

▼変身(装備)
 異なる生物に変身する場合は、身につけているものは変化しません。そのため、場合によっては服が破れたりすることがあります。ただし、鎧などを着ていても、変身によって肉体にダメージを受けたりすることはありません。その場合は、鎧の方が壊れたということにして下さい。

▼変身(能力)
 変身後も自身の意識がそのまま保たれる場合、記憶、判断、性格、知識などは元のままの扱いとなります。また、発動スタイルの制限に抵触しなければ、術法の発動も試みることが出来ます。


○属性

▼属性の変化
 呪詛や組織変化に関係する術では、生物の属性(聖気、瘴気など)まで変化させることはできません。属性変化のための専門の術でのみ可能となります。

▼属性と治癒
 特定の属性にしか効果をあらわさない回復手段は、逆の属性の相手に対してはダメージを与える手段となります。ただし、中立にのみ効果をあらわすものや、いかなる相手にも効果を示す術は、何者に対してもダメージを与えることはありません。


○移動

▼移動力/念動力
 飛行の時の移動力や念動などによるパワーは、【霊力】の値を【敏捷】や【体力】に相当するものとして扱って下さい。【移動力】などを算出する場合も、基本となる能力値の種類を置き換えるだけで、通常と同じように計算して下さい。

▼特殊な移動
 瞬間移動などの特殊な移動手段を用いた場合、身につけているものは一緒に移動することにして構いません。ただし、他人を抱えたりしても、術法変化技能などで拡大していなければ、対象のみが移動することになります。


○生命

▼仮死
 術法によって仮死状態にある時は、重要な肉体の器官や組織が破損する以外では、対象が死亡することはなくなります。たとえば水中に沈められても平気ですし、何年たっても老化もしません。栄養を補給する必要もなくなります。

▼治癒
 データに明記されていない限り、先天的な欠損や遺伝子病などを治すことはできません。


○知覚影響

▼修正値
 幻影を生み出したり光や音を操作した場合、それによって行動に与えられる修正値は、特にデータに明記されていなければ[術レベル÷2]が最高となります。

▼幻影と装備
 術者や1対象にかかる幻影のうち、衣類などにも影響を及ぼすと考えられる術の場合は、身につけているものも一緒に変化することにしても構いません。ただし、これは平時に意識せずに着用している服や靴といったものに限られます。それ以外の持ち物や装備などは、別個に術をかけて変化させる必要があります。


○その他

▼抵抗
 効果の欄に抵抗不可と書いていたり、感知タイプに含まれる術でない限りは、必ず【精神抵抗】を行うことができます。

▼睡眠
 ゆっくりと倒れ込むので、倒れたショックで目を覚ますということはありません。なお、これは通常の眠りと同じなので、周囲で騒いだり揺すられたりすれば起きることになります。

▼予知
 これらは確定情報ではありませんので、その後の状況次第でいくらでも結果が変わります。GMは術をかけた時点で最も起こりうる可能性の高い未来を描写しますが、最終的に予知が外れても全く問題にはなりません。

▼隠蔽
 術法によって完全に隠蔽されたりしたものは、技能では発見できません。術法による感知、探索のみで知ることができます。


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基本要素術のタイプ特殊な効果その他の注意