ホラー/基本要素

概要舞台シナリオその他


 

概要


 不死者や心霊現霊などの脅威や、その他の恐怖を題材にしたシナリオです。


○目的

 このタイプのシナリオは、怪奇現象や不死者が起こす騒動を解決することです。しかし不死者といえども、ただ人間を襲うだけとは限らず、何らかの心残りを抱えていることも多いものです。このような場合は、単純に相手を倒すよりは、騒動の根本的な問題を解決することを目指すべきです。


○楽しみ

▼恐怖
 恐怖とそれが醸し出す雰囲気を味わい、追いつめられてゆく過程を楽しむというのがホラー系シナリオの醍醐味でしょう。かといって、死ぬこと自体を楽しみとするべきではありませんし、それを意図的に行うのはシナリオへの参加を放棄しているも同然です。
 プレイヤーは何よりも生き残ることを最優先としなければなりませんし、かつ課題をクリアすることを目的として下さい。GMが設定した目的が逃亡することでなければ、逃げるだけではシナリオをクリアしたことにはならないのです。

▼心理
 心理サスペンスのような題材もホラーシナリオの1つとして考えることができます。人間心理の不可解さや怖さといったものを、存分に味わうことができるでしょう。

▼心霊
 心霊現象など、日常では決して出会わない出来事に触れるのも、ホラーシナリオの楽しみの1つです。

▼調査
 過去に起こった事件などを調査することが、課題を解決するための条件である場合があります。ホラーシナリオの場合は、調査を進めることで事件の真相に近づく一方、逆に引くことができない状況に陥ったりします。そのような葛藤を楽しむこともできるでしょう。


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舞台


○地域

 ホラーシナリオはどの国家でも遊ぶことが可能です。ただし、科学的な解明をまじえてシナリオを展開したい場合は少し科学が進んだ国家で、逆に迷信などを題材に扱う場合はアルメアのような後進国を選ぶといった微調整を行った方がよいでしょう。
 なお、特にこれといったシナリオが思い浮かばない場合は、一部地域に特徴的な題材を扱ってみるのもよいでしょう。たとえば国家のパートでは、悪魔崇拝者のいるカイテイン帝国、リビングデッドが多く出現するユークレイやメルリィナ、夢魔現象が起こるルクレイド、吸血鬼が出没するソファイア、霧魔のあらわれるロンデニアなどが例として示されています。
 他にも異世界を用いて仕掛けをほどこすこともできますし、ペルソニア大陸の遺跡などを題材に扱っても、魅力的なシナリオをつくることができるでしょう。ルワール大公国に出没する鏡魔のような存在もまた、単なる怪物としてではなく恐怖を与える仕掛けとして使うことができます。


○閉鎖空間

 ホラーシナリオをつくる上でお奨めの舞台は、簡単に逃げ出すことができない限定的な空間です。人里離れた山村や館などは、ホラーの定番といえるでしょう。静かな休暇を求めて郊外の別荘地に遊びに来た結果、事件に巻き込まれてしまうこともありますし、相手に閉じ込められてしまうという状況も考えられます。
 逆に、相手が襲ってきやすい開放された空間というのも、襲われる側からすれば非常に厄介な場所といえるでしょう。路地裏の暗闇のように周囲の状況がわからない場所もまた、決して油断のできない空間です。他にも下水道や地下墓地、あるいは廃屋といった普段は足を踏み入れないようなところも、恐怖心を呼び起こすいい舞台となるでしょう。GMは舞台監督にでもなったつもりで、雰囲気をつくり出すと同時に様々な仕掛けを施してみて下さい。


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シナリオ


○タイプ 

▼遺恨
 霊が残している心残りを代わりに晴らしたり、霊との遭遇により犯罪事件にまつわる事実が発覚するといったシナリオです。埋もれてしまうはずだった事実を調査し、断片的な情報から謎を解き明かすといった構成になるでしょう。

▼防御
 霊や怪物の攻撃から身を守り、無事に逃げ出すことをシナリオの目的とするものです。時間制限を設けたり、あるいは自分以外の何者かを守らなければならないなどの制約がある方が、より緊迫感が増すことでしょう。ただし、敵を倒すことが不可能であると設定しているのならば、そのことを最初から明確にしておくか、あるいはシナリオの途中で気づかせる必要があります。

▼お祓い
 霊魂に憑依されたり心霊体と一時的に同調してしまうなど、霊に取り憑かれた状態になることがあります。こういった状態から被害者を解放すると同時に、事件の根元となった問題を解決するシナリオです。霊が目的をもって人間社会に何かを仕掛けることもありますし、不死者を操る存在が背後に隠れている可能性もあります。

▼襲撃者
 不死者に限らず、得体のしれない化け物もシナリオの核として用いることができます。もちろん、殺人者など人間が相手でも、十分にホラーシナリオを楽しむことができるでしょう。

▼怪奇現象
 対抗すべき襲撃者は存在せず、現象そのものに対処しなければならないシナリオです。多くの場合、災厄の内容は変異現象に関係するものとなるでしょう。

▼幻想
 心霊体験の1つとして、霊や過去の記憶がつくる幻想というものがあります。これ自体は視覚的な効果しか与えませんが、現実と幻想の区別をつけずに扱うなど、幾つか工夫することでホラーシナリオに仕立てることができます。

▼閉鎖空間
 特定の閉鎖空間を用意して、その内部でキャラクターを追いつめるという心理的圧迫を与えるシナリオです。地形的な断絶や自然の影響によって閉じこめられるばかりではなく、変異現象や術法によって閉じこめられることもあり得ます。そこでは現実とは物理的な法則が異なるかもしれませんし、あるいは精神的な世界に閉じこめられることも考えられます。身を守りつつ調査活動を行い、出口を見つけだすというのが主な目的になるでしょう。

▼推理
 推理をまじえたホラーシナリオです。霊や不死者の仕業であるということ自体を突き止めなければならないかもしれません。怪物を装った殺人者が登場するなどのトリックも有効でしょう。

▼心理サスペンス
 精神的な問題を主として扱うシナリオです。狂気がもたらす人間の内面からにじみ出る恐怖や、あるいは果てしない欲望や歪んだ愛情などがシナリオの核となるでしょう。

▼錬金術師
 錬金術師が引き起こした心霊現象が、周囲に被害を及ぼす可能性があります。錬金術師についての情報はシークレットパート:限定情報に掲載されております。


○怪物

▼心霊体
 不死者のうち物理的な体を持たない存在です。一般には何らかの理由で冥界へと行けなかった魂として考えられています。心残りを取り除いてやれば浄化されることもあるようです。

▼リビングデッド
 リビングデッドとは「生ける屍」という名の通り、死してなお活動を続ける肉体のことです。不死者の中でも特に穢れた存在であり、生者を滅ぼすことだけを目的に活動を続けます。

▼吸血鬼
 人間の血を糧として永遠の生を得る化け物です。不死族の中でも特に忌み嫌われています。

▼魔族
 神に敵対する邪悪な種族で、人間を堕落させることを目的として活動しています。これを崇拝する邪教集団も存在します。

▼異形のもの
 奇怪な姿をもつ分類不能の種族たちで、1つ1つが全く異なる存在です。変異現象の産物とされ、一般社会では忌み嫌われています。生物であるかどうかも判然としないものが多く含まれています。

▼鏡魔
 鏡の中にいる化け物のことで、悪意に満ちた存在です。鏡魔の属性は全て中多くはルワール大公国に出没し、この国にはこれを退治する専門家が存在します。それが鏡界士と呼ばれる職業術法師であり、魔鏡系の術法を行使します。

▼注意点
 恐怖というのは自分が理解できないものや想像の範囲外にあるものに抱く感情です。暗闇や霊を怖がるというのが顕著な例でしょう。ホラーシナリオをつくる際には、このことを忘れないようにして下さい。
 ですから、ホラーシナリオの中で化け物を出す場合、それが単なる標的にならないように注意しましょう。単純に戦闘をして終わるだけであれば、それは戦闘もホラーも中途半端にしか楽しめないシナリオになる危険性があります。ホラーシナリオの場合は、必ずしも倒せる相手を出す必要はありません。もし倒せる可能性があるとしても、特別な弱点などを用意しておいて、それを探ることをシナリオの目的にするなど、通常の戦闘とは異なる仕掛けを施すべきでしょう。


○怪奇現象

 ホラーシナリオにも変異によって起きる怪奇現象を利用することができます。物理的な恐怖の対象としても用いることができますが、特に精神に作用するものはホラーシナリオに向いている現象といえます。たとえば、心霊体や犯罪者と精神が同調したり、過去の殺人事件の断片的な映像が見えたり、あるいは多重人格になったりという現象は、変異現象が理由で起こることもあるのです。他にも、奇跡や破滅の発動や霊感の判定によって、このような現象を起こすことが可能です。


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その他


○判定

▼能力値
 調査を主体とするシナリオであれば、【記憶】や【判断】といった能力値が高い方がよいでしょう。

▼技能/一般分野
 情報収集が重要視されるシナリオで重要となるのは、《知覚力》や《観察力》といった受動的に用いる技能や、《会話技術》などの調査に関する技能です。

▼技能/専門分野
 〈異端判別/各種〉の専門分野を習得していれば、必ず調査に役立つはずです。しかし、恐怖を体験することを優先するのであれば、あえてこれを習得しない方が、より状況を楽しむことが出来るでしょう。

▼術法
 単に怪物を退治するためだけのシナリオよりは、恐怖が生み出すフレーバーを楽しむものとするべきでしょう。そのため、むしろ術法は不要といえます。特に直接的に不死者を倒す術法などは、恐怖シナリオを楽しむためには認めるべきではありません。


○物品

▼情報
 ホラーシナリオで遊ぶ時は、情報を少しずつ明かすことで、恐怖を解決できる問題にすり変えてゆくことが多いと思われます。そのための仕掛けとして用意されるのが、過去の文献であったり、手紙や日記といった情報を書き残したものです。エルモア地方では、すでに新聞や書物などが普通に手に入る時代にありますので、古い新聞記事や警察の記録から過去の事件の情報を手に入れたり、図書館でその地方のことを調査するといった手段を選択することが可能です。

▼キーアイテム
 恐怖をテーマに扱うシナリオでは、ある物品が事件を解決する鍵となることがあります。それは、古ぼけた一枚の写真であったり、あるいはきちんと埋葬されないまま放置された故人の骨であったり様々です。こういった物品がシナリオを解決するための決定的な手段となるのであれば、特にこれといった技能を持たない一般人でも、問題なくシナリオに参加することができます。
 また、このような切り札的な存在を頼みに行動を起こすのは、非常に緊迫感溢れる心理状況を生み出します。それが有効であるという確証がなければなおさらのことです。

▼武器
 ホラーシナリオでは特に武器を必要とするわけではありません。ですが、かなわないと知っていながら武器をふるうというのも、恐怖を演出する手段として効果を発揮するでしょう。


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