基本情報
○全体
C-5、C-6、C-7地域が、ベルナデル準州として扱われています。
▼総督
軍隊の士官経験を持つファニール=ヴィスケス総督が植民地政府を統括しています。▼州都
C-6地域のシーノフ川(レムルカ川支流)の河岸にある、ロンデニオン市に総督府が置かれています。
○人種・民族
現地の住民の殆どはアデン人系の黒人で、次に多いのはロンデニア由来の白人となります。この他に、現地に同化した白人と黒人との混血であるフォリア人も、現在では相当の数にのぼりますが、彼らは双方の人種から疎まれる存在です。
なお、この付近はラガン帝国の影響を殆ど受けておりませんので、黄人はあまり多くは住んでおりません。また、赤人も奥地の一部で見られるだけで、殆どいないと言ってもよいでしょう。
○歴史
▼C-5
古くからこの地域は、ミーヴァ族とそれに付き従う7つの民族で構成される、ドーン・ミーヴァ王国が支配していた地域です。この付近はエルモア地方や中央地方から地理的に離れていたため、その干渉を受けることも殆どなく、独自の文化を発展させてきました。しかし、聖歴330年代になるとロンデニアが侵攻し、この場所を植民地とします。ロンデニアはこの地から採掘される黄金や宝石によって、大きな発展を遂げてゆきます。
聖歴520年代に入ると、ロンデニアは国内問題から植民地への影響力が弱まり、植民地総督の専横時代が訪れます。この状態は150年近くものあいだ続き、ロンデニア本国がこれを再び制圧するのは、聖歴670年頃のことになります。その後はロンデニアの植民地として維持され、現在に至っています。
▼C-6
古くからこの地域はシュティクラヴル王国が支配していた土地で、東部のテティア山地には大規模な銀山が存在します。この国はドーン・ミーヴァ王国と争いが絶えず、古来から幾度も戦いを行ってきたのですが、ついに決着がつくことはありませんでした。というのは、聖歴330年代にドーン・ミーヴァ王国がロンデニアに征服され、植民地となってしまったからです。
ロンデニアの力を恐れたシュティクラヴル王国は、独占交易権を結んで王国の自治を守ろうとします。しかしロンデニアは、聖歴353年に起こったブルム内海の海戦でソファイアに敗北を喫すると、シュティクラヴルには無断で、この独占交易権をソファイアに譲り渡してしまうのです。
ソファイアは国交締結の儀式という名目で、儀典兵に扮した兵士を国内に入り込ませると、瞬く間に王宮を武力で制圧します。そして、王族と聖職者を人質としてこの国を支配下に置き、20年の間に略奪の限りを尽くすのです。その後、条約通りに王国との交易権はロンデニアに返還されましたが、その時の技術で採掘できる鉱産資源は殆ど取り尽くされ、ソファイア本国に運び込まれておりました。そして何より、シュティクラヴルの国民の意識は、国外勢力への怒りと怨みに染まっており、ロンデニアとの交易も拒絶するようになるのです。
やがて聖歴400年代に入ると、鉱産資源を欲するロンデニアは、支配地であるドーン・ミーヴァ王国が古くからこの国と対立していたことを利用して、原住民同士で争わせてシュティクラヴルを征服しようとします。しかし、この戦いに決着がつくのは、結局のところロンデニア本国が戦力を投入した、聖歴490年代まで待たなければなりませんでした。
こうして、この地はロンデニアの支配下に置かれるようになったのですが、聖歴520年代に入るとロンデニアは国内問題から植民地への影響力が弱まり、植民地総督の専横時代が訪れます。この状態は150年近くものあいだ続き、ロンデニア本国がこれを再び制圧するのは、聖歴670年頃のことになります。その後はロンデニアの植民地として維持され、現在に至っています。
▼C-7
かつてこの一帯は未開地で、幾つかの狩猟民族が定住するだけの、特に利用価値のない場所でした。しかし、聖歴330年代にロンデニアが西部地域に到達し、ドーン・ミーヴァ王国やシュティクラヴル王国と交易を行うようになると、奥地に住むという幾つかの部族がやって来ます。そして、工芸品や金、あるいは幾つかの宝石などを材料に、ロンデニアに取り引きを持ちかけるようになるのです。
聖歴350年代にソファイアがシュティクラヴル王国を制圧すると、その後しばらくの間、この民族は姿をあらわさなくなります。この状況はロンデニアがシュティクラヴルを征服した聖歴490年代まで続きますが、情勢が安定すると再び彼らは現われるようになり、この付近は小さな交易都市が自然と出来上がってゆきました。しかし、そのうちの幾つかの民族については、決して出所を明かそうとはしませんでした。
その後、聖歴520年代に入るとロンデニアは国内問題から植民地への影響力が弱まり、植民地総督の専横時代が訪れます。聖歴550年代に入ると、総督一族はこの地を武力で制圧しますが、その目的は奥地の部族が知る金鉱脈の略奪でした。彼らは繰り返し、南部のキラーラ高地やテティア山脈の奥地に捜索隊を送り込むのですが、結局その努力は徒労に終わります。
鉱脈の探索は、ロンデニア本国が植民地を再制圧する聖歴670年代を過ぎても続きます。そして、聖歴700年代の初頭にはキラーラ高地で鉄の鉱脈が発見され、さらに聖歴730年代になると奥地で石炭も見つかります。現在、麓には幾つもの鉱山町がつくられ、活気と賑わいを見せています。
▼ドレル家の反乱
聖歴520年代に入ると国内問題が発生し、植民地に対するロンデニアの影響力は弱まり、植民地提督であったレヴィ=ドレルによる専横が始まります。その後、ドレルは本国の命令に従わず、帰還命令を尽く無視し続けた挙げ句、聖歴545年になると一方的にベルナデル公国の独立を宣言して、実質的な支配者として君臨するようになるのです。その後、聖歴670年代にロンデニアに再制圧されるまで、一族は150年の長きに渡ってこの地を支配し、贅と暴虐の限りを尽くしました。
本国からの独立を可能としたのは、現地民の協力もあってのことでした。当初、レヴィ=ドレルはドーン・ミーヴァ王国の民を懐柔し、奴隷身分からの解放と現地宗教の容認と引き換えに、ペルソニアに伝わる仮面の技術を提供させたのです。この約束は本国の影響力を退け、独立を宣言する聖歴545年まで守られます。しかし、それからまもなくして、ドーン・ミーヴァの王族は謀略にかけられ、仮面の秘儀を奪われてしまうことになります。こうして仮面使いの技を得たドレル家は、支配下に置いた黒人たちを己の意のままに動く軍勢として操り、本国の勢力と戦い続けたのです。しかし、公国軍は新たに開発された銃器などの兵器に押され、聖歴672年代に降伏することになります。
この時、ドレル家の人々は仮面使いたちを皆殺しにし、所持していた仮面も尽く破壊したといいます。これは古代から伝わる秘儀を本国に渡すまいとしただけでなく、奴隷兵士として従わせていた民を解放することで、少しでも長く混乱をもたらそうとしたのでしょう。その目的は逃亡を果たすためで、一族の中には自害した者もいたようですが、多くはグラン峡谷の奥地へと逃げ落ちたと伝えられています。その行方は杳として知れず、仮面の秘儀が現在も継承されているか定かではありません。
○産物
この地域ではコーヒーやカカオなどの栽培が盛んに行われています。また、ゴム林で採取される天然ゴムの需要は現在も伸び続けており、本国の自動車会社によって植林が行われたりもしています。
内陸にある高地や山地は鉱産資源が豊富で、古くにこの地方で栄えていた王国は、これらをエルモア地方に輸出しておりました。また、この一帯は象牙の輸出でも知られており、サバンナや半乾燥地帯で暮らしていた多くのゾウが、ハンターたちに殺されています。このため、現在は奥地までゆかなければゾウを狩ることは殆ど出来ないようです。
○拡大・開発
▼鉄道敷設
最近の変わった話題としては、ベルナデル準州(C地域)での長距離鉄道の敷設計画があります。これはロンデニア単独ではなく、C-10地域の鉱山開発も含めて、ルワールと共同で進める案も持ち上がっており、多くの利権が絡む大プロジェクトとして注目を集めています。しかし、そのためには原生林を伐採したり、聖地として崇められている場所を破壊する可能性があるため、原住民の激しい反発を受けています。
鉄道の敷設を進めるのは、C-12地域の植民地化にも関連しています。鉱山開発を行なっている場所は起伏に富んだ山地であると同時に、原住民に襲われる可能性が殆どないことから、現在は軍と呼べるほどの兵数を置いておりません。そのため、各国はペルソニア調停会議でここをロンデニアの支配地として認めず、実効支配はしているものの他国の干渉を受ける可能性が残されています。また、鉱山から産出する資源の輸送も含めて、これらの問題を一挙に解決する手段として鉄道は期待されており、一刻も早く事業を進めたい考えでいます。
▼投資熱
鉄道開発に関連して投資熱が高まっており、多くの個人投資家や企業の目がこの地に向いています。こういった中、荒唐無稽な事業を名目に資金を集めようとする山師や、知識のない一般市民を騙そうとする詐欺師が多く現れ、現在は大きな問題となっています。
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自然・要所
○地勢・気候
海岸部は熱帯性気候で高温多湿となり、年間の平均気温は25度を超えます。この付近は熱帯雨林が生い茂っていた場所で、現在も一部には原生林が残っておりますが、多くの土地ではアブラヤシ、カカオ、ゴムといった作物が栽培されています。
内陸の高地は殆どが熱帯性サバンナ気候で、地域によっても異なりますが、だいたい5月〜10月は雨期、11月〜2月は乾期となります。雨期の平均気温は25度ほどになりますが、乾期の頃は30度を超える暑さとなります。
○都市
▼ロンデニオン市/州都(C-6)
ヤルク平原の中央を流れるレムルカ川の流域にあり、美しい放射状の町並みとして知られる港湾都市です。ベルナデル準州で最大の都市であり、交易の拠点として栄えています。ガス灯で彩られる夜の街並みは美しく、海からは街全体が灯台のように輝いて見えます。軍港としても機能しており、海に面する部分は分厚い石壁で守られています。
▼ケクマール市(C-5)
ディンゴル川の河口に建設された軍事都市で、城塞と軍港を備えています。強固な城壁で囲まれた町の中には工場も備えられており、軍艦や大砲といった兵器を製造することが出来ます。ここで建造された船は本国に送られる場合もあります。
▼ツイン・ポート市(C-6)
ラダーム川の両岸に広がる交易都市で、新しく北につくられたポート・ヴィクタル(新市街)という町と、古くからある南のポート・ヴァイタル(旧市街)という町を合わせて、ツイン・ポートと呼ばれています。新市街は碁盤の目のように通りが整然と交差する町で、旧市街はシュティクラヴル王国時代につくられた古い石塔が幾つも突き出しているのが特徴です。北と南では住民層もはっきりと分かれており、北には支配者層となる白人たちが屋敷を構え、南はあまり身分の高くない者たちが住んでいます。
▼ザルサワ市(C-7)
ザムジー川の下流にある河口の港町で、キラーラ高地から産出される鉱産物は1度この港に運ばれ、ここから本国へと送られてゆきます。この町の住宅街は立方体の家屋が密集しており、それらの壁はピンク、イエロー、スカイブルーなど、様々な明るい色で塗られています。また、住宅の屋上部分は繋がっており、第2の道路として機能しています。
▼鉱山町(C-7)
キラーラ高地の北麓には鉱山で働く鉱夫たちの町が幾つもあります。こういった町の場合は、鉱山主や貿易商人たちが暮らしている住宅区、生活雑貨の店や銀行などが立ち並ぶメインストリート、酒場や売春宿が軒を列ねる賑やかな歓楽街、そして流れ者や下層階級の者たちが生活する下町といった区域で構成されています。
ロッサ・タウンやベティスフォードといった大きな鉱山町には、近くの鉱山で掘り出された鉄や石炭が集められ、製錬・加工のための工場なども運営されています。また、最近では鉄道建設の話も持ち上がっているため、こういった大きな町の周辺では土地を買い漁る動きが活発化し、職を求める労働者も集まるようになっています。◇ゴーストタウン
鉱山の中には既に廃坑となったものも存在します。本来、誰もいなくなった廃虚は風にさらされ、あとはただ朽ちてゆくだけとなります。しかし、こういった場所は逃亡中の犯罪者や元奴隷たちが隠れ家に使ったり、現地部族が住処とする場合があります。そのため、時々ですが軍が巡回を行なって、不審な人物が潜んでいないか確認しています。
○要所
▼テティア山脈(C-6/C-11)
1000〜1500mほどの低山が連なる場所ですが、ところどころに2000mを超えるの尖峰が急に顔を覗かせます。南部には大規模な銀鉱脈があるため、古くから争いが絶えなかった地域で、各地に古戦場として知られる場所があります。そういった地域には崩れかけた要塞が残っていたり、原住民の集団埋葬地が発見されたりしています。
現在はロンデニアの鉱山として開発されており、麓には幾つもの鉱山町が形成されています。また、北部ではスズの採掘も開始されることになり、その周辺は新たな賑わいを見せています。
◇輝く迷宮
既に掘り尽くされたテティア山脈の銀山坑跡のことで、安全のために現在は入り口を封鎖されています。しかし、この場所から何者かの声が聞こえてくるといい、逃げ込んだ原住民が密かに住み着いているという噂や、どこかの洞窟と繋がっているという話が出回っています。
▼グラン峡谷(C-10/C-11)
ディンゴル川の急流と険しい崖、そして竜の亜種などの怪物に守られた自然の要害です。冒険家たちはこの難所を乗り越えることを夢見ておりますが、特に谷底に住む変異体の存在は脅威で、いまだ奥地まで辿り着いた者は存在しません。
▼ヒナ山地(C-3/C-5/C-10)
標高1500mほどの山々が連なる山岳地帯で、奥地には最高峰となるヒナ山がそびえています。この山は古の王国に仕えていた巫女が逃れてきた場所で、ヒナというのはその巫女の名だと伝えられています。
昔から金や宝石が発見されていたのですが、これは神からの賜わり物と考えられていたため、あまり積極的な採掘は行なわれておりませんでした。特にヒナ山は特別な場所とされ、ドーン・ミーヴァ王族のみが立ち入ることが出来る不可侵の聖地として、長く禁足地のまま崇められてきたのです。しかし、聖歴330年代にロンデニアの植民地になると、周辺地域の開発が一気に進められ、近年では麓での鉱脈探しが行なわれるようになっています。それに対して被支配層の黒人たちは強く反発しておりますし、支配をまぬがれている奥地の原住民たちの中には、調査隊に直接的な攻撃を加える者も現われています。
◇獣王の聖跡(巨人の足跡/陥没島)
ヒナ山の麓に見られる独特の地形で、大地が突如陥没している場所が10ケ所以上も存在します。白人たちは巨人の足跡や陥没島などと呼んでいますが、周辺に住む原住民たちの間では、神の使いである獣王の聖なる足跡として古くから崇めてられています。
この大穴は平均の深さが100m以上にも達するもので、中には直径・深さともに300mを超すものも見つかっています。幾つかの穴は峡谷で繋がっており、密林の動植物たちとともに奥地への通行を阻んでいます。また、風や鳥たちの運んだ種が芽を出したのか、穴の中にもたくさんの草木が生い茂っており、隔絶された世界で独自の生態系を築いています。不思議なことに、鳥や昆虫以外にも動物たちが住み着いているため、どこかに抜け道があるのではないかと考えられています。
◇聖爪痕(地割れ谷/裂け目)
ヒナ山の周辺に見られる地面の断層のことで、様々な深さの亀裂が各所にあります。これは獣が残した爪痕のようにも見えるため、現地の民の間では聖爪痕(聖獣の爪痕)だと伝えられていますが、一般的には単に地割れ谷や裂け目と呼ばれています。小さなものは幅・深さともに数十cm程度となりますが、通行を阻むほどの幅があるものも珍しくはありません。陥没島を繋ぐ亀裂は深さ100mを超える谷となっており、大亀裂や陥没谷という呼ばれ方をしています。
▼シルバー・コースト(C-6)
ラダーム川やレムルカ川の河口に広がる海岸は、採掘された銀をロンデニアに運ぶための貿易港が古くから栄えており、この一帯はシルバー・コーストと呼ばれるようになりました。現在は銀のみならず、それ以外の鉱産物の輸送や、象牙をはじめとした野生動物の加工品などの取り引きも行なわれてます。
▼ザムジー川(C-7)
C-7地域を流れる川で、季節によって水位が大きく変化するため、それに応じて周辺の景色は一変します。雨期には中洲が沈むほど大量の水が流れ込み、河岸近くで枯れていた草が生きを吹き返して、一面が緑色に覆われます。逆に、乾期には殆ど水が枯れてしまい、川底を歩くことが出来るほどです。
▼大蓮湖(C-7)
ザムジー川の中流域にある、大きな蓮の生えている広い湿地帯のことです。遠目には草に隠れていてわかりませんが、わずかながら伏流水が涌き出ているため、足首ほどの深さまで水がたたえられています。1年を通じて水場として利用できるため、乾期には周辺の動物たちが集まり、身を寄せあって渇きを癒しています。この区域は自然保護区となっていますが、密猟目当てのハンターが頻繁に出没し、植民地政府の頭を悩ませています。
▼プライア保護区(C-7)
内陸のサバンナ地帯では野生動物が生息しており、カバやキリンなどの大型の獣も数多く見られます。しかし、エルモア地方では象牙やサイの角などが珍重されることから、ロンデニア植民地ではこれまで多くの動物が犠牲となっており、一部の動物は奥地へ行かなければ見られない状態に陥っています。そのため、サバンナの奥地にある大蓮湖の付近は保護区になっており、現在では狩猟が禁止されています。しかし、密猟者は後を断たず、周辺の地理に詳しい原住民を雇って監視させるなど、幾つかの対策を取っています。
▼キラーラ高地(C-7/C-12)
ヤルク平原に突き出している低地は殆ど何もない岩山ですが、その背後にある起伏に富んだ山地からは鉄が発見されています。採掘は聖歴700年代の初頭に開始されていますが、さらに730年代になると奥地で豊富な石炭が発見されたことで、この地は資源の供給地として大いに賑わうことになります。現在では10を超える大小の炭田があり、露天掘と坑内掘が半々くらいで採掘されています。
◇奥地
鉱山のさらに奥地の方は、独特の景観を示す無人の地となっています。一帯は標高1000mを超える円筒のような岩が突き出した、100を超えるテーブルマウンテンが点在しています。麓の鉱山地帯の当たりまでは緩斜面なのですが、途中から急に垂直に近い角度で岩壁が突き出しており、オーバーハングとなっている場所も多いため、頂上まで辿り着いた者はおりません。しかし、滝から流れ落ちて来る美しい飛沫や、壁面にへばりつくように生えている草木、そして時おり鳥の大群が上空を覆い、猿などの獣の声も聞こえてくることから、独自の生態系が形成されているものと考えられます。原住民たちはその上に聖獣の王国があると信じており、現在も聖地として崇められています。
▼マハ砂漠/赤の砂漠(C-7/C-12)
マハ砂漠は鉄分を含む赤い砂で覆われているため、赤の砂漠と呼ばれることもあります。周辺の山地も赤茶けた岩肌を見せており、辺りが夕日に包まれる頃には景色は赤一色に染まります。
この砂漠は岩盤の上に出来たものらしく、積もった砂礫の中から幾つもの岩山が突き出ています。砂地に比べると岩影は水が蒸発しにくいため、周辺には植物が根付いています。また、それを食料とする生物が集まってきたり、厳しい日射しをしのぐために岩の隙間に住み着いている動物もおります。このように動植物にとってオアシスのような存在であるため、現地の人々はこの岩石のことを『泉岩』あるいは『森岩』などと呼んでいます。
◇宝石の谷
キラーラ高地の麓の砂漠で、聖歴690年代に宝物が発見されたことがあります。ルビーやエメラルドを豪華にあしらった宝飾品や、見事な細工の銀製品などが埋まっていたため、地下に何らかの遺跡が存在するのではないかと期待されたのですが、かなり深くまで掘り進めても何も出て来ることはありませんでした。しかし、この発見によってキラーラ高地の調査が本格的に行なわれ、ロンデニアは新たな鉄や石炭の供給地を手に入れることになります。
なお、この場所は正確には砂漠ではなく、砂が吹き溜まった峡谷だったようで、他にもこのような大きな亀裂が幾つも地下に存在することが確認されています。これらをロンデニアの人々は『砂谷』と呼んでいますが、新たな発見を夢見て砂を掘る人々の姿を、今でもこの付近で時々見ることができます。
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人物・集団
○組織・集団
▼エミムル族
かつては象使いの一族として一大勢力を誇っていました。しかし、ロンデニアの侵略を受けて支配下に入ることになり、一部の者は現在は軍属となっています。象を巧みに使役し、人間ではとてもできない力仕事で活躍しています。
▼アイボリー・カンパニー
象牙の輸出を行なっている会社ですが、裏では密猟者と取り引きをしていると噂されています。また、傭兵を雇って妨害を行なう現地民を殺害したこともあり、一般市民からの評判は非常に悪い会社です。
○人物
▼ファニール=ヴィスケス総督(白人/男/41歳)
ベルナデル準州(C地域)の植民地総督を務めています。投資によって財を為した人物で、政治家というよりは経営者としての才覚を買われて、総督の地位を与えられました。落ち着いた風貌と目立ちはじめた白髪から、年齢より年嵩に見られることが多いようです。他人に軽く見られることを嫌うプライドの高い男で、丁寧な口調ですが相手を小馬鹿にするような言い回しが目立ちます。
▼ヒューゴ=ヴェイルド(白人/男/29歳)
密猟で稼ぎを得ている凄腕のスナイパーで、指名手配犯として植民地政府から賞金をかけられています。というのは、政府は密猟の監視役として現地民を雇っているのですが、彼はそれらの人間を遊び半分で撃つことがあるためです。あくまでもゲームとして楽しんでいるようで、人間の場合は威力の弱い弾で四肢を狙い撃っており、決して命を取ろうとはしません。しかし、非常に悪質な犯罪であるため、当局はなるべく早期に身柄を確保しようと網を張っています。
▼トレイシー=アメリス(白人/女/33歳)
ペルソニアとの交易で財を成した故ダレン=アメリスの妻で、象牙夫人と呼ばれる名うての商売人です。夫の死後にアメリス貿易社の経営を引き継ぐと、これまでのゴムや農産物の取り引きに加えて、象牙細工や宝飾加工品の輸出を手掛けるようになり、下がりつつあった業績を立て直すことに成功しています。
もともと浪費家で、亡き夫はそれで頭を悩ませていたのですが、金銭に頓着しない性格が功を奏したのかもしれません。思い切った設備投資を行なってこれまでの事業を拡大し、自社船舶での原材料の運搬だけでなく加工まで手掛けるようになったことで、輸送コストの引き下げに成功しています。また、殆ど趣味ではじめた装飾品の分野では、高い給与で現地の職人やデザイナーを雇い上げることで、ペルソニア色の強い独特のデザインを生み出し、他社との差別化に成功しています。しかし、会社を切り盛りするようになっても浪費癖はまったく治らないようで、宣伝活動と称して大きなパーティを開いたり、赤人の美少年をはべらせるなどして優雅な人生を楽しんでいるようです。
▼ルカヤ(フォリア人/女/22歳)
アデン系黒人の祖母を持つ混血児として生まれた女性です。奴隷としての生を受けることはありませんでしたが、下層市民の子として生まれ、貧困の人生を送ることを義務付けられています。また、混血の民としていずれの人種の者からも疎まれ、両親を病で亡くしてからは彼女を守る者もおらず、日々耐え忍ぶ生活を強いられてきました。
そんな彼女の人生でしたが、ある日大きな転機が訪れます。通りを歩いていたところ、偶然に犯罪に巻き込まれてしまったのですが、なぜか犯人の一味と間違えられて指名手配となり、一緒に逃亡せざるを得なくなってしまったのです。彼女をこの災禍に巻き込んだのは男女2人組の強盗でしたが、互いの境遇がよく似ていたためか、ルカヤは逃避行の最中に彼らの仲間になる道を選びます。そして、現在は3人組の強盗として仕事をはじめ、植民地政府から負われる身となっています。彼らは強盗とはいっても庶民の味方であり、金持ちや不正を働く役人からだけ金品を強奪し、時に貧民に稼ぎの一部を分け与えています。もともと生真面目な性格だったルカヤですが、思いのほか現在の生活を気に入っており、このまま3人で旅を続けてゆくのも悪くはないと考えています。
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