特殊物質

導霊物質半霊物質


 

導霊物質


 霊子を伝導させる性質を持ち、導霊時に原子配列など微細な立体構造を変化させる物質のことを、科学魔道時代の人々は導霊物質と呼んでいました。霊的回路は導霊物質を用いて形成されており、これに霊子を通すことで魔道効果を発生させます。


○種類

 導霊物質といっても、普遍的に存在している物質に上述の性質が追加されただけで、その他の物理的特性は通常のものと違いはありません。たとえば、霊子機関に使用されている真金(トゥルーゴールド)も、普通の金と同様の性質を持っております。
 導霊物質には様々な種類のものが存在します。しかし、実際に霊的回路に使用されるものは、加工が容易な素材であったり、本来の性質をその他の機能に組み込む必要があるなど、技術的な理由から種類が限られています。多くの場合は一部の導霊金属と真砂というケイ素の導霊物質が利用されます。


▼導霊金属
 エルモア地方では霊子機関に真実の金と呼ばれる真金を用いていますが、金属の導霊物質には真銀や真鉄など様々なものが存在します。合金にすることで、それぞれの特性を組み合わせて回路を形成する場合もあります。

▼真砂
 ケイ素の導霊物質のことで、霊的回路の基本材質としてよく利用されるものです。

▼異型体
 同種の物質の中にも、導霊時に違う構造変化を見せる異型体が存在しており、変化後の形態によってテトラニウム、ペンタゴニウム、ハニコニウムなどと区別して呼んでいます。


○霊的回路(魔道回路)

 霊子エネルギーを通過させ、特定の効果を生み出すための回路です。回路自体は様々な種類の導霊物質で構成された、複雑な立体魔法陣を組み合わせたものです。回路の形状や大きさは効果によってそれぞれ異なります。


▼霊子の回路利用
 遊離の状態にある霊子は霊的回路を形成できませんが、それ以外の結合状態にあるものは導霊物質と同じような性質を備えています。
 これは純粋な意味での導霊物質ではありませんし、結晶化状態にあっても内部の霊子は半活性化しているため、安定して回路を保持することは出来ません。そのため、霊子による霊的回路を利用する場合には、外部にある霊的回路の作用によって回路を形成するという手間を要します。このような欠点はありますが、霊子を制御する分野ではこの霊的回路が利用される場合があります。


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半霊物質


○基本

 『半霊物質』(スピリチュアル・マター)とは霊子を構成要素とする物質のうち、非常に特殊な形態のものをさします。


▼結合
 エーテル・クラスター(圧縮霊子)は霊子場を持ち、内部に半活性状態の霊子を内包しています。この霊子場は霊子と結合することが可能で、結合状態にある外部の霊子のことを特別に半霊物質と呼びます。
 
◇霊的回路
 霊子が周囲に存在するだけでは、半霊物質が形成されることはありません。霊子場と霊子を結合させるためには、科学魔道、術法、特殊能力、変異現象などによる、霊的回路の発動が必要となります。


▼形態
 半霊物質は霊子場に保持されている幽子情報に応じて、その性質を変化させる機能を持ちます。
 
◇無情報
 何の情報も与えられていない半霊物質は、霊子場と自由結合状態を保ってはいますが、殆ど不可視の気体霊子として周辺に漂うだけとなります。ただし、気体霊子といっても特異な性質を示すもので、特定の範囲内から離れることなく存在しています。

◇情報
 霊子場と結合している霊子に存在を規定する幽子情報が与えられた場合、その情報に応じた形態を取るようになります。この時の霊子は特殊な性質を示し、自然状態で起こる密度、結合状態、活性状態といった要素による変化を無視して、設定された情報に応じた状態と性質を維持します。そのため、取りうる形態の幅は広く、気体霊子、液体霊子、柔質霊子、結晶霊子のいずれの形を取る場合もあります。物理的な影響を受ける半霊物質も存在します。
 視認可能かどうかといった性質も霊子の状態に関係なく設定され、霊子場の情報に応じた姿を取ります。また、精神場を持つ存在と結合した場合は、その意識によって生物のように形態を変化させます。霊魂が歩いているつもりであれば、歩くように手足を動かすことになりますし、感情に応じて表情をつくったりもします。


○種類

 現在、エルモア地方で確認されている半霊物質には以下の種類があります。その多くは霊魂が宿っているものですが、変異現象や錬金術によって無魂の半霊物質が生み出されることもあります。


▼霊体物質
 霊体を形成している状態の半霊物質です。精霊、霊獣といった存在や、科学魔道時代につくられた霊体兵器は、この霊体物質の体を持っています。
 霊子の状態としては気体霊子の形を取っておりますが、肉眼でも視認可能な状態を保ち、霊魂が保持している情報に応じた姿に変わります。この状態の霊子は物理的影響を受けることはありませんが、魔力など霊的エネルギーは効果を及ぼします。


▼霊媒物質
 変異現象の影響を受けて生まれた霊体物質で、霊媒物質もしくは降霊物質と呼ばれています。これは霊的な影響によって生み出された霊子場や、非常に希薄な意識状態にある霊魂と結合している半霊物質で、殆ど無魂に近い状態で存在しています。
 ほぼ消えかかった状態の死者の魂と結合していることが多いため、瘴気属性を持つ割合が高くなります。錬金術師によって得られる霊媒物質が瘴気属性なのもこのためで、無魂の半霊物質を入手しているつもりでも、実際には死者の魂も一緒に集めていることになるわけです。
 霊媒物質には幾つかの特徴があります。たとえば、より強い霊子場を持つ霊魂と接触した場合に、そちらに引き寄せられる性質があります。また、似た性質を持つ霊魂と結合しやすいため、死者の霊魂を呼び寄せやすいようです。このようにして複数の霊魂が集まった場合、互いの霊子場が融合して複合霊を生み出してしまうことがあります。このような霊魂は精神に異常をきたす可能性が高くなりますし、希薄な魂が集まることで再び意識を取り戻すなど、様々な現象を引き起こすことが多いようです。


▼無魂物質
 霊魂を宿していない状態の半霊物質で、何らかの霊的な影響を受けて誕生するものです。エルモア地方ではその殆どが変異現象の産物で、これに意識が宿ることで騒動が引き起こされる場合があります。


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