概要
被災地からの人命救助や誘拐犯からの人質救助など、危機から何者かを救い出すシナリオです。
○目的
このタイプのシナリオの目的はただ1つ、救助する対象を無事に保護し、安全な場所へ連れ出すこととなります。ただし、シナリオとしては単純にピンチに陥れて救助するだけではなく、そこに社会問題や精神的な要因など、何か解決すべき要素を1つ加えるように心がけましょう。たとえば、新しい技術への過信や、手抜き工事にまつわる裏金工作、あるいは探検など開拓することによる弊害といった問題です。その中で、対立する人間たちの精神的交流やバックグラウンドを解き明かす経緯があれば、より物語に深みが増すことでしょう。
○楽しみ
▼スリル
前提として危機に飛び込むことが多くなりますから、スリルを存分に味わうことが出来ます。一瞬の判断が死に繋がる状況や、シナリオクリアに時間制限などを設ければ、よりいっそう緊張感が増すことでしょう。▼アクション
基本的に物理的な脅威を相手とするものですから、被害から逃れるためには走ったり飛び跳ねるなど、何らかの行動を取らなければなりません。▼判断力/駆け引き
敵の制圧下に突入したり、逃走のために最良のルートを見つける必要がある場合には、その場における最良の判断を要求されます。制限された状況の中では、より高度な判断力が求められるでしょう。
障害となる存在が誘拐犯などの人間である場合には、相手との知恵比べや心理的な駆け引きを存分に楽しむことが出来ます。特に、交渉を行わなければならないシナリオでは、1つの判断ミスが展開を大きく変えてしまうこともあるでしょう。
先頭へ
舞台
地域という点については、特に舞台となる場所を選ばないシナリオです。人間がそこに入り込み、騒動や災害が起こる可能性があれば、どこでも救助を要する事件が起こりうるものです。
○野外
事故や犯罪が絡まない状況であれば、地理的な難所や自然条件の厳しい場所が、シナリオの舞台として多く用いられることになるでしょう。もちろん野外といっても、山地、海洋、峡谷、森林、洞窟など、様々な環境があり、どれを選ぶかによってシナリオの内容は大幅に違ってきます。
○都市/街
事件が起こるのは殆ど人間の居住地となりますし、都市の中でも自然現象や人為的なミスなどによるハプニングは起こりうるものです。地震や火事といったアクシデントをはじめとして、老朽化した建物の崩壊や、列車や飛行船による事故など、人間の技術に関するトラブルもシナリオのネタとなります。他にも、下水道を救出ルートとしたり、建物の高低差を利用して脱出ルートを確保するなど、工夫次第では自然環境よりも面白い仕掛けをほどこすことができるでしょう。
○制限
救助シナリオの場合は、舞台の構造そのものが障害の1つであることが多いので、その設定には特に気を配る必要があります。GMは侵入ルートの数、通路の幅、怪物のような危険な存在などはもちろん、それを乗り越えるための手段や障害の難易度などについても、イベントの内容に応じて細かく設定してゆく必要があるでしょう。
なお、こうした制限事項の中には状況に応じて変化するものも考えられます。こういった状況を利用することで、GMはシナリオの展開に変化をもたらしたり、新たなイベントを追加することも可能となります。
先頭へ
シナリオ
○タイプ
▼脱出
自然災害や坑道の落盤といったアクシデントから、自分も含めた仲間たちと脱出するタイプのシナリオです。状況や障害の難易度、手持ちの資源や時間といった要素を変えることによって、様々なシナリオを作成することが出来ます。これは最初から被害に遭遇することが前提ですので、シナリオに参加するための動機は必要ありません。
注意すべきは、プレイヤー達に選択や工夫の余地があるかどうかといった点であり、GMの思惑通りゲームをやらされているように感じると、プレイ自体が苦痛となってしまうこともあります。同時に、失敗した場合の被害の大きさも考えておく必要があり、キャラクターの死などあまり厳しいペナルティになると、なおさら強制されている感が強くなるので注意が必要です。
▼野外救助
山地や海洋での遭難者を捜索・救助したり、崖崩れや雪崩といった自然災害が障害となるシナリオです。舞台よっては危険な怪物に遭遇したり、変異現象によって災害が引き起こされるなどの要員で、救助活動が妨げられるような場合もあるでしょう。
▼火災救助
森林火災や建物火災を取り扱うシナリオで、逃げおくれた人々を救助したり、延焼を防いで周囲への被害を軽減するといったことが目的となります。この場合、助け出すのは人間だけとは限らず、暴れる動物を連れ出したり、大事な物品を持ち出すといったシナリオも考えられるでしょう。
▼人質救出
誘拐犯やテロリストの立てこもり事件など、人質を無事に救助しなければならないシナリオです。単なる人海戦術で解決できるものではありませんし、交渉や潜入など様々な救出方法が考えられるため、プレイヤーに高い判断力が求められることになるでしょう。
▼都市災害
地震や設計ミスによって建物が倒壊したり、狭い場所に子供やペットが入り込むなど、人工物が障害となる救助シナリオです。下水道や屋根といったルートを利用したり、周囲の人間や機械の力を借りなければ解決できないなど、その場所に応じた解決手段を盛り込んでみても面白いでしょう。
▼機械
乗り物の場合は、事故によって陸橋の途中で列車が停車したり、大型の乗用機関が事故によって暴走するなどのアクシデントが考えられます。他にも、工場機械に人が巻き込まれたり、欠陥のある新製品を稼動前に止めるなど、現実に起こった事件を参考にしてシナリオを作成することが出来ます。
先頭へ
その他
○判定
救助シナリオにおいて考えるべきは、それが野外かそれとも人工物の内部を舞台にするのか、ということでしょう。これによって扱うべきキャラクターが自ずと決まりますし、必要とされる能力値や技能も違ってきます。
▼能力値
舞台や条件にもよりますが、だいたいのシナリオでは【敏捷】や【体力】の能力値が重視されるでしょう。また、被災地での捜索のために【感応】や【判断】が必要とされる場合もあります。また、野外での救助活動にはそれなりの知識や経験が必要となるため、船乗りや探検家などの専門家をPCとして選んだ場合は、【記憶】の値が高い方が有利です。
▼技能
状況に応じて様々な技能が考えられますが、救助の舞台となる場所や想定される事故や災害に対する専門知識は、いずれの場合でも必須となるでしょう。たとえば、自然災害の場合は自然環境(専門:記憶+自然知識)や、特殊地理(専門:記憶/感応+範囲情報)などの知識が必要となります。この他、被害者の捜索を行うには《観察力》の技能レベルは高い方がよいでしょうし、実際に救助する際に必要となるロープワークの知識や、《運動技術》《軽業》といった技能も多用される可能性が高いものです。
▼術法
このゲームはPCが比較的死にやすいシステムであることから、術法でPCの能力を補助するのも1つの手段です。それから、通常では不可能なルートからの救出劇や、複雑な思考を要する障害などを仕掛けることが可能となります。
しかし、あまりに便利すぎる手段を最初から持ち合わせていると、工夫する余地がなくなってゲーム的な楽しみが損なわれる可能性があります。逆に術法を頼りにしてシナリオを作成すると、失敗した場合に取り返しがつかなくなることも考えられるでしょう。術法もあった方が複雑な仕掛けをほどこすことができますが、術法1つで簡単にクリアできるシナリオにならないように、また、術法が失敗した時に手詰まりにならないよう、GMは特に注意するべきです。
○物品
野外であればロープやくさびなどの救助用装備はもちろん、救助に時間がかかるようであれば食料や灯火なども必要となってくるでしょう。この他にも、水、布、医薬品などを用意して怪我人の介抱に備えたり、状況に応じて防寒具やゴーグルなどを準備する場合もあるかもしれません。
それから、イベントの内容によっては機械を利用したり、火薬を仕掛けるといった特殊な状況も考えられるでしょう。PCがこういった品を扱う専門分野を習得しているようであれば、それに応じた特別なイベントを用意してみるのも面白いでしょう。
先頭へ