ペルソニア大陸/全体概要

基本情報住民地域・自然産物文化・生活神聖存在


 

基本情報


○概略

 ペルソニア大陸はエルモア地方の遥か南に位置する灼熱の大地です。この土地の原住民には仮面を被る習慣があったため、仮面大陸とも呼ばれてきました。
 この大陸は、かつては黒人や赤人たちが支配する土地でした。しかし、後に中央地方やエルモア地方から入植がはじまり、現在では海岸線付近の殆どの地域が植民地となっています。戦いに破れた原住民たちは奴隷として扱われ、現在でも多くの国家で虐げられる立場にあります。
 気候は我々の世界のアフリカとよく似ており、熱帯雨林や草原、あるいは砂漠が広がっています。植民都市の付近では、綿花やサトウキビなどの商品作物を栽培する大規模な農場が開かれており、被征服民たちが過酷な労働を強いられています。ここで収穫された作物はエルモア地方にも運ばれ、多くの人々の生活を支えています。


○大断崖

 エルモア地方の人々はもとよりペルソニアの原住民たちでさえ、まだこの大陸の北半分までしか足を踏み入れておりません。その理由は『大断崖』もしくは『大断層』と呼ばれる、垂直にそびえる巨大な岩崖の存在にあります。この大陸は東西の端から端まで高さ2km以上の断崖が走っており、それが南方への進出を不可能にしています。不思議なことに、この断層はほぼ同じ緯度の上に存在しています。現在でも断層の向こうに何があるのかは不明ですが、これを越えることに憧れる探検家たちは多く、気球による断層越えの計画などが立てられているようです。


○国家の盛衰

 ペルソニア大陸はエルモア地方より早く大変異現象の被害から回復したようで、奥地の遺跡でその痕跡が幾つも見つかっています。南方の山岳地帯には、現在も未発見のままの遺跡が多く眠っているといわれ、これを目指す探検家たちも少なくはありません。


▼古代ペルソニア
 空白期の頃にあった古い文明やその支配時代を全般にさす言葉としては、『古代ペルソニア』という呼び方をします。

▼始原ペルソニア文明
 南部の未踏地(X地域)には、空白期の頃に優れた建築技術を持つ巨石文明が存在したようです。この文明のことを『始原ペルソニア(文明)』と呼びますが、ペルソニア全土に残る伝承では、その文化圏を支配したという巨大国家を『プシュケシュ王国』という名で伝えているようです。
 プシュケシュ王国の遺跡を発見した者は今のところおりませんが、その周辺(G・H地域)では巨石文明の遺跡が発掘されておりますし、西部や北部でも同じ系統の建築物や文字が発見されています。そのため、プシュケシュ王国が実在したことは間違いないだろうと考えられています。

▼旧王国
 前聖歴の頃には、始原ペルソニアから派生した国家や、新しく興った王国が各地に存在しており、その遺跡も様々な場所で発見されています。一般に、これらの遺跡は南へ進むほど古い時代のものとなることから、ペルソニアの起源は南部にあった始原ペルソニア文明だと考えられています。

▼新国家・集団
 旧来の国家の多くは大陸の沿岸部を中心に独自の発展を遂げ、一部には交易や鉱物資源の採掘によって大きく栄えた地域もあります。しかし、その殆どは聖歴以降にペルソニアへの遠征を開始したラガン帝国や、エルモア地方の国々に侵略され、植民地として支配下に置かれてしまいます。しかし、つい数年前まで独立を維持していた国家も存在しますし、今も中東部(D地域)では幾つかの国家や都市が自治を行なっております。


○侵略

 ペルソニア大陸の存在は古くから知られておりましたが、地理的要因から最初に入植を果たしたのは、中央地方にあったラガン帝国でした。聖歴84年にはじまったラガンの大侵攻に対して、技術や兵力で劣るペルソニアの原住民たちは為す術もなく、北部一帯は瞬く間に植民地として支配されることになります。
 エルモア地方の国家がペルソニアと交易を開始するのは、聖歴200年代に入ってからのことです。そして、200年代後半に入ると、東メルレイン連邦国(現ルワール)がラガンの後ろ楯を得て植民地を獲得し、聖歴300年代にはロンデニアも入植を開始します。それから幾つもの国家・勢力が入り乱れて海上での覇権争いを続けるのですが、大国ラガンのペルソニアでの優位が揺らぐことはありませんでした。
 しかし、聖歴700年に入ってまもなく、この状況に変化があらわれます。聖歴709年のことですが、とある遺跡の中から『冒涜の王』と呼ばれる怪物が発掘されるのです。化石のように眠っていたこの巨大生物は、蜘蛛の胴体にねじれた人間の上半身をくっつけたようなおぞましい姿をしていました。今ではラガン帝国そのものが滅んでしまったため詳しく語ることはできませんが、目覚めた怪物はたった1体でラガンの駐留軍をほぼ壊滅の状態まで陥れ、帝国は多くの植民地を失うことになるのです。
 こうしてペルソニアの原住民は、長きにわたるラガン帝国の支配から解放されることになりました。しかし、これによって人々の不遇な境遇が改善されたわけではありません。弱体化したラガンの隙をついて、カルネア、ロンデニア、エリスファリア、ライヒスデール、ソファイアなどの国家がこぞって入植を開始し、多くの植民地を支配下に置くことになるのです。その後、原住民たちは奴隷組合などのルートを通じて、今まで以上のペースでエルモア地方へと送り込まれ、その忍従の日々は現在も続いています。


○現況

 カルネア、ライヒスデール、エリスファリア、ルワール、ソファイア、ロンデニアの6つの国家で土地を分割しており、それぞれが植民都市をつくっています。ただし、カルネアは内戦に突入したため植民地の支配が甘くなっており、植民地総督の独裁がみられるようになったり、治安が悪化するという事態に陥っています。同様に、ライヒスデールもポラス海峡の通航問題でロンデニアと対立しており、現在は外海への進出が出来ない状態が続いています。そのため、ペルソニア西部にある植民地は殆ど独立公国のような形で維持されており、現在も自治を貫いたままとなっています。
 近年では農場拡大や工場開設に伴い、かつてないほど大量の奴隷狩りが行なわれるようになっています。スレイブマスターという奴隷売買組織の活動が特に活発化しており、大陸の中南部の方でも独自の傭兵隊による過激な侵略が続いています。
 最近の変わった話題としては、ロンデニアの植民地を繋ぐ長距離鉄道の敷設計画に関してです。しかし、そのためには密林を伐採する必要があり、原住民の激しい反発を受けています。


○植民都市

 ペルソニアの植民地には、現地統治の拠点となる植民都市が幾つも置かれています。これらの大半はラガン帝国の支配時代に建設されたもので、都市の基盤となる道路や水道システム、あるいは政府機関や公共施設といった建物は、当時のものをそのまま流用しております。しかし、建物の外観などはエルモア地方の様式に変更された都市も多く、見た目には全く異なる街に生まれ変わっている場合もあります。


▼景色
 古くに侵略された都市は支配国家の色合いが強く出ておりますが、最近になって侵略を受けた地域では、現地の様式の建物が多くを占めています。また、現地民の住宅はペルソニア風を維持している都市も多くありますし、2つの文化が融合した新しい様式が生まれている地域も存在します。

▼商館
 かつてラガン帝国がこの大陸に進出した時代から、各地に貿易の拠点として要塞をかねた商館が幾つも建設されました。同様に後続の入植国家でも商館が重要な役割を果たしており、現在ある植民都市の殆どはこの建物を中心に発展を遂げています。過去に建てられた商館の多くは現在でも残されており、自治体や軍の施設に改装されて利用されています。


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住民


 ペルソニアの原住民は黒人および赤人で、エルモア地方の白人が彼らを支配している状態です。また、ラガン帝国由来の黄人も数多く存在しています。
 エルモア地方では一般に、ペルソニアの住民を『ペルソニアン』(ペルソニア人)と呼んでいます。これは基本的に原住民に対する呼び名ですが、ペルソニア生まれの者に対する蔑称として使われることもあります。


○人種

▼黒人
 ペルソニアで大多数を占める人種は黒人です。これにはペルソニア北中部(B地域)から中部(E地域)の一帯に住んでいたレグラム人系と、西部および南西部(C・H地域)の一帯に住んでいたアデン人系の2つの系統があります。

▼赤人
 古くから北東部(A地域)や中東部(D地域)の一帯を支配してきた赤人民族で、褐色あるいは赤銅色の肌と、赤みがかった髪や瞳を持ちます。エルモア北方に住むレプラッド系赤人と同系統の民族だと考えられていますが、華奢なレプラッド人より全体的に体格がよく、肌や髪の色もやや濃いのが特徴です。

▼黄人
 聖歴に入ってから入植を果たしたラガン帝国由来の黄人で、数多くの黄人民族やその混血が存在します。なお、ラガン帝国が滅んで以来、ペルソニアでの黄人の地位はあまり高くなく、白人には蔑視される傾向にあります。

▼白人
 植民地を持つカルネア、ライヒスデール、エリスファリア、ルワール、ソファイア、ロンデニア出身の白人が主となります。また、この他にもカーカバートの商人の姿はよく見かけられますし、これらの国を経由してペルソニアにやって来る他国人もまれに存在します。

▼混血
 さまざまな混血の民がおりますが、現地民の血が混じっている者は身分制度上も現地民に準じます。なお、身分制度や社会常識といった問題から、混血自体それほど頻繁に起こるわけではありませんし、何種類もの人種の血が混じることは滅多にありません。


○言語

 ペルソニアでは以下のような言語が使われています。


▼エルモア共通語
 植民地の公用語はエルモア共通語となります。エルモア由来の白人はもとより、植民地で暮らす多くの人々はこの言語を話すことが出来ます。

▼ペルソニア語(黒人語)
 ペルソニア大陸の原住民が古くから用いている言葉で、黒人語と呼ぶ場合もあります。これはエルモア地方でいう共通語に相当するものですから、実際は地域によって細部が異なっており、離れた地域間では通じない言葉も多くあります。

▼黄人語
 中央地方を起源とする黄人たちが使う言葉で、ラガン語と呼ばれることもあります。中央地方とは既に交流が閉ざされてしまっておりますが、ペルソニアに住む黄人の間では現在もこの言語が使用されています。なお、これはエルモア地方の言語と共通する部分が非常に多いため、母国語の一種として取り扱います。

▼部族語/地方語
 特定の部族の中には、ペルソニア語とは異なる独自の言語を用いる集団もいます。その殆どは、これまで知られている文化圏からは離れて暮らす奥地の人々であり、探険家などによって偶然発見される例が大半を占めます。これらには文字がない場合もありますし、絵文字や象形文字を用いる部族も多く存在します。また、1つの部族だけでなく、一定の地域で似た言語を用いている場合もあるようです。

▼その他
 これまでの遺跡の発掘調査によって、幾つかの未知の言語の存在が明らかとなっています。また、霊媒師などが祭祀で用いる祝詞なども、言語の1つといってよいでしょう。
 なお、エルモア北方の赤人が用いる赤人語は、ペルソニアでは基本的に使われておりません。この大陸の赤人は、殆どがペルソニア語かエルモア共通語を用います。


○分類・階級

▼人民区分
 植民地政府に登録されている人々には、以下のような法的な立場が与えられます。
 
◇入植移民
 本国生まれの者はもちろん、ペルソニアで生まれた白人移民の子らも、植民地政府に正式に届け出が出されていれば本国籍を貰うことが出来ます。しかし、一般的な感覚としては、本国人よりも下の田舎者と認識されています。

◇原住民
 通常、植民地の先住民は正式な国籍を持たず、外地籍という特殊な法的身分が与えられます。これは奴隷階級として財産登録される者と、市民権を持つ外地市民の2種類に分類されます。外地籍に分類される者は参政権を持ちませんし、公職に就く場合に大きな制限を受けることになります。


▼蔑称
 エルモア地方では一般に、ペルソニアの住民を『ペルソニアン』(ペルソニア人)と呼んでいます。これは基本的に原住民に対する呼び名ですが、ペルソニア生まれの者に対する蔑称として使われることもあります。


▼奴隷
 もとよりエルモア地方で使役されている奴隷の多くは、ペルソニア大陸から連れて来られた黒人や赤人たちです。現在も植民地の農場や鉱山では奴隷が使役され、過酷な労働を追わされています。ペルソニア大陸では奴隷を手に入れやすいため、エルモア地方の奴隷よりも粗末に扱われるのが普通です。


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地域・自然


○区分

 ペルソニア大陸の地域区分は、「地図」の上では以下のように分類されています。なお、『大断崖』より向こう側に到達した者はおらず、その全てが不明の地域となります。


・A地域:北東部
・B地域:北中部
・C地域:西部
・D地域:中東部
・E地域:中部
・F地域:中西部
・G地域:南東部
・H地域:南西部
・X地域:南部(未踏地) 


○地勢・気候

 ペルソニア大陸は、熱帯雨林や草原が広がる1年を通じて湿潤な地域と、乾燥した荒野や砂漠によって占められる地域の2つに大きく分けることが出来ます。


 断層より以北の地域は北部と南部の2つに分けられており、北部は草原や熱帯雨林、南部は広大な砂漠になっています。気候的には、北部地方は亜熱帯から熱帯、南部地方は熱帯に属しています。どちらの地方においても、夜間を除いた気温は、1年を通じて20℃を下回ることはありません。
 北部にはラシャン川やザップ川といった大河が流れており、かつてその周辺には密林が広がっていました。こういった密林の多くは、伐採が始まり大規模な農場が開かれるようになりましたが、奥地はまだ開発の手を逃れており、その詳細はまったく知られておりません。奥地は川も急流で、ちょっと進むと滝に遭遇するので、舟での移動もままなりません。猛獣も多く出現することから、かつて探険に出かけた人のほとんどが逃げ帰るか、2度と帰ることができなくなったかのどちらかです。
 大河の支流域へ向かうと、青々とした草原の広がりを目にすることができます。ここにはペルソニア大陸特有の動物たちが生息しており、独自の生態系をつくりあげています。こういった生物たちは灼熱の太陽から身を守るために夜間に活動することが多く、日中は日陰で過ごしています。この周辺では蚊やイナゴといった虫が大発生することがあります。ユスリカやイナゴは食料にすることができますが、数年周期で大量に発生する時は手におえず、野放し状態になっています。また、まれにイナゴやバッタによって作物が食い尽くされるという、深刻な事態が引き起こされることがあります。
 草原から更に南に突き進むと、少しずつ緑の少ない乾燥した土地に変わってゆきます。ここには乾燥から身を守る仕組みをもった植物たちが生息しており、普通の動物たちの姿はあまり見られなくなります。そして更に南に進むと、ついには砂漠に行き当たることになります。砂漠の南端には大断崖と呼ばれる高さ2km以上にも及ぶ岩壁が大陸を横断しており、その向こう側の土地を見たものは誰もおりません。


○植民地の自然

 ペルソニア北部には熱帯雨林や草原が広がっており、幾つかの植民都市が置かれています。そこから南部へゆくと砂漠地帯となり、未踏地も多くなります。


▼北東部(A地域)
 ペルソニア北東部域は亜熱帯から熱帯に属しています。この地域は海から吹く風によって湿潤な気候となり、気温、雨量ともに安定しています。夜間を除いて、気温は1年を通じて20℃を下回ることはなく、平均気温は25度近くになります。
 もともとこの一帯は熱帯雨林や草原などが広がっていた場所で、野生の動物が多く見られました。しかし、人々の集落が出来始めると、ラシャン川やザップ川といった大河の下流域は、その殆どが農地として開墾されるようになります。河川の上流(D地域)では、まだ未開発の草原や密林が多く存在しますが、こういった場所でも少しずつ木材の伐採や焼き畑による耕作地の拡大が行われ、大規模な農場が開かれるようになっています。


▼北中部(B地域)
 ペルソニア北中部域は、これより東の気候と同じく亜熱帯から熱帯に属しており、海から吹く風によって湿潤な気候となります。この地の北端付近での年間平均気温は25度まで達することはありませんが、南では25度以上になる場所が殆どです。
 この地域の北部はもともと平野が広がっていた地域で、南部から来た黒人たちが河川の流域に農地を開墾したと言われています。しかし、もともと彼らが住んでいたという南部は、まだ草原や熱帯雨林が広がっており、未だ手つかずの大自然が残っています。


▼西部(C地域)
 海岸部は熱帯性気候で高温多湿となり、年間の平均気温は25度を超えます。開墾された平野部では、コーヒーやカカオなどの栽培が行われています。
 内陸の高地は殆どが熱帯性サバンナ気候で、地域によっても異なりますが、だいたい5月〜10月は雨期、11月〜2月は乾期となります。雨期の平均気温は25度ほどになりますが、乾期の頃は30度を超える暑さとなります。この一帯の殆どはサバンナ地帯で、山地に囲まれた一部の乾燥地帯では砂漠が広がっています。


○砂漠

 ペルソニア大陸はほぼ全土に砂漠が広がっており、知られているだけでも6つの大砂漠が存在します。


▼種類
 一般に砂漠という言葉から想像されるのは、見渡す限りに砂が広がる茫漠とした光景でしょう。しかし、実際には「砂砂漠」「岩石砂漠」「 礫砂漠」「土砂漠」などの種類があり、多様な地形を形成しています。これらは砂漠の中で混在しておりますが、緩やかに景色が移行することもあれば、急激に変化を遂げる場所もあります。


▼砂海
 この大陸の砂は非常に粒が細かく、まるで水のようにさらさらとしています。砂砂漠の環境は場所によって極端で、嵐のように風が吹き荒れる地域もあれば、まるで死の世界のように静かな風景に出会うこともあります。変わらないのは一面に砂が広がっているというその1点であり、エルモア地方の人々はその広大さと、風がつくる波のさまを大海原にたとえて『砂海』と呼んでいます。実際、砂の中を泳ぐように移動するトカゲやヘビも存在しますし、事実かどうかはわかりませんが砂漠の民の話によれば、風もないのに砂の波が立つこともあるのだといいます。


▼霊砂
 ペルソニアの砂漠には霊砂と呼ばれる霊子物質が含まれています。これは粉末霊石(霊石のかけら)と言われる青白い粒状の物質ですが、現在のところエネルギー源としては用いられておりません。
 
◇聖砂
 砂漠には聖砂と呼ばれる神聖な砂が含まれています。これは呪装仮面と呼ばれる霊的な力を持つ仮面の材料となるもので、周辺に住む部族の仮面使いがこれを得るために訪れることがあります。
 聖砂の中には必ず霊砂が混じっています。霊砂は青白い粒状の物質なので、通常の砂と見た目で判別することが出来ますが、原住民たちは霊子物質の1種だとは認識しておりません。なお、単に霊砂を含む砂であればよいというわけではなく、その他の条件を満たした砂でなければ呪装仮面の材料には適さないようです。


○変異現象

▼砂雲
 砂雲と呼ばれる、宙を浮遊する砂の塊が有名です。これは本当の雲のように空中を流れており、ときおり砂の雨を降らせることがあります。この砂は湿度が高くなると水分を吸って下に降りてきて、砂霧となって地表近くを覆います。この砂霧は視界を遮って旅人を迷わせることはもとより、水分によって体温をも奪ってゆきます。砂漠に住む部族は砂避けにマントをきっちりと着込み、口覆いと呼ばれる布で顔の下半分を隠して、この砂から身を守っています。
 砂雲は地域によって色が異なっており、それぞれ黄砂、赤砂、白砂、黒砂と呼ばれています。砂雲が嵐に巻かれて地上に落ちたときは、一帯の地面はこのどれか一色に染まってしまいます。


▼星の波/歪みの夜
 これは非常にまれに起こる現象で、大気が震えて星が歪んで見える夜空のことをいいます。主に大断層の付近で見られ、原住民たちには『星の波』という神の奇跡として認識されています。一方、植民地に住むエルモア地方の人々変異現象だと受け止めており、『歪みの夜』と呼んで忌避します。大断層の辺りでは流星が多く観察されることもあり、2つの現象には何か関係があるのではないかと言われています。


▼巨人の足踏み
 地面がときどき盛り上がったり、陥没するような現象が発生することがあります。南部にある大地溝帯や大断崖といったものも、この現象が生み出したのだと考える者もいます。なお、エルモア地方の人々はこれを変異現象と考えていますが、現地人たちは神の怒りだと認識しているようです。


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産物


○全体

 エルモア地方から見てのペルソニア大陸というのは、産業の原材料を確保するための植民地として認識されています。
 ペルソニアから産出される各種の鉱産物は、先進国家の工業を支える重要な資源ですし、繊維産業はこの大陸から輸入する綿花や麻といった植物原材料に多くを頼っています。その他にも、落花生から機械油を得ておりますし、工業機械のベルトをつくるためのゴムも重要です。また、最近ではペルソニアで直接加工して、エルモア地方に製品を輸出する割合も増えています。


 綿、タバコ、サトウキビ、太陽麻、トウモロコシ、アブラヤシ、バナナ、カカオ、コーヒー、天然ゴム、スイカ、メロン、落花生、香辛料、パルプ材、宝石、各種鉱物など


○動植物

▼生物
 エルモア地方にはペルソニアから珍しい動植物が輸入されています。これらは研究者や好事家が取り寄せる場合もあれば、動物園や植物園などに運ばれることもあります。動植物園の多くは公園や広場に敷設される形で設置されており、手頃な鑑賞娯楽として人気を集めています。


▼化石/古代生物
 基本的にエルモア地方では化石の類いが発見されることは殆どないため、古生物学者は化石を求めて奔走し、時にはこれに高額の賞金をかける場合もあります。そんな中、つい数年前にペルソニア大陸の地層から、ゾウに似た生物の化石が数十体も発見され、一部は貴重な研究資料としてエルモア地方に送られています。また、第二の発見を夢見て大陸へと渡る学者も増えているようです。


○硝石

 硝石は家畜の排泄物から抽出する製法も知られていますが、天然産のものを利用するのが一般的です。ペトラーシャをはじめとする大陸中央部の国家では、雷石(サンディ・ロック)と呼ばれる火薬によく似た性質の石が採掘されますので、硝石がなくてもそれほど困るわけではありません。しかし、その他の地域ではあまり雷石が採掘されることは少ないので、火薬を作製するためには硝石が大量に採れるルワール大公国から輸入したり、ペルソニア大陸の硝石をあてにすることになります。なお、ペルソニアからは天然産のものだけでなく、コウモリの糞から抽出した硝石も多く輸出されています。


○鉱産物

 ペルソニアには豊富な鉱産物が存在し、これが侵略の大きな理由になっています。鉱山開発の歴史は長く、古くから大量の鉱石がエルモア地方に輸出されており、既に廃坑となった場所も存在します。こういった場所につくられた鉱山町はゴーストタウンとなっていますが、このような場所に隠れ棲む者もいるようです。


▼利権
 鉱山開発には多くの利権が絡むものです。鉱産物で得られる巨万の富に目がくらみ、植民地提督が本国に叛旗を翻した例もあるほどで、現在もこれに関連して表裏で様々な争いごとが繰り広げられています。

▼山師
 一攫千金を夢見て、鉱脈を発見するためにペルソニアに渡って来る山師も大勢います。こういった鉱石屋と呼ばれる人々の中には、実際に鉱山主となって豊かな人生を送った者も存在します。しかし、夢が実を結んだ人はほんの一握りで、多くの場合は採掘で資産を使い果たし、身1つでエルモア地方に戻る羽目になったり、現地で悲惨な生涯を終える例も少なくはありません。また、実際に富を手にしても身を持ち崩したり、騙されて資産を失う場合や、時には命を奪われるといった悲劇的な結末で終わることもあります。


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文化・生活


 ペルソニア大陸は乾燥しており、人々もそれに適した文化をつくりあげてきました。これらの文化の基盤をつくったのは原住民である黒人や赤人たちですが、ラガン帝国による植民地時代を経て中央地方やマイエル教の影響を受け、さらにエルモア地方の文化がもたらされ、現在ではさまざまな文化が融合しています。
 もっともこれは植民地での事情であり、奥地で暮らす人々は地域独自の文化を持っています。特に、国家と呼べるほどのまとまりを持たず、部族単位で暮らす原住民の文化は非常に独特で、エルモア地方の人々には想像もつかないような風習が存在することもあるようです。


○系統

 エルモア地方の人々はペルソニアという1つのくくりで見てしまいがちですが、実際には地域によって多様な文化が存在します。これらは地形や気候を基準に、平野、草原、森林、乾燥地帯、砂漠、山岳地帯の6つに大きく分けることが出来ます。また、南部(G・H地域)で発見された幾つかの遺跡から、未踏地(X地域)を中心に巨石文明が存在していたと推測されています。


▼平野
 北東部(A地域)や北中部(B地域)の平野では、古くから農耕を基盤とした文化圏が形成されており、後に周辺の漁民、狩猟民、遊牧民などを取り込んで発展を遂げました。中でもA地域は赤人が主要民族であることから、その他の地域とはやや異なる文化的特徴が見られます。
 しかし、これらの地域は早い時期にラガン帝国に支配されたことから、黄人文化の影響を長く受けており、現在の植民地においては完全な独自文化はあまり多く残っておりません。とはいえ、文化というものは気候風土に大きく左右されるものですし、民話伝承、芸術といった精神文化にはペルソニアの特色が強くあらわれています。

▼草原
 狩猟、遊牧を営む部族が昔ながらの生活を営む地域では、独自文化がまだ色濃く残っています。特に顕著なのが聖獣信仰と呼ばれる原始宗教で、聖獣と呼ばれる獣の神を崇めています。野生の動物を生活の糧としながら、自然と寄り添って暮らす彼らの文化においては、この信仰は人生から切り離すことが出来ません。また、彼らにとっては仮面も重要な意味を持ち、トーテム(守護聖獣)を象った仮面を身につけることで、その力を得られるものと考えています。

▼森林
 鬱蒼と茂る奥地の密林で暮らす部族の多くは、狩猟・採取を中心とした原始的な暮らしを営んでいます。彼らは外界から隔絶された環境の中で生きる道を選び、特異な自然環境に適した生活の知恵を身に付けてゆきました。こういった集団には、外敵から身を守るために樹上に家を建てたり、木の蔓を利用して橋や索道を設けるなど、他ではあまり見られない珍しい文化が継承されていることがあります。

▼乾燥地帯
 乾季と雨季とがはっきりと分かれるサバンナや半砂漠地帯での暮らしは過酷で、水をいかに確保するかが非常に重要となります。そのため、小河川や井戸が生活の中心となり、集落の規模も水量に大きく影響されます。また、自然界から得られる資源にも限りがあるため、自然環境や生き物に畏敬の念を抱く信仰が根付いており、非常に物を大切にする文化が継承されています。

▼砂漠
 砂漠における生活は、乾燥地帯よりもさらに厳しいものとなります。オアシスなどの限定された地域で定住生活を営む者もおりますが、多くは移動生活を行なう遊牧民族です。彼らは強い日射しから身を守るために布で皮膚を覆い隠し、草地を求めて長い距離を歩きます。休む時は砂の上に厚いカーペットを敷き、組み立て式のテントで砂や夜の冷えた風から身を守っています。

▼山岳地帯
 山岳地帯の人々は狭い土地を開墾して植物を育てたり、ヤギなどの家畜を放牧して生活の糧を得ています。このような場所に暮らす部族の中には、ラガンなどの侵略から逃れて山地に逃げ込んだ者たちも多くいます。そのため、攻撃に備えて攻めにくい場所を選んで暮らしたり、石壁を積んだ強固な砦を兼ねる家に住んでいる場合があります。こういった住居には、南部の巨石文明に由来する建築様式が見られることもあるため、何らかの文化的交流があったのではないかと推測されています。

▼巨石文明(石造文化)
 
ペルソニア南部(X地域)には高度な巨石文明が存在したと言われています。周辺地域からはその証拠となる巨大な石造建築や金属製品が発見されており、それらの技術から高度な文明を築いていたことが推測できます。未踏地がルーツであるという説の根拠は、ペルソニア東部(D・G地域)のみならず、地理的に離れている南西部(H地域)でも似た様式の遺跡や文字が発見されているためです。なお、仮面文化の発祥もこの地域だと考えられており、巨石文明がペルソニアに与えた文化的役割は、非常に大きいものだと考えられています。


○食事

 主食はトウモロコシをつぶして焼いたパンやオートミール、そしてバナナをつぶして餅のようにしたものがよく食べられています。暑い土地ということで非常に汗をかくので、食事は全体的に塩味をきつくします。これは南へゆくにつれて顕著になります。たとえばスイカやメロンを塩味で煮込んだり、塩漬け肉を食べたりといった具合です。また、この大陸は香辛料が豊富で、たくさんのスパイスを混ぜ合わせて煮込んだスープなどをよく食べます。


▼デザート
 ペルソニアではサトウキビの変種が自生しており、農場で大量に栽培されてエルモア地方に輸出されてゆきます。しかし、原住民はこれを歯磨きがわりに噛む習慣しかなく、また、精製した砂糖を口にする機会もありません。
 子供たちは主にスイカやメロンをおやつ代わりに食べ、蜂蜜をとることもあります。ハチノコの蜂蜜漬けといったものもありますし、ユスリカのダンゴを果物の汁で味つけして食べる場合もあります。

▼飲み物
 ペルソニアに自生するお茶やココアなどが飲まれています。また、珍しいものとしては、ハニービールという蜂蜜を発酵させたお酒も好まれています。この大陸ではコーヒーの木も生えており、最近ではエルモア地方へと輸出されるようにもなりました。しかし、原住民はこれを飲むのではなく、薬として疲れた時に口に含むのが習慣のようです。


○その他

▼蚊・虫
 周辺の自然環境にもよりますが、ペルソニアでは疫病などの被害を防ぐために、蚊帳を吊るして寝る習慣があります。また、虫除けの効果がある化粧を施したり、寝る時に香を焚く文化も存在します。

▼牛
 ペルソニアでは牛は非常に有用な動物で、労働力、食料、皮革以外の用途でも役立っています。たとえば、牛の糞を燃料としたり、泥に混ぜて建物の材料として用いたりします。また、胃の内容物を石鹸としたり、傷口に尿を塗って消毒する地域もあります。

▼香油
 乾燥地帯で特に見られる習慣ですが、肌の乾燥を防ぐためと虫除けなどを兼ねて、植物油と草花の汁を混ぜた香油を体に塗ったりします。

▼彫刻
 特に文字を持たない部族で盛んに行なわれていたことですが、古くから彼らの間には民話や伝承を木彫刻によって受け継ぐ文化がありました。現在ではこれは伝統工芸となっており、数多くのレリーフが飾り物として売られています。


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神聖存在


○系統

 ペルソニア独特の精神文化や信仰には、生活地域の自然環境が大きく関わっています


▼草原:聖獣信仰
 サバンナや平原で暮らす狩猟民族が主に信仰しているのは、聖獣と呼ばれる獣の神です。その中でも特別な信仰の対象となる獣を、トーテム(守護聖獣)と呼ぶこともあります。彼らの中には、生物系や獣化系の術法を使いこなす者もいます。

▼森林:精霊信仰
 密林の奥地などに潜み、森に抱かれて生活する部族の多くは精霊を信仰しています。しかし、エルモア地方の精霊使いとは異なり、祖霊信仰や霊媒といった側面も見られ、独自な信仰形態を保っています。

▼砂漠:天地信仰
 太陽、雨、砂、風などの自然物を崇めています。その中でも天空と大地というのが、彼らの信仰する中心対象となります。彼らに伝わる民族舞踊や音楽の特徴などを合わせて考えると、マイエル教の影響を受けて発展したものと考えられておりますが、実際のところはよくわかっておりません。この文化を受け継いだ部族では占いも盛んで、太陽や星の位置を観察したり、風や砂紋といった自然物の動きを読んで未来を占います。

▼全域:呪紋文化
 顔や体に紋様を描くことで魔除けとしたり、信仰対象から聖なる力を得るというものです。その影響はペルソニア中に見られますが、最も特徴的な例として挙げられるのが仮面文化です。現在でこそペルソニア全体に広まっている仮面ですが、その模様に見られる類似性から、おそらくその発祥は南部の巨石文明だと考えられています。同様の特徴を持つものとして、人々が施す化粧・刺青といったものも、この文化圏のから影響を受けたものだと推測されています。


○仮面

 ペルソニア全体に仮面文化が伝わっており、各部族は様々な模様を施した独自の仮面を継承しています。この大陸がペルソニア大陸(仮面大陸)と呼ばれるようになったのも、この特徴的な仮面の存在によるものです。
 仮面は自らを覆い隠し、災厄や魔性から身を守ってくれるものだと考えられています。また、実用の品としても様々な意味があり、強い太陽の光を遮る目的や、どの部族に属するのかを示していたり、部族の中での地位や身分を表わす役割もあります。大部分の部族では、部族における特殊な地位(族長、聖職者、戦士など)に就く者は、特別な仮面をつけています。
 仮面の起源はおそらく石製のものだったようですが、現在では木製や陶製のものが一般的です。特別な地位に就く者の仮面の中には、金属製のものや宝石で飾られたものも存在します。また、岩塩で出来ていたり水晶を磨いて作った特殊なものも発見されています。


▼仮面文字
 霊的な力を持つ呪装仮面を作製するために使われる、仮面使いと呼ばれる技術者にのみ継承される文字です。古代の神殿や祭壇でも同じ様式の文字が見られるので、始原聖刻語から派生した神聖文字の1種だと考えられています。なお、これは霊的な力を引き出すための模様であり、読解できる言語ではありません。

▼始原聖刻語
 主に南方(G・H地域など)の遺跡の神殿や祭壇などで発見される、神聖文字と考えられている文字です。多くは石壁や石碑に刻まれているため、聖刻語と呼ばれています。これは始原ペルソニア語と同じくプシュケシュ文明(始原ペルソニア)を起源とするようで、仮面文字はこれから派生したものだと推測されています。しかし、仮面文字は読解できる言語ではなく、仮面使いと呼ばれる技術者にのみ継承される文字であるため、現在のところは誰も解読に成功しておりません。


○その他

▼ウィッチドクター(呪術医)
 地域によっては医療と呪術が結びついており、彼らの医学では治すことが出来ない傷病については、まじないによる治療を試みます。この習慣は特に精霊信仰を行なっている部族に多く、霊媒師や薬師を兼ねたウィッチドクターが儀式を執り行ないます。このような文化が広まったのは、術法によって治療を行なう者も存在するためですが、多くの者が神や精霊の力を信じているのは間違いありません。

▼石祭壇/神聖列石
 ペルソニアの各地には環状列石や巨大な丸石、あるいは不思議な石柱が並ぶ場所が存在します。これらは由来不明のものが多く、自然現象によって偶然生み出された岩である可能性もありますが、一般には祭壇として用いられていたものと考えられています。


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