分類概念
アンバランスド・ワールドの世界には、術法と呼ばれる魔法が存在します。この不可思議な力は宗教機関を通じて広まり、現在も社会で大きな役割を果たしています。
○分類
術法は以下のように分類されておりますが、ルールとして意味があるのは術法系統という区分です。
▼術法大系
術法には魔術や武術などと呼ばれる分類概念があり、これを術法大系といいます。術法大系は術法がどういった使われ方をするかで区分されており、本質は同じでありながらそれぞれ異なるイメージで受け取られています。たとえば戦闘法の一種と考えられているものは武術、通常の魔法として使用される場合は魔術、芸術に関連するものは呪芸術などとなります。▼下位区分
術法大系の下には、さらに下位区分という分類法があります。これは情報を扱う術法系統や、宗教組織だけで教える術法といった具合にまとめられています。▼術法系統
術法大系も下位区分も一般的なイメージの問題であり、ルール的な意味はありません。下位区分の下に分類される術法系統からが、ルールとして取り扱われる部分となります。▼術法師
術法を行使できるものは、大雑把に術法師として区分されます。これは分類や系統とは関係なく呼ばれる名前です。
○術法系統
術法はそれぞれ似た効果を表わすものや、術法をかける際に同じようなスタイルをとるものに分けられており、それらは術法系統としてまとめられています。個々の系統を区別して呼ぶ場合には、〜系術法といった具合になります。
▼技能
術法系統は個別の技能として扱われるもので、他の技能と同じようにCPを消費して技能レベルを上昇させることが出来ます。技能の名前は〜系術法という呼び方をします。▼技能分類
技能としての術法系統には、それぞれ術法発動と個別の術が専門分野として含まれています。術法系統には一般分野の判定は存在しないため、術法発動を獲得していなければレベルを上げても意味のないことになります。
○術
それぞれの術法系統には、その技能で使用できる何種類かの術が属しています。この術を発動させることにより、キャラクターは現実に様々な効果を及ぼすことが可能となります。発動スタイルだけを学んでも、個々の術を習得していなければ、実際に術法の発動を行うことは出来ません。
▼専門分野
個別の術は術法系統に含まれる専門分野として扱われます。▼消費CP
術は専門分野の中でも少し特殊な扱いをするもので、習得には[術レベル×1]ポイントのCPが必要となります。
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術法系統
術法は系統ごとに使用する能力値の種類が変わります。
魔術と呼ばれるものは全て【霊力】の値を基準として判定を行いますが、武術は【敏捷】の能力を用います。呪芸術はそれぞれ異なっており、たとえば呪歌系は【感応】、呪舞系や神舞系は【敏捷】、呪画系は【器用】などといった具合になります。使用する能力の種類は、「術法データ/系統分類」にある各系統の説明に書かれています。
○データ形式
個々の術法系統のページには、以下のデータが記されています。
◆術法系統データ
説明 その術法系統がどのように使用されているかについての総合的な説明です。 認識 社会的に正統なものであると認知されているかどうかです。一般術法であれば問題ありませんが、異端とされている場合は社会的に認められておらず、人前で使用した場合は激しく糾弾されたり迫害を受ける可能性もあります。秘匿とされているものは、いずれかの組織や集団で密かに継承されている系統で、一般社会には殆ど知られておりません。 使い手 その系統の使い手がどのように呼ばれているかです。 行使制限 術をかける際に制限となる事項です。ここに書かれている条件を満たさなければ、術を発動することはできません。 習得方法 名称はどのようなルートから教えてもらえるのかを示しています。その後ろにある○や×などの記号は、術の習得制限を示すものです。その組織では、記号で記されているまでの術を保持していることになります。同じ系統の術でも術法協会では×まで、法教会では△までといった差がある場合もあります。 スタイル 術をかけるための方法です。制限がない場合は、プレイヤーが自由に選択することができます。 術データ 個々の術についての解説です。タイプ、距離、持続時間、効果範囲、効果といった要素があります。
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習得条件
術法はそれぞれの機関によって教える種類や条件が異なります。一般に術法を獲得する場合は、何らかの制限を受けるのが普通です。また、いずれの場合にせよ、教えてもらう側はそれなりの信用を得ていなければなりません。
覚えておいて欲しいのは、術法の習得は非常に困難であり、あえてその困難な道に進もうとする者は少数派だということです。そして、習得には様々な代償を要求されるということを忘れないようにして下さい。
○習得制限
術の中には習得を制限されているものがあります。たとえば、一般社会に広めるには不適当な効果をもったり、もはや使用できる人間がいない術なども存在します。これらは、術法データの名称の前についているマークで区別することができます。
◆習得制限
分類 説明 ○ 比較的普及している術であり、その系統を使える組織や団体では、現在でもまず間違いなく利用されています。習得制限に合ってさえいれば、プレイヤーの意志によって自由に習得することができます。 △ 習得には組織の許可などが必要とされる種類のもので、教えてくれないことの方が多いでしょう。すでに失われている可能性も高い術です。プレイヤーはGMが許可すれば習得することができますが、却下された場合は諦めて下さい。ただし、覚えている人に依頼すれば、代償の程度によってはかけてくれることもあるでしょう。 × 通常は組織内の人間でも教えてもらえないもので、選ばれた一握りの人しか使うことができません。すでに失われている可能性の高い術も多く含まれており、依頼をしたとしても使ってもらえるかどうかはわかりません。そもそも民間には伝わっていない術も多く、宗教機関でさえ使い手はなかなか存在しないでしょう。プレイヤーは特別にGMから許可された場合のみ使用することができます。プレイヤーの側から尋ねることをしてもいけません。 ◇ 天使や悪魔といった異界の存在のみが使用する特殊な術です。よほどのことがなければ、人間が使うことはできません。
○術法の有無
▼組織
同じ術法系統でも、組織によっては保持している術の数が異なる場合があります。これについては、個々の術法系統のページにある習得方法という箇所を見て判断して下さい。データには聖母教会などの名称があり、その後ろに記号が書かれています。記号が○となっている場合は習得制限が○の術まで、×となっていれば×までの術を、その組織が保持していることになります。
ただし、教えてくれるかどうかは全く別の話です。習得制限で○がついているものは、基本的な制限(身元や料金など)さえクリアしていれば、GMの許可を得る必要はありません。しかし、それ以外のものは全てGMの決定に従わなければなりません。
▼地域
1つの組織全体で所持している系統は数多く存在していても、地域や国家によっては使い手が存在しない場合が多々あります。近年では科学の発展に伴って、術法の使い手が減少する傾向にあるので、特に科学が発達している国家では、継承している数は非常に少なくなります。
また、術の数は時代とともに増加してきたので、その総数は膨大なものとなっています。近年では縮小傾向にあるとはいえ、現在でも1つの系統を極めている者でさえ殆ど存在しない状態にあります。ですから、系統の使い手が存在していても、習得したい術が現存するとは限りません。使用されなくなった術は失われている可能性さえあります。
それから、術法が有用な特殊技術であることは疑いようのない事実であるため、特定の地域や組織のみで使用されている術は、その集団や地域全体が外部への流出を好ましく思わない傾向にあります。このため、そのような系統の術はGMの判断で習得を制限しても構いません。
○制限/ルート
これらの制限については、以下のページに詳しく書かれています。そのシナリオを遊ぶ上で、GMがどうしても必要だと思わない限りは、基本的に術法協会と宗教機関のみを習得可能なルートとして構いません。
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術の習得
○基本
▼習得機会
術の習得を試みることが出来るのはキャラクターの作成時か、セッションとセッションの合間に行う成長処理の機会に限られます。▼術法発動
個別の術を身につけるためには、まず発動を行うための基本技術として、〈術法発動〉の専門分野を習得していなければなりません。これを習得するためには3CPが必要となります。
○消費CP
▼術
個々の術を習得する場合は、[術レベル×1]ポイントのCPを消費する必要があります。▼制限
術を習得する上で消費CPに制限を設けたい場合、GMは術の合計レベルに上限を設定することが出来ます。目安としては、習得できる術の合計レベルを[初期CP÷5]までにすればよいでしょう。たとえば、初期CPが75ポイントの場合、術レベルの合計は15レベルが上限ということになります。
○習得期間
術の習得は非常に時間がかかるもので、系統によらず簡単に身につけられるものではありません。なお、教授する側は付きっきりで教えるわけではなく、期間の大半は独自に反復練習を行うことになります。
▼集中段階1
通常と殆ど変わらない生活を送りながら、余暇の時間を練習に費やす場合は、[術レベル×4]週間ほどで習得が可能となります。▼集中段階2
生活の一部を犠牲にする場合は、[術レベル×3]週間ほどで習得が可能となります。▼集中段階3
生活の半分を犠牲にする場合は、[術レベル×2]週間ほどで習得が可能となります。▼集中段階4
全ての労力を術の習得だけに費やした場合、[術レベル×1]週間まで時間を短縮することが出来ます。
○術の教授
▼魔術学
術法を教える側は、基本的に《術法知識》の技能に含まれる〈魔術学〉という専門分野を身につけていなければなりません。ただし、〈魔術学〉を覚えていたからといって、自由に術を教授してよいというわけではありません。組織や集団で術を教授している場合は、その集団の許可が必要となります。制限はそれぞれの組織によって異なります。
▼技能なし
〈魔術学〉の専門分野がなくても、身振り手振りで術を教えることは可能です。しかし、その場合は通常の2倍以上の時間を要します。書物などからも術を身につけることが出来ますが、間に人を介さない場合は通常の5倍以上の時間がかかってしまいます。
また、〈魔術学〉なしで慣習的に伝えられている術は、発動に不要な要素が付加されていることもあります。たとえば、悪魔を呼び出すのに生贄を捧げるという言い伝えがありますが、これらには実効性は全くありません。にもかかわらず、術を行使する側はそれなしでは発動できないと思いこみ、何時間も儀式を行ったりする場合もあるわけです。
〈魔術学〉なしでの術の教授は選択ルールとなります。教授する側とされる側のどちらの立場であっても、GMの許可が必要です。
○発動スタイル
術法を使用するためには、精神を集中する過程が非常に重要となります。術法師たちはこの集中法を、術法を使用する時のスタイルとして選択しなければなりません。
術法のスタイルは、術法系統や教える組織などによって異なります。呪文を詠唱する者もいれば、単に念をこらす者もいます。複雑な身ぶりをする場合もあれば、手で印を結ぶということもあります。様々な型を複合する人もいますし、宗教組織の聖印のように何かの物品を用いる場合もあります。
▼種類
発動スタイルは大きく分けて、精神集中と補助動作の2種類に分類されます。
◇基本条件
術法を発動させるためには、スタイルによらず必ず精神を集中しなければなりません。精神集中を妨害されると術法は発動できません。◇スタイル/精神集中
念を凝らすなど精神集中を主体とするスタイルです。念を凝らす、祈りを捧げる、凝視、手をかざす、といったものがこれに含まれます。◇スタイル/補助動作
身振りや呪文など、明確な物理的変化を交えたスタイルです。身振り手振り、呪言(聖言、竜語など)、印を結ぶ、宙に文字や紋様を書く、といった方法があります。補助動作を組み込んだスタイルの場合、ある程度の複雑な身振りや詠唱が必要とされます。単音節の言葉や指を振っただけでは発動の補助とはならず、精神集中のみの場合と同等に扱われます。これらの動作を行なった場合、周囲はそれを確実に認識することが出来ます。ただし、それが術法の発動準備であるかどうかは、知識のない者には区別がつきません。
▼制限
◇妨害
特定のスタイルを封じられた場合には、術法を使用することができなくなります。たとえば呪文を詠唱するというスタイルの場合、声が出なくなったり静寂をもたらす術をかけられた時には、術法を発動させることができません。このように術法のスタイルというものは、相手に知られた時には弱点となることもあります。◇準備時間
アクションシーンで術法を発動させる場合は、その準備のために精神集中を行う必要があるため、フルアクションとして扱われます。また、精神集中のみを発動スタイルとした場合は、行動力の大きさにかかわらず、自動的にラウンドの最後に行動することになります。
▼例外
◇武闘系
武闘系の術法系統のみ、発動は例外的にマルチアクションとして扱われます。◇呪芸術
呪芸術に含まれる術法系統のうち、呪歌系、呪舞系、神舞系の3系統については、準備時間の取り扱いが通常とは異なります。これらの発動スタイルは補助動作となっていますが、ラウンドの最後に発動判定を行うことになります。
▼習得
◇選択
これらの型は術法データの習得条件、および個々の術法系統の説明に詳しく書いてありますので、そちらの方を参照して下さい。説明に何も書かれていなかったり自由となっている場合は、スタイルや道具は自由に設定してもらって構いません。◇変化
教えられた時に決まったスタイルがあった場合でも、長い間に少しずつアレンジして、独自の方法を身につけることもあります。このように、自分のキャラクターに合ったスタイルを追求してみるのもよいでしょう。ただし、ゲームの中では1度決めたスタイルを大きく変更することは出来ず、GMが認めた時のみ少しずつ変化を加えることが可能となります。
また、GMが許可した場合は、既に習得しているスタイルを変化するだけでなく、同時に複数のスタイルを専門分野として習得しても構いません。この場合も通常と同じように、3CPを消費する必要があります。◇習得時の制限
補助動作を交えた発動スタイルを選択した場合、スタイルが大きく異なる相手から術を教授してもらうことは出来ません。精神集中のみの場合は、他の発動スタイルの者から術を教授してもらうことも可能ですが、習得には通常の倍の時間を費やすことになります。
○記入と計算
術を獲得したら、個々の名称やデータを術法シートに記入して下さい。術法シートはデータパート1の「シート類」のところにあります。
▼術法系統
術法系統とある下の欄には技能名(〜系術法)を、レベルは習得した技能レベル分を、能力値はデータに記されている名称を書き入れます。判定値の欄は、基本判定値(=能力値+技能レベル)を記入して下さい。なお、術法の判定に用いる能力値は、データで指定されている1種類だけとなります。
専門分野/スタイルの欄には、専門分野の術法発動に関する項目(発動スタイル)を記入します。発動スタイルには様々な種類がありますが、術法データで指定されている系統の場合は、それをシートにそのまま書き写して下さい。そうでない場合は、自分が選択したスタイルを記入することになります。▼術
術と書かれている下は、術名称、術法系統、レベルを書き入れる欄となります。まず、上半分は系統とレベルを書く場所で、スラッシュ(/)の前には術法系統の名称を、後ろ側には術のレベルを記入して下さい。下半分の空白は習得した術の名称を書き入れます。▼データ
データと書かれた欄には、個別の術の要素をそれぞれ書き写して下さい。▼術法変化技能
習得した補助技能がある場合、技能名称の前にある□を塗りつぶして区別して下さい。▼消費CP
技能レベルの上昇と専門分野である術法発動の習得に費やした分、それから術および補助技能の習得にかかったCPを計算し、その合計を初期CPから引いて下さい。
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