|
|
|
シナリオの途中で、PCは世界の禁忌や怪物といった存在に遭遇します。その時は正気度の値を基準とした正気度判定を行わなければならず、結果によっては狂気に陥る場合があります。
■ 基本 ■ |
▼最大値
キャラクター作成時における正気度の最大値は[自我+5]となります。
▼現在値の変動
正気度は恐怖などの要因によって減少する場合があり、現在値は最大値〜0までの範囲で変動します。
▼上限値の変動
キャラクター作成時における正気度の上限値は[自我+10]ですが、この数値は探索者が狂気に陥ったりすることで、減少する可能性があります。
正気度の最大値は、上限値より大きくなることはありません。ですから、正気度の上限値が最大値(通常は自我+5)を下回った場合は、最大値を上限値と同じ値に設定し直す必要があります。
■ 正気度判定 ■ |
▼条件
正気度判定は精神にショックを与えるような何かに遭遇した時に行います。短時間のあいだに同じ恐怖対象に何度も遭遇したり、1度に何体もの怪物に出会った時は、正気度判定を1度行うだけで済みます。しかし、ある程度の時間を置いて再び同じ対象に遭遇した場合は、改めて判定を行う必要があります。
▼判定方法
これはその時点の正気度を基準に1D20で判定を行い、ダイス目が正気度以下であれば成功となります。
▼減少
正気度の現在値は、正気度判定の結果によって幾らか変動する可能性があります。そして、それ以降に正気度判定を行う際には、変動後の値を基準として判定を行わなければなりません。基本的に、減少した分の正気度がシナリオの途中で回復することはありませんが、ゲーム終了後に幾らか回復する可能性があります。
■ 正気度ダメージ ■ |
正気度に与える影響の大きさは、正気度ダメージと呼ばれる数値で表現されます。何らかの恐怖に遭遇した時には、正気度ダメージの分だけ現在値が減少する可能性があります。
▼データ表記
正気度ダメージの基準値は怪物や怪奇現象ごとに設定されています。これは2/1という具合に表記されており、左が正気度判定に失敗した場合に減少する数値、右側は成功した場合の数値となります。
▼全体基準
恐怖対象や衝撃的事実の内容と正気度ダメージの関係は以下のようになっています。
数値 | 目安 |
---|---|
0 |
不安をもたらす程度の恐怖。行動には殆ど影響を及ぼさない。 |
1 |
軽い混乱や不快感を与える恐怖。キャラクターの行動にわずかな影響を及ぼす可能性がある。 |
2 |
激しい驚きや強い不快感をもたらす恐怖。驚きのあまり、どのように行動してよいかわからなくなる可能性がある。 |
3 |
おぞましい存在との遭遇によってもたらされる、非常に大きな混乱。パニックによって行動を止めてしまう可能性もある。 |
4 |
神性の生き物や異界の生物など、想像を絶する存在との遭遇によってもたらされる大きなショック。即座に長期的症状に陥る可能性も高い。 |
5〜7 |
小神や強大な怪物との遭遇や、宇宙的な神秘体験などによってもたらされる極限の恐怖。人間の精神では耐えられないほどの衝撃。 |
8〜10 |
超越者や神などとの遭遇によってもたらされる、人類には想像の及ばない宇宙的恐怖。 |
▼具体例
具体的な恐怖の例とダメージは以下の通りです。
数値 | 目安 |
---|---|
0/0 |
小さな動揺や不安を与える程度の軽い恐怖 |
1/0 |
殺害された人間の死体や切断された体の一部を見る |
2/0 |
激しく損傷した人間の死体に遭遇する |
2/1 |
恐ろしい魔道書の中身を理解する |
3/1 |
見た目が醜悪な怪物を目撃する |
3/2 |
きわめて醜怪な怪物を目撃する |
4/2 |
精神に異常をきたすほどの大きなショックを受ける |
▼特殊な結果
◇決定的成功
正気度判定で決定的成功が出た場合、正気度ダメージは通常の成功時より1小さくなります。
◇致命的失敗
正気度判定で致命的失敗が出た場合、正気度ダメージは通常の失敗時より1大きくなります。
▼異なる刺激
接触や包囲など異なる刺激を受けた場合、基準のものより正気度ダメージを大きくしても構いません。また、恐ろしい怪物でも一部しか見えない場合には、ダメージを減少させるなどの調整を行って下さい。
■ ショックダメージ ■ |
恐怖対象に遭遇した時は、それがPCの精神にどれだけの影響を与えるかを判断しなければなりません。その基準となる数値がショックダメージで、この値が大きくなるほど精神に強い衝撃を受けることになります。
▼正気度判定の結果
ショックダメージは正気度判定に失敗した場合にのみ適用されるもので、正気度判定に成功している場合は、正気度が減少してもショックダメージを受けることはありません。この場合は全く影響が無かったということになります。
▼ダメージの決定
ショックダメージは、その時に受けた正気度ダメージの数だけD6を振って決定します。
正気度ダメージが0の場合は、ショックダメージも0として扱います。ただし、0ダメージは無影響とは区別されますので注意して下さい。
▼霊能力による影響
霊能力などによって正気度を消費した場合は、ショックダメージを受けることはありません。
■ 恐怖への慣れ ■ |
1時間、あるいは1日など、一定の期間のうちに同じ恐怖にさらされた場合、刺激になれてしまうことがあります。どのくらいの期間が適切かは、シナリオや状況に応じて任意に決定して下さい。
この場合、1回遭遇する毎に正気度ダメージを1点減らすなど、キーパーの判断によって与える正気度ダメージを緩和しても構いません。何度も遭遇して十分に慣れたと考えられる場合は、0ダメージとしてもよいでしょう。
▼正気度判定
正気度ダメージが0でも影響を受ける可能性はあるので、特定の刺激にある程度慣れたと考えられる場合でも、正気度判定は行わなければなりません。
▼異なる刺激
特定の恐怖対象に慣れた後でも、接触などの異なる刺激が与えられた場合は、別の恐怖として取り扱っても構いません。
▼致命的失敗
恐怖に馴化した場合でも、致命的失敗が出た時に限っては、最低でも1ポイントの正気度ダメージを受けることになります。
▼時間の経過
恐怖に慣れてから十分に時間が経過した場合は、また新たに恐怖心が蘇るものとして下さい。別のシナリオで同じ恐怖対象に遭遇した場合、再び最初と同じ基準で正気度判定を行うことになります。
|
■ 基本 ■ |
一時的症状というのは、正気度判定に失敗した時に陥る、短期的な精神状態をあらわすものです。
▼被害段階
被害段階には動揺状態、恐慌状態、硬直状態の3段階があり、後ろのものほど被害が大きくなります。被害段階は1回の判定で受けるショックダメージの大小によって決まるもので、いきなり硬直状態に陥る場合もあります。ショックダメージと被害段階の関係は、以下のようになります。
段階 | 状態 |
|
---|---|---|
1 | 動揺状態 |
ショックダメージが【自我】以下だった場合 |
2 | 恐慌状態 |
ショックダメージが【自我】の値を超えた場合 |
3 | 硬直状態 |
ショックダメージが正気度の最大値を超えた場合 |
▼影響の重複
既に一時的影響に置かれているPCが、さらにショックダメージを受けた場合は、最も重い症状を適用して下さい。
▼状況による省略
通常シーンに限られますが、影響があまり大きくない時や、特に危険に陥るような状況ではない場合は、症状を細かく定めなくても構いません。具体的にどのような状態になるのかは、キーパーが自由に決定して下さい。
■ 基本症状 ■ |
一時的症状に陥ったキャラクターは、被害段階によらず以下のような共通の影響を受けることになります。
▼遭遇ラウンド
恐怖対象を認識したラウンドは、移動や能動行動を試みることが出来なくなります。これはショックダメージが0の場合でも起こるので注意して下さい。
▼注意力
一時的症状のあいだは、ショックを与えた対象に意識が集中したり、逆に対象から目を背けようとすることによって、周囲への注意力が薄れることになります。このため、死角での出来事には殆ど気付かないものとして、キーパーの判断で〈聞き耳〉や〈観察力〉といった判定を却下することが出来ます。
▼助力
この間は状況を正確に把握するのが困難だったり、自分のことだけで精一杯となる可能性があるため、キーパーの判断で他人への助力を却下しても構いません。これには周囲に的確な指示を出したり、逃走時に他人の手を引くといった行動も含まれます。どのような助力までが認められるかは、状況や被害段階に応じて決定して下さい。
▼その他
一時的症状の影響下にある間は、普段は何気なく行っている事でも、手を滑らせるなどして失敗してしまう可能性があります。このためキーパーが必要と考えれば、車のキーを差し込んだり懐から素早く物を取り出すといった行動に対しても、能力判定を要求して構いません。この他にも、逃げる時に障害物や悪路で転倒してしまったり、前の人の足を踏んでしまうなどのアクシデントも起こりうるでしょう。
判定に失敗した場合は、時間にして1ラウンド程度のペナルティを与えて下さい。ただし、細かい事柄にいちいち判定を要求するのは、プレイヤーをいらつかせるだけとなります。このような判定は、緊迫した場面で1〜2度行わせるぐらいが適当でしょう。
■ 段階別の症状 ■ |
被害段階に応じて、以下のような症状があらわれます。
▼動揺状態
PCは軽いショックを受けて狼狽している状態です。症状が継続している間は、焦りで判断力や思考力が鈍り、普段と同じように行動しようとしても、なかなかうまくゆきません。また、動揺のあまりヒステリックな話し方になったり、その人間の本音や本性が垣間見える場合もあるでしょう。
◇行動制限:専門技能/特殊技能
この間は細かな作業を行ったり、落ち着いて思索することは困難となります。このため、キーパーが特別に認めない限り、専門技能および特殊技能による判定は自動的に失敗したものとして扱われます。たとえば、車の操作を間違えて発進できなかったり、質問にまったく違った答えを返すといった具合です。ただし、本人は出来るつもりでいるので、普段と全く同じように行動しようとするでしょう。
▼恐慌状態
恐慌状態に置かれたPCは慌てふためき、正確な判断を行うことが出来なくなります。混乱のあまり状況に応じた単純な行動しか取れなくなり、意思疎通もままなりません。どのような態度を示すのかは、キーパーが個々の状況に合わせて描写して下さい。場合によっては悲鳴を上げ続けたり、床にへたりこんだりすることもあるでしょう。
◇行動制限:専門技能/特殊技能、能動行動
この状態に陥った場合は、キーパーが特別に認めない限り、専門技能および特殊技能による判定は自動的に失敗となります。また、自発的な判断を行うことが出来ないため、能動行動を試みることも出来ません。ただし、危険を逃れるための行動(回避、逃亡、潜伏など)を行うことは可能です。
▼硬直状態
PCの頭の中は混乱の極みに達し、完全なパニック状態に陥ります。外部から何も働きかけがなければ、この間は半ば硬直した状態のままとなります。たとえば、呆然と頭を抱えたまま震えていたり、ただ目を見開いて立ちつくしたり、奇声を発しながら後ずさるといった具合です。
◇行動制限:専門技能/特殊技能、能動行動、移動(助力を要する)
この状態に陥った場合は、キーパーが特別に認めない限り、専門技能および特殊技能による判定は自動的に失敗となります。また、自発的な判断を行うことが出来ないため、能動行動を試みることも出来ません。ただし、危険に対応するための受動行動は自動的に試みます。攻撃を受けた時は生存本能に従い、たとえ腰が抜けたままでも咄嗟に回避を行うことでしょう。
それから、この間は体が思うように動かないため、自分の判断で恐怖対象から逃げ出したり、相手の攻撃範囲から離脱することも不可能となります。他のPCに促されればそれに従う可能性はありますが、その反応は非常に鈍いもので、アクションシーンでの移動力は−10となります。
▼半NPC化
一時的症状があらわれている間、PCは半ばNPCのように扱われます。プレイヤーは許される範囲でPCの行動を選択することが出来ますが、それ以外の部分はキーパーの指示に従ってPCを行動させなければなりません。ただし、生贄判定とシナリオアクションはプレイヤーの意思で行うことが可能です。
■ 継続期間 ■ |
一時的症状が継続する期間は、被害段階とショックダメージの大小に応じて決まります。
▼継続期間
0ダメージ以上のショックを受けた場合、遭遇ラウンド以降も症状が継続します。追加される継続時間は[ショックダメージ×被害段階]ラウンドです。
◇動揺状態:[ショックダメージ×1]ラウンド
恐慌状態:[ショックダメージ×2]ラウンド
硬直状態:[ショックダメージ×3]ラウンド
▼自動的回復
継続時間が完全に過ぎれば症状は自動的に回復し、次のラウンドからは自らの判断で行動できるようになります。なお、キーパーが認めるのであれば、恐怖対象が目の前から消えてしばらく経った時点で、継続時間が過ぎたものとして扱っても構いません。
◇回復直後の反応
アクションシーンでは、回復直後のラウンドにおける行動は、周辺状況の確認のために費やさなければなりません。
■ 回復判定 ■ |
継続期間が過ぎる前に一時的症状を改善するためには、回復判定に成功する必要があります。
▼判定方法
回復判定の基準値はその時点の正気度で、通常と同じように1D20で判定を行います。なお、回復判定に失敗しても正気度が減少することはありません。
▼判定間隔
◇規定ラウンド
通常、回復判定は[被害段階×1]ラウンドが過ぎる毎に試みることが出来ます。つまり、動揺状態は1ラウンド、恐慌状態は2ラウンド、硬直状態は3ラウンド毎に判定を行えることになります。
最初に回復判定を試みるのは、遭遇ラウンドから[被害段階×1]ラウンドが過ぎた後です。それで症状が回復しなかった場合は、次に同じ時間が過ぎた時点で判定を行います。
◇特殊な条件
規定ラウンドの他にも、相手の攻撃や痛み、新たなる精神的ショック、仲間の叱咤など、外部から何らかの影響を受けた時に、キーパーの判断で判定を認めてあげて構いません。また、相手への攻撃が有効であることを認識するなど、恐怖対象が克服できる困難であることを確認できた時点で、回復判定を行わせてもよいでしょう。
▼処理のタイミング
アクションシーンでは、準備パートで回復判定を行うことになります。通常シーンの場合は、キーパーが任意に判定の機会を与えて構いません。
▼回復の度合い
ショックダメージによる一時的症状は、回復判定に成功すれば改善されます。回復後は通常と全く同じように、自らの判断で行動できるようになります。ただし、致命的失敗を出した場合は、継続期間が終わるまで回復判定を試みることが出来なくなってしまいます。
◇回復直後の反応
アクションシーンの場合、回復直後の行動は周辺状況の確認のために費やさなければなりません。
|
正気度が失われてゆくと、PCの精神は徐々に狂気へと近づいてゆきます。これには絶望状態、発狂状態、精神崩壊の3つの段階があります。
■ 絶望状態 ■ |
PCの正気度が0になるか、1度に正気度の上限値を超えるショックダメージを受けたキャラクターは、即座に絶望状態に陥ることになります。絶望状態にあるキャラクターは全くの無能となってしまいます。
▼継続期間
精神科医などの治療によって回復するまで、この効果は延々と続くことになります。
▼NPC化
この間、PCはプレイヤーのもとから離れ、NPCとしてキーパーの管轄下に置かれることになります。
▼症状
絶望状態に陥ったキャラクターは、狂気の世界を受け入れつつあります。彼らは恐怖対象から逃れることを完全に諦め、その場にとどまったままで狂気と現実の狭間を彷徨い続けます。
◇行動
具体的にどのような態度を取るかは、キーパーが自由に決定して下さい。たとえば、薄ら笑いを浮かべたまま立ちつくしたり、赤子のような声を出しながら延々とその場にへたり込んだり、恐怖対象の周囲をはしゃぎながら駆け回る、といった具合です。
◇移動
他のPCが無理やり引っぱるなどすれば、どうにか移動させられる可能性はあります。ただし、その反応は非常に鈍いもので、アクションシーンでの移動力は−10となります。
▼正気度の上限値
絶望状態に1回陥る毎に、正気度の上限値は1ポイントずつ下がってゆきます。
■ 発狂状態 ■ |
絶望状態に陥ったキャラクターが更なる恐怖に遭遇して、正気度判定に失敗した場合は、発狂判定を行う必要があります。
▼発狂判定
発狂判定は正気度の最大値を基準として行うもので、その時に受けた正気度ダメージをマイナス修正として加える必要があります。判定に成功した場合、症状は現状維持のままですが、失敗した場合は即座に発狂状態へと陥ります。
▼症状
症状はキーパーが状況に応じて決定して下さい。もしも迷うようであれば、狂気表に従って1D20でランダムに決定することも出来ます。
▼継続期間
精神科医などの治療によって回復するまで、この効果は延々と続くことになります。
▼後遺症
治療によって症状が回復したとしても、狂気はPCの精神に深く刻み込まれたままとなります。PCを発狂状態に陥れたものと同じ体験や、似たような恐怖対象に遭遇した場合は、その原因が取り除かれるまでの間、恐怖によって影響を受ける全ての判定に−4修正が与えられます。
■ 精神崩壊 ■ |
発狂判定で致命的失敗を出したキャラクターは、精神崩壊の状態へと陥ることになります。
▼症状
精神崩壊は殆ど回復する見込みのない症状であり、正気度は0で固定されたままとなります。このような人間はもはや恐怖することはありませんが、その精神は完全に狂気に侵されており、常人とはどこか違っています。
精神崩壊の症状はキーパーが自由に決めて下さい。彼らは表向きは普通の人間と区別がつかない場合もありますが、狂信者であったり想像もつかない妄想に取り憑かれていたりします。
|
■ 基本 ■ |
恐怖による正気度ダメージを一時的に封印することで、発狂するまでの時間を引き延ばすことが可能となります。
▼選択ルール
封印は選択ルールとなりますので、使用するかどうかはキーパーの判断に任されます。単発のセッションでは封印することで緊迫感がなくなると感じる場合もありますし、連続したキャンペーンシナリオや恐怖対象が頻繁に出現するセッションでは封印ルールが役に立つ可能性が高くなります。キーパーはどのようなシナリオになるのかを想定して、このルールを導入するかどうかを決めるとよいでしょう。
▼誤認
封印は恐怖対象を正しく認識できなかったことによって為されるものです。どのように認識したのかは、キーパーとプレイヤーの相談によって決めて下さい。
▼封印のタイミング
封印はプレイヤーの判断で自由に行うことが出来ますが、封印するかどうかの選択は正気度判定に失敗した直後にしなければなりません。既にショックダメージを決定してしまった場合は、封印を行うことは出来なくなります。
▼認識判定
封印を行う場合は、【知力】を基準とした認識判定に失敗しなければなりません。判定に成功してしまった場合には、恐怖の対象を正しく認識できたことになり、正気度ダメージを封印することは出来なくなります。
▼記録内容
封印対象は同じ傾向の恐怖対象(死体、心霊、怪奇現象など)ごとに別個に扱われることになります。保存時には、恐怖対象、封印ダメージ、維持手段について記録しておく必要があります。また、同時に全ての封印ダメージの合計値もメモしておいて下さい。
■ 例外 ■ |
▼恐怖以外のダメージ
霊能力によるダメージなど、封印できない種類の正気度ダメージも存在します。
▼消費
正気度を消費する必要のある霊能力を用いる場合も、減少分を封印することは出来ません。
■ 封印ダメージ ■ |
封印に成功した場合は、本来は受けるはずだった正気度ダメージを、封印ダメージとして保持しておくことが可能となります。
保持するダメージはプレイヤーが任意に決定することが出来ます。全部で4ポイントの正気度ダメージを受けた場合には、1〜4ポイントのうちから自由に封印するダメージを決めて構いません。全てのダメージを封印しなかった場合は、余った分だけ通常と同じように正気度が減少することになります。
▼ダメージの累積
同じ種類の恐怖について封印する場合は、ダメージは封印を行う度に累積してゆきます。
▼封印ダメージの上限
全ての封印ダメージの合計は正気度の最大値以下でなければなりません。合計ダメージがこれを超えた時は自動的に全種類の封印が解け、即座に絶望状態へと陥ってしまいます。
▼動揺
1度に受けた正気度ダメージを全て封印した場合でも、正気度判定に失敗していればショックダメージを受けます。ただし、この場合は0ダメージとして扱われるので、影響を受けるのは恐怖対象に遭遇したラウンドの間だけとなります。
▼治療
封印されたままの正気度ダメージは、そのままの状態では心理学的な治療による回復は一切できません。治療を行うには一時的に封印を解く必要があります。
■ 封印の維持 ■ |
封印後に何も処置を施していない場合、封印はやがて解除されることになります。封印が解けないようにするためには、特定の維持手段を継続的に施さなければなりません。
▼維持手段の選択
封印を維持する手段には以下のような種類があります。手段の選択はキーパーに一任されます。認めたくない種類の封印手段は採用しなくて構いません。
種類:妄想、すり替え、同化、情報遮断、薬物依存、他者依存、物品依存、行動依存、人格の解離...etc.
▼依存の度合い
封印を行った場合は、維持手段に依存して過ごさなければなりません。依存の程度については、キーパーが任意に判断して決定して下さい。基本的には、ゲームの進行が妨げられるほど強い依存状態をつくるべきではありません。あくまでもゲーム上のアクセントとして、あるいは判断時におけるジレンマとなるような使い方をするべきでしょう。
▼例外的手段
気絶や記憶喪失といった情報遮断によってダメージを封印する場合は、恐怖を受けた瞬間に意識がとんでしまいます。具体的にどのような状態に陥るかは、キーパーが自由に決めることが出来ます。
◇継続期間
どの程度のあいだ動けないままでいるかは、一時的症状の継続期間を参考にするとよいでしょう。この場合は、その時に受けた正気度ダメージを基準に仮のショックダメージを求めて、継続期間を算出して下さい。
▼注意点
これらの決定に時間をかけてゲームのテンポが悪くなるようでしたら、その場で維持手段や依存状態について詳しく設定する必要はありません。その場はゲームの進行を優先し、シーンの変わり目やシナリオ終了後などに、ゆっくり相談して決めればよいでしょう。
■ 維持手段 ■ |
封印の維持手段には以下のような種類があります。また、状況に合わせて、これらとは別の手段を設定しても構いません。
◇妄想
自分が見た恐怖対象を他のものだと信じ込んだり、まったく仮想の存在に置き換えることで封印を維持します。この場合、他者に説得されてしまったり、再び同じ恐怖対象を見るなどして正しい認識を得た時に、封印が解除される可能性があります。
◇すり替え
恐怖の原因を関連するものに置き換えることによって、自分をごまかしている状態です。この場合は封印対象を思い起こさせるような物品や状況ごと、忌み嫌うものとして認識してしまいます。
たとえば、湖沼などで怪物に遭遇した場合、プールや噴水に近付けないようになったり、風呂に入るのさえ恐れるようになる、といった具合です。怪物そのものではなく、それを想起させる水を恐れているのだと自らを錯覚させ、体験した事実から目を背けてしまうわけです。
この維持手段に依存している時は、なぜそれを嫌うのかは本人にも理解することは出来ませんが、恐怖対象や遭遇状況に関連するものを徹底的に嫌い、排除するようになります。忌避している対象と接触したり、長くその状態に置かれた時は解除判定を行わなくてはなりません。
◇同化
恐怖対象を自分の理解できるものに置き換えた上で、それと同化することで精神を守ろうとします。たとえば、自分を吸血鬼だと信じ込んで、血液を求めたり日光を恐れるようになるわけです。
◇情報遮断
気絶や感覚遮断によって情報の受け取りを拒絶し、恐怖対象の認識時間を最小限にすることで心を守ります。この場合は一時的な記憶喪失となり、恐怖対象を意識的に思い出すことは不可能となります。しかし、これは自己作用による外界の遮断なので、何か恐怖対象を想起させるものに出会ったり、心理学的治療を受けた時に記憶が蘇る可能性があります。
◇薬物
不安をまぎらわすために酒や麻薬に依存することで、一時的に影響を回避することができます。しかし、いずれ薬物中毒になって、医者の世話になることでしょう。
◇他者依存
他人から慰められたり肌を交えるなど、誰かに依存していなければ強い不安に襲われることになります。1人でいる時間が長くなるほど、封印が解除される危険性が高まります。
◇物品依存
人形を抱えたり特定の匂いを感じていなければならないなど、何らかの物品に依存しなければ精神を安定させることが出来ません。
◇行動依存
特定の行動を繰り返したり潔癖性になるなど、何らかの事柄を達成することに神経を傾けます。それが達成できない状態に置かれた場合、封印が解除される可能性があります。
◇人格の解離
一般に多重人格と呼ばれている症状に陥ってしまいます。人格の切り替え条件については、キーパーとプレイヤーが相談して行って下さい。
■ 干渉 ■ |
維持手段から長いあいだ離れていても、すぐに封印が解けてしまうとは限りません。多くの場合は、少しずつPCの精神にその徴候があらわれるようになります。
▼幻視
維持手段から離れてしばらく経つと、悪夢や幻覚に悩まされるようになります。これらはぼんやりとしたものから、徐々に明確なイメージへと姿を変えてゆきます。
▼自我を超える封印ダメージ
【自我】の値を上回るダメージを封じている封印対象は、封印が維持できていてもPCの精神に何らかの悪影響を与える可能性があります。
■ 封印の解除 ■ |
▼解除の引き金
維持手段に依存できなくなったり、封印内容と同種の刺激を受けたり、真実の知識を得るなどして封印対象を正しく認識できた場合には、キーパーの判断で解除判定を行わせることが出来ます。
▼解除判定
解除判定は【知力】の値を基準として行われます。この判定に失敗すれば封印は保たれたままとなりますが、成功した場合は保持されている恐怖が蘇ることになります。
▼正気度判定
◇判定方法
封印が解除された時は即座に正気度判定を行わなければなりません。この時は判定に成功しても正気度ダメージの基準値は変わらず、封印ダメージが全て正気度ダメージとして与えられます。
判定のやり方や結果の適用については通常の場合と全く同じです。正気度判定に成功していればショックダメージを受けずに済みますし、決定的成功/致命的失敗が出た場合は、受ける正気度ダメージが1点ずつ減少/上昇します。
◇フラッシュバック
封印した恐怖と同様の刺激を受けた場合は、解除判定の後に正気度判定を行う必要があります。封印が解除された時は、基準値に封印ダメージを加えた値が正気度ダメージとなります。たとえば、正気度ダメージの基準が2/1で、解除された封印ダメージが2だった場合は、正気度ダメージの基準は4/3として扱われます。ショックダメージも合計値に従って決定して下さい。
▼再封印
封印の解除によって受ける正気度ダメージを再封印することは不可能です。また、フラッシュバックが起こった時は封印ダメージのみならず、その引き金となった恐怖(正気度ダメージ)も封印することが出来ません。
|
恐怖による精神的被害を受けたPCは、心理学的な治療を受けることによって正気度ダメージを回復したり、一時的に落ち着きを取り戻すことができます。
■ 沈静化 ■ |
〈心理学〉の判定に成功すれば、症状を沈静化することが出来ます。
▼長期的症状
〈心理学〉の判定に成功すれば、絶望状態および発狂状態に陥っている者を、一時的に正気にとどめておくことができます。ただし、この安定状態は1D3時間ほどしか保ちませんし、まず治療を施す前に相手をおとなしくさせるのに苦労することでしょう。
治療には1時間程度の時間が必要となります。判定を行うことができるのは1つのシーンにつき1度だけで、最初に行った人の結果だけが適用されます。
なお、沈静化に成功しても、表向き症状が改善されたように見えるだけに過ぎません。正気の時と同じように行動できますが、実際には精神に深いダメージを受けたままであり、時間が過ぎれば再び元の症状に戻ってしまいます。
■ 正気度の回復 ■ |
医師による正式な治療を受けた場合、減少した正気度を回復させることが可能となります。
▼判定
〈心理学〉の判定に成功すれば、1ヶ月に正気度ダメージを1D3ポイント回復することができます。しかし、致命的失敗を出した場合は、逆に1ポイントの正気度を失います。
■ 長期的症状の治療 ■ |
絶望/発狂状態に陥ってしまったPCは、自宅療養や精神病院に入院するなどして、時間をかけて癒さなければなりません。周囲から刺激を受けるような場所に置かれた場合は、いつまで経っても回復することはありません。
▼療養場所
◇自宅療養
自宅の落ち着いた環境でカウンセリングを受けながら治療を行えば、少しずつ正気を取り戻すようになるでしょう。
◇精神病院
きちんとした設備のある病院に入院した場合、自宅と同様に落ち着いて治療を行うことが出来ます。
▼治療期間
絶望状態の治療はおよそ[1D3]ヶ月、発狂状態の場合は[1D3+3]ヶ月ほどの時間を要します。ただし、これはあくまでも目安であり、期間はキーパーが任意に設定しても構いません。
▼判定
1ヶ月毎に心理学の判定を行い、これに成功すれば次の治療段階へと進むことができます。そして、最初に決定した治療期間を充たせば、絶望/発狂状態から回復できたことになります。
判定に失敗した月は治療期間には含まれませんので、失敗し続ければ治療はどこまでも長引く可能性があります。また、致命的失敗を出した場合は、治療期間がさらに1か月延長されます。
▼刺激
治療期間中に何か大きな精神的影響を受けた場合、治療が長引いたりする可能性があります。
◇正気度ダメージ
治療期間中に正気度ダメージを失った場合、治療は最初に決定した期間より長引くことになります。どの程度継続しなければならないかは、キーパーが任意に決定して下さい。
◇問題行動
治療期間中に周囲から刺激を受けた場合は、暴れたり自殺を試みたりするなど、何か問題を起こしてしまう可能性があります。このような問題行動は刺激を受けた直後に行われるとは限らず、人目につかない場所で試みることもあるでしょう。
■ 精神崩壊者の治療 ■ |
精神崩壊を起こしたPCの治療は、すべてキーパーの裁定に任されます。ただし、通常は回復するにしても年単位の時間が必要となるでしょう。
■ 封印ダメージの治療 ■ |
封印ダメージは正気度に与えられているダメージとは別個に扱うもので、異なる過程を経て治療を行います。
▼封印ダメージの認識
封印ダメージの存在は、行動依存や物品依存といった表に見える影響によって発覚するものです。封印の存在が判明するまでは治療を行うことが出来ませんので、注意して下さい。
▼治療の間隔
1ヶ月につき1度の治療を試みることが出来ます。
▼封印の一時的解除
〈心理学〉の判定に成功すれば封印が一時的に解除された状態となり、1D3時間だけ患者の精神は安定したままとなります。この安定期間のあいだは、封印が解けても正気度にダメージが戻ることはなく、狂気にとらわれることもありません。また、安定期間内であれば、診察者は任意の時に再び封印を元に戻すことが可能です。
単に失敗した場合は、封印を解けなかったというだけであり、特に影響を受けることはありません。しかし、致命的失敗を出した場合は、精神状態を安定化させることが出来ないまま、封印が解けたことになります。この時、患者は【知力】を基準とした解除判定を即座に試みなければなりません。
▼治療
封印が一時的に解除されている状態であれば、通常の精神治療と同じように封印ダメージを癒すことが可能となります。この時、〈心理学〉の判定に再び成功すれば、封印ダメージは1D3ポイント回復します。これによって封印ダメージが0になれば、封印対象を破棄できたことになります。しかし、致命的失敗を出した場合は、1ポイントのダメージが封印ダメージに蓄積されます。
▼刺激
封印の一時的解除に成功していれば、周囲から何らかの刺激を受けても封印ダメージが解放されることはありません。ただし、正気度判定を行うような恐怖や、封印対象に関連する強い刺激を受けた場合は、【知力】を基準とした解除判定を試みなければなりません。また、ダイスを振って決めた安定期間が過ぎた後は、強い恐怖を伴わない刺激を精神に受けた時でも、解除判定を行う必要があります。
▼再封印
安定期間が過ぎる前に何事もなく治療を終えた場合は、判定なしで再封印に成功したことになり、封印は治療前と全く同じ状態に戻ります。しかし、安定期間が過ぎてしまったり、一時的解除の間に強い刺激を受けて解除判定を行った場合、封印を再び維持するためには〈心理学〉の技能による再封印に成功しなければなりません。
〈心理学〉の判定に成功すれば封印を完全な状態に戻すことが出来ますが、判定を行った側がすぐにその成否を判断することは不可能です。その後の症状を観察したり、治療時に〈心理学〉の判定に成功して、初めて封印状態を把握することが可能となります。
▼維持手段の交換
封印ダメージが0になるまでは維持手段への依存は継続されており、これを止めれば封印はいずれ解除されることになります。しかし、〈心理学〉と〈薬学〉の知識がある者は、依存している対象を正式な治療薬に置き換え、それで封印を維持することが可能となります。
ただし、置き換えを行うためには一時的解除の間に〈心理学〉の判定に成功し、依存対象から患者を解き放つ必要があります。説得できなかった場合は、薬物を与え続けるだけでは封印を維持することは出来なくなります。
|
PainForTheTruth-Rule