俳 句 の 歴 史

10人の俳人とその作品


第1章
前 史
(15〜16世紀)

15世紀の日本では、「連歌」と呼ばれる詩の形式が隆盛を迎えていた。

連歌は複数の作家の共同作業によって制作される詩である。17音(5音・7音・
5音)から成る詩行と、14音(7音・7音)から成る詩行を、参加メンバーが
交互に継ぎ足していき、通常100行の詩を完成させるものである。

連歌は格調の高い、アカデミックな詩であった。連歌では中世の美意識を踏襲
して、古典の故事を引用しながら詩句を提出するのが作法とされていた。

16世紀になると、連歌に代わり、ユーモアの詩である「俳諧」が流行するよ
うになった。俳諧は連歌同様、17音と14音の詩行の組み合わせによって展開
する詩であるが、連歌をパロディ化し、卑俗かつ当世風の笑いを導入した。俳
諧は語呂合わせを多用し、また連歌では用いなかった生活臭の濃い事物を好ん
で題材とした。

連歌や俳諧の第1行目は「発句」と呼ばれる。俳諧では、発句だけを独立した
作品として発表する例も見られるようになった。これが俳句の起こりである。

連歌や俳諧の第1行目には季語を入れるのがマナーとされていた。そのため発
句(俳句)でも季語を用いることが必須とされた。

執 筆  四 ッ 谷  龍


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