高階杞一詩集
<早く家へ帰りたい>より
紙ヒコーキ
おまえのいなくなった部屋に
紙ヒコーキがひとつ落ちている
僕が催しでもらってきたもの
仕事が一段落したら
公園で飛ばしてやろうと思っていたが
その前に
おまえの方が空高く
いってしまった
休日のよく晴れた午後
外に出て
ひとり公園に行く
楽しげに親子連れが遊んでいる
ボールを蹴ったり
バトミントンをしたり
砂遊びをしたり……
ぼくは
持ってこなかった紙ヒコーキを手に持って
思いっきり
空に向かって飛ばす
それは高く軌跡を描いて飛んでいく
おまえはよろこぶ
ぼくのとなりで
そうしていつまでも
ふたりでその跡を追っている
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