十字クラック〜ピラミッドフェース〜第4尾根

ARIアルパインクラブ/酒井学、福島猛


<山行日> 1999年10月2日(土)<記録> 福島猛



 十字クラック〜ピラミッドフェース〜第4尾根〜中央稜の継続登攀を予定していたが、 予想以上に時間がかかってしまい、中央稜は諦めることとなった。しかし、天候に恵 まれ(恵まれ過ぎて暑さに多少辟易したが)、夏を思わせる日差しの中、汗を拭い ながら登るピラミッドフェースはとても楽しく、充実した登攀となった。

 広河原 [04:00] --> 二股 [05:40] --> 十字クラック取り付き [07:40/08:25] --> ピラミッドフェース取り付き [10:20] --> 第4尾根合流 [13:20/13:45] --> 終了点 [15:40/16:20] --> 二股 [18:20] --> 広河原 [20:20]

 02:00前に広河原に到着。駐車場は6〜7割程度は埋まっているが、激混みの ときと比べると、半分以下の混み具合いであろうか。少し車で仮眠後、03:30 起床。無風、一面の星空、今日は最高の天気になりそうだ。広河原山荘にて登山届け をだし、4:00出発。

 05:40二股。少し休憩をとり出発。一本目の沢を少し越えた辺りから赤テープ、 踏み跡を辿りながら右に入る。少し登ると一本目の沢に合流した。ガレガレの沢を 登り詰めていく。途中でルートの過ちに気づき、薮、ガレ場をトラバースしていき、 何とかバットレス沢に入り、十字クラックの取り付きに辿り着く。

 登攀準備後、酒井リードで、十字クラックの1P目。今回小さめのメカニカルデバイス しか持っていかなかったため、クラック通しに登れず、左に逃げる。左も難しく、 ホールドが見つからない。一手A0で登る。2P目、福島リード。6級になっている ハングを超える。ホールドも大きく、岩もしっかりしており、ボルトもいい位置に あるため、ちょっと拍子抜けしながらフリーで超える。3P目、酒井リードで緩傾斜帯 に入る。

 予想以上に十字クラックに時間を食ってしまったこと、また取り付く時間が遅くなって しまったことなどから、中央稜まで継続して登攀することを諦める。ザイルを束ねて 肩に背負い、ピラミッドフェース直下、ハング帯の真下(右上バンドをいく場合の取り 付きより4〜5m程度右手)まで移動し、ビレーをとる。

 1P目、福島リード。右からハングを回り込みスラブを左上。ザイルを切らずに そのまま直上し、50m近くまで伸ばし、傾斜のあるクラックを登った所でザイル を切る。所々ランアウトするが、不安は感じない。

 2P目、酒井リード。出だし、いいフットホールドが見つからず、非常に微妙な 感じで登る。5〜6m直上後、逆層のハング帯の下を左手にトラバースし、さらに 斜上。傾斜は緩いが、少しいやらしく感じた。

 3P目、福島リード。逆層のフェースを7〜8m登ると四尾根が10m程右手に 見える。まだ終りのはずはないんだがと思いながら右上し、四尾根に突き上げる。 そこでビレーしている人に聞くと、やはりピラミッドフェースの終了点はまだ上 だと言われ、クライムダウンしピラミッドフェースに戻る。さらにフェースを登り、 ほぼ垂直のコーナークラックを抜けたところでザイルを切る。コーナークラックは 途中にナッツの残置があった。また後半部分は多少ランアウトするが、フィンガー ジャムがしっかり効き、またしっかりした大きなホールドもあり不安はない。左手 下方に下部フランケが見える。下部フランケから4尾根に抜ける際もやはりここを 通過するのだろう。

 4P目、酒井リード。2mほど右手に移動した後、傾斜は多少緩むが少しいやらしい ノッペリした感じのコーナークラックを4〜5m登る。ルート図にある垂直のコーナー クラックとはここだろうか、それとも前のピッチのものであろうか。そのまま階段上 のなんということもないところを右上し、13:20四尾根に突き上げピラミッド フェースを終了した。

 大休止後、ザイルを一杯に伸ばしながら4尾根を登る。2Pでマッチ箱の懸垂地点に 着く。懸垂後、2Pで4尾根の終了点に着き、15:40登攀の終了となった。

 登攀具を片付け、ハーネスを外し、フラットシューズを脱ぎ、身軽になる。大休止後、 北岳のピークには向かわず、そのまま八本歯のコルを経て大樺沢を広河原へ下山した。

 疲労のため、体が思うように動かず、私の下山の速度が遅い。先行する酒井さんの姿は すぐに見えなくなった。次第に暗くなり、空を見上げると黒い雲が出てきている。風も でてきたようだ。ヘッドランプを使いながらヘロヘロになって、20時過ぎ、ようやく 広河原に到着。この頃にはかなり風が強まり、また時折パラパラと雨も降ってきた。

 強風の中、車に荷物を詰め込み、すっかり待たせてしまった酒井さんと共に帰京。

 充実感のあった登攀、ヘロヘロになった下山。とても学ぶことの多い山行であった。


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