ヴァイスホルン

日程
2004年7月16日(金)〜17日(土)
メンバー
(G登攀クラブ)御山洋一
記録
(G登攀クラブ)御山洋一
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


御山といいます。

 今年も飽きもせずにヨーロッパアルプスに行って来ました。生憎の悪天候続きで、
高い山は新雪が積もり、登れない山がとても多かったです。7月初・中旬はアイガー
ミッテルレギー稜にも雪が着く始末。マッターホルンが登れるようになったのは、7
月末頃だったようです。
 そういった状況下でしたが、幾つかの山に登りましたので、ちょっと長いですが報
告します(その他の山についてもまとまり次第報告する予定です)。

メンバー:御山 洋一
日程:7月16日〜17日

7月16日 晴れ。夕方から雷雨
昨日、シャモニーからツェルマットに移動したばかりなので、少し体を慣らそうと
思ったが、明後日からまた天気がおかしくなるというので、急遽ドムに登ることにし
た。思えば今年のヨーロッパアルプスはハズレ年だった。連日の雨(高山では雪)
で、シャモニーで予定していたエギーユ・ヴェルト、アルジャンチエール、モンブラ
ンタキュール〜モンブランの縦走、エギーユ・ド・ロシュフォール〜グランドジョラ
ス縦走のいずれも悪天候と多雪のため諦めざるを得なかった。
7:10発の列車に乗り、7:30頃ランダ着。かなりの勾配の坂を登り続ける。普
段鍛えていないせいで、すぐに足が重くなる。森林限界を過ぎ、お花畑を抜けると岩
場となる。鎖の付いた岩場を何カ所か通り、岩稜を回り込み、2800m位まで登る
とやっとヒュッテが見える。振り返れば昨年登ったヴァイスホルンがどっしりと聳え
る。昨年と違って、雪で真っ白。今年はまだ誰も登っていないのではないだろうか。
見事な三角錐だ。今度はどのルートから登ろうか。
 12時少し前にヒュッテ到着。小屋のご夫婦が迎えてくれた。荷物の整理をして、明
日のルートの偵察に行く。トレールはかなり明瞭で、氷河までは要所要所にケルンが
作られており問題になりそうなところはない。もう少し先まで行こうと思ったが、小
屋までの道のりがあまりに長かったので少々バテ気味。山頂から何パーティーも下っ
てきていることから、氷河上のトレースもしっかりあると確信し小屋に戻る。
初めは僕を含めて3人だけ泊まるのかと思っていたが、夕方になるにつれてどんどん
人がやって来て、すぐに小屋はいっぱいになる。昼間一杯良かった空にはだんだん雲
が増え、ヴァイスホルンやマッターホルンは見えなくなる。雷鳴が聞こえてきてしば
らく経つと激しい雷雨となった。上はたぶん雪だろう。どの程度ラッセルすることに
なるのか。
夕食。続々と小屋にやってくる客に、小屋の人は大忙し。でも、唯一の日本人(東洋
人)である僕に何かと気を遣ってくれているようで有難い。夜半まで雨は降り止ま
ず、明日の行程が不安になる。

7月17日 晴れのち曇り夕方から雨
 2:50起床。3:00朝食。慌しい中3:40出発。昨日下見しておいたトレー
スを辿り、氷河に降りる。氷河には先行パーティーのトレースがしっかりついてい
る。僕の前に4〜5パーティーが見える。僕の後ろにもライトの列が続々と続いてい
る。5時頃フェスティヨッホの下に到着。太いロープが垂れ下がった岩場を登り、
フェスティ氷河とホーベルク氷河の間の十字架のある稜線に出る。鎖のついた岩場を
トラバースし、ベラグラのついたスラブを斜上し、少しクライムダウンする。さらに
木の梯子を8mくらい降りるとホーベルク氷河に6時頃到着。
 昨晩の雪でトレースはだいぶ消えていたが、ガイドパーティーが先行してトレール
をつけていく。雪は踝程度だが、吹き溜まりに来るととたんに膝まで潜る。静かな氷
河歩きが続き、徐々に高度を上げる。4100mを過ぎたあたりで、別ルートから
登っていたパーティーの姿が頂上直下辺りに見える。彼らは小屋で僕の隣に寝ていた
元気なスイス人の青年2人組だ。頂上付近はガスで覆われており、下からは見えな
い。しばらくすると、先ほどのスイス人パーティーが登頂を終えて下ってくる。彼ら
と軽く挨拶した後、少し風が吹き何も見えない中、頂上を目指す。クラストした斜面
を50mほど登ると、10:15に頂上に到着。ガスのため展望はほとんどないが、
ポツンと十字架が立っている。小屋から僕と一緒だったイタリア人夫婦がとてもうれ
しそう。一緒に写真を撮りあう。
 気が付くと頂上は人で一杯。10:30、早々に下山を開始する。誰もいない広い
氷河の中、トレールに導かれてフェスティヨッホを目指す。ベラグラの張り付いたス
ラブと、岩場の急な下りの2箇所でロープを使う。その後はトレールに従って、雪団
子に悩まされながらひたすら下る。
13:15ヒュッテ到着。空を見ると今にも降り出しそう。着替えてから小屋の人に
挨拶をし、下山開始。長い下り。しかも鎖場などは結構悪い。よくもこんな所を登っ
てきたものだ。そのうち足にまめができて痛くなる。ゆっくり歩くのもつらい。雨が
降る中、やっとの思いでランダの駅に着く。
先に下山していたスイス人青年2人とここで再会。彼らはブリークへ。僕はツェル
マットだ。ゆっくり話をしようと思っていたところ、17:27の列車を待っていた
のに16:30に列車がやってくる。彼らに『あれツェルマット行きだよ』と言われ
てあわてて靴を突っかけ、荷物を抱えて、列車に飛び乗る。列車の中は日本人観光客
で一杯だった。

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