カナダ/バガブー山群

日程
2002年7月11日(金)〜24日(木)
メンバー
(福岡山の会)蜂谷一彦
記録
(福岡山の会)蜂谷一彦
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


蜂谷一彦@FYK(福岡山の会)と申します。
7/11〜7/24、『庵・鹿川』(いおり・ししがわ)の面々と一緒にカナダ・バガブー山群の岩を
楽しんできました。
500〜600mのスッキリした岩壁が数箇所点在し、気分爽快のクライミングを満喫できました。未
熟者ですので既製の易しめのルートしか行きませんでしたが、クラックの登攀に不慣れな僕にとっては
結構難しくて、ナチュプロの練習不足を痛感しました。以下、簡単ですが、僕が取り付いたルートの概
要などを報告します。今後、同地域へ行かれる方の参考になれば幸いです。

[山域]カナダ・BCロッキー・バガブー山群
[日程]2003年7月11日(金)出国〜7月24日(木)帰国
[参加者]蜂谷一彦(福岡山の会、庵・鹿川)、他11名

◎『クレッセント・タワー,イヤーズ・ビトウィーン』(AD,5.7)=ドンキー・イヤーズの耳と
耳の間を登るルート。西都山岳会の重鎮・A万会長と高知のO林さん、僕の3人で登りましたが、登攀
中に雨&雪が降ってきて手がかじかみ、岩も濡れてしまったので5P目で敗退しました。

◎『バガブー・スパイアー,北東稜』(10ピッチ,D−,5.8)=北米大陸50選に入るというイ
チオシの超お勧め3ツ星ルートで、適度な難度と抜群の高度感、そして最高の眺望が味わえます。全ピ
ッチA万さんのリードで、M沢御大、Y村さん、I辺さん、僕の5人で登りました。登攀はすこぶる快
適でしたが、先行2組の外人パーティがえらく遅くて待ち時間がかかり、更に初見での下降路のルート
探しが難しくて、我々は東壁のラペルポイントを延々と懸垂下降。中には50mロープでは若干足りな
いピッチもあり、M沢御大がスリングを足してクリアしたりしました。1年間分の懸垂を一度に味わっ
たような気がします。地獄の懸垂&20時間行動で僕はヘトヘトでしたが、鉄人A万さんはピンピンし
てました。脱帽であります。このルートを登る前に、一度『ケイン・ルート』を登って下降路を把握し
ておくことがベターだと思います。

◎『ブレンタ・スパイアー,南東スパー』(AD,5.6)=初見ではルートファインディングが非常
に判りづらいが、短いながらも適度な刺激がある小気味の良いルートでした。ブレンタ・スパイアーは
、イーストポスト・スパイアーの北西稜のコルから見ると『アマダブラム』のような端正な形をした山
で、頂上からの眺望は贅を極めるといっても過言ではないでしょう。ガイドのトッドさんとI辺さん、
僕の3人で楽しく登りました。

◎『イーストポスト・スパイアー,北西稜』(F,クラス4)=ルート上にケルンが置かれて明瞭で易
しく、休養日に短時間でサクっと登るのに丁度良い。小屋から40〜50分程上がったところにある『
Applebeeキャンプサイト』のすぐ上に聳えている岩山で、他のバガブー・スパイアーやスノー
パッチ・スパイアーなどと比べると見劣りしますが、頂上に立つと思いのほかスパっと切れ落ちて、な
かなか高度感があります。下降はクライムダウンでもいいが、最初の1Pだけ懸垂で下るのが無難かも。

◎『スノーパッチ・スパイアー,西壁,ワイルドフラワー』(9ピッチ,D,5.9)=東面から見る
と左側の中段に当て布(パッチ)のような雪田があることから、『スノーパッチ』と呼ばれている。(
日本で言えば『白馬岳』の山名などと同じようなものかな〜。)でも、容姿はなかなか凛々しい。『ワ
イルドフラワー』は、左開きのコーナーを経て南峰頂上に突き上げる美しいルート。ガイドのトッドと
東京のO内さん、僕の3人で登りました。
5.9と言ってもクラックのNPでのそれですから、へっぽこの僕には少々シビアでした。登攀中、左
手後方には美しいピジョン・スパイアーが聳えて立派ですが、取り付きのクレバス帯はズタズタに裂か
れていました。スノーパッチ頂上からの下降は『クラウス・マッカーシー』ルートを懸垂5回で岩壁基
部へ。更に、岩壁基部を南西側に回り込むとラペルポイントがあり、3回の懸垂で南面の氷河に降りる
ことができます。(スノーパッチとバガブーのコルの岩にもラペルポイントがあります。)

備考:
※ 今回はメンバー全員がバガブー山群は初めてだったこともあり、『ヤムナスカ』を通じてガイドさ
んとコックさんを1名ずつ雇いました。3食付きで、宿泊は小屋(ケインハット)を利用するという快
適極まりないクライミング・ツアーでした。もっとも、費用の方もそれなりに掛かり、一人あたり約4
2万円(往復航空券代=約15万円、ヤムナスカの人件費・食糧・小屋代・現地ホテル宿泊代・トラン
スポート代=約25万円、雑費=2万円)とやや高額ではありました。
Yamnuska Inc: Box1920,Canmore,AB
TEL(403−678−4164)

※ バガブーへの入山: バガブーはバンフの南西約200km、ブリティッシュ・コロンビア(BC)
州のパーセル山脈に位置している。バンフから1号線を15kmはど北上したあと、93号線を南下気
味に走り、ラジウム・ホットスプリングで95号線を北上。ブリスコのGS兼売店の手前を左折してコ
ロンビア川を渡り、林道を約40kmでバガブーのPark・Visitor・Parkingに着く
。ここに車を停めるが、Porcupine(ポーキューパイン)というハリネズミのような動物が夜
間出没してタイヤを食い荒らすので、泊まりで入山する際は金網で車の周りを囲う。(金網は駐車場周
辺に放置されている。)また、熊の出没に注意すること。犬を連れての入山は禁止されている。ここか
ら徒歩約3時間でコンラッド・ケインハットへ。費用はかかるがヘリでの入山も可能である。小屋から
バガブー・スパイアーやスノーパッチ・スパイアー、その他周辺の各ルートへの取り付きまでは1時間
半から2時間程度。この山群の盟主であるハウザースパイアーはやや遠くてスケールもあり、上の方に
は氷雪が付いていて、小屋からのアプローチを含めた登攀期間は2〜3・u椏cDかるようです。

※ 小屋は予約制のようであるが、至極快適で、キッチンには水道(お湯も出る)やガスコンロが備わ
っていて、2階と3階は寝る場所でマットが敷かれている。もちろんキャンプ・エリアもあり、小屋か
ら南面へ少し下がったところが幕営地に指定されている。小屋の前の広場はヘリ・ポートにもなってい
る。また、小屋には衛星電話が備えられている。スタッフに頼めば、この電話を通じて登山口のバガブ
ー・ロッジから上がってくるポーターにお願いしてビール・ワイン・ウィスキーなどのアルコール類を
調達することも可能。(もちろん、それなりのお金はかかる。)

※ 登山期間中、1名がクライムダウン中に滑落し左肩を脱臼、ケインハットからヘリで下山するとい
うアクシデントがありましたが、脱臼程度で済んだのは不幸中の幸いでした。ヤムナスカとの契約で緊
急時のヘリ費用が含まれていたのも幸いでした。

※ 岩場は総じて、ラペルポイント以外の確保支点は殆ど無く、基本的にNPである。(バガブー・ス
パイアー北東稜には所々残置ピンがあった。)今回のような比較的易しいルートであれば、一人あたり
のギアは、カム類=キャメ#3までのサイズが1セット、ナッツ=#5〜#10前後が1セットあれば
充分です。

※ バガブー山群のトポとして最も流通されているものは下記@であろう。これよりもAの方が大変詳
しいが、ケインハットに複製が置かれていただけで、バンフの書店や登山用具店には無かった。もうじ
き、出回ることだと思います。
@『Bugaboo Rock』(Randall Green & Joe Bensen編、Th
e Mountaineers)第2版
A『The Bugaboos』(Chris Atkinson & Marc Piche編、E
laho Publishing Corp、ISBN:0−9733035−1−4)

※ 気候は、短時間ながら降雪があったりして手足がかじかむときもあれば、日中はTシャツ・短パン
でも暑いときもあり、寒暖の差が激しいです。ルートによっては雪壁の登降が出てくるので、しっかり
した靴が望ましい。アイゼンは6本爪程度でもなんとかなるが、12本爪のほうがよりベターかも。緯
度が高いので夏場の日照時間が長く、7月ならば朝5時頃から夜11時頃までヘッドランプ無しで行動
できます。

最後に、ヤムナスカの難波さんやニワさんをはじめ、ガイドのトッドさん、コックのケリーさん、その
他のスタッフの皆さん、同行メンバーの方々には大変お世話になりました。ありがとうございました。

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