ドーム/中央稜

日程
2001年7月20日(金)〜21日(土)
メンバー
(猫の森)黒澤、(Heaven Site)安藤(Heaven Site)
記録
(猫の森)黒澤
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


みなさん、こんにちは。黒澤と@猫の森、です。

有持さん>有持さん同様、三連休は仕事でしたが、僕の場合は現場が穂高…久しぶり
に滝谷を登ってきました。ポピュラーなルートですが、これから計画されている方も
多いと思いますので報告します…

日付:7/19(thu)〜7/22(sun)
ルート:北アルプス・北穂高岳・滝谷・ドーム中央稜
メンバー:黒澤と(猫の森)、安藤信之(※Heaven Site)
※Heaven Siteは安藤信之さんが主宰する山のHPです。以下のサイトに写真入りの
報告があります…
★ http://homepage1.nifty.com/n-ando/heaven/

7/19(thu)…さわやか信州号で新宿発。バスは合計18台。都庁周辺の待合所は、慣れ
ないバイトばかりで現場は大混乱。上高地到着は30分遅れであった…(大汗;

7/20(fry)…今日はのんびり北穂まで…といっても、荷物は25kgを超えている。涸沢
で水を背負ったら限りなく30kgに近づいた。久々の大バテで北穂到着が17時!

7/21(sat)…3時起床。思いの外暖かいが、ガスが立ちこめているので明るくなるまで
出発を見合わせる。南峰を巻いてコルへ降り、第三尾根の下降点を一回間違えた(汗;
気を取り直してドームを巻き、ガリーへ下っていくと…おやおや懸垂支点が見あたら
ない。おっかしいなぁ…昔は確か、この辺から懸垂した筈なんだけど…

あれこれ探しているウチに、50mほど下へ降っていったパーティーの「あったあったぁ
〜」コールに提灯をつけていくと「(私たちは大人数なので)お先にどうぞ(※)」
というありがたいお言葉が…日頃から岩場での陰徳は積んでおくものだが、それにし
てもお粗末なガイドだなぁ…と自嘲;ともあれ、下降点から「やや登り返す感じ」で
1P目の取付きである…懸垂ロープは50mダブル…これってホントに最近の本に書い
てある支点なのかなぁ…?
(※このMLでもお馴染みの、千種アルパインのメンバーの方がいらっしゃったよう
です。懸垂ロープまで貸していただいてありがとうございました。この場をお借りし
て御礼申し上げます。)

1P目(IV+,A0):ジェードル状を5mほど登り、頭上のチムニー(というかワイド)
を避けて左へ回ると、ご丁寧にペチャペチャと濡れている。「A0掴みまくり〜」で
約10m直上し、右のチムニーへ戻るが、チョックストンを回り込むところが、これま
た嫌らしい。チムニー状の狭いが安定したテラスでセカンドを確保するが、ロープの
流に注意。セカンドは大奮闘したらしい…テンション混じりでようやく上がってきた
と思ったら、A0のヌンチャクを二本も残置してくれた(涙;

2P目(5.8):フェースを10mほど登ると広いテラスに出るので、いったんピッチを区
切る。テラスからは左上するクラックを登り、頭を押さえつけられる前に思い切って
左のスラブへ出る。フリークライミング的で楽しい。

3P目(5.0):ガレ場…というより、左上するリッジみたいな感じである。カンテの
傾斜が強くなるところで右に回り込む。トポに書かれているほどルートファインデイ
ングは単純ではないので注意。

4P目(IV+,A0):取り付から少し右に回り込み、湿っぽいガリー状を登るとチョック
ストンが挟まった凹角の乗っ越しとなる。ナッツが残置してあったので、ありがたく
使わせていただいた。

5P目(5.7):いよいよ最終ピッチである。お楽しみの「ハング」の乗っ越しはあっ
けないほど易しい。快適にハンドジャムが効くので正面からも越えられるが、左右い
ずれに逃げても可。このピッチが一番明瞭だろう。
(※グレードについては、そのとき感じた(やった)もの)

…終了点付近は、ザイルを解くには不安定なので、セカンドを安定したところまで登
らせてから慎重にアンカーを解除。ここからドームの頭までは踏み跡伝いに1〜2分の
平易な岩稜だが、場合によっては…特にセカンドが初心者の場合は、もう1Pスタッ
カットで伸ばした方が良いかもしれない。ドームの頭からは特に問題ないが、縦走路
への落石に気をつけたい。

さて久々に、まともな本チャンルートに行って思ったことは「パイオニアってぇのは
アメリカンエイドみたいなモンだったんだなぁ」ということである。昨今、フリーク
ライミングのケミカルアンカーに慣らされた体に、滝谷の残置ハーケンは「トップの
墜落を止められるハーケンは一本もない」と感じた。
だから、ガイドブックに書いてある「フレンズ/ナッツ類が有効」というのは誤解を
招く表現で、ここは「フレンズ/ナッツ類でプロテクションをセットしない限り、トッ
プの墜落はグラウンドフォールを意味する」と書くべきだろう。パイオニアの打った
ハーケンはあくまで「前進手段」であり、自分が墜落したときのランニングビレイは
自分でセットするのが基本なのだということ…と言うと教条主義的で反発を食らいそ
うなので…

「今回僕らが、ドーム中央稜を一つのN&F(オールナッツ)のルートと見なして、
それなりの準備をしてかかれば、たいへんに興味深いスタイルのクライミングが楽し
めたのではないか」

…という風に感じた。う〜ん日本の本チャンに対する見方が少し変わったような気が
する。百の説法より「一つの名ルート」を登ることだ。良いルートは実に様々なこと
を教えてくれる。
そして、初めて滝谷を登った頃の自分がどうしてこれに気が付かなかったのか…単に
フリーの実力の問題なんだろう。当時IV+/A1クライマーだった僕も、フリーを続けて
いるウチにどうやら5.11はこなせるようになった。いろんなスタイルで様々なフリー
のルートを登ったことで可能性が広がったんだろうと思う。

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おまけの情報:涸沢ヒュッテの「おでん」は経済性が良い。一品100〜150円で、例え
ば「卵・大根・こんにゃくの三点で350円」というのは、下界の屋台並ではないだろ
うか!ジョッキの生ビールが楽しめるのもなかなかマルである。やっぱ涸沢ベースが
良いなぁ…(笑顔)

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