剱尾根/主稜

日程
2000年7月20日(木)〜23日(日)
メンバー
(JECC)廣川、竹田、(風来坊)森
記録
(JECC)廣川健太郎
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


 廣川@JECCです。

  海の日の飛び石連休、剣に行ってきました。長いので適当に。
  剣尾根下部はひたすら藪登り。脱水状態寸前で暑く、しんどかったです。
  夏にもう一度、下部から登る気にはなかなか・・・。
  春先なら快適かと思うので、次は雪を纏った時期に登ってみたいと思いました。

  以下報告。

  メンバー、廣川、竹田(JECC),森(風来坊)

 7月20日(木)晴れ 扇沢〜室堂から入山〜熊の岩BC
        扇沢駐車場で寝過ごし、始発のトロリーに乗りそこね、8時半発となる。
        室堂は10時15分。外にでると予想通り、雪が多い。
        雷鳥沢から剣御前へは尾根コースを行く。
        剣御前からはほぼ雪渓通しにいける。
        長次郎谷出合いでアルプスともしびの4人と会って話しこみ、熊の岩着
        は17時頃。
        非常に雪が多く、通常のテントサイトは完全に雪の下。雪が溶けている
        斜面のなかにかろうじて2張りほどテントがはれる場所があり、先行が
        入り口に張っていたので上段にテントを設営した。
        なお、通常のテントサイト付近は完全に雪で覆われているが、平坦なの
        でテントを張ることは可能です。
  
   21日(金)晴れ 剣尾根主稜(コルBまで)
        やや寝坊し、5時7分BC発。長次郎雪渓右端を詰め、池の谷ガリー、
        三の窓経由で池の谷を下降する。池の谷源頭部は非常に岩が脆く危ない。
        150mほど降りると安定した雪渓に降りることができ、すぐに左側か
        ら、R2が入ってくる。
        R4は良く分るが、以降、どれがどれだか良く分らず、結局、計画通り、
        末端近くから忠実に登ろうとほぼ二股が見渡せるところまで下り、
        R10と思しき、曖昧な右上するガリー状から草付を登って尾根上に出た。
        主稜上は鬱蒼と草木が茂り、アルペンムードというよりは、上越の藪尾根。
        素晴らしく、日本的な場所である。
        尾根にでたところはちょっと平になった鞍部のようではあったが、これが
        コルEだかどうかは、全く確信が持てない。
        見た限り、尾根が急な部分もありそうで、ハーネスを着け、足元をフラット
        ソールに履き替え、いつでもアンザイレンできるように準備してから登り
        始める。

        藪漕ぎ、草付、潅木登りを繰り返す。視界はあまり利かないが右俣側の雪渓
        が近くに見える。所々足元が切れており、落ちると危ない。
        池の谷は北西の方角にあたるが、尾根上は日差しが通り暑いことこの上ない。

        小さなコルから左上する草付きバンドを上がった先、足元がすっぱり切れ、
        露岩を5mほどトラバースする部分、2歩ほど悪くアンザイレンする。ロー
        プを解き、再び、胸をつく急な草付きを登っていく。
        
        急な部分を抜け、上部が見渡せるようになると、急な岩壁の右側にみっし
        りと草付き密生させたなかなか大きなピークが見え、あれをまた登るのかと
        思うと、がっかりしてしまう。天気が良すぎて脱水気味なので、弱リ目に
        たたり目、戦闘意欲がわかない。        
        雪渓が左俣側に少し残っているコルで一休みをして、またまた、今度はずー
        っと胸のつくような草付、潅木帯の根性登りを続ける。草付きの中、岩も
        ちょぼちょぼ出てきて落ちれば、まず一たまりもない。
        こんな登りが続くのはいやだ、いやだなあと、思いながらしばし行くと、
        明るくひらけた20mほどのフェースが現れる。3級ほどだが、アンザイレ
        ンする。岩場は藪がないので快適である。
        しかし、基本的にはこの前後、ハイマツの花が咲いているハイマツ帯をかき
        分けての登りで、黄色い花粉がわんさかと巻きあがり、非常にむせる。服も、
        ザックもなんもかも、花粉だらけになり、ほとほと嫌気がさす。

        ようやく、コルDらしきところに出て、藪から解放される。ここからアンザ
        イレンし、凹角からリッジ右の岩、易しい階段状を登る。痩尾根をコンテで
        登っていくと正面にドーム、門が現れる。まともな岩である。

        コルCからが本格的な岩だが、人工、フリーとも安定しており、気分的には
        下部の藪登りの方がはるかに悪い。

        竹田トップで1P目、稜角左のフェースをフリーで5mほど登り、ピトンに
        従い右上。稜角は水平にアブミトラバースで越え、右手の傾斜の落ちたフェ
        ースを直上。フェースはフリーでいけるが、人工で登れる位ピトンが多い。
        更に、リッジを登り、草付きのバンドをトラバースと3P行く、トラバース
        しきったところは湿った凹角だが、少し手前に直上するクラックから左上す
        るバンドが走っており、こちらのラインの方が安定していて良く登られてい
        るようだ。
        ここ5P目で廣川にトップを交代、靴、アイゼンなど荷物が重いので1Pア
        ブミに乗ってクラックを越える。軽ければ充分フリーで行ける。左上バンド
        はWとあるが、もっと易しく感じる。45mで安定したテラスまで。6P目
        はスラブから脆い凹角を回り込みドーム上の稜に上がる。40m。
        ここからはザイルを伸ばしきってからはコンテでコルBまで。
        剣尾根上部の景観も良く雰囲気の良いところだが、カメラを後続に渡したま
        まだったが、どの位写真を撮ってくれただろうか??。

        コルBで17時、上部は易しいのであと2〜3時間で抜けられると思うが、
        森君が自信がないというので、上部は割愛。2P懸垂してR2に降り、池
        の谷左俣を三の窓にあがり、池の谷ガリー経由で20時過ぎ、BCに戻った。


   22日(土)霧時々雨強し 停滞
        朝から天候が悪い。予定では源治朗尾根下部中央ルンゼから成城大だが、中
        央ルンゼ一本に絞り、しばし天気の様子を伺うが、時折、激しく雨も降り、
        ルンゼは論外、Y峰フェースもわざわざ濡れにいくのも何だどいうことで、
        久々の夏の完全停滞となる。
        生野菜にテフロンフライパンがあったので、竹田さんと二人、延々と料理を続
        ける。森君はひたすら食べつづけた。
        ・蒸かしたジャガイモに醤油マヨネーズ、
        ・ジャガベーコン、
        ・ゆでインゲン、
        ・五目御飯ベースの豪華すし太郎、
        ・たまねぎとベーコンをじっくり煮込んだスープ2回戦、
        ・さらにこれをベースにした洋風煮込みうどん、
        ・ホワイトソースの素を、炒めベーコン、マカロニにかぶせて焼いたグラタン、
        ・最後は豚角煮ベースに残りのジャガイモを加えて煮こんだ肉ジャガ

   23日(日)源治朗尾根〜本峰〜別山尾根経由〜室堂下山
        源治朗尾根上部から剣を越えて下る廣川、森と梯子谷経由で山菜を取りながら
        下る竹田の二組に分かれることにする。
        のんびりと7時に出発
        熊の岩からトラバースして尾根に出る。頂上には雲がかかっているが、雲は流
        れており、晴れそうだ。8時15分、ところどころの易しい岩を登り頂上着。
        のんびり休んでいると、晴れ間が見える。
        別山尾根は良く整備されていて快適。前剣、一服剣と下りながら越える。雲が
        切れ、どんどん展望が開ける。
        最高の下山日よりに足取りも軽い。剣御前からの下りで短パン、Tシャツに着替
        え、途中から雪渓をグリセードもどきでかけおり、13時過ぎ、室堂下山。
        
        梯子谷乗越経由の竹田氏は山菜を追い求めているうちに、通いなれた道を外れ、
        二股方面に下りてしまい2時間以上ロスしてしまったとかで、扇沢で大分待たさ
        れたが、真砂近辺の雪渓の際でしっかりとウドをゲット。
        大町、薬師の湯そばの大野氏山荘で大野氏家族と合流、ウドはしっかりと天プラと
        なって夕餉を飾ってくれた。
        
                                          以上


廣川さま、やまね@やまびとノマドと申します。 剣尾根の下半について。 昨年の我々とほぼ同じ日に、同じルート(剣尾根完全登高)をたどられたようですね。 なんだか面白いです。珍しいヒトビトがいるんだなぁ〜。(失礼) まだACMLのホームページに記録が残っていたかもしれません。お笑いに読んでみて 下さい。 ke-hirokawa@kdd.co.jp さんは書きました: >        R4は良く分るが、以降、どれがどれだか良く分らず、結局、計画通り、 >        末端近くから忠実に登ろうとほぼ二股が見渡せるところまで下り、 >        R10と思しき、曖昧な右上するガリー状から草付を登って尾根上に出た。 我々は池の谷から登ってきて、R10から取り付くつもりで、同様に末端から取り付いてしま いました。R10は実際はずっと上で、コルEも相当上の方みたいです。 尾根はすばらしい日本的藪ですが、ところどころ腐ったスリングとか、踏み跡がありますね。 すんごい糠蚊でした。 >        見た限り、尾根が急な部分もありそうで、ハーネスを着け、足元をフラット >        ソールに履き替え、いつでもアンザイレンできるように準備してから登り >        始める。 あそこをフラットソールで登ると、足が蒸れそうですね。。。 >        小さなコルから左上する草付きバンドを上がった先、足元がすっぱり切れ、 >        露岩を5mほどトラバースする部分、2歩ほど悪くアンザイレンする。ロー >        プを解き、再び、胸をつく急な草付きを登っていく。 ここ悪いですよね。ザイル出しました。足下がすごく切れていて、しかも体勢が悪い。          >        こんな登りが続くのはいやだ、いやだなあと、思いながらしばし行くと、 >        明るくひらけた20mほどのフェースが現れる。3級ほどだが、アンザイレ >        ンする。岩場は藪がないので快適である。 フェース手前がコルEです。 コルEは、すこし下方の西側に快適な天場が隠れていて、ここで一泊して抜けました。 >        コルBで17時、上部は易しいのであと2〜3時間で抜けられると思うが、 上半は3時間ほど見ておいたほうが良いと思います。脆く、しかも落ちるとアブナイので、 意外に時間がかかります。 この時期の剣尾根って、気持ちいいですよね。背中に富山湾を背負うクライミングは 最高です。

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