中山尾根・阿弥陀岳/北西稜

童人トマの風/関口理行、柴田修


<山行日> 2000年4月8日(土)〜9日(日)<記録> 柴田修



 柴田@童人トマの風です。

 先週末アイゼントレを兼ねて八ヶ岳の中山尾根と阿弥陀岳 北西稜に行ってきました。雪はまだ結構残っているのですが、人はまばらで両日とも 天気良く静かで暖かな春山でした。

4月8日 中山尾根

 行者小屋脇に関口氏の夏テントを設営後、中山乗越から中山尾根取付きを目指す。 樹林帯にはトレースがある上雪も概ねしまっていて歩きやすい。下部岩壁は右下から バンドに上がり左上。20mくらいで右の壁にビレーポイントがあるがそのままロープ 伸ばし左に回りこんだ後右上の凹角に入る。岩壁にアイゼンのフロントポイントの形 そのままにスタンスが残っているを見て登っている人間の数の多さがしのばれる。潅 木でピッチを切る。ここで一旦ロープを仕舞い上部岩壁へスタコラと進む。

 上部岩壁はいろいろルートがありそうだったが右手の浅い凹角左側のフェース状を登 る事にする。下部岩壁に比べて多少細かい。ここを真っ直ぐ上がると小テラスで右側 にビレーポイントらしきシュリンゲの束あり。そのまま凹角を登ると徐々にかぶり気 味になるので最後は腕力で左に乗り越し、あとは凍った草付きをビレーポイントまで 歩く。3−4ピッチ目は草付まじりの緩い岩稜を登ると「冬期クライミング」の裏表紙 の写真に使われているピナクルに出る。ここからバンドを右にトラバースして縦走路 に出て終了。カモシカがのんびりと地面をなめていた。地蔵尾根から行者小屋へ。春 山は日が長いので助かる。

4月9日 阿弥陀岳北西稜

 前日行者までの道すがら確認した分岐を経て北西稜へ。北稜と北西稜の間の沢を途中 まで登り、デブリが現れだした辺りから右にトラバースし、北西稜に出る。先行パー ティがちょうど登り始める所だった。我々もここで登攀具を付けロープを出す。とこ ろどころもろい岩のリッジをツルベで進む。残置ピンは結構あるが使えないものもい くつかある。既に時は春、岩もところどころ不安定になっていて気を使う。下を見る と確かにさかなの背ビレみたいで美しいリッジになっている。

 5mの垂壁を越えてしばらく行くと核心の第2岩壁。トポによるとアブミを使い越える という事だが、アブミはもう長い間使った事がなかったので出来ればこのピッチの リードはしたくないと内心思いつつ登ってきたが、順番の巡り合わせで自分のリード になってしまった。下からルートを観察し一旦は右のチムニークラックに登ろうとす るが、やはり先行パーティ同様正面のフェースから越える事とし、バンドを左に戻っ た後は残置シュリンゲを利用しながら核心まで登り、ここで一旦ロープに体重を預け て休ませてもらう。多少モタモタしつつ何とかアブミを2つ掛けて出口まで到達する が出口のホールドはわりと細かく最後はミトンを脱いで素手で出口を抜け、傾斜の落 ちたフェースにアイゼンを慎重に立ててゆっくり登りビレーポイントに達する。ヤレ ヤレ。この後はロープ無しでも行けそうだったが念のためロープを出し続け3ピッチ で御小屋尾根上部に合流。阿弥陀岳頂上で最近定番にしている昼食のコロッケを食べ た後は行者小屋に一目散に下る。

 静かなそして春うららかな八ヶ岳の週末でした。美濃戸まで後わずかのところで今 シーズンの八ヶ岳はこれが最後かな、ともう一度振りかえったら阿弥陀が「またね」 と挨拶をしてくれたような気がしました。


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