仙丈岳/尾勝谷本谷左俣〜戸台川舞姫の滝

はりま山岳会/山岡人志、竹谷大介、松垣直宏、


<山行日> 1999年12月28日(火)〜2000年1月1日(土)<記録> 山岡人志



 みなさん、こんにちは 山岡@はりま山岳会(兵庫労山)です。

 年末年始の山行報告をいたします。 冬期の資料のない谷に行ってきました。 (廣川さん、情報ありがとうございました。)

 クランポンに関して我々もふたつトラブルがありましたので 最初に報告しておきます。ひとつは、シモンマカルースピー ドの靴先にひっかける留め金の部分がクライミング中に「ま た」破断したことです。もうひとつは、やはりシモンのモノ ポイントクランポン(ピットブル)がコフラックのブーツに フィットせず、歩いている途中ではずれたことです。前者の ために我々は継続登攀をあきらめました。後者は、プラスチ ックブーツのほうを暖めたナイフで削ってうまくフィットす るようにできました。


山域  :南アルプス
ルート :仙丈ヶ岳尾勝谷本谷左俣〜戸台川舞姫の滝
メンバー:山岡人志(リーダー、41歳)、竹谷大介(25歳)、
     松垣直宏(29歳)(はりま山岳会)
行程  :
12月 28日(火)夜中に車で着き、戸代大橋手前の尾勝谷出合いで仮眠
   29日(水)出合い------林道終点-----1815 m, F1-----1945mテント場
        7:40         8:45      12:30                14:00
   30日(木)1945mテント場---F2----F5----F7----2685 m テント場
                       6:40          6:45   7:50  11:20    15:50
   31日(金)2685 m テント場---5合目一般道-----北沢峠---丹渓山荘
                               8:00              10:00
11:00      13:20
01月01日(土)丹渓山荘----舞姫の滝----テント場-------戸台
         6:40     7:30~11:40   12:00~12:20     14:20
 尾勝谷は、途中から分岐している塩沢は数年前に廣川健太 郎氏らにより登られガイドブックにも書かれている。本谷は その奥に位置し、仙丈ヶ岳に突き上げる尾勝谷本谷左俣のほ うは資料が冬期に関してはまったくなかった。廣川氏に直接 メイルで問い合わせたが、やはり資料はないとのことであっ た。従って、2万5千分の1の地図のみがたよりで、果たして どんな滝があるかは全くわからなかった。傾斜から考えて全 く滝がないことはないだろうとは思って入山した。

 尾勝谷出合いは、橋の入り口と橋を渡ったところの2カ所 に鎖がかかっていた。手前の鎖は簡単にはずせたが、後のほ うはとてもはずせない。しかし、鎖を持ち上げたらなんとか 山岡のCR-Vは通ることができた。とりあえず、みんなで林 道終点まで車で行き、荷物をデポして引き返し、空荷でデポ 地点まで歩いて行った。林道終点からは谷に降りていき、そ こから川を遡行する。1600 m付近までは誰かが歩いた跡とテ ープ等があり、それに沿って行くことができた。そこから先 はトレースらしきものもマーカーも全くなかった。お昼頃に 右俣、左俣、そしてもうひとつの沢が分かれる三俣に到着す る。左俣を選んで少し行くと、最初の滝F1が現れた。そこか らさらに上を目指すが、あまり登ると傾斜は増すばかりでテ ント場がなくなるので早めに行動を切り上げる。

 2日目がアイスクライミングのメインでこの日のうちに最 後のF7を過ぎ、稜線まで上がることができた(最後のクライ ミングデータを参照)。しかし、クライミングの途中で松垣 のクランポン(シモンマカルースピード)の靴先のこばにひ っかける金具が破断してしまった。なんとか応急処置をして 稜線までもたせたが、以後予定していた甲斐駒の岩への継続 登攀はあきらめなければならなかった。

 岩の代わりにクランポンの貸し借りでかんとか登れそうな 戸台周辺の滝へと向かうことにする。舞姫の滝はF3がつなが っていたので、ここを登った。

 尾勝谷本谷左俣は氷結状態は○。思ったよりは技術的にや さしい谷であった。戸台の舞姫の滝は昨年の正月はF3がつな がってなかったが、今年は、一応つながっていて登ることが できた。


[尾勝谷本谷左俣のクライミングデータ]

グレード:ルートグレードIV級マイナス、2泊3日
                 (最難ピッチグレードIV級)
     F1~F7の高度差、約350-400 m
                    F1~稜線までの高度差、約900 m
ルート :F1 (20 m, III級) 1815 m地点
     F2 (10 m, II級) 1965 m地点
                    F3 (3段60 m, II+級) 2040 m地点
                    F4 (20 m, III級) 
                    F5 (50 m, IV級) 2110 m地点
                    F6 (15 m, III級) 
                    F7 (35 m, III級) 
     (標高はおおよその値)
入山口 :尾勝谷本谷出合い(戸台大橋の手前)。林道を上がって行き、林道終点から沢に入る。
下降  :我々は稜線まで出てから仙丈ヶ岳の一般道の5合目までトラバースして北沢峠経由で下山。
時期  :F7の上部は長い雪壁になっておりここに雪がたまると雪崩の危険性が高くなるだろう。
     雪の少ない年末〜1月の時期が良いかと思われる。
ギア類 :アイスピトン8本程度(我々は10本持っていった)。
          ブッシュは少なく、確保はアイスピトンがメイン。
          我々は、F1, F5, F7のみロープで確保しあった。
          使用ロープは9mm, 50 mダブル

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