2018年 若松倫夫の植物画カレンダー絵のコメント
 
表紙
オオカンザクラ(大寒桜)
バラ科[Prunus speciosa] 新宿御苑
 寒桜から少し遅れて咲きますが、のびのびと拡げた枝も花もなんとなく品が良くて好きな桜です。個展「桜」のための植物画として描きました。元になる写真を撮ったのは新宿御苑桜園地、2016.3.25です。
1月
(西洋)サクラソウ
サクラソウ科[Primula malacoides]
 アトリエ教室のデモ用に、前日に鉛筆デッサンだけ。凹凸の多い葉や蕾群をやや克明に描き、彩色ではさほど筆を重ねない計画。デモは説明しながら彩色。短時間ですますためポイントになる部分だけにし、完成は翌日にしました。この花は2015年にも使いましたが、別の絵です。
2月
シュゼンジカンザクラ
バラ科[Prunus×kanzakura 'Rubescens’] 新宿御苑中の池岸 2015.2.11撮影
 この時期は寒桜系以外には桜が少ないので、新宿御苑では中央のレストハウス下の池淵にあるこの修善寺寒桜が人気です。風景画としてはよく描きましたが、植物画は初めてです。
3月
クリスマスローズ
キンポウゲ科[Helleborus orientalis] O邸
 植物画アトリエ教室の題材としてOさんがご提供。持ち帰ってみて見事な花だとあらためて気づき、描きました。花びらのように見える部分は萼ですが、この色が緑から赤紫に次第に変化するところに魅力を感じました。
4月
ワスレナグサ
ムラサキ科[Mysotis scorpioides] JA東京あおば
 教室のみなさんが上達し、やや難しい題材も‥と考え選びました。細かい花をたくさん描くこともさることながら、空色の鮮やかな花びらを水彩で表現するのはなかなか難しかったです。花びらの周囲の背景を一段暗くすることで目立たせてみました。   
5月
アジサイ・ダンスパーティー
アジサイ科[Hydrangea hybrida 'Dance Party'] Sさん持参
 いままで新種のアジサイは敬遠してきましたが、妻へ親友から見事な贈り物。今回ばかりは描かねばと思い、夕食後デッサンを始め部分彩色、翌朝に仕上げました。装飾花は花びらを一枚いちまい描き、中央にある細かい両性花はおおざっぱに描写しました。もし同じように細密に描いたら絵がくどくなると思うからです。
6月
ジューンベリー
バラ科[Amelanchier canadensis] K邸
 妻の友人のKさんが、お庭のこの魅力的な赤い実の枝をご持参、二人の会話の脇で鉛筆デッサン開始、夕食後に彩色、完成させました。
 実の色が多様なことが嬉しく、葉はシンプルながら軸が独特の曲線をなすことも楽しめました。Kさんによれば5月に咲く白い房状の小花も、とても可愛いいそうです。
7月
ビワ
ヒユ科[Celosia cristata] 我家窓下庭木
 Iさんから毎年、美味しいビワを頂いていましたが、その種をベランダに植えてみたところ芽が出てすくすく育ち、幾度か大きな鉢に替えた後に窓下に地植え、木は大きくなり続けるも花は付かずに過ぎました。ところが、Iさんが急逝された後の3年前、初めて花がつき、実もたくさん成りました。味はあの美味しいビワにはほど遠いですが、鳥たちには大好評。植物画の題材として活躍中。
8月
ヒマワリ
キク科[Helianthus annus] JA東京あおば
 ホーム植物画教室に私の到着がかなり早く、体調を崩しお休みの生徒さんも多かったので、みなさんが描き始めるまえに私の鉛筆描きが終わっていました。色塗りのデモの後皆さんが描き進める間に彩色、教室終了までに完成しました。この花は2012年にも使いましたが、別の絵です。
9月
モモ実
バラ科[Prunus persica]
 植物画の枠を超えた水彩画らしい描き方にも挑戦しています。グリーンテール教室に画用紙の四隅を厚紙にテープ貼りして持参、にじみ・ぼかしを活かして描いていただき、みなさん予想以上に良い結果でした。
10月
シュウメイギク
キンポウゲ科[Anemone hupehensis var. japonica] Nさん
 アトリエ教室で、まだこの花を描いたことがないと話していたら、Nさんが友人からいただいた花をご持参されました。教室の翌日に描いた絵です。
11月
シイタケ
キシメジ科[Lentinula edodes (Berk.) Pegler] 群馬産
 花の無いときの植物画講習の題材として好適。夜更けてから描きはじめ、当たりもつけずにいきなり3Hの鉛筆でスケッチ。彩色は翌日になりましたが、時間に余裕があったせいか、ちょっと描き込みすぎかもしれません。
12月
ジュリアン
サクラソウ科[Primula juriana] JA東京あおば
 歳とともに細かいものが見にくくなり、緻密な描き方は困難になりますが、それでも絵を描きつづけたい方にお勧めする描き方として、鉛筆デッサンをせずに、いきなり筆で描いていきました。