この門構えは「長屋門」と祢され、宇治茶師の家の独特の建築物である。
元禄11年の宇治の大火災で類焼後再建されたもので 250年余の年月を経ている。
門は欅材を使用しており、もとは出入口の両脇に 部屋があったが、大正3年に大修理されたとき、 東側の長屋がひどい痛みで取り壊された。
昭和52年より約1年間の工期で当時のまま
修復、「宇治・上林記会館」の展示場とした。
現在は間口25間、面積は14.3坪で2階建で
ある。 貞享2年(1685)刊の「京羽二重」によると、おなじ長屋門
をもつ茶師は、宇治橋筋だけでも9家の名がみられ、周辺を加えると
16軒に及び、当時の宇治橋近辺には門構えが軒を連ねて
いたことが想像される。
明治以降、つぎつぎとその姿を消し、町並みの景観も変貌した。
いま、かつての町のおもかげを偲ばせるのは、唯一この構えのみとなった。