〃春せうは 値千金の御茶師哉 冥之〃
古田織郡のもとで茶会があった。濃茶をたててだすと、客が
「この御茶師は誰れであろう」とたずねた。
「上林春松の雲切である」と答えると、その客は
「今朝の茶は別してかたじけなかった。”春宵一ぷく値千金”」としゃれたという話が、安楽庵策伝の著した「醒睡笑」に書かれている。
「醒睡笑」には、その客の名は記されていないが、この短冊がのこっていることをみるとその時の客は沢庵和尚であって、沢庵はさっそくこの狂句をしたためて贈ったのではなかろうか。
「冥之」は沢庵の別号である。
ティーポットコメント:
野暮を承知で解説を付け加えてしまいます。^_^;;
古田織部は織部流茶道の祖です。織部焼は彼の指導/奨励によるものです。
沢庵和尚は沢庵漬の草案者といわれています
(説明になっていませんね :-)
上林春松は「かんばやししゅんしょう」と読みます。
和尚は「春宵(しゅんしょう)一刻価千金」をもじって、
「春松一服値千金」と洒落たということです。
短冊の文字が「春せう」としてあるのは、このためでしょう。