北西地区

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どぶ板通り


リルカ:「いわゆる貧民街ってやつがここ。私が昔住んでいた場所です。昔っていっても、一年くらいしか経ってないけど。……この辺は貧民街の中でもましな方で、のこのこ路地裏に入っていっても、せいぜいスリとか恐喝くらいで済むことが多いです。冬でもそんなに死体は転がってないし、なかなか住みやすい場所でした。子供が家の隙間で寝転がってるのも、だいたいこの通りです。結構、子供たちの間じゃ連帯感が強くて、ギャング相手の対策とか、独自の情報網とかもあります。……大人には絶対教えないけど。……だって、そうしないと生きてゆけないでしょ?」


集団

バッド・ベイビーズ

 スラムで力を合わせて生活している子供だけの集団で、長い間放置されている運河わきの長屋にみんなで住んでいます。探偵の手伝いなどをしているはしっこい連中で、地下ネットワークの一員でもあります。

 

・ナビーユ(男、15歳)
 金髪を短く刈り込んだ少年で、個性的なメンバーを上手くまとめているリーダーです。とても押しが強い性格で、時にはにっこり笑って無理難題を押しつけることがありますが、本人はそれ以上に無茶な仕事を引き受けているため、仲間たちは誰も文句が言えないようです。
一言:「まあまあ、とりあえず落ち着こうよ」

・メイナ(女、15歳)
 メンバーの稼ぎ頭で、普段は旅行者や酔っぱらいを相手にスリを働いています。いつもこきたない格好をしていて、口がとても悪く、しかも痩せすぎで胸がほとんど目立たないことから、初対面の相手はまず間違いなく少年だと思ってしまいます。
一言:「胸がなくて悪かったな!」

・イヴリオン(男、14歳)
 赤人の少年で、美しい容姿を武器に情報を集めています。特に歓楽街のお姉さんたちには大人気で、街を歩いていると必ず声を掛けられます。口が達者で、歯の浮くような台詞も平気で使いこなします。
一言:「まあ、これも一種の才能かな?」

・ブレア(男、14歳)
 メンバーの中でもひときわ体の大きい少年で、普段は荷物運びなどで日銭を稼いでいます。気は優しくて力持ちの典型で、何かと年下の子供たちの面倒を見ています。ちょっとデリカシーに欠けるのがたまにきずであり、ときどき余計なことをして女の子たち(特にメイナ)を怒らせることがあります。
一言:「俺が悪かったよ。だから、機嫌直してくれよ、なっ?」

・パレット(男、13歳)
 あまり口を開かないおとなしい少年で、教会の手伝いをして食事を貰ってきたり、地道に働いていることが多いようです。普段は誰よりも穏やかなのですが、一度キレると何をするかわからないといった面も持ち合わせており、時には信じられないような事件を引き起こすこともあります。
一言:「だって、カッとなると本当にわけがわからなくなるんだ……」

・ベルナモ(女、12歳)
 口やかましい賑やかな女の子で、きれいな亜麻色の髪を三つ編みにしています。とても身が軽く、色々なところに忍び込んで盗みを働いたり、情報を集めたりしています。
一言:「うるさいってなによぉ、あたしは別に不用なことを喋ってるわけじゃなくて、必要だからこそ話してるんだからね……って、ちょっと、聞いてるの?」

・マハ(女、11歳)
 もとは旅芸人一座にいたのですが、厳しい仕打ちに嫌気がさして逃げ出してきました。その経歴から芝居がとてもうまく、普段は旅行者の同情をひいて小銭をせしめたりしています。将来は女優になることを夢見ていますが、黄人の血が混じっており、鼻が低いことを気にしているようです。
一言:「洗濯バサミでつまんだら……無駄か……」

・セイン(男、10歳)
 はしっこい黒人の少年で、幼いながらも機転のきく子供です。普段は下水道を走り回り、地下ネットワークの連絡役をつとめています。嘘が上手で、彼に騙された警察官などは両手の指では数え切れません。
一言:「騙される方が悪いのさ」

・アスティー(男、8歳)
 メンバーの中では最年少で、甘ったれの子供です。ナビーユの弟で、兄の服の裾につかまりながら後をついて回っています。大事なところでよく口をすべらせ、メンバーを苦境に立たせることもあります。
一言:「兄ちゃん、僕は何をすればいいの?」


 


人物

ミュール=メリック

種族:白人   性別:男    年齢:16
職業:ギャング   出身:アイリストール

解説:病気の弟のためにギャングに入った少年で、今のところは雑用係です。彼は現在の仕事を決して良いことだとは思っていませんが、薬を買うために仕方なく汚れ仕事を引き受けています。しかし、麻薬の密売をさせられるようになってからは、どうしても迷いを払拭できなくなり、弟を連れてどこか違う街へ逃げようかと考えはじめています。

一言:「正義なんて……どこにもないよ」

 


 

 

首つり街


リルカ:「いわゆる罪人街というやつで、刑務所あがりの大人たちがとりあえず押し込められる場所です。市で最も危険な場所で、何かあったとしても入り込んだ人の責任です。警察だって入ってこないし、自分の身は自分で守るしかありません。結構、縄張りにはうるさくて、それなりに上下関係とかあるらしいです。その辺に気をつけないと、路地裏に転がったまま二度と立ち上がれない体になっていることもあるわけで……まあ、とにかく近寄るなってことです」


人物

クライン=クロンダイク

種族:白人   性別:男    年齢:45
職業:無職   出身:クラッサス

解説:金銭上のトラブルで親友だった男を殺し、妻と子を置いてこの街へ逃げてきました。そのことを悔いていますが、かといって故郷に帰る勇気もないまま、酒に溺れて日々を過ごしています。普段はまったく自分のことを話そうとしませんが、酔って前後不覚になると、ときおり過去のことを漏らしてしまうことがあります。そのため、事件のことはギャングたちに知られてしまい、それにつけ込まれていろいろな仕事をさせられています。

一言:「近づくな。……しょせん俺は人殺しなんだ」

 


 

 

暗黒街


リルカ:「ギャングたちが支配している町で、表通りには組織が経営している酒場とか娼館とかが並んでいます。きれいなお姉さんがちょいやばめのフロアショーやったり、街角に立ってお客に声をかけたり……いわゆる子供の教育には絶対によくない町ってやつですね。それでも、ギャングに逆らわない限りは、そんな危険な目に遭うことはありません。ただし表通りに限りますが。裏手はブラック・マネージメントの温床で、麻薬なんて小麦粉より手に入れやすいぐらいですから、素人さんが行く場所じゃありません。特に女の人はご用心。よく人が消えますから。ところで、乞食ギルドの長が町のどこかにいるっていう話ですが、スラムあがりの私もさすがに居場所まではよく知りません。実はギャングのボスと同一人物だっていう噂もありますけど、あんまり信憑性ないです」


名所など

乞食ギルド

 乞食たちがつくっている独自の情報網で、他のどんな組織よりも早くて正確な情報が手に入ります。ただし、盗賊語でアプローチしなければならないので、まっとうな人間には関係ないですけどね。

ハンスの入墨屋

 もとより海の国として繁栄してきたこの国では、水死体の身元を明らかにするという目的で、水夫たちが入墨を入れていたんですが、いつの間にかファッションに変わってしまいました。ハンスの店はデザインセンスがいいということで、なんか人気があるみたいです。冒険者がハクをつけるために入れることもあるようで……実力で目立てばいいのに……。

紫の水晶花

 娼館の1つで、キレイどころが揃ってるんで商売繁盛してるみたいです。結構ぼったくるんで気をつけて下さい。でもまあ、ギャングがやってる店だから、誰も文句はいいませんけどね。

失われた路地裏

 いわゆる異世界というやつで、幽霊たちの住む町みたいです。でも、彼らは人間を襲うことなく、彼らなりに自由に生活しているのだとか。月のない夜にどこかの小径から入り込めるらしく、朝になるとふと道を歩いている自分に気づくようです。……迷惑な話です。


人物

テオドア=ナルフィシス

種族:白人   性別:男    年齢:57
職業:ギャング   出身:アイリストール

解説:暗黒街のボスとして君臨する人物で、その非情さで万人に恐れられています。部下のミスは絶対に許さず、時には死をもって償わせることもあります。一見その手口は豪快に見えながら、実は知恵の回る用意周到な男で、何らかの行動を起こす際には、警察の上層部や政治家に必ず手を回しています。

一言:「そうか……ならば、死ね」

リネファ=リュンカー

種族:白人   性別:女    年齢:27
職業:娼婦   出身:アイリストール

解説:三日で愛を忘れる女と呼ばれており、どれほど彼女に愛情を傾けたとしても、それが報われることはありません。何かをプレゼントされたとしても、それは当然のことだと思っています。彼女が気にしているのは自分の美しさだけであり、他のことには目もくれません。現在はテオドアの愛人となっていますが、彼にわがままを言えるのは彼女だけだと言われています。

一言:「あなたは何をくれるのかしら?」

犯罪警察官 ライソン

種族:白人   性別:男    年齢:25
職業:警察官   出身:アイリストール

解説:警察官という地位にありながら、ギャングから賄賂を受け取って、犯罪行為を見逃しています。また、国家権力をかさに着て、チンピラや子供たちから金を巻き上げたりもします。しかし、このように金に執着するのには理由があります。彼は平民通りに住んでいる大勢の家族を養わなければならないのです。家に帰れば、弟や妹たちには優しく、親孝行な息子です。表向きは嫌な人間ですが、普段は汚職警官を演じているだけなのです。

一言:「金がなけりゃ、食えねえだろうが……」

 


 

 

黒羽根通り


リルカ:「新興の商店街ってやつで、食べ物屋が多いからやたらとカラスが集まってきて、それで黒羽根通りってわけです。ここのカラスはけっこう凶暴で、子供の手から食べ物をかすめとるぐらいじゃ済みません。ぼけっとした顔で歩いてると、いきなり顔に飛び掛かってくることもありますから、上にはくれぐれも注意した方がいいです。でも、上ばっかみてると懐が危ないので、その辺は泣かない程度にどうぞ。私も結構稼がせてもらったので、カラスたちにはそれなりに感謝してます。だからといって、分け前をやる義理もありませんけど」


名所など

カラス広場

 どこもかしこもカラスだらけで、やたらとうるさい広場です。きっと日曜でも、人よりカラスの方が多いんじゃないかと……そんなわけで、この辺で屋台を開いてる人は、カラスが与える損害は計算の上で商売してます。それでも死なずに生活できているんだから、うらやましい話ですね。

化け猫屋敷

 猫好きの老婦人が住んでいるお屋敷で、この一帯にはカラスが近づかないので、近所の人々には重宝されています。春になるとえらい騒ぎですけど。

屋根の上の黒猫亭

 化け猫屋敷の近くにある酒場で、ホントに屋根の上に黒猫がたむろしていて、ときどきカラスと戦ってます。なんか、自家製のアヤメ酒をつくってますけど、税金がどうとかぼやいてました。どうでもいいけど、ちょっとはひねれよ店の名前って、思わずつっこみ入れたくなりますね。


人物

セルナ=フォーレンス

種族:白人   性別:女    年齢:64
職業:無職   出身:アイリストール

解説:化け猫屋敷に住んでいる老婦人です。他に身寄りのない彼女は、夫を亡くした後、広いお屋敷に1人で暮らしています。心優しい女性で、捨て猫を見つけると拾ってこずにはいられません。もしかしたら、独りぼっちの自分の境遇と重ね合わせているのかもしれません。また、ストリートチルドレンに施しを与えたり、時には家に連れてきてご飯を食べさせることもあります。そのため、子供たちには「猫のおばあちゃん」と呼ばれて親しまれています。

一言:「ああ、可哀想に……さあ、家へおいで」

クルメル=ウェルチ

種族:白人   性別:女    年齢:18
職業:ウェイトレス   出身:アイリストール

解説:酒場で給仕係をやっている娘で、元気だけが取り柄です。周りを気にせず豪快な食べ方をする女の子で、大食いだけどスリムな体型を保っています。しかし、これにはわけがあって、実は体内に変異虫が潜んでいるのです。そのことは本人も気づいておらず、特に何もなければこのまま無事に一生を終えることができるでしょう。噂話が大好きで、よく仕事を忘れてお客とおしゃべりしています。

一言:「そうそう、こんな話があったのよ……」(←これが出ると、あと1時間は続きます)

 


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