先史文明


 


○位置づけ

 先史文明というのは、大変異現象が起こる以前に存在したと呼ばれる文明のことで、科学魔道文明と呼ばれることもあります。これに対して大変異現象以後のものは、旧王朝と呼ばれるようです。先史文明に関する知識というのは、一般的には殆ど公開されていない分野です。これには幾つかの理由があります。
 まず、先史文明は非常に高度な科学技術を用いていたらしく、まれに先史文明の発掘品が見つかることがありますが、エルモア地方の科学力では一切解析することができません。ですから、専門家でさえこれらの知識を体系的に把握しているわけではないのです。また、発見されている物品も殆どないというのが実状であり、その殆どが軍などの研究機関で秘密裏に解析されているところなのです。
 それから、これらの発掘品を手に入れるということは、他国より圧倒的優位な立場に立つことを意味します。特に先史文明の兵器であれば、軍事力で一躍トップに躍り出ることができるでしょう。つまり、先史文明の知識というのは、国家機密ともいえるべき情報なのです。一般社会にこれらの情報を不用意に漏らすということはありませんし、大学やその他の研究機関で解析を行うとしても、ほぼ確実に国家が介入してきます。もちろん、その方が研究する側にとっても資金面や安全面で有利となりますから、断るということはまずあり得ません。他国のスパイが研究成果を狙っていることは間違いなく、研究成果を盗まれるだけならばともかく、誘拐されたり時には殺されたりすることもあるのです。
 先史文明に関係する話というのは、非常にデリケートなものです。現に、霊子機関の父と呼ばれたコルフト=カートランドも、何者かによって暗殺されたという話があるくらいです。GMもこれらをシナリオに用いる場合は慎重に取り扱って下さい。


○駆動力

 先史文明の発掘品というのは、霊子機関と同じく霊子物質を用いて稼働します。それ以外の燃料では絶対に動くことはありません。なお、精神耐久値も霊子エネルギーで量を換算することができますが、これによって動く機械というのも先史文明では作製されておりません。

・タイプ
 発掘品にも幾つかタイプがあり、霊子物質を補給するような燃料漕がないものも発見されています。こういったものは、どのように使用するか知られておらず、解析の対象にしかならないようです。しかし、同様の仕組みのものでも、しばらくは稼働していて後に動かなくなるようなものも存在します。こういった品々の場合は、どこかに固定して利用するような大型のものが多いようです。逆に小型のものには、燃料漕が付属していることが多く、霊子物質を添加してやることで動かすことができます。

・場所
 燃料漕のない機械は、特定の場所でのみ駆動する可能性があります。しかし、エルモア地方の人間は、なぜそのような現象が起こるのかを解明する知識はありません。ですから、まったく偶然に作動するのでもなければ、現象そのものに気づくこともないでしょう。実際に、このような現象によって発掘品が駆動したという記録も存在しません。


○遺跡

 発掘品は遺跡から発見されるのが普通ですが、これは旧王朝の遺跡とは構造が全く異なります。一般的な構造は、我々の世界のビルのようなものと思っていただいて構いませんが、用いている材質が大きく違うこともありますし、また、仮想空間を利用した通路のようなものが隠れている場合もあります。

・機械
 これらの建物に仕掛けられている機械は、殆どが稼働しない状態になっていたり、変異現象の影響によって機能を大きく歪められてしまっています。また、霊子機関のような駆動力を用いて開閉していた大扉などがあったとしたら、それは蒸気機関などの動力を利用しても動かすことはほぼ不可能と考えてよいでしょう。未知の金属壁に守られている場所は、強固すぎてエルモア地方の技術では全く歯が立ちません。

・危険
 それから、遺跡の中には変異体が住み着いていることもありますし、未知の怪物に守られているような奇妙な場所もあります。いきなり紋章のような模様から竜が現われ、発掘隊の殆どを一瞬にして殺害したという話も残っています。不思議なことに、この竜はある扉の前にのみ出現し、離れた場所にいた隊員には目もくれなかったということです。


 このように、先史文明の遺跡はオーバーテクノロジーと変異が複雑に絡み合った魔宮であり、知恵や技術でどうにかなる代物ではありません。実際、霊子機関の発見にしても十分な時間をかけた調査と、何より多大なる犠牲の上に成り立っているものなのです。シナリオで用いるにしても、あまり軽々しく使うべきものではありません。


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