フリスタス


 


○自然

 カナン大陸とファイン=ファウンドのほぼ中間に位置する島で、北のクインティア島、西のキズィリン島、東のグレンデル島の3島に分かれています。寒流と暖流が合流する場所で、気候的にはファイン=ファウンドとほぼ差異はありません。
 東島では霊石、北島では宝石が産出されます。ただし、いずれも量的には決して多くはなく、あと数十年で掘り尽くされてしまうというのが専門家の一致した意見です。


○変異

 西島では、『光輝水』と呼ばれる光を放つ水が川となって流れています。光輝水は特に生物に害を与えることはなく、ビンに入れてランプ代わりに使ったりしています。この光は約1日ぐらいで失われ、残った水は普通のものと全く変わりがありません。なお、光輝水は最後にはエリノラ湖という場所に集まります。


○略史

 早い時期からカルネアの支配を受けました。かつては、この島の原住民であったレプラッド人が奴隷として本国に連れてゆかれ、労役に従事させたりしていたのですが、霊石や宝石の鉱山が発見されてからは、逆にアデン人奴隷がペルソニアから輸送されることとなりました。現在ではほとんどの住人が黒人で、凍土開発に従事させられています。


○制度

 カルネア領フリスタスとして存在しています。領事官として『クローネ伯』が派遣され、この地区を統治しています。


○現況

 もともと本国の干渉の少ない地域ですが、現在は南北間の内戦に従事しているため、ほとんどクローネ伯の独立領として存在しているというのが現状です。地理的な問題から、どちらかといえば北部との関係が強く、この島から輸送される霊石は本国の工業力を支える基盤となっています。


○民族

・ヴァルネル人
 淡い銀色やプラチナブロンドなどの美しい髪で、瞳も銀、金、青、緑などの薄い色をしています。白人の中でも、特に白い肌をもちます。

・レプラッド人(赤人)
 赤銅色の肌に鳶色の瞳、赤茶色の髪の人種です。

・アデン人(黒人)
 黒髪に黒い瞳の黒人です。


○宗教

 奴隷たちは聖母教会に改宗させられていますが、ひそかに昔ながらの民族の神を崇めている者も多くいます。


○産物

 霊石、宝石、魚、雪ジャガイモ、鹿皮製品、ヘラ鹿の角細工、角鯨


○文化・生活

 生活用品の多くを白樺とヘラ鹿に頼っています。家やカヌーなどには白樺を用い、衣服やその他の小物はヘラ鹿の皮や角を加工してつくります。特に白樺の皮でつくられたカヌーは素晴らしい出来で、1人乗りのお椀型のものがよく漁に利用されています。これは皮と補強用のわずかな角材だけで作られているので、かついで簡単に持ち運ぶことができます。変わった使い方としては、下に板を取り付けてソリとして利用することができ、雪の上を走る姿を見ることもあります。
 食事は鹿肉料理が多く、これにジャガイモが添えられるのが一般的です。他にレラ熊という小型の熊や鯨肉などが食べられているようです。


○要所

・エリノラ湖
 光湖とも呼ばれており、光輝水が最終的に行き着く場所です。ここに住む魚は陸上をヒレで歩き、非常に凶暴で人を襲うこともあります。

・テオリスの雫
 キズィリン島の北に位置する光輝水が落ちる滝で、飛び散る雫は虹色の輝きを放っています。夜の展望はさらに美しさを増し、神々しささえ感じさせます。


○組織・集団

・ノースポーリア族(赤人)
 北島の最北に住みついていた部族で、角鯨の漁を生業としていました。一族のすべてが親戚関係にあり、全員がノースポーリアの姓を名乗ります。彼らは角鯨を特に崇めており、その角の先端とビーズで首飾りをつくり、お守りとして代々受け継いでゆく習慣があります。現在は奴隷民となっており、多くはカルネア本国で生活していますが、うまく逃げのびて隠れ住んでいる人々もわずかにいます。

・シャイナー族(赤人)
 エリノラ湖の近くで生活しています。主に漁業を生業としており、白樺のカヌーをつくるのもこの部族です。

・ブライトトゥース族(赤人)
 前歯に刺青をいれる変わった習慣のある一族です。彼らは死者の歯を抜き取り、それを形見として大事にしています。


○人物

・ベクストル=クローネ伯爵   44歳  男
 奴隷制度は肯定していますが、工業を主体とする北部に味方しています。何よりも私欲が優先する人物で、この島の霊石を高く買ってくれさえするのならば、すぐにも南部に寝返るでしょう。

・マヌイ=サッハ   28歳  男
 薬草に詳しいラウドルップ族の最後の生き残りで、山奥の村で1人で生活しています。一族の知識をすべて受け継いでおり、基本的に自給自足の狩人ですが、近隣の村から依頼があれば薬師として腕を振るいます。非常に穏やかな性格で、動物好きの青年です。

・カヤ=ストム   16歳  女
 クローネ伯の鑑賞奴隷です。一族が滅ぼされたことに対してクローネ伯に恨みを抱いていますが、そのことは伯爵も承知しています。彼はカヤが命を狙ってくるのをゲームとして考えており、日々の心地よい緊張感を楽しんでいます。


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