安定成果
エルメラの箱宇宙を利用した実験において、既に確立された製法を用いて安定して作製できる物品です。学会で公開されている技術なので、素材と装置さえあれば問題なく作製できます。ただし、生成される物品は量が少なく、1Lほども成果が得られればかなりよい方でしょう。
・プリマテリアル(万有物質)
錬金系の術法によってつくられる、万有物質とも呼ばれる透明な物質です。通常は純水を基本媒体として作製されますが、出来上がった塊は非常に硬く、そして剛性も持ち合わせています。ただし、同名の術法で作製する場合と異なり、1回の実験で小指の先ほども得られればよい方でしょう。まとまった量を生成するには、かなりの回数の実験を繰り返さなければなりません。
精神耐久値を1ポイント消費すれば、プリマテリアルは望む形態に変化させたり、複数に分割することが可能となります。プリマテリアル製の武器の打撃値および防具の防御値は、既存の数値+2となります。また、武器の修正値は変化しませんが、防具のマイナス修正を2だけ軽減することが可能です。
・万能溶剤
生物、非生物を問わず、全ての存在を完全に溶かしてしまうことができる薬剤です。1つのものを溶かすためには、同じ体積の薬品を必要とします。溶かした後には、どろどろになった残骸が残ります。この残骸はヘテロマテリアルと呼ばれる物質であり、これに他の物質などを混ぜて箱宇宙の中で再合成することで、複合物質を精製することが可能となります。ただし、それが合成可能であるかどうかは、実際に実験してみなければなりません。
・緑麗硝子
霊子エネルギーの通過を妨げる緑色の硝子をつくることができます。この硝子によって、霊子エネルギーを直接ぶつける魔力の矢などの術法を防ぐことも可能です。
・滞空物質
滞空原子と呼ばれる、浮遊能力を持つ原子から構成される黒色塊で、炭素や霊石といったものの粉末などと、白紋岩と呼ばれるブルム内海近域で採取される石を材料として精製されます。これは物質自身とは別に、同体積の水と同じだけの質量を真上に持ち上げる力を持ちます。高度は物質の体積に関係するようで、大きいものほど高い位置に滞空する性質を持ちます。なお、高度を制御できたものは誰1人としておりません。
・ミリエルステラの沈黙水
外部環境のいかなる変化に対しても性質を変えることのない水で、凍ることも蒸発することもありません。その他の性質は純水そのものであり、異なる点は今のところ発見されていないようです。
・純粋銀素
プリベアードの純粋水銀と呼ばれる液状金属で、水銀の完全物質と考えられています。これは完全物質以外のあらゆる金属を溶かすことができる液状金属です。その他の性質は通常の水銀とかわるところはありません。
・電気金属
通電することで性質や立体配列を変える金属を精製することができます。一定以上の電圧を加えなければ変化が起こらず、通電をやめるとその時点での性質を維持するといった特徴を持ちます。
・赤色記憶硝子
ヴィルサラーゼの朱石と呼ばれる宝石で、記憶素子が高圧下で重合した物質と考えられています。幾つかの電気回路を備えた硝子製の記憶筒に光輝水を詰め、その中に朱石を入れておくと、光輝水の発光が続く間に映り込んだ映像を記録してゆきます。撮影時間は朱石の大きさに関係するようで、クルミほどの大きさで約1時間の映像を記憶できるようです。光輝水を新しいものと入れ替え、撮影時とは異なる電気信号を加えることで、水中にそれまでの映像を再現することも可能となりますが、現実世界にある映像機器ほど鮮明な映像とはなりません。また、再生時間が過ぎる度に朱石は少しずつ分解しはじめ、最終的には光輝水に解けてなくなってしまいます。
・アレフリスティンの折硝子
無色透明で単体結晶で、現実にあるレンズよりも遙かに高い屈折率を持っています。これはライヒスデールにある発掘兵器に用いられているレンズと、ほぼ同質のものであるという報告がなされています。また、老朽化すると屈折率が低下し、硝子と同様になってしまうことも知られています。
・メリスクレルの青白金
青白い光沢のある金属で、アルミニウムのように軽くて丈夫な金属です。鉄に比べて加工もしやすいので、錬金術師はこの金属を用いて機器を作製することが多いようです。
・琥珀甲石
琥珀を材料として生成される石なのですが、甲竜の鱗によく似た形に割れることから、このような名がつきました。通常の琥珀と異なる性質を示すわけではないため、装飾としてしか利用しておりません。なお、神秘の夜明け団を名乗る錬金新派の協会では 秘教博士として認定された者には、これで作製したペンダントを授けます。
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単一成果
エルメラの箱宇宙を利用した実験で偶然に生成された物品です。今後、これと同じものが創造される確率はかなり低く、現品のみが唯一の存在となるでしょう。
・マリエラの青水晶
内部に不思議な三次元立体模様を持つ青水晶で、マリエラ・ブルーと呼ばれています。これを透かして生物を見ると、体の表面から放射される不思議な光を見ることができます。この光は体調や感情の起伏によって色や強さが変化するといいますが、変化の程度は微量であるため、錬金術師マリエラ=スパレスは肉眼以外での測定手段の開発に取り組んでいるようです。
・エシリクティディアの腐蝕銀
銀の変換物質なのですが、触れた金属を簡単に腐蝕させてしまう性質を持ちます。しかし不思議なことに、霊子金属には一切影響を及ぼすことはありません。
・ヘリオスの透徹金属
硝子のように透き通って見える不思議な金属で、銑鉄を主要な素材として生まれてきました。この金属は霊子を通した時に奇妙な模様を内部に映し出します。しかし最も不可思議な性質は、霊子を通した状態で透徹金属同士を叩き合わせた時、その発する音が精神に影響を与え、生物を催眠状態に陥れるということです。
これは単純にたたき合わせただけでは駄目で、金属の形状や角度など複合的な要素が関係してきます。これを楽器状に組み合わせた装置をヘリオスの音楽箱、あるいは音律の魔術箱といい、錬金術師ヘリオスは特定の効果を示す音律を楽譜として残したそうです。しかし、装置や楽譜は弟子であるソリディーニュ=ヴィエラの消息とともに姿を消し、現在の所在は全く不明となっています。
・ディエルノゼルの見えざる火
またの名を隠者の火という、エネルギーを与えなくても燃え続ける不可視の炎です。しかし、これは実験の失敗によって生まれたもので、制御できる現象ではありません。フレイディオンの山中で実験を行っていたディエルノゼルは、どのような実験を行ったのかはわかりませんが、制御に失敗して賢者の三角門を爆発させてしまったようです。その中心に生まれたのが隠者の火であり、現在でもこの火は燃え続けているといいます。
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通常成果
エルメラの箱宇宙を用いない実験や発見によって得られた成果です。既に一般に知られている物品も存在します。
○一般
・雷石
火薬のような性質を持つ石で、一定以上の衝撃を与えることによって破裂します。この石には紋があり、それによって爆発の衝撃が向かう方向がわかります。拳銃の銃弾に利用されており、普通に売られている弾丸の中には、火薬製のものと雷石製のものが入り混じっています。
・光輝水
光をため込み、時間をかけてゆっくりと放出することができます。ためこんだ光量は元の半分ほどしか放出できませんが、蓄積するために費やした倍の時間もちます。
・振り子石
1秒間に1回、正確に往復する不思議な石があります。この石は『正しき瞬きの石』とも呼ばれており、時計の振り子などに利用されています。しかし、これは非常に小さなものしか採掘されず、そのエネルギーを何かの機関として利用することは殆ど不可能です。そのため、時計塔などの大型のものには使われず、調整用の基準時計として利用されるにとどまっています。
・真金
霊子エネルギーが通過すると配列構造が変化する霊子金属の1つです。これ以外の性質は通常の金と一切変わるところはありません。霊子機関の基盤の一部に利用されており、これがなければ霊子機関をつくることはできません。
○元素秘学
・ルクリティアルの硝子粉末
硝子凝固材とも呼ばれる粉末で、水と混ぜてしばらく放置すると硝子のような固体をつくることができます。型に流し込めばいかなる形状のものも作ることが可能で、また、非常に丈夫であることから、実験容器などに利用されることもあります。ただし、熱にはあまり強くないので、硝子とは異なる用途で用いられています。
・電気光石
普段はダイヤモンドのように透き通っていますが、通電すると白色光を放つ鉱石で、ランプよりも遙かに明るい光を放ちます。内部に不思議な紋様が描かれているようで、光に透かしてルーペなどで見てみると、うっすらと模様が浮かび上がるのがわかります。
・光電金属
特定の波長の光線を当てると微弱な電流を発する金属です。光の強さや当たる時間の長さによって、電流の生じ方が異なるようです。
・ノジエル鉱石
見た目は黄銅鉱に似た鉱石ですが、検電器を用いて測定したところ、微弱な電流が不規則に生じることがわかりました。もしスピーカーのような機械が開発されれば、この鉱石から音を聞くことができるでしょうが、現在はまだそのことに気づいた者はおりません。鉱石の内部にはルルフィウスの格子と呼ばれる微細な格子模様が描かれており、これは肉眼でも確認することができます。
・メールディラールの不可視雲
クラウドモンスターと呼ばれる異形の怪物を利用して得られる気体です。この怪物を捕獲して高圧状態にさらすと、不可視の気体へと変化します。また、この状態でさらに温度を下げると無色透明の液体となります。これらの液体や気体は強い衝撃を加えると、特殊能力にある威力と同じだけの熱や冷気を放射します。一度使用するとこれらは気体へと拡散してしまうようで、採取して再利用することはできません。怪物へと戻ることもないようです。
・霊子金属
真金と同様に霊子を伝導させ、その際に立体構造の変化を伴う金属が存在します。科学魔道時代にペンタゴニウム、ハニコニウムなどと呼ばれていた金属がこれにあたり、発掘品からも採取することができます。ただし、立体構造の変化といっても、エルモア地方の人間が持つ観測手段で確認できるレベルではないので、真金の判別用の器具を用いなければ、自然状態で採取されても区別することは不可能でしょう。実際、このような金属構造が存在することは、一般社会では知られていません。
・生命金属
生命金、生命銀などの種類があります。プラチナラットの針などは、この生命金属で構成されています。無機物であることは間違いありませんが、有機物と無機物を連結する性質を持っています。もっとも、これ以外の性質は通常の金属と殆ど同じであるため、一般にはこの性質は全く知られておりません。
これらは変異体が体内に含んだり、あるいは餌として利用する金属であり、生物が関与しない自然界の作用では生産されません。変異体の体内で通常の金属が再構成されることによってのみ生成されるようです。
・重力金属(グラビティメタル)
通電した時にみかけの質量が増大するという不思議な金属です。これは現在のエルモア地方では未発見の鉱物ですが、化学的性質は通常のものと変わらないので、一般の金属に混じって流出している可能性があります。
・白結晶
ヴァンヤン島で見つかる、水晶のような形をした純白の結晶石です。実はこれは合成樹脂の一種なのですが、霊子エネルギーを与えることによって立体構造が変化します。結合した状態では、分子同士の隙間に様々な原子や分子を閉じこめることができます。白結晶は珪素が隙間に充填されているようです。
○器具
・ウォーターホルン
純水をつくりだすための装置で、内部に電極を備えた硝子容器です。その形状からウォーターホルンと呼ばれるようになりました。
・煉獄の壺
高温高圧条件で運転を行うことができる小型の溶鉱炉で、一般社会で使用されている炉よりも遙かに優れています。
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