情報収集の基礎

概要入手先影響力


 

概要


 キャラクターたちが解決すべき問題や何らかの謎に触れた時、次の行動を選択するための判断材料や不可思議を解明するための情報が必要となることでしょう。ここでは巷の噂や歴史的事実、それから科学文献といった、様々な情報を得るための手段について解説します。


○情報の必要性

 最初に判断するべきことは、その情報を本当に必要としているのか、そして存在するのかということです。重要ではないものやありもしない情報を求めるために時間や労力を費やすのは、何より無駄なことなのです。もし次の行動のために情報が不可欠とされるのならば、どのような情報を手に入手したいのかを整理しましょう。できるならば、順番を決めて効率よく情報収集を行うべきです。先へ進むために必須とされる情報を後回しにしたがために、シナリオの進行が完全に止まってしまうこともあり得るのです。
 実際に情報収集を行う際には、まず重要な情報とそうでないものを選り分け、今度はその中で手に入りやすそうなものとそうでないものを選り分けます。重要であっても入手困難と予測される場合は、それなりに時間をかけて下準備をする必要があるでしょう。準備の間に手に入れやすい情報を他のキャラクターに調べてもらうこともできます。セッションの時間は限られているのですから、なるべく効率的に情報収集を行うことを心がけて下さい。
 調べるべき情報が複数ある場合は、キャラクターたちが個別に行動する可能性が高くなります。全員がバラバラに行動すれば行ける場所は増えるでしょう。しかし、それで最終的に情報の入手が早まるとは限りません。図書館などの1人で調べきれないほど資料が溢れている場所では手分けした方が早い場合もありますし、数人で話を聞きに行くことで情報の聞き漏らしや尋ね忘れといった事態を防ぐこともできます。また、危険な場所へ出かけるには護衛が必要になることもあるでしょう。情報収集のための技能をあまりもっていないキャラクターでも、他の人をサポートすることはできるのです。とりあえず誰かと一緒に行動してみましょう。


○入手方法

 次に考えることは、どのようにすれば情報が手に入るかです。自分たちが知っていることを他の人に尋ねる必要はありません。ですから行動を開始する前に、自分のキャラクターの技能をよく見てみましょう。もし目的とする情報を知っている可能性があるのならば、キャラクターが習得している技能で判断すればよいのです。
 技能を持っていない、あるいは判定に失敗した場合は、その情報が得られる場所に赴かなければなりません。そして、的確な手段で情報を引き出す必要があります。それは書物の検索や交渉といった技能による判定かもしれませんし、賄賂を渡したり社会的な権力が利用できる場合もあるでしょう。


○入手情報の整理

 情報を手に入れた後は、それを整理して真偽を判断する必要があります。単なる噂に過ぎなかったり、意図的にこちらを騙そうとしている可能性も考えられます。そういった情報を鵜呑みにして動くのは非常に危険なことです。もし相手がこちらの調査動向を掴んでいる場合は、あえて情報を流して囮に使ったり、どこかに誘い込んで捕らえるといったことも可能となります。そうなってしまってから騙されたと気づいても手遅れなのです。
 その情報が本当かどうかを判断するには、それなりの判断材料が必要となります。自分の知識と照らし合わせてみたり、状況から推論したり、あるいは誰かに尋ねるといった確認作業を行うことになるでしょう。1つの情報について幾つものルートから調べるというのも有効です。しかし、全ての情報を疑ってかかる必要はありません。そこで時間を費やしたばかりに事態が手遅れとなっては元も子もありませんから、疑わしいと思われたことについてのみ調べておけばよいでしょう。また、GMもそのような情報を織り込んだ以上は、それを嘘だと匂わせる情報をプレイヤーに与えなければなりません。

 それから、全ての情報に意味があるとは限りません。NPCの意図ではなく、マスター側から関係ない情報を与えられる可能性もあります。それは偶然の場合もあれば、ミスディレクション(誤誘導)ということもあるでしょう。しかし、プレイヤーにはGMの意図はまったく見えないのです。それを判断するためにもやはり情報は必要となり、GMもそれが関係ないということがわかるような情報をどこかで与える必要があるでしょう。下手をすると、それにこだわったままシナリオが進まなくなる可能性もあるので注意して下さい。


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入手先


 既に誰かが知っている情報を引き出すためには、いくつかの手法があります。


○情報媒体

 1つには文字で書かれている情報を検索する、すなわち書物や新聞といった媒体からの情報収集があります。機密文書のように秘匿されているものでもなければ、一般人でも比較的容易に手に入れることができるでしょう。もちろん、田舎では入手しにくい場合もありますが、時間さえあれば都会から書物を取り寄せることも可能です。
 もう1つの方法は会話によるものです。これには相手を探し出し、会話をする機会をつくることまでが含まれます。会話による情報収集は相手によってもまちまちで、さまざまなやり方が存在するでしょう。コネがなければ会うことさえできなかったりしますし、職業や身分が制約となることもあります。


○情報ルート

 キャラクターには固有の情報ルートがあります。多くの場合、キャラクターはどこかの町や地域に住居を構え、何らかの職業に就いて働いているでしょう。そういった関係から、自ずと情報を集めるルートは決まってくるはずです。また、その場所にないルートからは情報は得られませんから、住んでいる町の規模によっても変わってくるでしょう。職業固有のコネクションは職業データに書かれています。もし判定が必要と考えるのであれば、職業知識:業界情報(専門:知+記憶)や地域情報:地域知識(専門:知+記憶)、それから交友人物などの技能で判定を行えばよいでしょう。なお、地域知識については、自分が生まれ育った場所のものに関してだけは一般分野となりますので、この点については注意して下さい。


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影響力


○情報の利用

 情報は謎を解くための手がかりであり、シナリオを進めるために最も重要な要素となるはずです。もちろん謎解きだけではなく、情報があれば相手に騙されずに済むかもしれませんし、こちらから相手を騙す材料として利用することもできるでしょう。しかし、相手を騙したということが知られてしまえば、相手との関係が悪化するのは明らかです。それによって恨みを買ったり、今後敵対することになる可能性も考えられます。もちろん、それが法に抵触するような行為であった場合は、罰金あるいは逮捕という最悪の事態を引き起こしかねません。騙すという行為は、よく吟味した上で行うべきなのです。また、断片的な情報だけを与えて相手にわざと誤解させることも可能ですが、これも基本的には騙すのと同じことです。言い訳をしてみたところで、信用を無くすのは避けられないでしょう。
 その他にも、情報は取り引きの材料として利用することができます。自分に必要のない情報であっても、他人にとっては重要であるかもしれません。それを売ったりただで教えてあげることで、相手から今後何かと便宜を図って貰える可能性もあります。また、情報交換の材料とすることもできますし、それを手土産に自分を売り込むことにも使えるでしょう。


○情報収集の是非

 情報は何でも手に入れればよいというものではありません。世の中には知ってはいけない秘密というものもあるのです。その情報を手に入れることで何か不都合が生じる可能性がある場合は、後の利益とはかりにかけてみる必要もあるでしょう。
 たとえばギャングや裏組合の秘密を手に入れたとして、組織に消されてしまっては何の意味もありません。また、被害が自分だけに及ぶとは限りません。家族や恋人、あるいは友人や近隣の住民が危険に晒されるかもしれないのです。
 軍事機密や領主の不正に関する秘密を知ってしまった場合は、もっと恐ろしい事態に陥ることでしょう。これらに敵対するのは、周囲の全てを敵に回すということでもあるのです。警察も法も何もかもが、今後は自分を捕らえ罰する方向へと動きます。投獄や追放くらいならまだマシで、場合によっては秘密裏に葬り去られる可能性も考えられるでしょう。
 これらは金銭では償うことはできませんし、何かあってからではもう手遅れなのです。もし何らかの対抗策がある場合でも、その準備が整うまではうかつに行動するべきではありません。もしそれらを防ぐ手だてがないのであれば、情報収集を諦めるということも選択肢に含めるべきでしょう。


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