概略
術法協会は宗教組織とは別に術法に関する技術を司る組織です。これは国家の垣根を超えた組織であり、エルモア全土に広がっています。ただし、術法師は社会全体から見れば稀少な存在なので、組織自体の規模はさほど大きいものではありません。
協会は術法を用いて困っている人々を助けたり、あるいは教授してもよいと認可されている術を一般の人々に教えることで、金銭を得て活動しています。同時に術法の研究機関でもあり、術法師を保護する役目もあります。ごく普通の術法師たちは、そのほとんどが協会に所属していると考えてよいでしょう。
○社会との関係
協会は国家や宗教機関に多額の寄付を行ったり、術法師に規律を守らせるなどして、社会に認められるための努力を行っています。
・宗教機関
術法が神から授かった奇跡であるということは、社会的な常識となっています。術法協会でもその認識にはかわりなく、術法を習得する時にまず最初に教えられることでもあります。
宗教機関では神の奇跡以外の術法を(特に否定するわけではないが)肯定しておらず、教会に敵対するものが特殊な術法を使用したりすると、それを異端の邪法として認定します。術法協会は宗教機関から認められることで、正統な存在として活動しています。宗教機関には実質的な許認可の権限はないのですが、彼らが否定すれば社会的に非常に困難な立場に立たされることでしょう。そのため、術法協会は宗教機関寄りの組織として存在しており、特に聖母教会との関係には注意を払っています。
術法を利用して生計を立てている、『魔法屋』と呼ばれる職業に就いている者も各地にいますが、こういった人たちも術法協会に所属することで、異端派呼ばわりされることを免れているのです。・国家
術法協会は特定国家に深く肩入れするということは殆どありません。国家機関からの要請があれば、適正な料金と引き替えに依頼を受け、その内容に見合った協会術法師を派遣することはあります。しかし、すでに公務についている者に術を教授することはありませんし、協会術法師は将来的にも公務に就くことは許されません。これは、術法協会の利益を守るための規則の1つです。・発展性
術法が有用な技術であることには間違いありませんが、科学が発展するに従って術法だけに出来ることは、確実に少なくなっています。また、奴隷制度による労働力の確保もその傾向に拍車をかけており、術法師の数も徐々に減少しています。
また、そもそも術法師になるためには、それなりの才能が要求されますし、身分の高い者がこれを積極的に身につけようとすることもなく、逆に身分の低いものは習得にかかる料金が払えず、身許が明らかでない者も多いため、非常に普及しづらい技術となっています。ですから、術法協会がこのままの状態を維持するのは難しく、周囲を取り巻く環境はますます厳しいものとなってゆくでしょう。
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互助活動
術法協会に対しては、以下のような助力を期待することができます。
・記録調査
術法協会では術法が関連した過去の事件や、登録されている術法師の名称、それから誰がどういった術を習得しているかという情報を教えてくれます。協会術法師になるには身許が確かでなければなりませんし、近年では書類だけではなく会員の顔写真が保管されている支部もあります。
ただし、会員が犯罪に関係した記録については、協会職員にしか教えてくれません。特別な事情があれば、協会術法師に個人的に教えてくれることはあるかもしれませんが、それを外部に口外することも許されません。程度が過ぎれば除名される可能性もあります。・仕事の依頼
術法でしか解決できない特殊な作業を頼むことができます。それなりの依頼料がかかりますが、協会の会員であれば通常よりも格安で依頼を行うことができます。もちろんのことですが、法に触れる内容の依頼は受け付けておりませんし、逆に厳重な注意を受けることになるでしょう。・仕事の斡旋
術法協会に何らかの依頼があった場合、協会術法師に仕事を斡旋することもあります。予め斡旋を希望していた場合は優先的に仕事を回してくれます。ただし、協会の面子というものもありますので、実力に見合った内容の仕事にしか派遣されることはありません。・情報伝達
他国や他の都市など、離れた地域の情報を問い合わせることが可能ですし、遠隔地への伝達を頼むこともできます。ただし、その支部に心話などの術を習得している術法師がいなければなりません。・会員からの情報収集
他の協会術法師を通じて、いろいろな情報を集めることが可能です。これは仕事の依頼というほどのものではなく、あくまでも噂話を集める程度でしかありませんので、協会職員への手数料を支払うだけで済みます。どんなに高くても1万エラン以下でおさまるでしょう。・術法の教授
確かな身許の保証があり、正規の料金さえきちんと支払えば、術法を教えてもらうことができます。ただし、術の内容によっては教授を制限されることもありますし、誰に何を教授したのかは協会の資料にきちんと記録されます。・身許の保証
協会の会員であれば、協会から身許を保証してもらうことができます。会員は登録時および登録更新時に会員証であるカードを渡されるので、それで簡易的な身許も照合も可能となります。ただし、これには顔写真がついているわけではありませんので、正確な身許の特定ということになれば、登録した支部の書類を調べなければなりません。・書物の閲覧
術法協会の大きな支部では、資料庫の1つとして図書館を付設していることがあります。協会員はここにある文書を自由に閲覧することができますし、申請すれば貸し出しも認めてくれます。魔術学校の図書館も、許可を取れば利用することができます。・協会員の相談受け付け
もし術法によって事故を起こしてしまった場合、協会に申し出れば何らかの助力を得ることができます。
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