基本要素
術にはタイプ、距離、持続時間、効果範囲、効果といった要素があります。これは個々のデータに書かれている通りなのですが、特に注意すべき点について説明します。
○タイプ
術法を行使する場合、基本的に術者は対象や効果範囲を認識していなければなりません。しかしタイプによっては、効果範囲や距離などの他の要素の適用方法が異なります。
○距離
術の到達距離のことです。到達距離以内に目標が存在すれば、それに対して術をかけることができます。距離については、10mのように具体的に書かれているものもあれば、接触、無制限などとなっている術もあります。
・術者
このうち特殊なのが術者となっているもので、これは術者を中心として術が発動します。ですから、術者が移動した場合でも、発動している術法の中心は術者となります。・零距離
距離が0となっている場合は、その場所にかかることになります。この時は、術者が移動しても術法の効果はその場に残ることになります。・通常
もう1つ特殊なものが、武闘系術法にある通常という距離です。その場合は、武器で通常攻撃を行うことができる距離が術法の到達距離となります。その他の術法系統の場合は、術をかける際には技×1mの距離しか移動できませんが、この場合に限って通常の戦闘と同じように移動してから術を行使できます。・接触
接触となっている場合、移動できるものがそれを避けようとしても、自動的に接触できることにします。
○持続時間
術の効果が持続する時間です。持続時間は10分、1時間など具体的に書かれているものもあれば、一瞬、あるいは永久などとなっているものもあります。
・注意
一瞬となっているものは、術法の発動している時間は確かに一瞬なのですが、効果自体は持続することがあります。たとえば発火の術法の場合、燃焼するものさえあれば火は燃え続けます。逆に治癒に関する術で持続時間が永久となっていても、改めてダメージを受ければ耐久値は減少します。
○効果範囲
術法が効果を及ぼす範囲についてです。半径10mなどと具体的に書かれている場合は、1点を中心とした球となります。この時の術の到達距離は、中心となる1点までとなります。
・1対象
1対象と書かれている場合は扱いが特殊となり、半径1mの空間に存在する中の、連続する1つの対象(物体、生物など)となります。これは水のように境界がはっきりしないものについても、連続している一塊に効果を示すことになります。対象がその空間に入りきらない場合は、術は一切の効果を示しませんが、術法変化の補助技能によって範囲を拡大することは可能となります。ただし、対象の一部に対して物理的影響(切断、拘束など)を与えたり、直接ダメージを与えるような術については、大きさに関係なく作用することになります。・認識
いずれの場合でも、術が効果を及ぼすのは、基本的に自分が認識している範囲までです。壁の向こう側など見えない部分には術はかかりませんので、この点については注意して下さい。
○効果
個々のデータに書かれている通りの効果を及ぼします。
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術のタイプ
術法を行使する場合、術者は基本的に対象や効果範囲を認識していなければなりません。たとえば誰かにかける場合には、相手が見えていたり触れていたりしなければならないのです。
ただし例外もあり、相手が術者を見ていたり、音が聞こえていたりすることでかかる術法もあります。これらは、術法をかける時のタイプによって変化します。
・通常
対象が視覚的に認識できているか、そうでない場合は接触している必要があります。また、このタイプの術は壁などがあれば、障害物に対して術の効果が適用されます。背後にあるものに対しては、障害物によって効果が遮られてしまいます。
・距離
対象が視覚や触覚によって認識できていなくても、明確に思い出すことができれば、術をかけることが可能です。ただし、これは相手のことをよく知っている必要があります。記憶が曖昧である場合は、記憶術(一般:知+記憶)との同時判定に成功しなければなりません。
それから、相手に何か関連が深いもの(遺品や足跡など)を鍵として、対象を特定することができる術もあります。説明にこのような記述がある術の場合は、相手のことを知っている必要はありません。
・範囲
障害物の有無に関係なく、術は効果範囲内の全てに適用されます。対象や効果範囲を認識している必要はありません。
・限定範囲
相手にものを見せたり、音を聞かせたりすることで効果を及ぼす術です。このタイプに含まれる術は、音を消したり視線を外したりすることで、術の効果を無効とすることができます。この場合は反応抵抗の判定に成功しなければなりませんし、判定に失敗した後で精神抵抗を行うことは出来なくなります。1度の処理で行う抵抗判定は、必ず1回の判定で済ませて下さい。
それから、このタイプの術は距離や効果範囲を拡大することはできません。術の要素そのままの数値が効果の及ぶ限界となります。
・集中
術の効果を維持するために、特定の行為を集中して行う必要があります。持続時間中は、歌や精神集中などを続けなければなりません。この間に何か他の行動を行った場合は、必ず集中が途切れて効果が完全に消滅してしまいます。周囲から何か働きかけられたり、ダメージを受けたりした場合でも、回避や抵抗を行った時点で効果は途切れます。ただし、非常にゆっくりとした移動など、判定を必要としない行為を試みることは可能です。
妨害行為に耐えようとする場合は、術のレベルを基準とした術法判定を行い、成功すれば術を維持することができます。妨害の程度によってマイナスの修正値が加算され、話しかけられたり触れらたりした場合は−4、ダメージを受けたりした場合は、受けたダメージの分だけマイナスの修正を受けることになります。
・感知
何かの存在を感知する術です。このタイプの術は、対象や効果範囲を認識している必要はありませんし、相手は抵抗判定を行うことができません。判定に成功していれば必ず情報が得られます。効果範囲内に存在していても、特定の術で守られているなどの状態になければ、術がかけられたことを感知できません。なお、この術は感知することができるだけであり、知識にない情報を理解することは不可能です。
・魔力付与
物体に魔力を付与する術で、主に武器の強化のために利用されます。このタイプの術をかけたものは魔力のフィールドで守られ、持続時間のあいだは内側にはダメージが伝わらなくなります。そのため、元々の用途が何になっていても、破壊武器として扱われます。逆に、破壊武器以外の用途として使用することはできません。
このタイプの術は生物にはかかりません。それから飛び道具にかける場合、弾丸など個別の追加武器に対して、1回ずつ術をかける必要があります。
・幻術
このタイプの術でつくりだされたものは、半実体化した魔力として存在します。術によっては映像だけでなく、触れても気づかない幻想体をつくり出せるものもあります。このタイプの術は相手が何か疑問を感じて疑いを持った場合、判断抵抗の判定を行うことができます。対抗判定で勝利した場合、その者は幻術の効果を打ち破り、真実の姿を見ることが可能となります。ただし、魔力を解除しなければ幻術そのものは存在し続けます。
・呪詛
このタイプの術は、通常の魔力解除の術では効果を打ち消すことはできません。呪法解除(魔力操作系)や呪詛払い(浄化系、霊媒系)などの特殊な術のみが対抗効果を持ちます。もちろん呪詛と同質、あるいは正反対の効果を持つ術でも、呪詛に対抗できると明記されていなければ、対抗効果を発揮することは不可能となります。
・特殊
このタイプの術は主に奇跡として認識されています。距離や効果範囲などは術者の望みによって変化します。その妥当性については、GMが判断して下さい。
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特殊な効果
術の効果は個々の説明に書かれている通りですが、特殊な扱いを受けるものも存在します。これは以下のような幾つかのタイプに分類することができます。
○対抗効果
似た効果をもつ術法や、あるいはまったく逆の効果をもつ術法は、1つの対象や場所に対して同時に効果をあらわすことはできません。たとえば光を生み出す術と闇を生み出す術では、その効果が拮抗して互いの効果を打ち消し合おうとします。また、攻撃の判定に対して+2の修正を与える術と+4の修正を与える術でも、それは相手の効果を消滅させるように働きます。
このような場合は、術のレベルには関係なく、達成値が高い方の術の効果が残り、低かった方は打ち消されてしまいます。なお、達成値が同じであった場合には、両方の効果が消滅します。
魔力を解除しようとする場合や精神抵抗に関しても全く同じことがいえ、魔力操作系の魔力解除、あるいは魔力防御などといった術の場合も、判定方法はこれに準じます。術法の強さはレベルとは無関係であり、達成値が高いものが常に勝利するということだけ覚えておいて下さい。
○ダメージ効果
術法には相手にダメージを与えることができるものがあります。ダメージの決定には、武器による打撃と同様の処理を行います。自動的成功などの例外的な判定結果についても全く同じ扱いです。
まず、術法を用いた側が判定に成功した場合、相手は精神抵抗でこれに対抗します。ここで攻撃側が対抗判定で勝利した時、成功値を決定して、それに術ごとに決められているダメージの値を加えます。これが最終的に相手に与えるダメージになります。
・防具の効果
術法での攻撃が通常の武器による打撃と異なるのは、物理的な防具によってダメージを減少させることができないという点です。ただし、術法によって特別に防御値が得られている場合は、その分のダメージを減少させることができます。・例外
武術に含まれる術法の中で武器によって相手を攻撃するような術は例外となり、防御値によるダメージの減少が起こります。
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その他の注意
ここでは、術のデータには書ききれなかった注意点を羅列しています。
○攻撃/防御
・効果値
効果値が示されている術の場合は、相手の達成値ではなく効果値を基準とした対抗判定を行います。術の判定は発動するかどうかにのみ関係します。・ダメージ/殺傷力
効果の欄に殺せる、あるいはダメージを与えられると明記していない術の場合、基本的には一切のダメージを与えられないものと解釈して下さい。・魔力の武具
魔力によって武器などを作製した場合、実際に攻撃を行うのは次のラウンドからとなります。なお、これらの武器はタイプに魔力付与と書かれていない限り、通常と同じ武器として処理して下さい。また、これらの武器については、重量を気にする必要は一切ありません。・結界
術法などの影響を削ぐ結界は、効果の欄に記されている以上のダメージを受けたりした場合は、オーバーした分を基準として抵抗を行ったりすることになります。・装甲内部へのダメージ
鎧などだいたい体に密着している装甲の場合は、内部へダメージが透過します。しかし、乗り物や建物などにダメージを加えた場合は、対象そのものの耐久値へダメージを与えることになります。内部の人間にはダメージを適用しないで下さい。
○創造/変化
・作製物
術法で作製した通常の物品は、特に魔力が付与されているわけではありません。・魔道具
いわゆるマジックアイテムと呼ばれるものは、いかなる組織・機関でも製造することはありません。自然界から見つかったり、あるいは宗教機関の聖人たちが作り出したものは存在しますが、現行の機関が作製したものは記録上も存在しません。・術法による創造/模倣
花系で花を創造したり、あるいは獣化系などで動物の模倣をする場合、術者が対象を知っている必要があります。見たこともない花を生み出したり、自分が知らない能力を模倣することは不可能となります。対象を知っていることにするためには、博物知識や記憶術の判定に成功しなければなりません。・変身
異なる生物に変身する場合は、身につけているものは変化しません。そのため、場合によっては服が破れたりすることがあります。ただし、鎧などを着ていても、変身によって肉体にダメージを受けたりすることはありません。その場合は、鎧の方が壊れたということにして下さい。
○属性
・属性の変化
呪詛や組織変化に関係する術では、属性まで変化させることはできません。属性変化のための専門の術でのみ可能となります。・属性と治癒
特定の属性にしか効果をあらわさない回復手段は、逆の属性の相手に対してはダメージを与える手段となります。ただし、中立にのみ効果をあらわすものや、いかなる相手にも効果を示す術は、何者に対してもダメージを与えることはありません。
○移動
・移動力/念動力
飛行の時の移動力や念動などによるパワーは、心の値を技や体に換算して扱って下さい。・特殊な移動
瞬間移動などの特殊な移動手段を用いた場合、身につけているものは一緒に移動することにして構いません。ただし、他人を抱えたりしても、術法変化技能などで拡大していなければ、対象のみが移動することになります。
○生命
・仮死
術法によって仮死状態にある時は、重要な肉体の器官や組織が破損する以外では、対象が死亡することはなくなります。たとえば水中に沈められても平気ですし、何年たっても老化もしません。栄養を補給する必要もなくなります。・治癒
データに明記されていない限り、先天的な欠損や遺伝子病などを治すことはできません。
○その他
・抵抗の可否
効果の欄に抵抗不可と書いていたり、感知タイプに含まれる術でない限りは精神抵抗を行うことができます。・睡眠
ゆっくりと倒れ込むので、倒れたショックで目を覚ますということはありません。なお、これは通常の眠りと同じなので、周囲で騒いだり揺すられたりすれば起きることになります。・予知
これらは確定情報ではありませんので、その後の状況次第でいくらでも結果が変わります。GMは術をかけた時点で最も起こりうる可能性の高い未来を描写しますが、最終的に予知が外れても全く問題にはなりません。・隠蔽
術法によって完全に隠蔽されたりしたものは、技能では発見できません。術法による感知、探索のみで知ることができます。
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