素体人形の作製


 


 素体人形は人形系と傀儡系の術法をかける場合に必要となる人形です。


○術の発動

 素体人形にはあらかじめ紋様を彫り込んでおき、それを指でなぞることで術をかけます。紋様のない素体人形は術をかけても反応しません。紋様は人形によって異なるもので、1体の人形には1種類の術しか埋め込むことは出来ません。通常は念を込めて細工道具を用い、素体人形を作製します。この行程のことを術の施埋と呼びます。


○施埋処理

 紋様を彫り込むには、人形系術法/傀儡系術法の技能で判定を行います。難易度は術レベルとなり、判定に失敗した人形は術をかけても起動しません。
 もちろん、習得している術以外の紋様を彫り込むことは出来ません。見よう見まねでこれを彫り込んだとしても、人形が機能することは絶対にないのです。


・時間
 紋様を彫り込むための施埋時間は[術のレベル×1時間]となります。


○作製

 基本的な人形の造形に関する技能は、工作技術【人形】(専門:技+作業)となります。


・材質
 特に記述がなければ、模倣活動体に分類される人形は、最終的に象牙のような白いつるつるした材質に変化します。そのため、特に材質にこだわる必要はありませんが、作製に用いられる基本的な材料は木となります。材質の変化は術の効果が途切れるまでで、時間が過ぎれば元の素材に戻ってしまいます。


・構造
 人形の体は頭、胴、手足などのパーツに分かれており、それぞれ関節のような機構と内部に張り巡らせた糸(腱)で繋げてあります。関節は人間のように可動し、術をかける以前のものでも工芸品として成立する高度な技術の結晶です。このような構成であるために木製の方が取り回しがよく、既存の流派の殆どが材質には木を用いています。


・形状
 素体人形の形は大雑把で構わず、シルエットが人型であれば機能的に問題ありません。ただし、素体人形の仕上がりに人形の形状は左右されるので、一流の人形使いは素体人形の作製に多大なる時間を費やします。


・大きさ
 術によっては、効果を示す人形の大きさが決まっている場合があります。多少の狂いは問題ありませんが、平均を大きく外れると術が発動しなくなります。製作日数は最低限の機能を備えるだけの場合の基準であり、芸術作品として扱われる人形はこれより遙かに時間をかけて作製されます。

種類 大きさ 製作日数
極小 約30〜60cm 約5日

約70〜100cm 約1週間
約110〜140cm 約10日
約150〜180cm 約2週間


・日数の短縮
 製作の際に振った達成値を、製作期間の短縮に振り分けることが出来ます。達成値は人形の出来映えを示していますが、これを1減少させるごとに、5%の製作時間を短縮することが可能となります。ただし、最大でも30%までしか短縮することは出来ません。中型の人形の場合は、どれほど急いでも1週間の時間がかかってしまうことになります。


・修正
 人形はパーツで構成されているために、気に入らない部位だけを手直しすることが可能となります。そのため、最初の達成値が低かったとしても、判定をやり直して達成値を上昇させることが可能となります。ただし、1回行うごとに通常よりも20%の時間を費やすことになります。
 修正を行った場合、判定をやり直して前の達成値より大きくなれば、達成値に1を加えたものが最終的な出来映えとなります。ただし、もともとの判定値を上回るような数値になることはありません。逆に元よりも低くなった場合は、その時点での達成値が出来映えを示すことになります。


・重量
 術をかけた時は、だいたいその大きさの人間の体重ほどの重さとなります。その前の重量は材質によって変化します。


・機巧
 木製の素体人形は中が空洞なものが多く、内部に機巧を施すことが出来ます。たとえば内部に歯車機巧を施して動かすことも可能となりますし、オルゴールなどを仕掛けることも可能です。
 術が効果を示すのは1種類の材質だけですので、内外に取り付けた機巧や装飾の機能が阻害されることはありません。ただし、術が効果を示している間は、人形の内部のメンテナンスをすることは出来ません。そのため、永久的に効果を示す術を用いる場合は、余計な機巧を仕込まないのが一般的です。どうしても内部を後から調整したい場合は、一部だけを別の材質で作製することになりますが、見栄えが悪くなるので普通はこれを嫌います。


○判定

 命令を与える場合は判定を行う必要はなく、声を出すだけで術者の意図を伝えることが出来ます。命令は人形の個体名と命令の2つによって認識されるので、名前を省略することは出来ません。
 意思を持たない模倣活動体は、基本的に1度命令された内容を繰り返すだけなので、違う行動を行わせる場合は改めて命令し直す必要があります。なお、命令は能動行動に分類されるので、戦闘などの場面では5秒につき1回しか行うことが出来ません。


○修理

・活力
 活力へ受けたダメージの場合、人形のパーツを取り替えることで回復することが可能となります。その場合は、受けたダメージが1ポイントにつき、1時間の修理時間が必要となります。
 修理の判定は工作技術【人形】の技能で行います。もちろん、再び施埋処理を行わなければなりませんので、人形系術法/傀儡系術法による判定にも成功する必要があります。

・生命
 生命にダメージを受けた人形は、通常の修理による修復は不可能となります。ただし、術法を用いて修復した場合は、問題なく元通りになります。


先頭へ