知識制限


 


 一般的なエルモア地方の人間が知ることができない知識は多々あります。ですから一般的なエルモア地方の人々は、これらについて全く知らないか、あるいは事実以上に神秘的な場所を想像するのが普通です。かつて交流のあったような場所でも、架空の手記や旅行記と情報が入り混じり、我々から見れば明らかにおかしいと思われるような話さえ信じてしまっているのです。
 マスターズパートまでの情報を用いてゲームを行う場合は、以下の情報までしか得ることができません。なお、実際の情報はシークレットパートに記載されています。


・東方
 東方の知識はいっさいもたらされておりません。黄人についても、東方由来とされてはいますが、これは根拠のあるものではありません。つまり、東方というのは全く未知の領域なのです。現実の東洋として想像するプレイヤーが多いかもしれませんが、そもそも概念がないのですから、想像すらできないものなのです。
 黄人を元に考えるとすれば、我々の世界の東南アジアとイスラム社会を足したような、不思議な雰囲気の場所となるでしょう。エルモア地方の人間もそう考えています。


・アニスカグナ地方
 中央地方が結界に閉ざされる以前は、中央地方を通じて交易があった場所です。多くを砂漠に覆われている場所で、現実世界のアラブ地方を思い浮かべていただけばよいでしょう。


・中央地方
 結界に閉ざされる前はエルモア地方とも交易を行っておりましたし、ペルソニア大陸に植民地を持っていたこともあって、ラガン帝国は非常に影響力の強い国家でした。しかし、現在は一切の交流がなく、内部で何が起こっているのかは想像もつきません。一般的には、誰もが死に絶えてしまっているものと考えられています。


・エスティリオ
 新大陸の情報は、主にロンデニアで得ることができます。しかし、第一期の探検隊が得た情報というのは非常に少ないもので、新大陸の住民の存在と一部の動植物と地理的情報にとどまっています。聖暦788年には、ロンデニアとエリスファリアの船団が入植を開始していますが、彼らがエルモア地方に情報を持ち帰るまでは、国家パートに書かれている情報を全て知ることはできません。なお、ロンデニア、エリスファリアの他にも、カーカバートが密かに船を派遣しています。


・ペルソニア南部
 断崖の向こう側については、一切の情報がありません。陸路、海路、空路のいずれにおいても、消滅結界と呼ばれる結界を越えることは不可能であり、向こう側に到達したものはおりません。ペルソニアの人々の中には、神の大地として恐れている者もいます。しかし、部族によっても伝承は様々で、結局のところ何があるのかを推測することも不可能という状態です。


・ペルソニアの旧王朝
 ペルソニアには幾つもの旧王朝が存在していたと伝えられています。しかし、その多くが砂の中に埋もれており、実像は闇に包まれたままです。ペルソニアの遺跡というと、現実世界のエジプトを思い浮かべる人が多いと思いますが、ピラミッドのような特異な建築物は存在しません。それよりは西アフリカやジンバブエの遺跡、あるいはマヤ、アステカといった南米の遺跡などを思い出してもらった方が近いでしょう。
 しかし、内部に残されているものは、エジプト王朝の宝と似たようなもので、黄金と宝石で彩られた装身具などが眠っているようです。忘れてはならないのがペルソニアの由来ともなった仮面であり、王家の仮面には不思議な力を持ったものが存在するとも言われています。これらは考古学的価値はもちろんですが、盗掘屋のような輩も目をつけるお宝でもあるため、既に幾つかは盗掘されてしまっている可能性もあります。


・北海
 流氷海域と呼ばれる氷に覆われた海で、その先に何があるのかは全く知られておりません。幾度か探検隊を組織し、極点を目指して旅立った者は存在するのですが、いずれも志半ばにして死亡しています。


・過去
 術法を用いても、変異現象以前の過去を見ることはできません。時期によっては断片的な映像が見えることもあるようですが、規則性はまったくないようです。


・先史文明
 大変異現象以前の歴史というのは、まったく闇の中にあるといえます。幾つか遺跡が発掘され、発掘品についての分析を行っている国家もあるのですが、実用化されたのは霊子機関ただ1つです。もちろん、ライヒスデール軍のように発掘した兵器を利用している場合もありますが、これはたまたま壊れていなかっただけで、彼らが修復したわけでも再現に成功したわけでもありません。といってもライヒスデールの科学力に問題があるのではなく、他の国家でもほぼ同様の状況にあるのです。仮に我々の世界で科学魔道文明の産物が発見されたとしても、やはり同じ結果となっていたに違いありません。科学魔道文明の技術力とは、それほど高度なものなのです。
 また、これらの文明の情報というのは、紙媒体に記録されているわけではありませんし、国家によっても異なる言語を用いています。エルモア地方の人間には概念すらない技術用語がまざっていたとしたら、解読に手も足もでないのは当然です。翻訳家にしても、特定国家の博物館に残っていた古書、あるいは先史文明よりさらに前の時代の遺跡の碑文といった、極めて限定的な古い文章の一部が読めるに過ぎません。こういった情報から先史文明の実像を掴もうというのは、困難を遙かに通り越した無謀ともいえる所行なのです。
 こういった理由から、先史文明というものは、エルモア地方の人間にはまったく把握できない存在であり、せいぜい発掘品を流用するにとどまるでしょう。そして発掘品でさえ、本来の用途もわからないまま使用することになるはずです。それがいかなる結果をもたらすのかは、誰にも予測することはできません。なお、これらの品々が霊子物質で稼働することだけは判明しています。また、それ以外のエネルギーで稼働することは絶対にありません。


・考古学的発見
 純粋な意味での人類学的発見というのはあり得ません。しかし、変異現象によって奇妙な古人骨が形成されることはあり得ますし、そのような発見がなされた記録も存在しています。
 もっとも、エルモア地方の科学力ではこれらを区別することはできませんので、キャラクターにとっては同じ意味を持つと思って差し支えないでしょう。実際、考古学も生物学と同様、変異現象で事実が攪乱されてしまうものですので、諸説入り乱れた混沌とした状態にあります。ですから、これらを体系的に整理することは不可能と考えて構いません。事実ではない発見や珍説が主流のように受け取られたり、事実に近い発見がないがしろにされることは、本当によくあることなのです。GMはどれを正解とするか悩む必要はありませんし、どの説が有力であるかは自由に決めても問題ありません。


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