基本
この世界はかつて、大変異現象によって破滅寸前まで追い込まれました。この影響は現在でもまだ残っており、変異を起こす源となる場所や物品といったものがたくさん存在します。
○認識
変異現象そのものには善悪正邪は関係ありません。変異現象による結果があったとして、それが社会的にどう認識されるかで扱いが変わります。社会に悪影響を与える者であれば魔神の呪いとして処理されますし、逆に良い結果をもたらした場合は奇跡として取り扱われるのです。もちろん、まったく変異とは認識されずに、普通の物理現象として処理される場合もあります。たとえば国家の説明にある文章の中にも、単なる自然現象として認識されている変異現象が書かれています。
・顕在化
もし悪い影響をもたらす変異が顕在化してしまった場合、それが公に知られてしまえば、その地域での生活は非常に困難となるのが通例です。周囲の態度は一変し、あからさまな差別を受けるのはまだましな方で、所属社会を追われたり隠れて私刑を受けることになるでしょう。身分的な扱いとしては、最下層身分に属する異端階級の人間ということになります。
異端階級の存在は、法律でさえ助けてくれることはまずありません。変異は魔神の呪いであり、宗教組織によって忌むべき者として認定されているのです。甘い期待はしない方が身のためというものです。
○原因
・変異源
特定の地域や物品が特に強く変異の影響を受けていることがあります。このように変異現象を引き起こしている存在は、その周囲にも汚染を引き起こす可能性があります。この世にあるあらゆる存在は変異源に近づく度に、肉体や精神に何らかの影響を被ることになります。
科学魔道時代の遺跡などが存在する付近は、特にこの傾向が強くなるようです。逆に言えば、遺跡の発掘をするということは変異の影響を受けるリスクを背負うことであり、発掘物もその影響を受けている可能性も高いということです。・霊子機関
霊子機関の周囲では変異現象が起こりやすくなります。しかし、それは微々たる傾向に過ぎず、エルモア地方の人間はこのことに気づいておりません。
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変異度
○変異度
変異現象の影響を受けた場合は、獲得特性の変異度というものを獲得することになります。
・レベル
変異現象の影響を受けた対象は、変異レベルというものが設定されることになります。人間の生息域にある変異源の場合は、変異レベルが5以下のものしか存在しません。しかし、絶対変異地帯などの汚染の激しい地域や、先史文明の遺跡や発掘品などには、それ以上の変異源がたくさん存在しています。
○汚染
変異が進行している最中の対象は、汚染ポイントという数値を得ることになります。変異ポイントは0以上の値であらわされ、ポイントが10につき変異レベルが1上がります。たとえばポイントが36の変異源は、変異レベルが3ということになります。
・接触
変異源に接触した場合は、GMが指定した分だけ汚染ポイントが上がります。変異に対してはいかなる対抗手段も無効となり、判定なしで変異が進行することになります。この点には注意して下さい。・汚染ポイントの基準
目安としては、1時間の接触で変異レベルと同じ値の汚染ポイントが上昇します。これは完全な接触が基準となります。ただし、この数値はあくまでも目安ですので、これに従わなければならないわけではありません。・霊子機関
100EPを消費する度に、汚染ポイントが1上昇するものとして下さい。霊石であれば400銀貨、霊水であれば200銀貨で購入できる霊子物質となります。・進行の度合い
変異レベルはどれだけ長く、そしてどれだけ変異源に近づいたかによって変化します。接触が短ければ変異の度合いは少なくてすみますし、時間が短くても距離が近くなれば、それだけ変異現象は進行することになります。GMは状況に従って、汚染ポイントの上昇を加減して構いません。・上限
変異源に改めて接触したとしても、進行の度合いは早まりますが、変異源のレベルを越える変異を起こすことはありません。4レベルの変異源に何度接触しても、5レベル以上の変異になることはないのです。
○変化
汚染が進行する度に、肉体や精神に何らかの影響を被ることになります。それは背中に翼が生えたり、化物になったり、あるいは黄金に変わってしまったりという恐ろしいものです。
・レベル
変異レベルが1上昇するごとに、何らかの汚染の効果が発現することになります。変異の例として変異表というものを示します。これはあくまでも例示であり、GMが自由に設定して構いません。
GMが新たに変異現象を設定してシナリオに組み込む場合は、すでにある変異現象の例を見るか、術法データを参照すればよいでしょう。術法によって起こりうる効果は、およそすべて変異現象として起こりうるものなのです。なお、幾つもの術が複合した形で発動され、より複雑な現象となってしまう場合もあります。・潜伏
変異の結果はすぐにあらわれるとは限りません。潜伏して気づかないままでいて、それが徐々に表へとあらわれる場合もありますし、突然に変化することもあります。逆に、変異していてもそれが本人にも、あるいは他人にも気づかれない場合もあります。特に、精神に影響を与えるものは、それが変異であることに気づくことはほとんどないでしょう。
○変異特性
1回の汚染は一定の期間で沈静化し、それ以上の進行が起こらなくなってしまいます。沈静化してしまった変異現象の結果は、変異特性として設定されます。変異特性は設定内容と変異レベルの2つの要素を持ちます。
・鎮静化
変異源から離れてしばらく時間が経てば、変異の進行は徐々におさまってゆきます。通常は1週間ほどで進行はおさまるようで、変異レベルが低いほど沈静化は早くなります。・設定内容
起こった変異の結果を全て記録して下さい。・レベル
変異特性は沈静化した時点での変異レベルが設定され、汚染ポイントはその時点で破棄されることになります。改めて変異源に接触した場合でも、変異特性として設定されたものがさらなる汚染を引き起こすことはなく、新しい変異現象として汚染が始まることになります。・変異源
変異の影響を受けた者は、自らも変異源として周囲を汚染してしまうことになります。これを防ぐ手段は皆無であり、他人や物品と接触しないことだけが唯一の手段となります。
○特殊能力
変異によって特殊能力を得る場合があります。このうち判定の必要があると思われるものは、主技能値の感応技能に属する個別技能として扱って下さい。
・判定
判定に用いる主能力値は心となります。能力を1回使用するためには、精神耐久値を1点消費します。精神耐久値の消費に関しては、術法と同じ扱いとなります。・成長
これは技能と同じ扱いですから、CPによって成長させることもできます。ただし、個別技能に分類されるため、+3までしか上昇させることは出来ません。
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解決手段
○変異現象の解消
変異現象といっても物理的変化に過ぎないものも多々あり、結果が自然現象とかわらないものであれば、通常とまったく同じように対処することが可能です。単なる病気であれば薬を飲めば治りますし、壊れた物品は修復する術さえあれば元通りにすることができるでしょう。こういった変異現象は、起こったことさえ気づかれないこともありますし、おかしいと思っても偶然か何かということで片づけられてしまうでしょう。
・術法
通常の手段では元に戻せないような結果は、術法などの特殊な手段に頼るしかありません。この時、術法の難易度は[変異レベル+5]となります。・レベルの減少
汚染の結果である変異特性の内容は、術法などの手段によって元に戻る可能性があります。しかし、変異レベルはいかなる手段をもってしても、決して減少することはありません。これは、たとえ先史文明の技術や願いと奇跡ルールであっても例外ではありません。
○呪鍵
実際には知られておりませんが、変異の中にも非常に特殊なものが存在します。これは呪詛タイプの術法によく似ておりますが、術法などの魔力的な手段をもってしても、絶対に解除できないタイプの変異があるのです。このような変異を呪鍵といい、呪詛解除などの術でもこれを解消することはできません。
たとえばこのタイプの変異現象によって病気にかかった場合は、たとえどれほどの腕を持つ聖職者や呪医でも、これを治癒することはできないのです。術法の判定で奇跡的成功をおさめたとしても、あるいは願いと奇跡ルールを用いたとしても、これを解除することは不可能です。・原因と対策
この現象が起こるのは、変異現象に生物の意思が影響を与えた場合が多いようです。そのため、これを解決できる可能性があるのは、新たなる変異によって中和されるか、あるいは精神的負荷を解消するという手段があります。
それがどのような機構で解除できるかは、一定の法則やノウハウがあるわけではありません。1つ1つ原因を解き明かし、それぞれに見合った対処をしてゆくしかありません。解決の鍵がたった1人の言葉であったり、あるいは誰かと再び出会うことである場合もあるのです。
これはシナリオの課題として利用しうるものです。こういった課題を解決して元通りになった場合は、悪魔の誘惑に打ち勝ったものとして、制限はありますが再び一般社会に迎え入れられます。もちろん、宗教機関や周囲の人に気づかれずに解決してしまえば、何の問題もなく日常の生活へと戻ることができるでしょう。
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