聞き込み

ルート身元と信用手段


 

ルート


 聞き込みをしなければ手に入れることができない情報もあります。聞き込みを行うためには、まず情報が手に入りそうな場所や教えてくれそうな相手を探さなければなりません。


○噂

 噂程度の情報を集めるには、特定の人物をわざわざ探し出す必要はないでしょう。最も身近なところでは家族や友人、恋人などから情報が得られます。他にも、自分がよく買い物をする店や、料理店や酒場といった人がよく集まる場所も情報収集には適した場所です。他にも主婦が集まる井戸端や広場といった場所も狙い目です。進んで会話に加わらなくても、人々の話が聞こえてくることもあります。


○特定人物

 特定の人物についての情報を集める時も、極端に頭を悩ませる必要はないでしょう。まず、身近なところでは家族や友人がいますし、仕事絡みの話ならば職場仲間や所属している組織、それから取引先などを訪ねてみればよいのです。最近の様子や在宅時間、生活ぶりといった情報ならば、近隣の住民に聞けばよいでしょう。調査する相手になったつもりで自分の周囲を眺めてみて下さい。
 それから、対象に敵対している人物などが存在する場合、それは非常に貴重な情報源となります。相手が不利になることであれば、つつみ隠さず話してくれるでしょうし、一般に知られていない情報を手に入れることができるかもしれません。しかし、こちらを利用しようと企む者もいないとは限りませんので、その点については注意する必要があるでしょう。

 問題は自分が聞き込みをしていることを相手に気づかれたくない場合です。これらの人々に直接話を聞くということは、相手にもこちらの情報が筒抜けになるということです。ですから、相手がよく利用する店やそれほど親しくない人物などから、間接的に情報を集めることを考えなければならないでしょう。料理店や酒場だけでなく、床屋など比較的会話を交わす可能性のある店、それから大衆浴場や教区の教会といった場所でも聞き込みができます。店舗で情報を集める場合は、何か買い物をしたり注文をすれば、相手の口も滑らかになるはずです。
 普段どういった手段で通勤しているかといった情報であれば、駅近くの売店や乞食などに聞くこともできます。また、相手が不在かどうかを確かめるためには、家を遠くから覗いてみる他にも、何かの配達やセールスの振りをして、直接相手の家を訪ねてみるという手段を取ることも可能です。もちろん、それなりの変装は必要となるでしょう。手持ちの道具がない場合は、道を聞いたりトイレを借りる振りをしてみてもよいかもしれません。


○特定団体

 特定の組織団体の情報を集める場合は、その組織を構成するメンバーから情報を聞くが最も手っ取り早い手段でしょう。内部に派閥があるのでしたら、それを積極的に利用することができます。うまく話を合わせれば、噂以上の情報を手に入れることも不可能ではありません。もし部外秘であったとしても、相手をうまく興奮させることができたなら、思わず漏らしてしまう可能性もあるでしょう。
 それが許されない場合は周辺の住民や取引先、それから同業者や関連業者などから情報を聞き出すこともできます。商売を営んでいる場合は、特に商売敵から色々な話を聞くことができるでしょう。ただし、誇張が含まれている場合や、悪い噂を意図的に流そうとしている可能性も考えられますので、その点の見極めには注意する必要があるでしょう。


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身元と信用


○身元の証明

 聞き込みを行う場合、相手が簡単にはこちらを信用してくれないことがあります。信用(一般:知+判断)という技能を用いて信用を得ることもできますが、もっと簡単なのは自分の身元を明かすことでしょう。

 貴族などの上流階級の人間であればそれだけで信用してもらえることもあります。ただし、それなりに名の知れた貴族であれば簡単でしょうが、地方の小さな領地をおさめているような弱小貴族であれば、簡単には信用してくれないこともあり得ます。国家にもよりますが、まずは身なりや態度がきちんとしていなければ、逆に疑われることにもなりかねません。整った服装やきちんとした言葉遣い、それから礼儀作法(専門:知+記憶)の技能によって、見て分かる部分から相手に信用させる必要があるでしょう。それから相手が知っているかどうかに関わらず、自分の家の紋章を見せれば納得してくれることもあります。
 他にも、そのキャラクターが有名人や社会的な地位のある人物であれば、それだけで警戒を解いてくれる可能性があります。逆に向こうから近寄ってくることも考えられます。この場合は知名度を修正値として信用の判定を行えばよいでしょう。ただし、これを行うには相手がその人物のことを知っている必要があります。なお、記憶に関わる判定をする場合にも、知名度のレベルの分だけ難易度が下がるという利点があります。
 それから、警察や法律家など社会的に信用されやすい職業に就いている者も、身元を証明する物品を見せれば話がしやすくなるでしょう。警察官や刑事は警察手帳を、保安官や法律家であればバッジなどを所持しているはずです。聖職者は服装と聖印が身元を証明する手段となりますし、職業組合などでも所属の証拠となるバッジや腕章などを配布しておりますので、有名な組織に属している場合はそれが役に立つこともあります。他にも誰か紹介者がいれば、初対面の人物であっても信用を得やすくなるでしょう。


○身元の隠匿

 逆に素性を全く明かさずに相手を調査する方法もあります。特定個人が情報を集めているというのではなく、新聞記者やフリーのライターに扮して、直接本人や周囲に取材を申し込むことも不可能ではありません。もちろん、質問の中に知りたいことを紛れ込ませて、巧みに情報を引き出す技術が必要となります。名刺や社章などの小道具があれば、より相手を騙しやすくなるでしょう。
 それから探偵や何でも屋などを装って聞き込みを行ってもよいでしょう。これらの職業はあくまでも自称なので、後で問題にされることも少ないはずです。ただし、調査している事実そのものを隠したい場合は、やはり目当ての情報を直接聞くのではなく、他の質問に紛れ込ませたり、まったく関係ない他人を調査している振りをして、相手の情報を引き出すという工作が必要です。たとえば、架空の人物が何かをしているという設定で聞き込みを行えば、実際にその物事を行っている人物の情報が得られるかもしれないのです。

 有名人や貴族に扮して相手の警戒をやわらげるという手段もあります。そのためには、変装する相手の情報が幾らか必要になる可能性もありますので、それなりにチェックしておいた方がよいでしょう。また、演技力も要求されますし、礼儀作法(専門:知+記憶)などの技能が必要となる場合も考えられます。なお、国家によっては貴族を詐称するのは重い罪になることもあるので、注意する必要があります。特に封建国家では確実に投獄されることになるでしょう。警察官や法律家、それから医者などの資格が必要な職業も同様です。また、聖職者に扮するのも手段としては有効ですが、場合によっては周囲全体を敵に回す可能性もあります。身元を詐称するのは、それなり危険がつきまとうことを覚えておいて下さい。


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手段


○技能

 聞き込みを行うために役立つ技能には、話術(一般:知+判断)や信用(一般:知+判断)といったものがあります。また、異性に話しかける場合は、誘惑(一般:知+判断)の技能が使えるかもしれません。身分を詐称していたり、嘘をつく必要がある時には演技(一般:知+判断)の判定に成功しなければならないでしょう。
 相手が嘘をついているかどうかに気づくためには、精神判断(一般:知+判断)による対抗判定が必要です。なお、尋問(一般:知+判断)の技能というのは、取り調べによって情報を聞き出す方法です。友好的に情報を集めるためには逆効果になるということを覚えておいて下さい。


○技能以外の方法

 技能を用いずにうまく情報を引き出す手段もあります。知らない振りをしていれば、逆に相手の方から話はじめることもあります。わざと間違ったことを尋ねれば、相手はそれを正そうとしてつい情報を漏らしてしまうかもしれません。まったく関係ない話を続けていて、最後についでの振りをして目的の情報を引き出すこともできます。こうすれば、こちらの本当の目的が何だったのか気づかれずにすむ場合もあります。なお、かまをかけて相手の顔色を読み、言外に情報を吐かせるという手段もありますが、失敗すれば自分がどの程度の情報を持っているのかを相手に悟られてしまうこともあるので、注意するべきでしょう。
 それから、恫喝や心理的な圧迫を伴う手段が有効となる場面もあります。弱みを握って脅迫するのも同様です。ただし、ほとんどの場合は犯罪あるいはそれに類する行為となりますし、誇示するだけの力や情報がなければ無意味です。か弱い少女にすごまれたところで、いったい誰が動揺するでしょうか? また、その脅迫材料がどれだけ有効なのでしょうか? そういった前提条件を考えずにこれらの手段を持ち出すのは、むしろ自殺行為ともいえますので、慎重に策を練るべきでしょう。


○金銭

 情報というのは貴重な資産の1つです。ですから、内容によっては相手に代償を支払わなければならないでしょう。金銭といっても、正当な情報料金を要求される場合もあれば、賄賂によって秘密の情報をこっそり教えてもらう場合もあります。


○圧力

 社会的な地位や権力を利用して話を聞き出すこともできるでしょう。あまりよいやり方とはいえませんが、地主であれば土地の借り主、アパートであれば住人に対して圧力をかけることも可能です。会社や軍などの上司であれば、その地位を利用して部下の口を割らせることも不可能ではありません。政治的な圧力を利用することもできますし、また知り合いに権力者がいれば、それを頼るという手段もあるでしょう。ただし、こういったやり方は相手の恨みを買うのを覚悟しなければなりませんし、やり過ぎれば犯罪になってしまうかもしれません。後のことを考えて行動することを心がけて下さい。


○交換条件

 情報同士の交換や将来的な約束事も有効な取り引きの手段となるでしょう。後々便宜を図ることを約束することで、相手が口を開いてくれることもあります。
 それから、身柄の安全というのも立派な代償の1つとなります。たとえば、麻薬の販売ルートを知っていたとして、それを警察に明かすことで命が狙われる羽目になるのでしたら、誰もそれを口にしようとは思わないでしょう。自分の会社の不正行為を暴露すれば、明日からの職が失われてしまうこともありますし、特に為政者が敵となる場合は所属する社会全体を敵に回す可能性があります。秘密裏に情報を提供したとしても、後々それが明るみにでないとは限りません。これらの不利益に見合うだけの報酬や保証がない限り、普通は情報を明かしてはくれないものです。犯罪者であれば刑罰の軽減も報酬となりますし、職や住む場所を紹介したり、商売をはじめる資金を貸し出したりすることも、交換条件としては有効でしょう。もしキャラクターが有名人や権力者である場合は、コネクションを持つこと自体が利益となるかもしれません。

 いずれにせよ、手持ちの材料の中で相手が何を欲しているのかを的確にとらえる判断力も、情報収集には不可欠な要素といえるでしょう。しかし、与えすぎも考えものです。相手がこちらの態度を不審に思う可能性もないわけではありませんし、足元を見られることもあります。この辺りの適度なバランス感覚も同時に要求されるでしょう。こういった報酬の程度については、一般常識(一般:知+記憶)や職業知識(専門:知+記憶)などの技能で判断させても構いません。


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ルート身元と信用手段