国教会/全体

概略教義と信仰その他


 

概略


 『エリスファリア国教会』は聖暦679年に法教会から分裂した宗教機関で、エリスファリアでのみ信奉されています。国民はすべて国教会の信者とされ、それ以外の信仰を認めておりません。信者のことは国教徒と呼び、国教徒以外の者は公職につくことが許されません。


○成立

 かつてのエリスファリア国王レイシア4世が、その離婚問題より始まった法王との争いで破門され、法教会と絶縁するという事件が起きました。そして国王が独自に設立したのがこの国教会です。国王が『教皇』として教主を務め、代々のエリスファリア国王がその役職を継いでいます。


○影響力

 上のような経緯で成立した国教会は、宗教機関というより国王の統治策の1つとして存在する組織であり、政治と強く結びついています。庶民の味方というよりは貴族の味方であり、家督を継ぐことが出来ない貴族が聖職者となるのは当たり前のこととなっています。
 支配貴族によって歪められた国教会は清廉潔白な組織ではなく、上層部は腐敗しきっています。神の権威をかさに着て威張り散らす聖職者も少なくありませんし、権力者と手を結んで私腹を肥やす高位聖職者も数多くいます。
 これに反発する庶民派の聖職者も存在しますが、上層部は腐敗した聖職者で殆どが占められているため、成立当時からその体質は変わっておらず、利権を含めて組織内部では様々な闘争が繰り広げられています。


○教皇庁

 エリスファリアの首都であるフィアンリーに、国教会の中心となるレグベルド正教会があり、敷地内部には最高決議機関である中央枢院が存在します。中央枢院がある建物はまるで宮殿のような構造をしており、建物や組織全体を合わせて教皇庁と呼ばれています。国王が実際に教皇庁にいることは少なく、通常は枢機卿が教皇庁の一切を運営しています。


先頭へ

 

教義と信仰


 教義の大筋の内容は、聖母教会と法教会の中間色といった具合ですが、王権を強化するために内容は大きく歪められ、聖典も貴族を擁護する内容に書き換えられています。代々の国王(教皇)は、政策によって教義を民衆を統制しやすいように解釈し、それに従って教義を変更することもあります。


・崇拝対象
 法教会では唯一神を至高の存在として崇めています。この他に、神の使いである天使や過去の聖者などが崇拝の対象となります。

・記録
 
教義や神の言葉は『聖告書』に記載されています。

・聖印
 いわゆる十字架と呼ばれるものが聖印となります。

・王権
 王権は神に授かったものとし、王家も神聖不可侵の存在であると聖告書に記載されています。

・科学
 法教会と同じく科学の力を否定することはなく、物理的・化学的作用も神の力によるものとしています。また、霊子機関の研究も積極的に推進していますし、聖職者が銃器を使用しても咎められることはありません。

・祈り
 法教会と同じく、胸の前で十字を切ってから手を組んで祈りを捧げます。その際、聖印を持っていればそれを握りしめます。


先頭へ

 

その他


○財源

 基本的には独自財源で賄われることになっており、地代と寄付金、あるいは投資などを主な収入としています。国教会は国土の10%ほどを所有しており、所有地からの所得は莫大なものとなります。
 教会は国家とは全く別個に運営されており、その代わりに教会の収入には一切課税されないことになっています。しかし、これはあくまでも表向きのことで、実際には半分以上を国家の補助に頼っています。国家は教会に対して直接的な寄付は行ないませんが、建築物の修復や貧民救済などの援助金という名目で、毎年多額の資金が国教会に給付されています。


○内部派閥

 国教会の内部は幾つもの派閥に分かれ、激しい権力闘争を繰り広げています。貴族たちにとっては、協会内の勢力争いは政治闘争の1つであり、また利潤を得るための重要な手段でもあります。そのため、彼らは血縁者を教会内部に送り込み、できるだけ自分の意思が反映されやすいような体制を整えようとします。


○宗教教育

 初等学校の教育では宗教教育の授業や集団での礼拝が必須となっています。また、学校の始業時と終業時にも祈りを捧げなければなりません。


○異端狩り

 聖母教会や法教会と同じく、国教会でも変異現象や不浄の者を異端としています。しかし、異端狩りには多額の料金が請求されるので、個人がこれを簡単に依頼することは出来ません。また、経費の水増し請求が行われることも頻繁にあります。なお、術法師などの一般市民による異端狩りには、教会の神聖職務を妨害したということで、税金や罰金が科されることがあります。
 国教会では変異現象の影響にさらされた人間も異端狩りの対象となり、抵抗すれば殺害もやむを得ないものとしています。異端と認定された者は戸籍から抹殺され、その一切の持ち物を処分してしまいます。しかし実際には、没収された財産は狩りを行った者やその上司の懐に入っているのだという噂です。


○異端派

 国教会の在り方に反発して、袂を分かった聖職者も少なくはありません。また、国民の中にも腐敗しきった教会上層部に不信感を示す者も多く、内外で改革が叫ばれるようになっています。しかし、教会は異端審問でこういった考えの持ち主を破門にすることで対処し、反対派の声は完全に黙殺してしまっています。


・自由信仰運動
 エリスファリア国内では、国教徒以外の者は様々な不利益を被ることになります。反対派の中には、そもそも信仰とは魂に許された自由であり、いかなる宗教を信奉したとしても等しく扱われるべきだと主張する者もいます。こういった主張を唱える者たちが集まってつくった集団を自由信仰協会といい、機関紙などを発行して一般の人々に訴えかけてきました。現在では異端派として弾圧されてしまっておりますが、影で細々と運動を続けています。

・修道会
 正統なる信仰を求める聖職者たちは、修道会と呼ばれる組織を結成しました。彼らは山岳などの厳しい環境で修行を重ねており、基本的には世俗と離れて生活しています。そのため、一般には山岳修道会、あるいは高地修道会と呼ばれています。高い場所に修道会の建物をつくるのは、天界により近い場所こそ修行の場に相応しいと考えているためです。


先頭へ