警察
○全体
▼国家制度
内務省に属する警察局が警察組織を統轄しています。警察組織は通常の形態で、警察署の中にいくつかの部署があり、刑事や警察官が業務を担当します。▼首都警察
アイリストールの治安を守るのは首都警察で、州警察に相当する大きな組織となります。これは首都のみならず、周辺地域の警察組織を統括する役割も負っています。▼警察署
全体を統括する中央警察署(首都警察)と、都市内部を担当する街区警察、そして都市外域を所轄とする幾つかの地域警察が存在します。
○役割
▼首都警察(アイリストール中央警察)
首都警察を統括する組織であり、首都機能および都市の重要施設等の警備と、広域に渡る犯罪の捜査を担当します。
実質的な犯罪捜査に関しては、殆ど中央警察署が実権を握っており、その他の警察署で行われる捜査活動というのは、地域限定の小さな事件に限られます。なお、広域捜査は街区警察や地域警察と協力して行いますが、所轄との連携がうまくゆかないこともあったり、人手不足から広域犯罪とは関係ないような捜査に駆り出されることもあるようです。▼街区警察(アイリストール市警察)
アイリストール市内の各所轄を担当する組織で、管轄内の警備や犯罪事件の捜査を担当します。組織としての規模は、他の地域でいえば大きな町の警察署に相当するもので、殆どの人員は各詰め所に配属されることになります。▼地域警察
市外地を担当区域とする組織で、位置付けとしては街区警察に相当しますが、その規模は比較的小さいものとなります。
○街区警察署
市内を管轄とする所轄署で、一般にアイリストール市警あるいは市警察と呼ばれます。街区警察署は全部で8つあります。1つの警察署には100人程度の人員が所属し、交代で勤務にあたっています。ただし、その多くは詰め所に配備される警察官であり、捜査員の数はあまり多くありません。
・種類:環道暑、環外北署、環外南署、環外西署、環外東署、南部署、新南署、北部署
▼環道警察署
環状道路内と一部の周辺地域を担当する街区警察で、本部は北太陽通りの裏手にあります。かつて城壁の中にあった地区を担当することから、ここの署員たちはインナー・ガードと呼ばれています。ただし、政府施設を警備するのは中央警察署の役目となりますし、王家所領地は陸軍の特別部隊である王宮衛士隊(ロイヤル・ガーズ)が警備を行ないます。
◇環内地区
市の中心となる繁華街で、全体的に治安の良い地域となります。王宮地区の周辺が最も警備が厳重で、平和通りの辺りまでは夜間でも安心して外出することが出来ます。◇東地区
環状道路の東側には市場街や船舶ドックがあり、交通量が多く人の出入りが非常に激しい地域です。このうち、ミンキッシュ川の近くは中央警察署や王宮が置かれていることから、市内でも最も治安のよい場所となります。・管轄:環内地区(神聖地区、凱旋門通り、白鞘街、北太陽通り、メノウ通り、平和通り、亡骸街など)
周辺地区(大使館通り、監獄通り、紫陽花通り、市場街など)
▼環外北警察署
エルザ運河の北側(埠頭街を除く)と環状道路の西側を担当する街区警察で、本部はマーブル広場のすぐ近くに置かれています。
◇北地区
市の北部は南部に比べて人口が少なく、全体的に犯罪の少ない地域となります。しかし、西の方へ進むに従って浮浪者が多くなり、枯葉通りの辺りともなるとお世辞にも治安が良いとはいえません。また、エルザ運河に近いことから霧が多く、霧死人などの不死者が出没することもあるので、夜間は特に警戒が必要です。このような事情から、市民は北地区を警備する警官たちのことをホワイト・ガードと呼んだりします。◇西地区
レスターファ川の西部にはギャングの支配する暗黒街があり、その周辺には犯罪者や浮浪者が数多く住んでいます。そのため、一帯は非常に治安が悪く、市内で最も危険な場所といえます。
この地域を担当する警官たちの中にはギャングと癒着している者も多く、一般市民はもとより警察内でもあまり信用されておりません。こういった事情から、治安状況が改善される様子は一向に見られず、他の所轄に比べて迷宮入りする事件の数も桁違いとなります。なお、裏社会と繋がりのある悪徳警官たちは、ブラック・ガード(黒警官、闇刑事など)と呼ばれて揶揄されているようです。とはいえ、ギャングたちの影響力は非常に大きく、うかつに踏み込んだ捜査をすると命を狙われかねないため、この署に配属された職員にはむしろ同情するべきなのかもしれません。・管轄:北地区(枯葉通り、夢見街、穂波通り、マーブル街、面影街、霧姫通りなど)
西地区(首吊り街、どぶ板通り、暗黒街、黒羽根通りなど)
▼環外南警察署
環状通りの南東地区を管轄とする所轄署で、本部は官庁街に置かれています。
◇北地区
南太陽通りの付近は国立銀行や取引所などの金融機関が集中しておりますし、官庁街には政府施設が密集していることから、周辺地域は厳重な警備体制が敷かれています。このように、市のみならず国家にとっても非常に重要な職責を担っているため、この地域を担当する警官たちはセントラル・ガードと呼ばれます。ただし、実際に政府施設の内部を警備するのは、首都警察である中央警察署に務める職員の役目となります。◇南地区
南部には百花通りや夜店通りといった歓楽街があり、裏組合の本部も置かれています。そのため、管轄区域内では最も犯罪が多く、夜間の治安維持にも力を入れる必要があります。このような事情から、この地域を担当する警官たちはナイト・ガードと呼ばれたりします。・管轄:北地区(南太陽通り、白銀通り、官庁街、市民公園、レントン氏通りなど)
南地区(夜店通り、百花通り、平民通り、奇譚街など)
▼環外西警察署
環状道路の南西地区を担当する街区警察で、南太陽通りの手前までが管轄区域となります。本部はウェリンス通りと環状道路の交わる地点にあります。
◇西地区
環状道路の西側は工房や問屋が並ぶ地域で、ほどほど治安のよい場所といえます。しかし、すぐ北にはギャングの支配する暗黒街があり、周辺には流れ者や浮浪者が住み着いているため、トラブルに巻き込まれる可能性もあります。◇南地区
環状道路の南側は、比較的裕福な人々が暮らす住宅地が広がっており、全体に犯罪の少ない地域となります。とはいえ、休日の王立競技場は大勢の人で賑わいますし、多くの観光客が訪れる大鷲広場なども存在することから、警戒を怠ることは出来ません。なお、特に日中にパトロールを行なう警官の姿が目につくことから、この地区を担当する警官のことをデイ・ガードと呼ぶこともあります。・管轄:西地区(職人地区、赤矢通りなど)
南地区(ウェリンス通り、蔦通り、学校街、白鳥通り、月光通り、柳葉通り、せせらぎ通りなど)
▼環外東警察署
チェスター人工湖を中心とした東部地区を管轄とする街区警察です。なお、本部の建物がイーデン水路沿いにあることや、船乗りたちを相手にする機会が多いことから、この地区を担当する警官たちはリバー・ガードと呼ばれることもあります。
◇北地区
埠頭街の北側は中層市民の住宅や旅亭(イン)などが並ぶ地域で、ごく普通の治安状況となっています。しかし、運河の南側にはあまり品のよくない酒場や娯楽施設が集まっており、大きな犯罪は少ないものの喧嘩や諍いは日常茶飯事です。また、古くにあった裏組合が分裂し、一部がギャング組織をつくって麻薬の密売などを行なうようになってからは、阿片窟のような場所も生まれています。このような事情から、街の外れの方は一般市民が近づかない地域となっています。◇南地区
ウェッジ工業地帯に近い地域は工場や倉庫の建物、あるいは問屋などが立ち並んでいます。この辺りは市警本部が近いことや、盗難防止のために警備員を雇っている会社も多いことから、比較的治安のよい地域となります。しかし、チェスター人工湖の周辺は何もない湿地帯で、最近では勝手にバラックを建てて住み着く人も増えておりますし、屑拾いの子供たちがうろついていることも多く、新たな貧民街が生まれつつあるようです。・管轄:埠頭街、倉庫街、チェスター人工湖など
▼南部警察署
ウェッジ工業地帯および南部貧民街(ミルトン地区)を管轄とする街区警察です。本部はミンキッシュ川からウェッジ運河が分岐する地点の河岸に置かれています。
◇ウェッジ工業地帯
この地域は大規模な工業地帯となっており、警備のために外を歩き回ると制服が煤で汚れてしまうことから、署員たちは自らをグレイ・ガードと呼んでいたりします。かつてはあまり重要な任務もないため、閑職として扱われていた時期もありましたが、下層住宅区での犯罪件数が増加したり、近年では企業スパイが入り込むこともあるため、現在は警備体制が強化されています。◇南部貧民街
正式にはミルトン地区といいますが、下層の労働者や浮浪者、あるいは犯罪者が住民の大半を占めることから、このような名で呼ばれています。周辺一帯は市内でも最も危険な地域の1つで、新興のギャング組織が台頭しつつあります。署員たちも近づきたがらないために、治安は年々悪化の一途を辿っており、住民たちは自分で自分の身を守らなければなりません。・管轄:ウェッジ工業地帯、南部貧民街(ミルトン地区)など
▼新南警察署
新市街と呼ばれる地域のうち、ウェッジ工業地帯と南部貧民街を除く場所を担当する街区警察です。本部は移民街と新興住宅区(フォーダー地区)の中間辺りに置かれています。
◇中部新市街
移民街と呼ばれる地区周辺のことで、全体としては中層〜中下層市民の居住区となります。工業地帯へ近付くほど所得が低くなる傾向があり、それに応じて治安も悪化してゆきます。
この地区を担当する警官は、市民からボーダー・ガードと呼ばれたりしています。これには幾つかの理由がありますが、アイリストールの中でも新しく開発された地域であることや、この一帯が工業地と住宅地の間にあること、あるいは古くから移民たちが多く住んでいること、などが挙げられます。◇西部新市街
フォーダー地区と呼ばれる、市郊外に広がる新興の住宅地です。良好な生活環境を求めて中心街から転居した資産家などが多く住んでいるため、高級住宅地の警備には特に力を入れています。なお、この付近には緑地や小公園が多く、南にはゴルゴーニュの森もあることから、ここを担当する署員たちはグリーン・ガードと呼ばれているようです。・管轄:渡航者街、移民街、新興住宅区(フォーダー地区)など
▼北部警察署(バローシャ署)
旧市街およびその周辺地域を管轄とする街区警察です。最も古くから存在する市警の1つで、ここの署員だけは古い時代のデザインを継承した制服を着ているいるため、オールド・ガードもしくはクラシック・ガードと呼ばれたりしています。・管轄:旧市街(バローシャ地区)、エーゼルバインなど
○地域警察署
ヴォーデン、ゼクセス(海軍街)といった市外地は、それぞれ地域警察署の担当区域となります。
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司法
○制度
▼司法府
裁判権を有するのは司法府であり、立法・行政機関からは完全に独立しています。▼裁判所
王立裁判所(国家)、上級裁判所(州)、下級裁判所(地域自治体)の順に裁判所が体系的に整備されています。また、簡易裁判所も各地域自治体に置かれています。裁判の進行方法は現実世界とほぼ同じ方式で行われ、それぞれ控訴・上告を行うことも出来ます。
○密室裁判
ロンデニアでは民間人が裁判を傍聴することは出来ません。というのは、かつて法廷で見学者が暴動を起こし、死傷者を出した上に被告人が逃亡するという事件が起こったためです。これは犯罪者現象が引き起こしたものですが、以降は法廷では厳重な監視のもとで裁判を行われることになり、一般見学者の入廷も拒否されるようになりました。
しかし、国民の目が届かないことによって、近年では一般市民に不利益な判決が行われるという弊害も生じています。特に後ろ盾のない浮浪者たちに対する処罰は厳しく、些細な罪で植民地送りとなる場合もあるようです。
○関連施設
▼司法府本部
国内の司法組織を統括する司法府の建物で、監獄通りにある王立裁判所の隣に建てられています。▼王立裁判所
監獄通りにあるロンデニア最上位の裁判所で、司法府本部の建物と中央拘置所の間に置かれてます。▼裁判所/合同庁舎
上級裁判所(州)、下級裁判所(市)などが置かれている建物で、大使館通りの市庁舎の向かいにあります。▼中央拘置所
未決囚を拘置するための施設で、王立裁判所とリンギル分監獄の間に建てられています。▼更正施設
不定居住者や再犯の可能性のある人物を収容して、職業訓練や初等学校程度の教育を受けさせたりする施設です。市内にはこのような施設は幾つもあり、市が運営している大規模のものもあれば、教会や慈善団体が管理する小さなものまで様々です。しかし、金銭的に余裕があるところは多くありませんし、実質的に受刑者と同じような扱いを受けることもあります。▼刑事犯精神病院(ブルーフォード国立精神病院)
精神病質と判断された犯罪者が収容される場所で、夢見街に置かれています。これは国立病院として設立されたもので、現在は試験的に運営されている段階です。患者は日中、併設されている更正院や特別病棟に隔離された状態で服役しており、治療のときだけ病棟へと移ります。鑑定を行なうのは精神科医と術法師で、双方の鑑定結果をもとに総合的な判断がなされます。
○刑務所
▼リンギル分監獄
近年の犯罪者の増加に対応するために新設された刑務所で、ジェイル・ポートに隣接しています。聖歴773年に完成したもので、旧市街にあるバローシャ監獄に収容しきれなかった囚人がここに収容されます。現在、中級〜初犯の重犯罪者などが300人以上拘禁されています。▼リュヒース特別監獄
監獄通りのリンギル分監獄に併設されている刑務所で、かつてリュヒース王城が置かれていた場所に存在したことから、移転後もこのように呼ばれています。国事犯、政治犯、および重大な犯罪をおかした特別犯などを収容する専用の施設で、ここは特に厳重な監視体制が敷かれています。▼バローシャ監獄
旧市街の北部郊外には、中級〜重犯罪で逮捕された者が服役するバローシャ監獄があります。▼トレアル新監獄
埠頭街の最東部に置かれており、比較的軽い犯罪で逮捕された者が入る監獄です。▼債務者監獄
借金を返せずに訴えられた者が投獄される場所で、日陰通りに設置されています。ここは普通の監獄とは違って夜間に拘束されるだけで、贅沢な暮らしや逃亡さえしなければ、普段とさして変わらない生活を送ることが可能です。▼少年監獄
青少年の更正を目的として新設された監獄で、一般の受刑者から悪い影響を受けないよう、15歳以下の未成年のみを分けて収容しています。これは教育制度が普及してからの試みであり、ここでは慈善施設と同様に職業技術や一般教育を受けることが出来ます。しかし、ここを出ても再犯に走る者が少なくないため、施設運営のための資金を削減したり、もっと刑罰を厳しくするべきだという意見も出はじめています。
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軍事
○全体
ロンデニアは職業軍人と徴兵からなる近代的な常備軍を保有し、陸軍省と海軍省がそれぞれの軍事全般を統括しています。陸軍は地方ごとに管区として分割されており、それぞれの部隊は方面軍として活動します。
○陸軍
アイリストール周辺の陸軍を統括しているのは、ロニエル地方を管区とするロニエル方面軍となります。このうち、首都周辺の防備を担当するのはアイリストール軍団となり、これらは市周辺の幾つかの駐屯地や砦に分散して配置されています。
実際に首都に駐屯しているのは首都特別防衛隊と呼ばれる大隊です。普段は市の東西南北および市庁舎隣に設置されている陸軍兵院に各中隊(100人規模)が待機し、平時は出動に備えて訓練を行なっています。また、市内の重要拠点には駐屯所が設置されており、分隊もしくは小隊が常備しています。
ただし、これらの部隊は軍事行動のために存在しているものであり、基本的な都市警備は警察の役目となります。陸軍は上層部からの出動要請や、警察からの応援要請があるまで、出動せずに待機していなければなりません。
▼王宮衛士隊
ロイヤル・ガーズと呼ばれる陸軍の特別部隊で、王宮地区にある王家所領地の警備を行ないます。▼消防隊
エルモア地方の消防業務は基本的に軍の管轄となり、地域住民の志願者が結成する消防団と協力して地域を警戒します。消防隊は陸軍駐屯所とは別に設置された消防署に勤務しています。▼救助隊
災害救助を主とする救助活動を行う隊員で、そのための特別な訓練を積んでいます。
○海軍
アイリストールは内陸に存在しますが、市には海軍も駐屯し、部隊も保有しています。というのは、河川・湖沼・運河といった水域は海軍の管轄となり、警備および救難任務を担当しているからです。また、実際に敵国がここまで侵入することはありませんが、日頃から哨戒訓練を行なっておりますし、新型船艇の開発工房や実験部隊なども存在しています。
基本装備は小型の哨戒艦艇となり、各ポートに1〜2隻常備されています。また、市から南に3kmほど離れたゼクセスという町には、水量の調整湖を兼ねた海軍ドック(ミンキッシュ川南域)が存在し、そこには中型哨戒艦艇や中型砲艦も配備されています。なお、これらの装備は基本的に救助用のもので、日頃から哨戒任務を行なうわけではありません。
○組織間の関係
▼陸海軍
ロンデニア海軍は非常に強力な存在で、エルモア随一の戦闘力を誇るといわれています。古くから自らが出した通商条令が発端で起こった海峡戦争や、アリアナ海の覇権をかけた他国との海戦などを繰り返しており、実戦経験も豊富です。
これに対して陸軍は、施設警備や式典以外の場面では殆ど出番がなく、お飾り部隊として海軍将校たちに揶揄されています。このような状況が続いているため、陸軍と海軍の間の溝は深く、時に軍人同士で諍いを起こすことがあります。
▼警察と軍隊
警察は軍が現場に出てくることを好まず、消防隊あるいは救助隊以外の部隊と連繋して行動することは殆どありません。ですから、よほどのことがなければ、応援要請を行なうことはないでしょう。怪物などが出没したとしても、武装警察隊だけで何とかしようとするのが普通の対応です。
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