交通

概要陸上交通水上交通


 

概要


○基本

 聖歴789年のアイリストールでは、馬車および汽船が基本的な交通手段となります。


▼馬車
 
都市内部でよく見かけるのは定期的に巡回する乗合馬車や辻馬車で、主要な通りはいつも混雑している状態です。

▼船舶
 ミンキッシュ川やエルザ運河を通る船も、馬車と同じく荷物運搬や人々の移動によく利用されています。船は他の都市との流通の根幹を担っており、河岸では忙しく荷物の積み降ろしをする人々の姿が見かけられます。

▼鉄道
 アイリストール市内ではまだ一般客用の鉄道は普及しておらず、工業地帯に貨物運搬用の巡回路線が数本と、フォーダー地区(新興住宅区)の東部から工業地帯を結ぶ短い通勤路線が1本あるだけとなります。その他の鉄道の敷設計画も持ち上がっていますが、まだまだ検討課題が山積みの状態です。

▼自動車
 自動車は馬を驚かせることから御者に嫌われており、都市内部では制限速度の問題もあることから、あまり利用はされておりません。その他の国家と同じように、金持ちの道楽やスポーツという見方が一般的となります。


○交通問題

▼環状道路
 アイリストールは古くに建設された都市であり、歴史的建造物が市内の各所に存在するため、道幅を容易に広げることは出来ませんでした。しかし、聖歴700年代に入ると急激に人口が増加し、市内の各所で激しい渋滞が頻発するようになり、この解消が急務となります。
 この時に計画されたのが環状道路の新設で、市の中心部を囲んでいる厚い市壁と堀を取り壊すことで、既存の建物を残したまま大きな幹線道路が通されました。工事は聖歴724年に開始され、同時に市内全域の区画整理や傷んだ道路の補修も全面的に行われました。これらの工事は聖歴730年代の終わりまで行われ、この間を都市新生時代、ループロード(環状道路)時代と呼ぶこともあります。

▼渋滞
 長い歴史を持つこの都市は、時代ごとの要望に応える形で都市改造を繰り返した結果、非常に入り組んだ道路網を備える結果となりました。また、人口増加に伴って交通量も飛躍的に伸び、環状道路の設置前よりは緩和されたとはいえ、ひどい渋滞が慢性的に発生しています。
 これを分散するための都市整備計画も進められており、一部では道路の拡張や新しい橋の建設が行なわれていますが、いずれも決定的な対策とはなっておりません。そのため、特に労働者階級あるいは郊外に住む市民階級の人々から、鉄道の敷設を求める声が強くなっています。また、環状道路内外の交通を、一部に残っている城門が阻害している場合もあり、これを取り壊すよう強く求める人々もいます。

▼市場の分散移転
 かつて市場と呼ばれるものは、赤矢通りの南側に広がっていた市場街と、エルザ・ポート沿いにあった北市場の2つが置かれておりました。しかし、周辺地域の渋滞がひどく、都市大改造時代に市場の分散移転が行なわれることになります。
 これによって、卸売市場はミンキッシュ川沿いに移され、現在はこの新しい市場街が物流の中心を担っています。また、残った一部の店はレスターファ川の対岸へと移動し、やがて西市場と呼ばれる露店市を形成するようになりました。
 北市場の方は、アヤメ通りに面する三角市場と、ハルトス聖教会の南にある鋒先市場に分かれています。さらに、柳葉通りの近くにあるイーグル・ポート沿いには、聖歴740年代になって南市場が置かれるようになり、都市中心部では全部で5つの市場に物流が分散されました。


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陸上交通


 都市内部では馬車が主要な交通手段で、定期的に巡回する乗合馬車や辻馬車をよく見かけます。


○道路事情

 都市内部の道路は石畳で舗装されており、主要な大通りでは乗合馬車用のレールも設置されています。しかし、工業地区や新しくつくられた住宅地、あるいは都市の外縁にある地区などでは、まだ土を固めただけの道路も多く、雨が降るとすぐに泥だらけとなってしまいます。市では重要性の高い地域から、砕石舗装路に順次組み換えていっておりますが、通行を妨害しない形で行なう必要があるため、その作業はあまり早いものではありません。


○馬車

▼乗合馬車
 街中を定期的に運行する乗合馬車は、都市交通の根幹を支える重要な存在となります。環状道路や大通りには乗合馬車用のレールが敷かれており、その上を数多くの馬車が行き交います。
 乗合馬車は運賃が安く大量の人員を運ぶことができるため、中層市民の通勤手段としてよく利用されています。都市主要部では朝7時から夜9時頃まで運行していますが、夜間の人通りの少ない地域では夜7〜8時頃に運行終了となります。

▼辻馬車
 辻馬車は現代のタクシーに相当するもので、1頭立ての二輪馬車が主流となります。運行時間は人によっても異なりますが、だいたい朝7〜8時くらいから開始するようです。比較的遅くまで仕事をしており、夜でもランプを吊して走っている姿を見かけます。


○自動車

 ロンデニアは先進国ですから、蒸気自動車や霊子自動車を所有する者も多くいます。しかし、これらは高価なため、実質的には金持ちの道楽としてしか利用されておらず、交通手段として用いられるのはまだまだ先の時代になりそうです。なお、町中は人通りも多く馬車の邪魔にもなるということで、制限速度は時速20km/hと定められています。


○鉄道

▼現行路線
 アイリストールではまだ鉄道が普及しておらず、工業地帯に貨物運搬用の巡回路線が数本と、フォーダー地区(新興住宅区)の東部から工業地帯を結ぶ短い通勤路線が1本あるだけとなります。これらはいずれも私鉄会社が運行するものであり、だいたい朝7時から夜7時くらいまで走っています。


▼都市間鉄道/郊外鉄道
 アイリストールと他の都市・地域を繋ぐ鉄道については、シナリオの内容に応じて自由に設定して構いません。ただし、それらの駅についても、今のところは新市街や郊外に置かれることになります。


▼敷設計画
 馬車は常時渋滞しており、また、都市南部の新興住宅区からの市内へ通う通勤者の足も必要とされることから、近年では新しい鉄道の敷設計画が持ち上がっています。とはいえ、市中心部への乗り入れには検討課題が多く、計画はいまだに議論の域を出ておりません。
 都市開発推進委員会から出ているのは、市の南端付近からレスターファ川の西を通って、大鷲広場の前を終着駅とするという案で、現在の町並みを殆ど壊さずに鉄道を敷けるという利点があります。また、この場所をターミナル駅として都市間鉄道を繋ぐという計画も提案されています。
 ですが、新興住宅区に住む者の多くは、快適な生活環境を求めてわざわざ転居した人々で、参政権を持つ比較的裕福な階層となります。彼らの反対を押し切って工事に踏み切るのは難しく、現状のままでは新しい計画案を出さなければなりません。なお、中には「エルモア地方初の地下鉄を」という主張を行う者もおりますが、工事に要する技術面も含めて安全性を不安視する声が一般的です。
 いずれにせよ、都市の生活環境が年々悪化している現状では、煤煙を出す蒸気機関車の導入は考えにくいため、霊子機関車が用いられることになるでしょう。しかし、この場合は聖母教会の激しい反発が予想されますし、コスト面を考えると地下鉄と同時に導入することは難しくなります。こういった様々な問題を全てクリアできるよう、推進委員会のメンバーは日々頭を悩ませていますが、まだこれといった決定的な案は出されていないようです。


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水上交通


 アイリストールでは河川を利用して物資や人間を運ぶ汽船の存在も重要なものとなります。旧市街や北の港町カルスレンへ行くためには、船を利用するのが一般的です。


○河川

 南部のレムリル山からはミンキッシュ川とレスターファ川が、東部からはマーム川の伏流水が流れ、市内に水を注いでいます。マーム川はエルザ運河によってミンキッシュ川と合流し、その流れはさらにレスターファ川と繋がって、エルザ=ロンドとして北へ向かいます。エルザ=ロンドはさらに旧市街を抜け、北の港町カルスレンを通って海へと注ぎます。


▼通常河川

◇ミンキッシュ川
 南部のレムリル山から流れる大河川で、狭いところでも150mを超える川幅があり、最大幅は200mを上回ります。都市南部の工業地帯では、この豊富な水を利用して様々な品の生産・運搬を行なっています。しかし、そのため市内を流れる水の汚染はひどく、社会問題の1つとなっています。

◇マーム川
 都市の東端をかすめるように流れている川で、幅は80〜100m程度となります。ここから引いた水は、上水の一部として利用されています。

◇レスターファ川
 ミンキッシュ川と同じくレムリル山から流れて来る河川ですが、こちらは川幅が50m程度となります。そのため、大きな船の運行には向かず、航行は中型の以下の船舶に制限されています。

◇フランジィ川
 アイリストールから南西に50kmほど行ったところにある、グレンディル山からレスターファ川まで続く小河川で、幅は20〜30mほどとなります。水深は浅いため大きな船の通航は出来ず、荷物や人の運搬は小型汽船やボートで行なわれています。


▼運河

◇エルザ運河
 エルザ運河はマーム川、ミンキッシュ川、レスターファ川、フランジィ川の4つが集まって流れる、平均幅200m以上にもなる大運河です。これはミンキッシュ川の氾濫を解消するためと、水上交通網の整備を目的として造成されました。川底は増水にも耐えられるよう深く掘り下げられており、かなり大型の船舶も航行することが出来ます。
 東部から市内へと引き込まれたマーム川の分水流は、南から流れ込むミンキッシュ川と合流し、環状道路の北側を流れゆきます。そして、フランジィ川およびレスターファ川の水を合わせて、エルザ・ロンドと呼ばれる大運河となり、旧市街を通過して港町カルスレンまで北上し、最後には海へと注がれます。通常、単にエルザ運河と言った場合は、マーム川の分岐を始点とした全流域のことを指します。このうち、運河始点からミンキッシュ川との合流河川の終点までをエルザ・ステップ、レスターファ川が合流してからの河川のことをエルザ・ロンドと言います。
 なお、運河に流れ込む水は、それぞれ貯水湖や水門で流量を調整できるようになっております。また、もし限界を超える水量が流れ込んだ場合でも、多少であれば市内の地下を流れる分水路や、下水口へと逆流するようになっているため、滅多に氾濫することはありません。

◇ウェッジ運河
 都市の東部を流れる運河で、ミンキッシュ川の水を工業地帯の東側にも流すため、聖歴740年代に新しく掘られました。ここから出る水は北にあるチェスター人工湖(ブラウン湖)を通り、エルザ運河へと注ぎ込みます。

◇ロルネット運河(赤波水路)
 レスターファ川から西へ向かって流れる小運河で、農業用水の供給と水量調整のために用いられています。正式にはロルネット運河といいますが、かつて市場の近くに置かれていた屠殺場から流される血で、運河の水が真っ赤に染まっていたことから、一般には赤波水路の名で呼ばれています。なお、市場の移転とともに屠殺場は都市外部へ移されたため、現在は澄んだ水が静かに流れています。

◇イーデン水路
 ミンキッシュ川からチェスター人工湖(ブラウン湖)へと繋がる小運河で、水量調整のために造られました。工業資材の運搬のなどにも活用されており、大小の船が行き交っています。


○船

 市内を流れる川では、貨物運搬船や客船が毎日頻繁に行き来しています。料金の安い定期船も多数運行されており、特にエルザ・ポートから出る旧市街への定期船は、市民がよく利用する水上機関として活躍しています。


▼船着き場(リバーポート)
 荷物の積み降ろしを行なったり乗客が乗り降りするための場所で、これらは市の港湾局が管理しています。

▼係船所
 河川のあちこちに船を係留する場所があり、小さな船やゴンドラなどが停泊しています。

▼河畔ドック
 川筋近くの陸地を掘って水を入れ、船が入り込めるようにしたところをドックといいます。いわば駐車場に相当する存在であり、ここで荷物の積み降ろしや船舶の整備点検を行うことが出来ます。

▼水上ホテル
 この国では交通に船舶がよく利用されていますが、これを船宿として貸す商売も存在します。

▼埠頭街
 マーム川からエルザ運河への分岐点がある、アイリストールの東側に突き出た部分を埠頭街といいます。運河の北岸には船の建設や修理を行なうドックが多く並んでおり、船会社の社員や船大工など関係者が多く住んでいます。南岸にはマーム川からの流入水を調整するためのブルックリン人工池があります。これは船舶の停泊場としても利用されているため、一般にマーム・ポートと呼ばれています。池の周辺付近には水夫のための宿屋や酒場といった店が軒を連ねており、夜ともなると多くの街娼がたむろします。

▼倉庫街
 ミンキッシュ川の東岸には何十隻もの蒸気船が常時停泊していて、岸辺では陸揚げや船積みが頻繁に行われています。周辺には各会社が管理している倉庫が立ち並んでおり、陸揚げされた荷役がここに保管されます。これらの物資は盗人に狙われやすいため、合同で警備員を雇って周囲を警戒したり、高い煉瓦塀で周囲を囲んで対処しています。


○船着き場(リバーポート)

▼エルザ・ポート(北の船着き場)
 エルザ運河の船着き場の1つで、リンウィード橋の北の出口付近にあります。旧市街や北の町とを行き来する定期船が舳先を並べており、市民の交通手段として頻繁に利用されています。

▼マーケット・ポート (東の船着き場)
 ミンキッシュ川沿いにある、市場街に隣接する船着き場です。アイリストールで一番賑わうポートで、大量の荷物が運び込まれます。

▼ウェリンス・ポート(西の船着き場)
 ウェリンス通りに繋がる船着き場で、西市場に面しています。レスターファ川を通る船の中継ポートとして利用されています。

▼イーグル・ポート(南の船着き場)
 大鷲広場に隣接する小規模なポートで、南市場に面しています。

▼ジェイル・ポート(北西の船着き場)
 三角市場に面しているポートで、通常は食料品などの搬入に利用されている場所です。もともとは囚人を旧市街の北にある監獄に送るために利用されていたため、このような名がつきました。

▼マーム・ポート(ブルックリン人工池)
 埠頭街の南岸につくられた、マーム川からの流入水を調整するための人工池です。ここは船舶の停泊場としても利用されているため、一般にマーム・ポートと呼ばれています。


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